瞬刻の大空 ―Wing of the moment―   作:七海香波

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第十七話 一戦去っての一騒ぎへ

 俺と先生は襲撃者のISをしかるべき場所へ運んだ後、生徒指導室へと向かい、先ほどの事件についての事情聴取を行った。そこでISに保存してあった一連の映像を彼女に送信した俺は、加えて口頭で交戦時の情報を事細かく伝えたのだった。

 突然のレーザーによって溶けた整備室の扉。そこから体当たりで廊下へ追いだしてからの槍の一突き。続いて武装の相性が悪いが故の場所の移動――そして、時間を稼いでからの“揺光”による瞬間加速の斬撃。

 

「――とまあ、そんな風にあの機体を斬った所で先生が来たんです。で、こんなものでいいでしょうか」

「ふむ。良し、大体分かった」

 

 彼女は俺の語った内容を速記し終えると、その内容をもう一度軽く見る。

 

「……これで十分だろう。もう帰っても良いぞ、記録映像を提出してからな。あと、この件に関しては箝口令が敷かれることとなる。例え相手が鷹月であろうと、無闇に話すなよ」

「はい」

 

 当然のように無人機のことについては他言無用の念を押されてしまった。

 ……どうせ言った所で、どうしようも無いだろうと思うのだが。知られてその技術を他が開発したなら更に面倒事になるのも目に見えているが、鷹月やそこらのクラスメイトに話したところで精々噂の種になるくらいだからな。

 ただ、せっかくだから俺の方で利用できるように工夫してみたいところだ。……そんな暇があれば、の話だけど。というか世界トップの技術者たちでさえ未知の領域なんだ。アイデアを捻るならともかく、それそのものを使うなんてのは土台無理な話だろう。さて、どうしたものか。

 そんな方向性で頭を捻りながら映像データを先生に送信していると、ふと戦っていた際に思いついた“もう一つの可能性”のことを思い出した。

 

「ところで先生、あの無人機なんですが」

「……なんだ」

 

 俺があの機体のことについて訊ねようとすると、彼女は急に不機嫌そうに顔を顰めた。

 どうやらそちらのことは余り聞かれたくない内容らしい。しかしハッキリと断ってはこなかった……ならば遠慮する必要も無いか。そう思い、俺は堂々と問題の核心を突いた。

 

「あれ、どう考えても現在絶賛指名手配中の博士からの贈り物ですよね」

 

 そう、ISが遠隔操作されていたのではなく、人工知能――AIによって動かされていた可能性のことだ。

 “希代の天才ならぬ天災”、篠ノ之束。

 彼女なら本当に無人機を作れたとしても何ら違和感がない。何しろ現代最高峰の技術の結晶であるインフィニット・ストラトスを一から作れる人材は彼女だけなのだ。そんな彼女であれば真の意味での無人機くらい余裕で作成できるだろう。

 大体そんな俺の問いを予想していたらしく、彼女は額に手を当て、小さく首を振った。

 

「……その問いには答えることが出来ない。その点については機密事項であるため口外禁止だ、それくらいお前なら予想は付くだろう?」

「じゃ、先生個人の予想ならどうなんですか?」

「それも予想はしているが、確証はないと言った所だ。アイツは何時だって何をしでかすか分からないからな、ここまでの事をやってもおかしくはないが、その理由が今一掴めないと言った所だ――これで十分だろう?それではデータも受け取ったし、さっさと帰れ」

「そうでしたか。それじゃ、失礼します」

 

 しっしっと手で追い払うような素振りを見せる彼女にこれ以上聞けることはないだろう。俺は素直に部屋から出て、扉を閉めるのだった。

 ……さて、確かに予想していても証拠がなければどうしようもない。確かに技術レベルからしたら篠ノ博士しか居ないとしても、肝心の物理的証拠が不明。それでは結局何の意味も無い。

 が、彼女の反応からして、恐らく本当に篠ノ之博士からのものだったのだろう。幼なじみ同士通じるものもあったのか、この話題を切り出そうとしたときの彼女の瞳には、そう思わせるなにかがあった。

 

 ――それはそれでいいとして、この後はどうしようかね。

 教室棟へと繋がる廊下を歩きながら、俺は今日の予定を頭に思い浮かべた。

 整備室は巨大な風穴が開いている以上、修復のため数日は使う事が出来ないと言われている。かといって教室へ行ったところで何にもならないだろう。どうせ教師達は後処理で手一杯なんだ、授業を行うほど手が空いているわけでもない……自習してる奴なんて当然居ないだろうし、きっとただ騒がしいだけだ。

 

 ふと手元の携帯を開いてみると、数通のメールを受信していた。

 送り主は全て鷹月。

 

『今こっちに変なISが来たんだけど、そっちは大丈夫?』

 

 簡潔にすると、その内容は全てこんな感じだった。

 そう言えば、彼女はアリーナの観客席にいたからな。どうやら襲撃者の姿を見て、即座にこっちの方の安全が気になったらしい。ほとんど直後に安全確認のメールを送っていたようだ。それで返事が返ってこなかったのが気になったらしく、その後も数分おきに同じような内容のメールが続いている。

 つい十分前の最後のものによると、今は友人達と一緒に教室にいるらしい。さて、一応無事の返事をしたいところだが……他の女子も教室にいるというのなら、メールだけでいいかな。顔を見せるのはまた後にするとしよう。また一騒ぎ起きることは目に見えている。

 一難去ってまた一難に飛び込むなんて、そんなことやっていられるか。それより一旦部屋に戻って一休みかな。身体は無事だが、緊張が解けたお陰で精神的にキツい。

 買ってきた本ももう全部読み終えてしまったし、ひたすら休むとしよう。勉強も今進んだところまでならひとまず十分だし、後は実戦で身につけるテクニックなどがほとんどだったはずだ。ここ二ヶ月で散々頑張ったおかげで、ここへ来て大きく時間が空くのは実に嬉しい誤算だな。

 とりあえずこのまま人目に付くところを避けて、部屋へと戻る。今日は対抗戦が中止になったと言うこともあるんだ、きっと不機嫌な女子も多いだろう。出来る限り人気のなさそうなところを通るよう気を付けて帰るとしよう。

 何をするか考えるのは、部屋に着いてからでも良いか。

 ――が、その道すがら、俺は突然ある人達に声を掛けられることになった。

 

「ちょっといいかな。君が結城灰人君かね?」

 

 とっさに意識を切り替えてそちらを見ると、欧米系の顔立ちをした四十代の男性がにこやかに笑みを浮かべていた。周囲には数人のボディーガードが一緒に立っており、胸元に付けられているバッジには紅白の横縞に数十の星が刻まれている。……USAか。

 その顔は見たことがないし、多分、対抗戦を見に来ていた来賓の一人なのだろう。

 

「そうですけど」

 

 ここで無視すると後に何を言われるか分からないので、警戒ながらとりあえず返事をする。何しろ相手は世界最大の国家。いくらIS学園が外部からの干渉を受けないと言っても、限度はある。

 しかしそんなことよりも、相手の真意が分からない以上個人の警戒くらいはしておこう。

 念のためにISの起動準備をして、シールドも張っておいて、っと。

 そんな俺の思考が表に現れていたのか、目の前の男性は自身の無害さをアピールするためにあくまで軽い雰囲気でこちらに接しようとしてきた。

 

「やあ、そんなに身構えなくてもいいだろうに。私はボブ・ジョーンズ。アメリカの、まあ、お役人とでも思ってくれればいい」

「……そんな人が俺に何の用です。後ろの他国の方々達が随分とこっちを睨んでますが、抜け駆けして声を掛けてきて良かったんですか?見たところ、互いに牽制し合ってたみたいですけど」

 

 丁度その辺りは来賓のたまり場になっていたのだろう。

 近くにいた他の国家のバッジを付けた来賓方は揃ってこちらを恨めしそうに見ている。と言ってもその視線は一部を除いてほぼアメリカに向いているので、俺としてはどうでも良いのだが。

 ちなみに俺に目を向けているのは中国に日本で、どちらも好意的な視線ではない。

 まず中国は十中八九、鳳の専用機を大破させたからだろう。日本は……ただ単に、母国の勧誘に乗ろうとしてこなかったからだろうな。

 

「ははっ。それは良くなかったかもしれないが、このまま互いに牽制しただけで、君と話せないのももったいないからね。この隙にと、お先に話しかけさせて貰ったのさ。とりあえず、そっちに座って話だけでも聞いてくれないかな」

 

 彼は近くの空いている座席を手で指し示す。……長話になるとしたら、面倒そうだな。

 そう思ってあからさまに嫌そうな表情を浮かべると、彼は飄々としながら首を横に振った。

 

「別に強制的な勧誘なんかはしないさ。ただちょっと、僕は――君の両親、特に父親と知り合いでね。あの二人の息子に興味が有ったのさ」

「……父さんの、ですか?」

「うん」

 

 父親の知り合い、ね。それがあくまで本当の事かは分からないが、さすがに肉親のことを出されるとなると、断りにくくなってくる。……面倒だな。

 とりあえず俺はあくまで仕方なさそうにしながら、彼の勧めたとおり近くの座席へと腰掛けた。彼はその対面に座る。

 

「ISを動かしたのが“漆黒(ダークネス)”の息子ともなると、意外と注目されるものでね。意外な人数が君に注目していると思ってくれていいんじゃないかな」

 

 “漆黒(ダークネス)”……それは俺の父親を示す異名だ。

 ブリュンヒルデやらヴァルキリーやらの二つ名が普通に売れているのだから、別にそんな名前くらい横行していたって不思議ではない。一応父さんはそう表に出ることはないが世界規模で動いているから、名前だって巷では有名だったはずだ。そのせいか、日本じゃ女尊男卑の雑誌などで叩かれている記事も良く見かける。

 とある女性専門誌曰く、『祖国を裏切った塵芥の輩』だとか。最も、当人も『こんな上から下まで腐った国に付き合う必要はあるのか?』なんて食事中に話してるからどうしようもない。

 話が逸れたが、そんな父とアメリカ政府の一役人が知り合いねぇ……。割と有り得なくもなさそうな話だから困る。

 俺の心境も知らぬまま、目の前の男性はそのまま笑顔を絶やさないで話しかけてきた。

 

「実は今回こちらに来たのも君が目当てなんだ。あの彼のご子息がどんな物か、実際に見てみたくてね」

「そんな有名なんですかね、そっちでは」

「まあね。世界経済の中心である以上、彼はこちらに顔を見せるんでね。当時二十歳に満たない彼がいきなりアジア圏から入ってきてトップの業績を叩き出したとなれば、誰だって有名になったりするさ。それに加えて彼とその奥さんは美形だし、武勇伝だって数え切れないからねぇ。こないだは銀行強盗の鎮圧なんかをしていたらしいし、メディアなんかが取り上げないわけがないだろう?」

「……そうですか」

 

 ……ホント何をやっているんだろう、あの二人は。

 よく見た顔が銃を持った覆面相手に戦っている光景を頭に思い浮かべ、俺はついつい額を手で押さえてしまう。割とあの二人は戦闘力が高いからなぁ。今更拳銃くらいで怯むとは思えないし、多分今の話は本当の事なのだろう。

 

「まあ、あの二人の話は置いておくとして、今は君が本題だよ。実に残念だ、あの謎の襲撃者のお陰で何も見られなくなったのだからねぇ?かわりに、最近の(・・・)君の活躍の話でも聞かせてくれないかな」

 

 彼は表面上残念そうに組んだ手の上に顎を乗せながら、一部に含みを持たせつつ、そう呟いた。俺の活躍を知りたい、それも最近のものを……なるほどね。

 

 

 ――今回の『俺と襲撃者との交戦』なんて情報、いつの間に手に入れたんだか。

 

 

 最近の活躍なんて限定してくれたからには、相手側が聞きたいのはこの話なんだろう。相手の方としては俺が交戦したという言質を掴めれば、IS学園に対して“世界に二人だけの男性IS操縦者を危険にさらした”という強力なカードが手に入る。加えて、戦った相手の装備や世代なども漏らしてもらえば本国開発者のアイデアにも役に立つ。

 ……これだからお偉方の話は嫌なんだ。

 いくら何でも煽てられたからって、そう簡単に敵ISの情報を漏らすわけがないことぐらい分かるだろうに。

 そう思った俺は最後の言葉をまるっきり聞かなかった事にして、先の問いかけに対してのみ答えることにした。

 

「文句は世界のどこかにいる襲撃者にでも言って下さい。俺の知った事じゃないですし。そもそも襲撃者が無くても俺はクラス代表ではありませんからどうしようもないでしょうに」

「っ……、うん、確かにそうだったね。コレは失礼だったな」

「いえ別に」

 

 そう済ました顔で答えると、相手はたかが一学生に舐められたとでも思ったのか、少しばかり余裕だった表情が崩れ始めた。

 

「ははは、実に手厳しいね。――流石にそう簡単に話してくれるわけはないか」

「もちろん。にしても、ホント話の早いことで。ついさっきの事でしょうに。そちらの国の代表候補生にでも話を聞きましたか?」

「さてね。ただ、噂話を手に入れることくらいなら手慣れた物だからね。偶然耳に入ったのを確かめてみようと思っただけさ」

「へぇ。んで、それだけなら俺はもう帰りますが。どうやら本当は知り合いじゃないみたいですし。大方これくらいで表情を歪ませたりするようなつまらない性格じゃ、アンタから一方的に知ってるってだけなんでしょう?」

 

 たまに見たことある父さんの知り合いは誰もが一癖あるような人ばかりだ。

 しょうもない言葉で引っかけようとしたり、目下に舐められたと勝手に勘違いして表情の仮面を外しかけたりする――そんな目の前の人物がそこに当てはまるとは、到底思えなかった。

 

「シット、その観察眼も親譲りかい。……ま、騙したのは悪かったと素直に謝っておくよ。けど君の実力を知りたかったっていうのは本当さ」

「今それをいっても白々しいとか言い訳がましいとしか思われませんよ」

「謝っただけマシだろう。……さて、それは置いておくとして、ついでとばかりに聞かせて貰えないかな。コレは別に勧誘ではないんだが――今の君は、本当に、どこかの国家に所属する気はないのかな」

 

 ……それが本題か。

 

「それをさっさと聞いてくれればこんなに時間を無駄にせずに済んだんですけど」

 

 軽く睨みつけた俺に、相手はいやいやと手を振る。

 

「こっちはあくまで興味本位の副題さ。他の国だって気になってるだろうし、聞いておいた方が良いと思ってね。どうして大国に所属しないのか、後ろ盾を作らないのか。その重要性くらい分からない君じゃないだろう」

「まあ、そうですけど」

「なら尚更だよ。なんでわざわざ茨の道を選ぼうとするのかな」

「別に、アンタラがその理由を知ったところでどうしようも無いと思いますよ。それでも理由を聞きたいんですか?」

「ああ」

 

 俺が更に半眼になってもなお、相手は是非と身を乗り出してきた。

 

「じゃ答えますけどね――今の俺には、実験材料としての価値しか有りません。それが第一の理由かな」

 

 そう、俺は織斑とは違い実力を公にしたことはない。アイツがイギリス代表候補生相手に善戦したのは周知の事実だし、この様子では中国との共同無人機撃破も知られているだろう。しかし俺は、そんな実績は表面上一つもない。

 鳳を倒したのも襲撃者の撃破も、知る者が限られた機密情報だ。

 つまり各国の上層部以下には未だ、実験材料としての価値しかない。

 

「一個人の努力を評価してくれるわけがない、そんな所に行かないのは誰だってそうでしょう?」

「そうかい。まあ、それは当たり前だね」

 

 ついでに、ここらでさっきの意趣返しでもしておこう。これが俺の悪いクセなのだろうが、直す気は更々無い。

 俺はニヤリと口の端を歪ませると、周囲各国にまで聞こえるような声で、ハッキリと言い放った。

 

「それ以前に俺はアメリカみたいな大国に興味はないんでね」

「……つまり?」

「米英露仏中、どこをとっても今すぐに戦争をやらかしそうな所に行くほど馬鹿じゃないつもりだってことですよ。もちろん、日本にもね。――少なくとも、威力を知りたかったくらいで原爆落とすような精神の国家には所属しないでしょうね。それにこの情報社会において訳の分からない情報に踊らされてどこぞの国に攻め込もうとするとか、そんなまともな判断も出来ない国家になんて、常識のある人なら一体誰が所属するんでしょうね」

 

 そこまで言い切ると、いつの間にか目の前のお偉いさんは笑みをそのままにしながらも、額に十時の血管を浮かび上がらせて手を強く握りしめていた。

 流石にたかが一学生に祖国を侮辱されてはとうとう我慢も限界、か。こいつの底の浅さも知れた物だ。安物の仮面が剥がれてボロが出てきている。

 そんな彼はあくまでその苛立ちを隠そうとしながら話し出す。

 

「……うん、君の言い分は分かったよ。けど、これだけは言わせて貰うね。じゃないと後で上にとやかく言われそうだから……とにもかくにも、何時だってUSAは君のことを歓迎するってことは伝えておこう。それじゃあまた、今度は学年別トーナメントの時に会えたら嬉しいね」

「相手の父親と知り合いなんて嘘をつくアホとは二度と会いたくないですよ。少なくとも父さんの周囲には色んな意味で別格な人間ばっかりで、アンタみたいな小物は居ないんで」

 

 そこで相手に取って会話は丁度終わりになったらしい。

 彼は別れの挨拶も無しに、勢いよく席を立ったかと思うと早足でどこかへと立ち去ってしまった。消えていくその背中には、あからさまに不機嫌そうな気分が丸出しになっていた。

 

「――ちっ、イエローモンキーが」

 

 しかも最後にはご丁寧に、聞こえないような小さな声で捨てゼリフまで吐いていった。最もこっちはハイパーセンサを起動していたので丸聞こえだったのだが。……なんというか、徹底的に小物に徹してるって感じだな。

 ちょっと適当に悪口を言えばキレるなんてテンプレ過ぎる。まさかここで面倒事を起こさせて厄介な職員の首を切る大義名分にするなんて思惑があったんじゃないかと思うくらいだ。

 

 ……まあいいか。俺も随分と無駄な時間を取られたんだ、さっさと帰るとしよう。

 しかしそこで早速、今まで見ているだけだった各国が一斉に声を掛けてきた。五大国+日本、ドイツにイタリアなどと言ったほとんどの国が俺の周囲を取り囲む。

 

「あ、ちょっと失礼。少しばかり我々と話す時間を取って貰えるだろうか」

「いやこちらと是非話して貰えないだろうか。きっと互いに取って有意義になるはずで――」

「あんな小国と時間を取るより、こちらこそ君と先を考えていくのにふさわしく――」

 

 どうやら、昨今の各国のお偉いさん方は本当に耳が遠いようだ。今のところ特定の国家に所属する気は無いんだっての。

 きっと政治上の馬鹿馬鹿しい足の引き摺りあいで神経がやられているんだろう。残りの人生は他人に悪影響を与えないように田舎にでも引き籠もってればいいのに。

 

 

 俺はそんな事を思いつつ、彼らの様子を見ながら再度溜息を吐いたのだった。

 

 

 




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