ノーカラテ・ノーニンジャ   作:酢豆腐

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ニンジャスレイヤーの二次創作です。一番好きなニンジャはソニックブーム=サンで一番好きなヤクザはアベ=サンです。

なお猥褻は一切ない。


ソニックブーム=サン改善計画

「ザッケンナコラー!居るのはワカッテンコラー!スッゾオラー?」

 

ヤクザバウンサーのフマトニの強烈な前蹴りで、トンカツ・スシ店舗「大きい満足」のシャッターが激しく波打つ。

 

時間といえば草木も眠る丑三つ時。この深夜取り立て行為は債務者に精神的プレッシャーをかけるための巧妙なヤクザ・テクニックだ!コワイ!

 

通用口から寝ぼけ眼の店主がまろびでる!

 

「アイエエエエエ!?フマトニ=サン!?返済期限は三日後の筈では...」

 

「スッゾコラドグサレガッコラー!」

 

「アイエエエエエ!?」

 

店主は土下座しながら失禁!フマトニは無慈悲にも、ワインレッドのヤクザシューズを履いた足で店主の頭を踏みにじる!何たる非道!

 

「テメェみてぇな重債務者はなぁ...いつ夜逃げするかも分からねぇから、搾れるときに搾っとくんだよ!分かったら万札出せオラー!」

 

「アイエエエエエ!?」

 

 

 

 

 

数十分後、フマトニはベンツ型ヤクザモービルの中で先程回収したばかりの万札とクレジット素子を弄びながら、事務所のグレーターヤクザに通信をいれていた。

 

「ドーモ、フマトニです。」

 

「どうだフマトニ=サン!上手くやれたか?」

 

「えぇ。案の定夜逃げの準備をしてやがったので、現金とクレジット素子根こそぎにしてやりましたよ。」

 

事務所に詰めているグレーターヤクザは上機嫌な声でフマトニを労った。

 

フマトニはヤクザ歴6年目の、レッサーとグレーターヤクザの中間に位置する若手ヤクザホープだ。

 

債務者の追い込み、そして暴力的なヤクザカラテ。この二つはフマトニが殊に得意とするものだった。

 

新興組織ソウカイヤといち早く提携したヤバレカバレクランは、その勢いに任せて勢力拡大を行い、各所で抗争を繰り広げている。

 

その為、フマトニもスラックスにはドスダガーを吊し、大口径オートマチックヤクザガンを一挺、ヤクザスーツの内側のホルスターに吊している。更に代えの弾倉もたっぷりと持ち歩いている。

 

カラテと用心で、既に二度の襲撃や突発的小競り合いを凌いでいた。

 

実際LAN直結型ではないものの、枯れた技術の集大成とでもいうべきAY50シリーズの大口径ヤクザガンの重みをフマトニは頼もしく感じた。

 

今日の仕事はこの万札と素子を事務所の金庫に放り込んで、報告して終いだ。今日は新たに拡大した領土に、ミカジメの徴収と威圧感アッピールを行ったので疲れているのだ。早く事務所の仮眠室の安らぎフートンにくるまりたい。

 

モービルを運転しながら、フマトニは欠伸を噛み殺す代わりにZBRガムを噛み締めた。

 

ヤクザモービルを飛ばし、事務所へ向かえばいつも通りにクローンヤクザの見張りが立っている。

 

「ドーモ、フマトニ=サンお疲れ様です。」

 

「ドーモ。」

 

律儀に会釈を返し、事務所の階段を昇る。

 

もう早朝ともいうべき時間なので、クローンヤクザの他には即応要員と夜間責任者であるグレーターヤクザのモチダぐらいしか起きている者はいない。

 

「ドーモ、モチダ=サン。只今帰りました。」

 

「フマトニ=サン!ご苦労だったな。まぁコブ茶でも飲んでリラックスしろ!」

 

モチダは大柄な身体を窮屈そうにストライプのヤクザスーツに詰めた、強面の中年だ。刀傷や銃創が彼のソンケイを一層強める、そんな男だ。

 

 

「今回も中々の成果だな。フマトニ=サン。」

 

「ありがとうございます。」

 

「後、二三度カチコミに参加して、も少しソンケイを積めばお前もグレーターとして認められるかもな!オヤブンもお前には目をかけてらっしゃる!」

 

「ハイ!」

 

(グレーターヤクザ?確かに、ソンケイとカラテを積むべく他の奴が嫌がるような殺人クエスト・テッカバレイド・鉄砲玉。何でもやってきた。最早アバラなどは殆どクローム置換してある。恐らく、今の俺は本来とは違う未来を歩んでいるんだろう。

 

だが、俺が生き延びる為には仕方ない。ニンジャスレイヤー=サンと闘って生き延びる為には!)

 

おお、ゴウランガ!フマトニは何を知っているというのだろうか!?

 

それはある日の事だった。フマトニのニューロンに恐るべき死のイメージが飛来したのだ。

 

凄まじいカラテ戦闘の記憶と待ち受ける未来が、ある種の集合知と共にフマトニにディセンションした。集合知はオタクと名乗り、カラテあるのみとのコトダマを残した。

 

時折気まぐれめいてコトダマを残す以外、オタクは何も応えなかった。だが、何としてもソニックブーム改善計画を達成しなくてはならない。

 

さもなければ、待つのは死あるのみ!

 

「何にしろ今日は休め!いつ敵対クランの襲撃が有るかも分からんからな!休むのも仕事の内だ。」

 

「ハイヨロコンデー!」

 

フマトニは事務所内に小さいながらも、自分のスペースをもらっている。

そこにはベッドと衣装掛け、そしてバイオバンブーで補強された木人が置いてある。凡そ畳で7枚程度の広さだが、ここはフマトニの城だった。

 

ヤクザジャケットを掛け、シャツとスラックスを脱ぐ。

 

フンドシ一丁になったフマトニは、木人を前にカラテを構えた。

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」

 

三連掌打!掌底が捩じ込まれ、木人が軋みをあげる。木人が動くことで向かってくるバンブー強化された棒をも掌打で捌く!

 

殺人的なコッポ掌打だ。実際、週に一度はシンジュクの殺人コッポドージョーに通って修練を積んでいる。

 

「イヤーッ!ダッテメッコラー!イヤーッ!イヤーッ!ドグサレガッコラー!ワドルナッケングラー!」

 

分厚いコンクリート部屋な為、腹の底からヤクザスラングを響かせても何の問題も無い。

 

全身にみなぎるカラテを木人に全てぶつけてしまうまで、眠れそうにはなかった。

 

朝日が激しくカラテするフマトニの影を照らし出していた。


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