成績優秀、スポーツ万能。
芸術的センスにも恵まれ、友人多数。
おまけに端正な顔立ち(笑)が近所で噂の美少女。
それが俺、神崎 真(かんざき しん)の姉である。
姉貴はびっくりするくらい完璧な人間だ。
……たった1つの欠点を除けば。
拙い文ですが、ネタ要素多めにお送りします!是非お楽しみ下さいませ。
「真くーんっ!起きてーっ!」
小さな自室に姉貴の声が響く。
しまった!!まさか寝坊した?!
慌てた俺は飛び起きて机上の目覚まし時計をひったくった。
液晶画面に映った時刻はまさかの午前04時26分。
「ふ……」
「ふ?」
「ふざけんなよ姉貴ぃぃぃい!!イッツ日曜日!!
俺の唯一の憩いSundayだよ!?」
睡眠時間を奪われた俺の怒りは爆発した。
それはもう爆発し過ぎて地球が真っ二つn……
「なぁに真、忘れたの?約束したじゃない。」
「へ?約束?」
お姉様ごめんなさい思い当たりないです。
「今日は一緒に港に行くって!」
「えっ、港?……あっ。」
俺の脳内を昨日の記憶が駆け巡った。
中々寝かせてくれなかった姉貴が黙る代わりに取り付けてき(やがっ)た約束。
「明日一緒に港に行って欲しいの!」
とにかく寝たかった俺は二つ返事で承諾。今に至る……。
「あぁー……昨日の俺の阿呆……。」
「早く着替えてね♡」
「はぁ……。解りました……。」
着替え終わると姉貴はにこっと微笑んだ。
「じゃあ、行こっか!」
「へいへい……。」
港に向かうべくバスに乗る。
只今05時10分。バスの中はガラッとしていて静かだ。
俺はずっときになっていた疑問をぶつけた。
「んで……姉貴は何でまた港なんかに?」
答えは意外なものだった。
「……恋、なのかな。彼に会いたいの。」
姉貴は、自分がハイスペック過ぎるが故に恋をしたことがなかった。
つまり今から会うのであろうそいつが姉貴の初恋相手というわけだ。
唐突に興味が湧く。一体どんだけハイスペックなんだろうか……。
誰?どんな奴だよ……そう訊こうとしたその時にはもう、バスは目的地に着いていた。
「行こっ!」
嬉しそうに頬を上気させる姉貴は、いつもよりほんの少しだけ輝いて見えた。
港に着くとたちまち姉貴が小走りに走り出した。
「あ、おーい!真じゃねーか!」
追いかけようとしたその時、誰かに呼ばれる声がして立ち止まる。
同級生の恭だった。
「あ、そうか。お前んちの親父、漁師だっけ。」
「おうよ!んで今日来てんのはお前だけか?」
「いや姉貴が……とりあえずそのでけぇ魚置けよ。」
何故かずっと恭が抱えていた、やたらでかい魚を父親の所に持っていく。
魚がずらりと並ぶその前に、姉貴はいた。
「お、五十鈴さん!今日も来てたんすねー!」
五十鈴さん……?今日も……?!
「あ、うん!恭君、おはよー♡」
恭君……?てか仲良さげ……?!
俺の頭がフル回転する。
「姉貴、ちょっと良いかな。」
「えー?なになにー?」
恭と少し距離を取って話を切り出した。
「え、あれなの?!好きな人って彼奴なの?!」
姉貴はきょとんとして、しかしはっきり答えた。
「そうよ?」
「あー……やめとけやめとけ。彼奴、ろくな奴じゃねぇから。」
「真君?聞こえてるよ♡」
恭に聞こえないようにディスっていたつもりが、残念。聞こえていたようだ。
この地獄耳が……。
「ろくな奴じゃないとか、真は酷いなぁ。
そんなことないの。良い所沢山あるんだから。」
「例えば?」と訊ねると、姉貴は頬を赤らめた。
「そうねぇ。吸い込まれそうな瞳……
包容力を感じる雰囲気……
黒光りする大きな身体……かしらね……。」
「最後のやつなんだ。」
なんだか嫌な予感……そして的中。
「一番はやっぱりチャーミングな尾びれね……♡」
「えっ?!はぁぁあっ?!」
神崎 五十鈴。
成績優秀、スポーツ万能。
芸術的センスにも恵まれ、友人多数。
おまけに端正な顔立ち(笑)が近所で噂の美少女。
そんな姉貴のたった1つの欠点は人を好きになれないこと。
ハイスペックな俺の姉貴の初恋相手は魚でした。