ノーカラテ・ノーニンジャ   作:酢豆腐

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コード・オブ・コンダクト#2

「やれるか?フマトニ=サン。」

 

「勿論です、ボス。任せて下さい。」

 

キング・オブ・ゴリラヤクザクランの本拠地事務所を前に、のっぴきならない作戦会議をしているヤクザ達が居る。

 

先ほど発言した2人、片や危険極まりないヤバレカバレヤクザクランのオヤブンであり、片や熟練武闘派尖兵ヤクザのフマトニだ。背後には彼の率いるヤクザアサルト分隊が傾注姿勢で控えている。

 

「お前ら、聞いての通りだ。タフなビズになるだろうが覚悟は出来てるな?」

 

「「「「「ハイ!」」」」」

 

「イサオシ、クランの名誉、そしてソンケイだ。お前らの積んできたソンケイを見せろ!」

時刻は0530、払暁戦から始まった抗争は敵対クランホンマルの攻囲戦で終わりを告げようとしている。

 

これから、フマトニ率いるヤクザアサルト分隊は正面から攻勢をかける。その間にオムラからソウカイヤを通じて供与された大型ヘリから、本命の精鋭ヤクザ部隊が降下強襲する手筈になっている。

 

 

「スッゾスッゾスッゾスッゾスッゾコラー!」

 

フマトニのマントラめいたヤクザスラングと共に、ヤクザアサルト分隊が突入を開始!

 

先頭は防弾シールドヤクザとフマトニだ。

 

「ヤバレカバレクランテメッコラ...アバーッ!?」

「タマトッタルゾコラー!」

 

BRATATATATA!

 

49口径重金属弾頭弾がフルオートで20発ばらまかれる。即座にリロードし、弾幕を形成する。

 

2階エントランスホール突入までにアンブッシュを仕掛けてきたテッポウダマを、既に5人以上は殺害していた。

 

フマトニの獣めいたヤクザ直感力、ヤクザガン弾幕、防弾シールドの効果が最大限かつ複合的に発揮された結果だった。

 

しかし、フマトニ率いるヤクザアサルト分隊の快進撃もエントランスまでだった!

 

ナムサン!鉄条網と土嚢で要塞化した通路より、キング・オブ・ゴリラヤクザクランの兵隊ヤクザがショックブラスターを用いた砲撃を繰り返してきたのだ!

 

運の悪い防弾シールドヤクザがネギトロめいた死体と化す!咄嗟の判断でエントランス受付カウンターに身を隠すヤクザアサルト分隊。

 

しかし砲撃は続く、このままではジリー・プアーだ!(注:徐々に不利のこと)

 

「ガハハハハ!ヤバレカバレクランナニスルモノゾッコラー!」

 

KABOOM!KABOOM!

 

このままではカウンターも削りとられ、分隊壊滅で全員がネギトロだ。おお、ブッダ!救いは無いのですか!?

 

実際、精鋭ヤクザ部隊がラベリング降下を行った上層階も激戦が繰り広げられており、救援可能性は低い。後続とて、唯一無傷だったのがフマトニ率いる分隊だったからこその正面攻勢指示であり、救援可能性は低い。

 

「カネコ=サン、お前俺についてこい。」

 

ソードオフショットガンヤクザは、ティアドロップ型サイバーサングラスを押し上げ不敵に笑う。

 

「ハイヨロコンデー!」

 

「シノダとヤマはチャカで援護しろ。俺らが隙を作るから、ミノモ=サンはタイミング見てそいつら連れて突っ込んでこい。」

 

「ヨロコンデー!」

 

決断的にカウンター陰から飛び出すフマトニ達!

 

「ダッテメッコラー!ヤバレカバレだオラー!」

 

BRAMN!BRAMN!BRATATATATATA!

 

チャカと大口径ヤクザガンの銃火に、一瞬相手が怯む。

 

フマトニと並走するカネコが、切り詰められたショットガンをぶっぱなしまくる。

 

「ウオオオオオオオオッ!タマトッタルゾー!」「ヤバレカバレクランコラー...アバーッ!?」「テメッコラ...アババーッ!?」「テメッコラ...テメッユルサネッゾコラー!」

 

ナムサン!敵の砲撃ヤクザの反撃だ!出力を一点に集中させた、恐るべき威力の空気砲がカネコに迫る。これはオタッシャ重点か!?カネコはネギトロにされてしまうのか!?

 

「シャッコラー!」

 

BRATATATATATA!

 

ウカツ!身体を晒していた敵の砲撃ヤクザは重金属弾頭弾を複数被弾し、ビクビクと奇妙なダンスを踊る。

 

銃撃の主がそのままの飛び込みタックルめいた勢いでカネコを吹き飛ばす!

 

「タマトッタレコラー!行けぇ!」「グワーッ!」

 

おお、ゴウランガ!恐るべき威力の空気砲撃を前に、フマトニが前蹴りでカネコを吹き飛ばしたのだ。当然フマトニは正面から被弾!ズタボロにされ吹き飛び、崩れ落ちる!

 

「アババババババーッッッ!?」

 

「アニキ!?」「アニキ!?」

 

フマトニの示したソンケイ、そのあまりの凄味にレッサーヤクザが動揺する。しかし迫る張り手!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」

 

ショットガンヤクザのミノモが、ショットガンを乱射しながら要塞線に迫る!レッサーヤクザの2人もチャカ連射だ!すかさずカネコも伏射を続ける!

 

「スッゾコラー!」「スッゾ!」「ワドルナッケングラー!」「タマトッタルゾー!」「アバッ!?」「アバーッ!?」「アバッアバーッ!?」

 

瞬く間に首無し死体やら何やらが量産される!ニチロ・ウォーのリヨジューン攻略戦めいてアビ・インフェルノだ!

 

かくしてヤクザアサルト分隊は要塞線の突破に成功した。

 

おお、だが我らのフマトニは力無く横たわったままだ!ナムサン!このまま、彼の物語は終わってしまうのか!?

 

その時!フマトニのニューロンに飛来する声在り!

 

((ドーモ、フマトニ=サン。カゼ・ニンジャです。))

 

(ウオオオオオオッ!死にたくねえ!死にたくねえ!)

 

フマトニの体感時間が極限まで引き延ばされ、痛みが遠ざかる。ズタボロの肉体に見合わぬ冷静な状況判断力がフマトニの下へと帰ってくる。

 

((スイギョマツ、フウライマツ、ウンライマツ!死にたくないとあれば正にワタリ・シップよの。オヌシは今から半神的ニンジャ戦士存在へと生まれ変わるのだから!水の行く末、雲の行く末、風の行く末は誰にもわからぬ。そしてオヌシの行く末もまた然り。オヌシの行く末を決められるのはただオヌシ自身のみ!そのエゴを貫き通せるだけのカラテをオヌシにくれてやろう。))

 

(カゼ・ニンジャ=サン...?ニンジャ...ニンジャナンデ?)

 

((そうだ!今日からはオヌシがカゼ・ニンジャクラン統領であり、ワシと同一の存在になるのだ!よいか。ひたすらソニックカラテとジェットカラテを磨くのだ。そしてどうか、どうかもう一度クランを再興してもらいたい。ああ、口惜しや。ジツ頼りのサンシタにまでソニックカラテが侮られる!ワシがもうしばらく生きておったなら!フマトニ=サン、いや、今日からオヌシはソニックブーム=サンだ!ソニックブーム=サン!オヌシは生きろ!生きてエゴを貫き通すのだ!美味い飯を食うでも、オイラン遊びがしたいでも良いのだ!エゴ、カラテ、そしてフーリンカザンだ!フウライマツを忘れるな!けして誰かに自分自身の主体者たる権利を譲り渡すでないぞ!))

 

カゼ・ニンジャの力強い声がニューロンに響き渡る!ゴウランガ!カゼ・ニンジャ!本来であれば、フマトニ=ソニックブームに宿るニンジャソウルはカゼニンジャクランのグレーターニンジャ位階のものであるはずだった。だがしかし、フマトニの貪欲に鍛え上げたヤクザカラテ、ソンケイ、そしていつぞやの未来予知めいた集合知がカゼ・ニンジャその人のソウルを呼び寄せたのである!骨のある貪欲さ!ゴウランガ!おお、ゴウランガ!

 

ソニックブームは、まるで頼りになる戦友が肩を貸して起き上がらせてくれたような、そのような感覚を味わった。

 

「ウオオオオオオオッ!スッゾコラドグサレガッコラー!」

 

決断的に跳ね起きるソニックブーム!おお、その衣装は!?ワインレッド生地のヤクザシャツめいた金糸のニンジャ装束に白いスラックス装束、強風のカンジが彫られたメンポ、そしてワインレッドのヤクザシューズである!しかしどれもカラテが満ち満ちており、オムラ製パワードスーツよりも実際堅牢だ!

 

全身から危険で、そして自由な逆巻く風めいたカラテが迸る。そして一瞬で色つきの風となったソニックブームは、先に上層階へ向かわせたヤクザアサルト分隊員達を追って、上層階へと移動するのだった。


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