~平和な海をみらいと共に~艦隊これくしょん   作:黒天狐

4 / 4
4隻目 横須賀入港

意識が覚醒すると私は甲板に仰向けで倒れていた

 

青空が見える

 

どうやら私は長い間意識をうしなっていたらしい

 

しかしCICにいたはずなのになぜ甲板に?

 

私はゆっくりと起き上がる

 

頭が痛い

 

そうだ、あの艦隊は―

 

記憶が蘇る

 

そうだ 私は

 

あの 艦隊を

 

あの力を

 

「あ、あぁ…」

 

頭を抱える

 

そして叫んだ

 

「嫌ぁあああああああああああああああああっ!」

 

絶叫が大海原に木霊した

 

-------------------------------------------------

 

数時間がたち、私はよろよろと立ち上がった

 

ふらふらとおぼつかない足取りでCICへ向かう

 

頭が痛い

 

それでも、私は向かう

 

ここが元の世界だと

 

私達の故郷と信じて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―みらい艦内CIC―

私がCICに来ると妖精達が全管理をしてくれていた

一人の妖精の話では

私はあの戦闘後、CICを後にしたらしく甲板にたどりつくと倒れてしまい、なにをしてもおきなかったらしい

あの戦闘から3日

操鑑は妖精たちがしてくれたらしく、もうまもなくで横須賀に入港となる

 

はたして、その横須賀は私達の故郷の横須賀なのだろうか…

 

もし神様がいるのなら、悪魔でもなんでもいい

「帰して…」

 

最後の希望は悪夢の始まりか

神の祝福か

 

 

 

------------------------------------------

某所 海軍司令部会議室

 

「2日前、哨戒艦隊が発見したというイージス艦の艦影をした艦について新たな情報が入りました、その艦の艦影はかつて国連軍によって形成された連合艦隊、東部旗艦として深海棲艦殲滅作戦に参加、轟沈した旧海上自衛隊護衛艦「こんごう」と酷似しており、こんごうにヘリコプター搭載を可能にしたような艦影です。さらに3日前、パラオ駐屯艦隊より報告があった敵空母を中心とした6隻の艦隊に対し、かつて使われたハープーンおよびトマホークミサイルと思われる兵装にて全隻を撃沈している模様です」

30代ほどの軍服をきた男性が報告書を片手に読み上げる

するとその会議室に動揺がはしり、同じく軍服をきた40代後半らしき男性が質問をとばす

「近代兵装での深海棲艦の撃沈は不可能ではなかったかね?見間違いじゃないのか?」

「はい、近代兵装…ミサイルなどによる深海棲艦の撃沈は不可能です、唯一ダメージを与える事ができた核も現在では深海棲艦殲滅作戦による莫大な海洋・大気汚染により使用禁止されています。見間違いという事についてはおそらくないかと。パラオから記録映像が届いており、それを分析したところ間違いなくハープーンおよびトマホークだったと」

その言葉を聞き、今度は他の男性が問う

「そもそもそれは艦娘なのかね?イージス艦の艦娘など前代未聞だ」

「その点についてですが、以前近海を哨戒していた駆逐艦、陽炎がその艦と接触、妖精を確認したそうです。探照灯による通信を行ったところ返信もあったそうです」

「それで?相手はなんと言ってきたのかね?」

「はい、陽炎が記録した通信内容によりますと「本艦ハ貴艦二敵対スル意思ナシ、貴艦ラノ母港、横須賀ヘノ入港ヲ希望スル」との事です。その後陽炎は保留と返信、帰投ただちに報告した模様です」

その報告を受け再び会議室に動揺がはしる

「横須賀だと…それは本当に敵対する意思はないのかね?いや、そもそもその艦娘は確認できたのかね?」

「いえ、艦娘の姿は確認できておりません、なんらかの影響で妖精が代理に通信を行った模様です」

「それで今その艦はどこに?」

「現在横須賀に進路をとり向かっています、一応こちらからの接触がない限り入港はしないかと」

「ふむ…」

途端に多くの人が話し始める

「イージス艦の艦娘…もし我が海軍に編入すれば多大な戦力に…」

「あまりにも危険だ、所属不明、なにをするかわからん」

「しかし相手も彼女らと同じ艦娘ならば対話も可能なはずです」

「だが、攻撃してくるかもわからん艦を海軍本部のある横須賀に…」

「敵対する意思がないならば…」

賛成と反対、両方の意見が飛び合う中、ずっと微動だにせず口を閉じ話を聞いていた初老の男性が口を開く

「まぁまぁ、諸君、落ち着きたまえよ」

その一言は会議室に響き渡り、全員が口を閉ざした

「さて…君、その艦には敵対する意思はないといったね?」

初老の男性が報告した若い男性に問う

途端に若い男性は畏まり恐れおおいというように言う

「はっ!たしかに陽炎の報告ではそう通信されたそうです!」

その言葉に初老の男性は微笑み、そこにいる全員に語りかけた

「なら、いいじゃないか、敵対する意思はないと言ってるならば入港させてあげても、それに補給だってあるだろう」

初老の男性の言葉に畏まりながら1人の男性が言う

「しかし…万が一になにかあっては…あまりにも危険ではないかと…」

その言葉に初老の男性は再び微笑み言った

「構わんさ、何かあれば全ての責任は私がとろう」

そう言うと男性は会議室の面々をぐるりと見渡し言った

「迎えの艦は彼女がいいだろう、丁度呉から来ているしね、全責任は私ということで構わん、早速迎えをだしてくれ」

そう言うと男性…

 

 

『連合艦隊司令長官』は微笑んだ

 

 

-----------------------------------------------------------

 

横須賀まであと少しという所でレーダーに反応があった

「迎えかな…?」

私が意識がない間、妖精達が艦娘…海軍に所属する子と通信おしたらしい

そして方角的にあの艦は横須賀方面からだ

「どんな子なんだろう…」

艦娘…どんな姿をしているんだろう

もうすぐ目視内領域に入る

私は艦橋へ向かった

 

 

―みらい艦橋―

私は双眼鏡を覗いていた

「艦影から推測すると…駆逐艦…陽炎型に似てる…」

しばらく様子を見ていると相手から発光信号があった

『我、貴艦ヘノ接舷ヲ希望ス 停船願ウ』

こんなところで停船と…安全地帯だからかな?

「腕にも自信があるのかな」

ともかくこちらも返信しないとね

『本艦右舷ヘノ接舷ヲ認メル 5時方向ヨリ接舷セヨ』

「機関停止、総員警戒を厳となせ」

駆逐艦は回頭し、並走するように速度を落とし接舷の準備を始める

「サンドレット送って」

私が指示すると妖精達がサンドレットを送る

妖精達が忙しそうに巻き、接舷作業が完了する

「なんとか完了ね…」

私が右舷へ向かうと駆逐艦の甲板に少女が立っていた

水兵服をワンピースにしたような服に大きな双眼鏡を持ち栗色の短髪でいかにも元気そうな子だ

身長は…同じくらいかな…

そんなことを考えているとその少女が敬礼し大きな声で言った

「第十六駆逐隊所属、陽炎型駆逐艦八番艦の雪風です!」

駆逐艦、雪風

帝国海軍最高の幸運艦として知られ、装甲・砲力も貧弱な駆逐艦の身でありながら16度の作戦と7度の海戦を経ても大きな損傷もなく健在であった艦。「大和」の特攻にも同行し、圧倒的戦力差のなかでも小破したのみで無事帰還、戦歴を終え戦後は賠償艦として中華民国に譲渡され、総旗艦「丹陽」として中華内戦を戦い、戦没すること無く、台風に遭って解体されるまで無事であったという艦

なによりも私達…護衛艦、国産初の護衛艦としてその名前を受け継がれ、1957年から1961年まで自衛艦隊旗艦となった後世にも大きく語り継がれた艦

その艦が艦娘として今、私の前にいる

「…海上自衛隊第1護衛隊群所属ゆきなみ型三番艦、ヘリコプター搭載イージス護衛艦、DDH-182みらいです。はるばるここまで来ていただき感謝します」

私も敬礼を返し名乗る

「では、横須賀までの諸連絡をしたいので貴艦への乗艦を希望します!よろしいですか?」

「了解しました、本艦への乗艦を認めます…しかし、貴艦の操艦は…」

「問題ありません!雪風の妖精さんが頑張ってくれますから!」

「そうですか、ではどうぞ」

雪風は身軽に私に乗り移る

…これが艦娘…私がみつめていると、こてんと首を傾げられた

「どうかしたのです?」

「あ…いや、別に…」

「それにしても、みらいさんは凄いですね!」

雪風がきらきらと瞳を輝かせて主砲やVLSを見ている

「この四角い箱みたいなのはなんですか!?」

「あ、それはVLSていう発射装置で…」

「へー!なんだかかっこいいです!」

「そう?」

「はい!」

この子の元気さに少しついていけない

でも、気がつけば私は微笑んでいた

これまでの戦いで傷付いた心が少し潤ったような感覚

「えーと…雪風ちゃん?でいいのかな?」

「はい!雪風です!」

「よろしくね、雪風ちゃん」

そういって私は手を差し出した

「はい!よろしくお願いします!みらいさん!」

そういって雪風は私の手を強く握り返した

 

「みらいさん、この主砲は?一門で足りるのです?」

「それはオート・メラーラ 127 mm 砲て言ってね、毎分45発が発射できるの」

「45!凄いです!」

「雪風ちゃんは?」

「雪風は50口径三年式12.7センチ砲です!でもこの前しれぇが『そろそろ10cmに換装しようか…でも資材がなぁ…』て唸ってました!」

「しれぇ…?」

「提督のことです!みんな司令とか提督てよんでますけど、雪風はしれぇて呼んでます!」

司令官…か

「雪風ちゃんの司令官はどんな人なの?」

「とてもやさしい人ですよ!でも雪風にたいしてはとてもあまあまなんです!」

「そ、そう…」

それって…ろりk…けふんけふん

「ところで雪風ちゃん、横須賀入港に関してだけど…」

「あ!そうでした!」

忘れていたらしい…

「えっとですね!みらいさんの入港を許可するとのことです!えーと弾薬・燃料の補給についてはのちに話し合い、決定するものとする、貴艦は横須賀海軍ドッグ、第3ドッグに停泊、その後…わっ凄い!連合艦隊司令長官に面会されたし。とのことです!」

連合艦隊司令長官…

山本長官みたいな人かなぁ…

「みらいさん、長官と面会なんて凄いです!」

「うん…」

あまり気乗りがしない

「ともかく、行きましょう!」

「そうね…」

「雪風は機関停止してないのですぐに動けますが…みらいさんは?」

「大丈夫、30秒ほどで追いつくわ」

「…みらいさんて何者なんですか…」

「細かいことは気にしない気にしない」

 

機関始動

 

「さて、行こうか」

「はい!」

雪風と並走し横須賀へと向かった

 

 

 

 

----------------------------------

 

「見えた…」

間違いない、横須賀だ

私達の故郷

最後の希望を胸に私は進む

「みらいさん、ここからは雪風の指示に従って入港してください!あそこに見えるのが第3ドックです、あそこに投錨してください!」

「おーけー、ここまでありがとうね」

「はい!また後でお会いしましょう!」

入港用意のラッパが響き渡る

「両舷微速前進」

速度を落とす

「入港準備、錨用意」

ドックにゆっくりと入港する

「錨入れ!」

そして碇を下ろす

これで投錨は

完了あとは先ほど雪風に接舷した要領で接岸する

「雪風ちゃんは第2ドックに入港したのね」

雪風は接岸するやいなやすぐさま私の方に来たらしく肩で息をしている

「ぜぇ…ぜぇ…」

「大丈夫?」

「はい!絶対、大丈夫!」

絶対はいるのかな…

そう思っていると急かすように言う

「さぁ!長官に会いに行きましょう」

「そうね…」

そうだ、会って聞かなくては

ここが私達の世界か

 

 

 

 

 

 

 

 

―横須賀鎮守府提督室前

コンコン

「失礼します!陽炎型駆逐艦8番艦雪風です!みらいさ…例の方をお連れしました!」

雪風が扉をノックし名乗るとすぐさま返事があった

「うむ、ご苦労、入りたまえ」

「失礼します!」

ドアをあけるとそこには初老の男性が座っていた

「うむ、雪風君、ご苦労だった、君の司令の元に戻りたまえ」

「はい!失礼しました!」

雪風はそういって退室する、私に微笑んで

 

パタン

扉がしまる

 

「さて、はじめましてだね、私はみてのとおり連合艦隊司令長官を務めている木更津という、今はただの老いぼれだがね、はっはっは」

そういうと初老の男性…木更津長官は笑いながら言った

「さて、君は?」

その言葉に我を取り戻し、敬礼しながら答える

「海上自衛隊第1護衛隊群所属!ゆきなみ型三番艦ヘリコプター搭載イージス護衛艦、DDH-182みらいです!入港の許可、感謝します!」

私は畏まりながら言う

「はっは、そう畏まらんでいいよ、しかし驚いた、本当のイージス艦の艦娘がいたとはね」

「実は…それについてですが…」

 

そうして私は語りだした

 

乗員241名とともに護衛艦として横須賀から出航し、60年前にタイムスリップしたこと

そして戦い、傷付き、歴史を変えたこと

原爆をつんだ大和を沈めたあと被弾し轟沈したこと

気がついたら艦娘としてここにいたこと

そいて今までの戦いのこと

ここ横須賀へきた理由

 

「…というわけです…ここは、私のしる横須賀なのでしょうか?」

私の話を目をつぶり、聞いていた木更津長官は口を開いた

「随分…苦労したようだね」

「…はい」

私は最後の希望を託し、言葉を待った

しかし、答えは絶望だった

「期待を裏切り、残念だが…ここは君達の世界ではない」

その一言に頭が真っ白になる

「残念だが、我々…海軍が設立される前、旧海上自衛隊の護衛艦に『みらい』という名の艦はない、歴史も変わっていない、わが国はあの大戦で無条件降伏を受け入れ、敗戦しそこから高度急成長をとげた、今やそれもないがね…残念だが、ここは君達が旅立った横須賀ではない」

頭が真っ白になりなにも考えられない

「そう…ですか」

覚悟は していた

だが 少しだけ 希望を持ちたかったのだ

「すまんね…しかし我々もできる限りの協力はしよう、ミサイル・弾薬については旧海自の補給分が残っている…深海棲艦に有効かはわからんが…」

「はい…ありがとうございます…」

「…それと、これは君の意思だが、よければ我々に協力してくれないか」

その言葉に私は目を見開く

「それは…海軍に入れと」

「簡単にいえばそうだが…」

「…少し考えさせてください…」

「あぁ…かまわんよ、そうだせっかくここまできたのだから街まで行くといい、少し羽を伸ばしたまえ」

「お心遣い、感謝します…」

私はそういうとドアへ向かい退室する

「失礼しました…」

ドアが閉じる

外はあいにくの曇天の空だった

私は街に向かった

一人で歩いているとどんどん心細くなる

 

なぜ どうして

 

神様は私のことが嫌いなの?

 

ポツリ ポツリ

 

小雨が肌を少しずつ濡らしていく

 

ポツ、ポツ、ザー…

 

雨が降り出し体を濡らす

服が肌に張り付き気持ちの悪い感触がするがそれすら気にも留めない

雨の音は次第に遠くなるような感覚

 

私は近くの道端にうずくまる

雨に混じり、頬を雫が流れていく

「うっ…うぅ…」

雨に混じり涙が流れ落ちていく

私はうずくまり嗚咽をもらす

「もう…いやぁ…」

なぜ こんなにも

 

苦しいのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これも神の企てか、悪魔の意思か

 

一人の少女の悲痛な声は雨音にかき消されていった―

 




はい、というわけで4隻目でした

一言言わせておくれ


―長いッィイ!!!!!
長い!尋常じゃない文字数!

あ、今回でましたげっ歯類こと雪風ちゃんです
雪風提督さんの目が怖いお…

あ、それと更新を遅い!というのはですね
これ、「不定期更新」でございます
ですから遅いときや早すぎるときもありますがご了承下さいませ


さて、今回追い詰められついに涙を流すみらい!
そんな彼女に出会いが訪れる!
次回はついに、ついにでます!
え?だれかって?さぁ?

ともかく次回をお楽しみに!
もしご要望・ご指摘がありましたらお気軽にお申しください
















熱やべぇ

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。