ガンダムビルドファイターズ アナザートライ   作:慢性睡眠不足

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久方ぶりの更新は3話連続。まずはハイライトシーンより


第四回戦 ハイライトシーン

 全日本ガンプラ選手権。その地区大会は週をまたいで行われる。しかしたった七日間程度のインターバルでは各チームが抱く熱気と闘志を静めることなどできない。

 

 ガンプラの強化改造に、スキルの練度向上、あるいは次回への対戦相手への対策など。それらに日々を費やしながら初日を生き残った彼らはさらなる闘志を高めていくのだ。

 

 かくして大会二日目も熱い激戦が数多く生まれた。

 

 

 

 

 

 月面のフィールドに六つの光が交錯する。その内の三点は互いに距離が近くまとまっており、残りの三点は縦横無尽にその周囲を飛び回っていた。

 その間の距離には度々、光の線が幾筋も通っている。しかしそれは内から外へと向かうものであり、その逆は驚くほどに少ない。

 

 中央の三体のガンプラを操るのはチーム<クライウルフズ>。そしてその周囲を自由に回っているのはチーム<ブレイドマスターズ>の操るガンプラだ。

 

 「機動戦士ガンダムZZ」に登場するドーベン・ウルフでチームのガンプラを揃えた<クライウルフズ>は手持ちの砲や両肩に移設したインコムなどを駆使して互いの死角を補いつつも、向かってくる相手に対し盛んにその豊富な火力を叩きつけていた。

 

 一方の<ブレイドマスターズ>は接近と離脱を繰り返すも、<クライウルフズ>の鉄壁の守りを崩せず、なかなか得意とする近接戦に持ち込めずにいる。

 

 一見すれば<クライウルフズ>が有利に試合を進めているように見えるだろう。しかし実際は双でないことは彼らの顔を見ればよく分かる。彼らの内心を大きく占めているのは『余裕』ではなく『焦燥』であった。

 

「くそっ、いつまで粘りやがるんだ。」

 

 誘いこんだインカムの包囲網を寸前で抜け出されたウルフズのファイターの1人が声を上げた。一方的に攻め続けているにもかかわらず、未だ一体も相手を落とすことが出来ない。その状況が彼の忍耐を追い詰めている。

 

「落ち着こう、ウルフ2。攻撃が雑になっているよ。」

 

 そう言ってチームメイトを嗜めつつ、ウルフ1は迎撃が甘くなった隙をフォローする。拮抗した状況に焦れているのは彼も同じだが、それでもリーダーとしての責務と勝利への執念が彼の精神を支えていた。

 

「いいかな。この状況は僕達にとって想定内だ。相手チームの得意とする速攻を防ぎ、乱戦にならないように中距離以上の距離を保ってプレッシャーをかける。相手だってほとんど一方的に攻撃されている分、僕達以上に苦しいんだ。どっちが先に根をあげるか。その我慢比べに勝ったほうがこの試合の勝者になる。」

 

 リーダーの言葉にはっと顔を上げ、ウルフ2は集中力を取り戻した。ウルフ3も次第に大きくなっていた重圧が少し開放され、動きにキレが戻ってくる。

 

 しかしそれも一時しのぎでしかなかった。そして相手は徐々に接近する距離を縮め、ウルフズのファイターが互いにカバーする場面も次第に増えてくる。

 

「まだだ。まだ頑張ろう。あと少しのはずなんだ。」

 

 ウルフ1の励ましによって<クライウフルズ>は最後の一線で耐えていたが、しかしついに限界が訪れた。

 

 ウルフ3のカバーに入ろうとしたウルフ2のわずかな遅れ。常ならば隙にもならないであろうそのわずかな瞬間を<ブレイドマスターズ>は見逃さなかった。

 即座に三方より強襲をかける彼らは<クライウルフズ>の乱れら連携のほころびをさらに広げ、今までの攻防で掴んでいた相手の受け手を読みきってあっさりと接近を果たす。

 

 荒々しく揺れるビームソードの出力を上げたガンダムエピオン。全身を赤く発光させ、両手の刀を構えるスサノオ。そして対艦刀を抜き放ち、左腕のビームブーメランを放つエールソードストライク。三体のガンプラは互いの位置を交換しながら、突貫する。

 

 その速攻にこれまでの戦闘で集中力を磨耗させていたウルフズは対抗できない。そして立て直すことに失敗した彼らが崩れるのもまた一瞬であった。

 ダメージを無視して突撃したエピオンによってウルフ2が両断され、続いてウルフ3が赤い光を散らして懐に飛び鋳込んできたスサノオの二刀により、四つに裂かれる。

 

 わずか数瞬で敗北への天秤を傾けられたウルフ1はしかしそれでも諦めなかった。それどころか逆に仲間を倒した相手の隙をついて討って出ようとする。

 接近するエールソードストライクの鼻先にビームを撃ってその勢いを止め、放たれたブームランはインコムを激突させて叩き落とす。さらにエピオンの赤熱化したムチを潜り抜け、粒子の放出が終わったスサノオにサーベルの抜き放って肉薄した。

 

 しかしその寸前、最大で加速しているはずの機体が停止する。すぐにガンプラの状態を確認したウルフ1は右足にアンカーが絡み付いていることを知った。そしてその先は対艦刀を振り上げ、接近するエールソードストライクの左腕の小型シールドへとつながっていた。

 

 直後、二つに分かたれた爆発が月面を揺らし、ブレイドマスターズの勝利が宣告された。

 

【試合結果】

 

 ○<ブレイドマスターズ> - ×<クライウルフズ>

 

 

 

 

 

 灼熱の太陽が照り付ける砂漠。どこまでも続く砂の海に不意に一陣の風が生まれた。かろやかに、きままに。ただ一筋の砂の帯を背負ったその風を産み出しているのはしかし一つのものではなかった。

 

 その正体は三体のガンプラの連なりだ。重厚な印象にも関わらずと脚部のホバーを利用して滑らかな機動を可能とする重モビルスーツ、ドム。

 色違いとはいえ、造りはほぼ同じであるその三体はまるで一個の生物のように連動して動き、巻き上げた砂の航跡にはただの一度も揺らぎはなかった。

 

「来たな。」

 

 その一糸乱れぬ列を見つけたチーム<白馬隊>のファイターが呟く。同時に砂と同色のマントを脱ぎ捨てると、自分のガンプラを立ち上がらせた。

 彼が操るのは「機動戦士 ガンダム」に登場するガンダム。初代の名で親しまれるそのRX-78-2は背に負った武器の数と種類こそ違うものの、劇中と同じイメージを維持したままの改造が成されている。

 

 色鮮やかなトリコロールの色合いは一色の砂には良く映えるだろう。それを利用して彼は自分を囮にあの三体、チーム<ドムドムドム>を目的の誘い込もうとしていた。

 

「来るぞ。」

 

 きままに砂を巻き上げる風がこちらに進路を変更する様を見て、彼はただその一言だけをいった。ただそれだけで、伏せている仲間達はその意味をしっかりと受け止め、その時を待つ。

 そしてそれはもうまもなくの事であった。

 

「今だ。」

 

 その言葉と共に<白馬隊>は行動を開始した。今まで案山子同然だったガンダムがすぐさま後方へと飛び、そして迫ってくる風に対して両肩に構えたバズーカを次々と撃ちこんで行く。

 目の前に弾幕を打ち込まれ、巻き上げられた砂のカーテンを前に進路を急変更しようとする<ドムドムドム>。しかしそれよりも先に左右の砂丘の上より砲撃が放たれ、その進路をふさいだ。

 

 丘の上から上半身のみを乗り出して砲撃を続けるのは砂と同色のカバーを跳ね上げたのは二体の赤いガンプラ。

 がっしりとした赤い体に肩に備えたキャノンが特徴のそのガンプラは同じく「機動戦士 ガンダム」に登場するMS、ガンキャノンであった。肩と両手の砲で左右後方から<ドムドムドム>へと撃ちかける二体のガンキャノンと前方の砂丘の上に陣取って両手のバズーカを連射するガンダム。三方からの包囲攻撃は例え優れた機動性であっても、重厚な装甲であっても切り抜けられるはずは無かった。

 

 しかしありったけの砲弾を叩き込んで生まれた爆発と砂のカーテンが消えると、チーム<白馬隊>の面々は驚きの声を上げることになる。

 

「?いない。」

 

「馬鹿な。一体どうやって。」

 

「あれだけの攻撃から抜けられるはずが。」

 

 驚愕に支配されるチーム<白馬隊>だが、相手を見失ったことをすぐさま受け止めると即座に行動を開始しようとした。今の攻撃によって位置がばれている以上、このまま留まるのは危険だからだ。

 

「くそ、とりあえずこの場を離れて隠れるぞ。」

 

「ああ、次はあそこで仕掛けよう。」

 

「じゃあ、とっとと行きましょ……、えっ。」

 

 その場を離れようとした右に陣取るガンキャノンのファイターが言葉の最後に何事かを追加した。即座に仲間達からの問いかけが飛ぶ。

 

「どうした。見つけたのか。」

 

「とにかくそこから離れろ。」

 

「そ、そんな。いったいどこから。うわあぁぁぁ。」

 

 しかし仲間からの問いかけに答えることもなくすぐにガンキャノンのファイターからの通信が途絶え、同時にその場所より爆発の煙が昇った。

 

「まさか、やられたのか。」

 

「嘘だろ。おい。くそっ、こうなったら。」

 

 残された二人は戸惑うが、しかし残ったガンキャノンのファイターはスラスターを目一杯に吹かして高度を高く取った。

 相手から攻撃を受ける危険は増すが、しかしそれ以上に何が起きたのかを知ることを優先したのだ。

 

 「あそこか?」

 

 大きく広がった視界を見下ろし、まだ煙を残す仲間の残骸を標にしてガンキャノンのファイターは相手の姿を探した。しかし黄色い海の上には何も見つからない。それを考慮したファイターは同じく高度をとった仲間のガンダムへと通信を送る。

 

「上を見る限りじゃ、いないな。まさか、砂の下にもぐったのか。」

 

「……いや、違う。上だ。来るぞ。」

 

 即座にされた仲間からの警告は、間一髪でガンキャノンの退場を防いだ。とっさに前に身を投げ出すガンキャノンのすぐ後ろを揺らいだ空間が通過していく。

 それにバズーカの弾を叩き込んだガンダムのファイターが仲間が倒された攻撃の正体を見破った。

 

「くそったれ。ステルスフィールドだと。」

 

「おいおい。そんなのありか。」

 

 一瞬だけ揺らいだフィールドの内に再び身を隠した<ドムドムドム>から逃れるべくガンダムとガンキャノンは一気にその高度を落とした。

 いかなる改造によってかは不明だが、相手は高高度でも機動性を失わないらしい。対して<白馬隊>の方はガンダムはともかくガンキャノンはあまり滞空能力に優れているとはいえない。

 機動性に劣ることを承知で、それでもまだ勝ち目のある地上戦を選択したガンダムとガンキャノンのファイターは着地すると同時に周囲に弾幕を打ち込み、砂を巻き上げて幕を形成する。

 

 巻き上げられた砂による薄い遮蔽は相手が姿を隠していてもその進入を知らせてくれる。視界を悪くしない程度に巻き上げられた砂によって少し黄色く染まった世界の中心で、背中合わせになった二体は次の手を模索した。

 

「これで相手のステルスは無効化出来た。とはいえ、次はどうする。」

 

「待て。今、考えている。」

 

 仲間に問われたガンダムのファイターは思考する。一体失った今の状況では先の作戦はつかえない。それ以前にどうやってあの弾幕の嵐を切り抜けたのかの不明だった。しかしこのフィールドでは相手のほうが機動性は上であり、逃げて体勢を立て直すことは出来ないだろう。

 

「となれば、危険だが方法は一つ。迎え撃つしかない。」

 

「おいおい正気か。」

 

「当然。どうせ相手の手は読めている。状況さえ整えてやればきっとあいつらはアレを使ってくるに違いない。」

 

「そこを返り討ちにするのか。本当に大丈夫だろうな。」

 

「どのみち迷っている時間は無いぞ。」

 

 その言葉と同時にガンダムのファイターは己のガンプラを横っ飛びにさせた。同時にガンキャノンもまた反対の方向へと飛ぶ。その両者の間に<ドムドムドム>からバズーカが打ち込まれ、爆炎交じりの砂の柱を立ち上げた。

 

「こっちに来たか。」

 

「よし。任せろ。」

 

 その進路がガンキャノンのほうに向いたのを知り、ガンダムのファイターは密かにほくそ笑む。

 

 こだわりかは自信かは知らないが相手は常に三体で連動して動く癖があった。三体を連動しての高機動戦闘は非常に難度が高いが、もし十全に運用できるならば存分に見せ付けたいというのが人の心理である。

 ならばこちらが二手に分かれれば、その自慢のコンビネーション攻撃でまずは確実に一体を葬りに来るだろう。

 そしてガンダムのファイターはまさにその状況を狙っていた。

 

「背後ががら空きだ。」

 

 ガンキャノンの形成する弾幕によって前進を阻まれたその一瞬を狙い、<ドムドムドム>へとガンダムは右手にビームサーベルを、左手にジャベリンを装備して飛び掛った。

 

 今この瞬間に限れば、ガンダムとガンキャノンにより<ドムドムドム>は挟み撃ちにされている。この連携で一体でも落とせれば、コンビネーションを主体とした相手チームにとっては大打撃になるだろう。そうなれば例え数の上では同じとなっても<白馬隊>のほうが優勢になるはずであった。

 

「落ちろー。」

 

 援護のためにガンキャノンが厚くした弾幕を避けるべく横腹を見せた<ドムドムドム>の先頭の一体に向けガンダムは左手のジャベリンを投げつける。ビームライフルの一射とは違い、熱せられた砂漠の揺らぎでも照準を狂わせることがないその攻撃を先頭のドムは弾いたが、その時にはガンダムはその隊列の中に突入していた。

 

「もらったぞ。」

 

 動きが止められた先頭により、後続の二体もその行動を制限される。今度は最後尾の一体を狙って切りかかろうとしたガンダムだが、しかしその寸前に始まった相手の行動に度肝を抜かれた。

 

「何だと。」

 

 驚くガンダムの目の前で三体のドムは厚い砂の壁の中へばらばらに入っていく。犠牲を覚悟で厚い弾幕の中に入り、先にガンキャノンを討ち取ろうといのか。その思惑はしかしすぐさま否定されることになった。

 

 必死に火力を叩きつけるガンキャノンが作り出した爆発と砂の壁をものともせず、三体のドムはそれぞれ無傷で突破した。

 襲い来る弾丸を手前で跳ね返し、巻き上げられた砂を削って進むその周囲には小さいながらも厚い光幕が展開されている。

 それを見たガンキャノンのファイターが呻き声を上げた。

 

「攻性フィールド。個別でも展開できるのかよ。」

 

 事前に収集したデータから<白馬隊>の面々はそのフィールドの存在を知っていた。しかしそれは三体による重ね合わせが無ければ意味は無かったはずであった。しかしどうやら相手は短時間ならば、その周囲のみに同じ出力のフィールドを形成することが可能らしい。

 

「くそ、逃げろ。」

 

 ガンダムのファイターによる悪態交じりの警告に従う時間はガンキャノンには無かった。もとより機動性は相手のほうが上である。逃げ切れるはずもなくせめて一体でも道連れにと迎え撃つ構えを見えたガンキャノンの前で三体の内の二体のドムは進路を横に振った。

 

「はっ?」

 

 疑問の声を上げるガンキャノンのファイターだが、その意図を察する時間も無くドムの一体が赤熱した長棍を構えて襲い掛かる。とっさに腰に手を回して取り出したアックスで受ける。しかしその後方から別の一体が襲い掛かってきた。

 

「嘗めるなー。」

 

 背のキャノンを反転させて撃ちかけ、その意図を挫くものの、残る三体の放ったバズーカが足元に着弾した。厚い装甲に覆われているとはいえ吹き飛ばされる。

 かろうじて受け身を取り砂に埋もれる事を防いだガンキャノンであるが、体勢を整えた時にはすでに着地点を囲まれていた。しかし三体のドムは何を思ったのか周囲を高速で回り始める。

 

「何をする気だ。」

 

 ようやく追いついたガンダムはしかし仲間の周囲に生まれた砂混じりの竜巻に阻まれ、足を止めざるを得なかった。その壁にビームやバズーカを撃ちかけて見るも、フィールドによって維持されているのか容易に弾き返されてしまう。

 かといって無理に突入すれば待っているのは砂による行動の阻害とその中に潜むダム達からの奇襲攻撃であろう。

 

 結果として高度を取り、上から進入する道を選んだ。しかしそれが成されるよりも先に竜巻は消失した。そしてその中心にいたのは三方よりヒートロッドを打ち込まれ貫かれた無残な仲間の姿である。

 

「まだだ。まだ私は負けてない。」

 

 その言葉と共に着地したガンダムはスラスターを併用して後方へと大ジャンプを行った。当然追だが<ドムドムドム>の三体は再び一列のフォーメーションを組んでガンダムを追ってくる。

 

 機動性は向こうのほうが上とはいえそうやすやすと追いつかれるほどガンダムの機動性も低くはない。そして囲まれなければ先ほどの竜巻攻撃にやられる心配はなく、ステルスフィールドも常に間にバズーカで産み出す砂の幕を張っておけば問題は無かった。

 

 残る心配は三体による重ね合わせの攻性フィールドで突っ込んでくることだが、その時は出力を過剰供給した最後のジャベリンの突撃によって正面から打ち砕けばいい。一点突破の貫通力ならば、こちらに分はあるはずだとガンダムのファイターはにらんでいた。

 

 しかし<ドムドムドム>が取ったのはそのいずれの手段でもなかった。先の弾幕の突破の際に個別のフィールドを展開したために今の<ドムドムドム>は各粒子フィールドを使用する余力が無く、またその機動性も前よりも僅かとはいえ鈍っていた。

 それゆえに<ドムドムドム>はある一つの連携攻撃を選択する。

 

「来たな。ジェットスクリームアタック。」

 

 それを察知したガンダムのファイターは呟いた。前の一体が攻撃を仕掛けて外れ、後続もまた同様にして相手に歓談のない強襲をかけるというおそらくガンダム作品中で最も有名であろうコンビネーション攻撃。しかしそれは同時に敗北へとつながる諸刃の剣でもある。

 作中で破られたこの必殺攻撃は弱点もまた有名なのだ。

 

「はっ、それは敗北フラグなんだよ。」

 

 そう叫ぶや否や、ガンダムのファイターは背のスラスターを全開にしてやや高度を取りつつも前に出た。そして目前に迫った<ドムドムドム>に向かい先端からビームを発した左手のジャベリンを突き出す。

 

 それを左手の盾を使い先頭のドムは受け流した。しかしガンダムはすぐにその手を離し、一気にその高度を下げる。

 

「上から行くのはばれているだろうからな。下からやらせてもらう。」

 

 先頭の一体を逆にブラインド代わりにし、それを乗り越えて続く二体目、三体目を討ち取るのが本来の破り方だが、当然相手もそれを知っている。ならば上と見せかけて下を行き、残る二体をしとめようとガンダムのファイターは考えた。

 

 幸いなことに滞空するガンダムに攻撃するため、<ドムドムドム>もまた高度を上げていた。その下からは巨大な推進の光が滝のように吹き降ろされているが、それにもかまわずガンダムは突入する。

 

 一気に光の滝を突き抜けたガンダムは即座にバルカンと右手のサーベルを上方に突き出し二体目を倒そうとした。しかしそれよりも早く正面から重厚な体を生かしたタックルが襲ってくる。

 

「何だと!」

 

 避ける暇も無くそのタックルを受けたガンダムは吹き飛ばされ、光の滝の中から追い出された。そしてその上空より影を落とし、上に跳んでいた三体目のドムが手持ちのバズーカを連射する。

 

 次々に各所を打ち砕かれていく自分のガンプラの惨状に呆然としつつ、ガンダムのファイターは呟いた。

 

「こっちの突撃に合わせてフォーメーションを前後から上下に変更していたのか。弱点を狙う相手の先手を取って逆に仕留めるために……。」

 

 そしてその言葉が最後までつむがれるよりも先に先頭のドムが振るうヒートロッドがガンダムのコックピットを打ち砕いた。

 

【試合結果】

 

 × <白馬隊> VS ○ <ドムドムドム> 

 




とりあえず四回戦はこれだけです。次は主人公達のバトルになります。


[チーム&ガンプラ解説]

<ブレイドマスターズ>

【チーム紹介】

 近接戦を得意とするチーム。ほぼすべての武装が近接戦闘用の武装で統一されており、強引な接近からの乱戦で勝負を決めるバトルが多い。このロマン溢れる(ありていに言えば実用性の薄い)戦法を成し遂げるために練習を重ねたためか、個人・チーム共にその技量は非常に高い。使用ガンプラの関係上、前衛のみというトンデモチーム。

【機体紹介】

◆エピオン

 「新機動戦記ガンダムW」に登場。近接武装のみという非常に割り切った機体。当然ガンプラバトルでは使いにくいのだが、一方でその潔ぎよすぎる戦いに魅了されるファイターも少なくない。
 このガンプラもそんなファイターの1人の手によるもので、余計な改造はせず、ただ基本性能をとことん突き詰める方向性を求めて製作されている。なお装備の差は腕で補えばいいらしい。

◆スサノオ

 「機動戦士ガンダムOO2nd」に登場。近接主体のガンプラだが、他の二体に比べれば補助とはいえ射撃用の武装も存在している。とはいえ、やはりファイターの嗜好から基本は二本のブレードを主とした近接戦が多い。相手の隙をついてトランザムを発動し、一気に押し切る戦いを得手とする。

◆エールソードストライク

 「機動戦士ガンダムSEED Astray」に登場するアナザーソードストライクにエールパックを装備したガンプラ。長大な対艦刀の他、ビームブーメランやアンカーといったトリッキーな武装を駆使して戦う。
 なお当然これも近接戦闘重視である。本来MS相手では使いにくい対艦刀だが、ファイター曰く「慣れてしまえば問題ない」らしい。



<クライウルフズ>

【チーム紹介】

 「機動戦士ガンダムZZ」に登場するドーベン・ウルフを好んで使用するチーム。バトルでの使いやすさなどを考慮し、専用のガンプラへと改修することに余念がない。
 使用ガンプラを統一し、個々の連携を重視した砲撃戦で相手を圧倒することを得意とする。

【機体紹介】


◆ドーベン・ウルフ
 「機動戦士ガンダムZZ」に登場する高火力MS。バトルでの仕様に合わせ、インコムハンドを肩部側面に移設し、腕部は通常の腕にしている。連携を主体にしているためか性能は三体とも同一に調整されている。



<白馬隊>

【チーム紹介】

 「劇場場機動戦士ガンダム」のホワイトベース艦載機を意識したチーム。相手や戦場に合わせて使用ガンプラや出場メンバーを替える。現在はガンダム、ガンキャノン、ガンタンク、Gファイターを主戦力としているようだ。

【機体紹介】


◆ガンダム

 言わずと知れた初代ガンダム。「機動戦士ガンダム」に登場。このチームの前衛を主に担当。基本性能の向上を追及し、汎用機としての特性を突き詰める改造をしている。またジャベリン、ハンマーといった武装も豊富。

◆ガンキャノン

 肩に大砲を備えた中距離戦闘用のガンプラ。チームの中衛を担当することが多い。ビームライフルとシールドを追加装備している。

◆ガンタンク

 支援を目的とした長距離戦闘型のガンプラ。チームの後衛を担う。下半身がタンクなため、展開能力には欠けるが安定性は高い。両肩に装備した長距離キャノン砲は相手の射程距離外から一方的な攻撃が可能。反面機動性が低く、格闘性能は高くないため、接近されると一気にピンチになる。
 今回のバトルでは機動性の面から補欠であった。



<ドムドムドム>

【チーム紹介】

 重装甲ながら脚部ホバーによって高機動戦を可能とするMS、「ドム」で使用ガンプラを統一したチーム。破られることで有名な合体攻撃、「ジェットスクリームアタック」の改良を目指し、完全無欠版の完成がモットーにしている。

【機体紹介】

◆アーマード・ドム・スペシャル(ADS)

 ベースは「機動戦士ガンダムSEED Destiny」に登場する「ドム・トルーパー」。これに重武装を施したガンプラ。特徴としてはフィールドの出力と稼働時間を上げるための追加粒子タンクと各合体攻撃のための武装を施した。また脚部のホバーシステムを改造し、宇宙空間でも高い機動性を確保することに成功している。
 展開可能なフィールドは複数存在し、攻性フィールド「スクリーミング・ニンバス」や隠密性に優れたステルスフィールド、周囲に幻を写しだす光学迷彩フィールドなどが展開できる。基本は三体の重ね合わせで運用されるがごく短時間ならば単体でも展開は可能である。


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