「ここが二層かー!一層と雰囲気も違うね!」
隣で少し小柄な体とそれに似合わぬ大きめの片手剣を担いだ少女が新しい拠点に感嘆している。ここはアインクラッド第二層。悪魔のゲームが始まってからちょうど四週間となる十二月四日、遂に一層のボスを倒した攻略組プレイヤー達のおかげで俺達のような攻略不参加組も二層へ辿り着けた。
俺とユキは二層から攻略参加を目標としているため、一層のボス戦の話を聞くために転移門の前で待ち続け、比較的早めに二層へ入る事が出来た。
「ボス戦の話を聞くにはやっぱり攻略組の人を探さないとなぁ……」
「あ!あの人は攻略組だったから聞くなら今だよヒッ君!」
隣の少女、ユキが指を指す先にはツンツン頭の関西弁の男が立っていた。ユキに言われるままに俺は近づいて声をかけることにした。
「すいません、もしかしてあなた攻略組の方じゃないですか?」
俺は出来るだけ下からの態度で声を掛ける。
「あんさん誰や」
「二層から攻略組志望のヒットという者です。実際のボス戦がどんな物だったかの生の声が聞きたくて、出来ればディアベルさんの場所を知っていれば教えて欲しいかなと」
しまった、関西弁に気圧されてディアベルへの取り次ぎをお願いしてしまっ……
「ディアベルはんは死んだんや!」
あまりの迫力に俺は思わず後ずさる。そしてツンツン頭の発した言葉の意味を理解するにつれ、さっきとはまた違う恐怖を感じていく。
「え……そんな……だってさっきまであんなに元気で四十何人のプレイヤーをまとめて攻略組の隊長までしてたのに……」
「……ジブン、ディアベルはんのフレか?」
俺は俯いたまま無言で頷く。
「そんならフレリス見てみぃ」
俺は言われるままにメニューを呼び出しフレンドリストを見る。そこには今朝と変わらずユキ、アルゴ、そしてディアベルの名前がある。しかし唯一違う事はディアベルの名前だけ薄灰色になり、選択出来なくなっている事だ。
「分かったか。じゃあわいは行くわ」
ツンツン頭は苛々とした様子で地面に短く唾を吐きスタスタと去って行く。
「…………まて……」
「もうわいがあんさんに教えるもんは無い」
「待てっつってんだよツンツンがぁ!!!」
あまりの声量に周りに居た他のプレイヤー達が無口になり離れていく。
「教えろ……ディアベルが死んだボス戦の事を全て完全に包み隠さず!!!」
ツンツン頭の男は一瞬怒鳴ろうとしたようだがそれを抑えた。
「……一度しか言わん。しっかり聞ぃとけ」
そして俺はツンツン頭、キバオウからボスの事やそいつの使う未知の剣技の事、そしてビーターという黒衣の剣士の事を全て聞いた。