今日から俺こと
『帝ノ鬼』という強大な日本の根幹に食い込んでいる宗教組織が管理し、運営している呪術の名門―――
《第一渋谷高校》
名前は平凡そのものだがそれもそのはず、なにせこの高校は表向きには普通に授業して飯くって部活やるただの学校として振る舞っているのだから。だが中身はそれの正反対もいいとこだ、呪術なんていう現実離れを現実的に行使させる養成学校。
それがこの《第一渋谷高校》だ。
が、俺はそれとは別の問題があった―――
この高校、倍率が滅茶苦茶なのだ。一般人を避けるための口実もあるが、生徒資格のある一般人でない側にたいしてもだ。
当たり前だ。何せこの高校は呪術のエリート校のなかでも最上位、運営している『帝の鬼』のトップ、柊自身が自分の子女を教育しているのだから。
とにかくマンモス高校なのだここは、本来名家か才能をもった奴しかはいれない高校なのだ。だが――――俺はそれでも無理をして入った。
中学の青春をほぼすべて犠牲にし、これがこければ未来がないと自分をとことん追い詰め、抑圧し、やっと入学を許された。
もちろん理由がある。それは自分の家系だ。普通ならここまでしなくともそこそこ幸せに生きていけただろう。
だが、俺には無理だった。
城李士、いや、家名事態の問題ではなくその扱われ方の層が問題なのだ。
どの時代どの組織にも汚れ役、だれもやりたがらない役目はあるものだ。端的にいえばこの城李士家はその『汚れ役なのだ』それも暗殺とかそういう技術を求められるものではない。
『捨て駒』としてはなから扱われてしまうのだ。数が必要、囮が必要。生贄が必要な時拒否権もなく捨て駒として消える。
戦死すればもれなく名ばかりの勲章が貰える。
故に名を覚えられ蔑まれることもない。だがしかし死が約束されたような役割――――
本当にクソくらえだと思う。されど逃げられないと現実。
実際両親も祖父母もそれで消えていったそうだ。もし子をのこせず一族が終わろうがまた他からもってくるだけの価値のない底辺。
だから俺は必死の思いでこの高校を受け――合格した。価値のない捨て駒は嫌だと、だれにも気に留められず朽ちるのはいやだと、居場所が欲しいと――
最後の望み、圧倒的なこの流れを変えるため俺はここに来たのだ。
◆
桜が舞っている。入学式には絶好日和だといえるだろう。空は雲一つ――とはいかないにしろ快晴で春特有のぽかぽか陽気が心地いい。
まあ、この春の陽気にあてられてる余裕なんてない俺からすれば、こんなの眠気の原因になるむしろ邪魔なものなのだが。
学校が近くになるにつれて同じ学生がちらほらと見え始めてくる。
――きっとこの学校生活が自分の運命を変えてくれるだろう。そんな事を思いながら通学路を歩いていると。
なぜか――笑い声が聞こえてきた。二人や三人なら仲良く入学したやつらが喜びを分かち合っているのだろうと思ったがその笑い声は近づけば近づくほど大きく、多くなってゆく。そしてその現場ともいうべき場所が目に入る。
中心にコーラまみれの男子一人に女子二人、コーラまみれの男子生徒を守るように女子生徒二人が立ち、周りのみんなを睨み付けてる。
あの女子二人はおそらくコーラまみれの男子の従者かなにかだろうと考察し、状況から何があったのかと把握しようと観察する。
そしてコーラまみれの男子をみて、原因はなんだろうかと探ろうとしてそして気づいた。
襟の校章がちがうのだ。あれは『帝ノ鬼』の校章ではない。そうあれは――
『帝ノ月』
詳しくは分からないが確か昔、この学校の経営元でもある『帝ノ鬼』の更にトップの柊という頂点に一瀬という分家が不届きを働き、帝ノ鬼から追放された結果、一瀬家が造った宗派。ある意味柊に逆らった者の島流し先と言えるだろう。それが『帝ノ月』。
だが結局は帝ノ鬼の傘下なのだろう。でなければ登校初日でこんな仕打ちうけないだろうし、なによりわざわざ敵地ともいえるこの学校に入るわけがない。
「帝ノ月、クズだゴミだと噂は聞いてたがここまで酷い扱われ方なのか…」
自分と同じで家に苦しめられている事への憐みか同情か、そんな言葉が漏れていた、自分の家は名前が憶えられてないのが功をなして、逆にこういう苛めはなかったのだがそれでも扱いはかなり酷い。だから思わず同情しそうになってしまった。
だが手を差し出すなんてことはしない、できない。なにせこちらも弱小なのだ。手をだせば巻き添えを食うだろう。
そして何より自分は他人が怖いのだ。ただ表層で話すのは平気だ。しかしこういう深入りしてしまいそうなことは例え俺に助けられる力があったとしても絶対に無理なのだ。
他人がどんな行為で何を喜び、何に怒り、何に悲しみ、何を笑う、少しづつ、深く踏み込んで考えると分からなくなる。どれがどれだかが分からない。それが怖い。
それの恐怖原因で、何かの不手際で永遠にその相手と絶交になってしまいはしないかとよく分からない恐怖を抱いてしまう。
そして間違いなくここで踏み込んで助ければ下手に友人にでもなってしまいかねない。
だから俺はその周りに溶け込こもうとした。敵をつくらないために、下手に味方にしないために。いつもどうり場に流されて…
――――っ!?
へらへらした顔のあいつと目があった。
そして感じたのは、こっちを見られたことによる気持ち悪さでも、見捨てたことへの後ろめたさでもない。
得体のしれない不気味さ――――その目にあったのは直線的な恨みや怒りではない、もっと危険で不気味な、心臓をつかまれたような錯覚を覚えるような――――『こいつはヤバい』自分の本能が、理性が、全身が警報を鳴らしている。
あまりの緊張に心臓がまるで長距離走をした後のように鼓動が早くなっている。
あいつはへらへらしたふざけた顔のまま目をそらした、一秒にもたたない時間、なにかされたわけでもない、だというのに俺の精神は限界でその場から逃げるように学校へと走り去って行った――
―――――だが、
しばらくこのオリ主へたれのままです、自分で書いてなんだけど展開大丈夫だろうか。