ソードアート・オンライン《贖罪》 β版   作:th重治

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俺とユキははじまりの街にいた。

「さっきの……GM、いや茅場の言ってた事は何なんだよ……」

驚愕と疑問、そして絶望の入り混じった問い掛けに、どこか怯えたような少女の声が答える。

「本当にログアウトボタンが無い……という事は本当に命に関わるかどうかは調べられないから分からないけどここから出るには最上階にたどり着かなきゃ行けないのは確かだね……」

広場ではまだ騒動が収まってなく、大勢の人々が抗議や文句、疑問の言葉を虚空へ繰り出している。

その時、ユキは突然さっきまでの怯えた声が嘘のように力強く顔を上げた。

「……もし、これが茅場さんの言うようなデスゲームなのだとしたら、こんな所で油を売っている場合じゃないよ」

突然力強く言い切ったユキ。しかし、言いたいことは俺でも分かった。ユキは戦いたいんだ、この世界で。

「なら戦うしか無いな、ただユキは慣れてるから大丈夫として出来れば俺も感覚を掴むまでゆっくりしたいなーと思うのだが……」

その言葉は途中で掻き消された。広場から数人の男達が全速力で俺達の方向へ、つまり街の外へ向かって走ってきたからだ。急いで男達を避けた時ユキはまたさっきの強い口調で叫んだ。

「まずい!もう数人は気付いたんだ……時間無いからさっさと行くよ優ちゃん!」

因みに優ちゃんとは俺の事である。本名安田優樹、ただ今は一応指摘しておかなければならない所があった。

「おい、ゲームの中の俺は優樹じゃなくてhitだぞ。本名はまずいし……」

「あぁそうだった!じゃヒッ君、早く行くからついて来て!」

言い終えた途端ユキもさっきの男達を追うように街の外、茅場の言葉を信じるならまさしく命を賭けた戦場である圏外へと走り出した。慌てて後を追う俺はユキに違和感を感じていた。ネット人格という物は広く知られているがユキのそれは今のような極限状態でもあんな、現実では五年程見られていないであろう笑顔になれるのかと。

(……明日は雨が降るんだなきっと……)

俺はユキに追い付くために全力疾走しながら、違和感を払うようにくだらない事を考え、戦場へと飛び出した。

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