「ーーこれより、死刑囚365374番の死刑を執行する。死刑囚365374番、最後の慈悲として言葉を聞いてやろう」
暗く、血の匂いが広がる一つの部屋。そこで執行官は言葉を発する。
部屋の中央にはスイッチを押すと床が開く仕組みの台と、人の首回りのサイズの円が作られているロープがぶら下がっている。
その台の目の前には男が立っていた。
長い時間切らないでいた事が分かるようなボサボサの髪、体は見て分かる通り痩せ細っている。だが、彼の体が昔から鍛えられているのは一目瞭然だ。
「ーー最後に喋れるなんて光栄だなぁ」
発せられる声は重く、鋭い声。
「じゃあ、一つだけ言えるなら俺は後悔してねえよ。楽しかったぜ」
そう言うと彼の首に縄がかけられーーー
ガコンッ
仕掛けの台が開いた
「今のがあの殺人鬼ジンなんですか?」
「そうだ、捕まるまでの30年で二百人は殺したって話だ。アレみたいな大悪党が受刑者なら毎回何も考えずにボタンを押せるんだがな....」
「....見てくださいよあいつの首吊り死体、普通なら首の骨が折れる筈なのに折れてないっすよ。体を鍛えるのが趣味とは知ってましたが、ここまでなると鉄格子壊して脱獄を考えてたとしか思えませんよ」
「....実は言うとだな、この男を捕まえるために自衛隊が動いたって噂聞いた事があるか?」
「ええまぁ、その噂凄い広がったじゃないですか」
「その噂は本当だったらしくてその時に派遣された一個小隊が全滅したんだよ」
「えっ?」
「こっちとしてはこいつが自首してきて良かったと思うよ」
「....俺、死んだんじゃ無かったか?」
夕方の空のような赤い空、地面は小石が敷き詰められていて河川だという事が分かる。
そして、この川は向こう岸が見えないほど長い
「あんたは確かに死んだよ。ここは三途の川さ。向こうが彼岸になってる」
声のする方向に振り向くと大鎌を持った女が立っていた
「三途の川?それより何で俺はここにいるんだ?」
「あんたは今から閻魔様のとこに行くんだよ。取り敢えずこの舟に乗りな」
そう言われ川の方を見るといつの間にか小さな舟が浮かんでいた。女はその舟にヒョイと飛び乗る。
「どうした?乗ってくれないと困るんだけど」
「....沈まないよな?」
沈まないと言葉を聞くと女と同じ様に飛び乗る。
舟は予想以上に安定していて三人ぐらい乗っても大丈夫なくらいだ。
その舟を女が漕ぎ始める
「取り敢えず、ここの事を教えてあげるよ。ここは忘れられたモノが行き着く場所『幻想郷』。あんたはだいぶ生きている時に悪さしたみたいでね、あんたのいたとこの閻魔様が裁けないって言い始めてここに連れてきたのさ」
「....へぇ、俺は
「悪さの度合いは本人によるけど一般的に考えれば相当悪さしたよ。っと、話してたら着いたみたいだねぇー」
女の言った通りさっきまで向こう岸なんて見えないほどだったがいつの間にか岸に着いていた。
奥には大きな建築物が立っている
「ここがこの幻想郷の閻魔様がいるところさ。ついてきな」
「なぁ、この幻想郷ってところは此処だけなのか?」
「いんや、普通に人里なんかもあるさ。それがどうし....!?」
人里という言葉を聞けば十分、此処から逃げればなんとかなる事が分かった。
女との距離を詰めて鳩尾に一発
「....お前、女か?俺は見かけによらず鍛えてるんだが、今の不意打ちに反応して止められるとは思わなかった」
「失礼だねぇ、見ての通り女じゃないか。それより、そんなお痛する腕は切らせて貰うよ」
(なんだこの感覚!何でこの俺が女相手に恐れている!)
次の瞬間
ザシュッ!
「ッッ!アああアア!」
腕が切られた感覚、見てみると右腕が地面に落ちている。
いつ腕が切られた分からなかった。
「何の騒ぎかと思いましたが何をしているんですか?小町」
「ありゃ、映姫様来てたんですか」
「今来たところです。見た所小町が無抵抗な相手に斬りかかったようにしか見えませんでしたが....」
「いやいや、あっちが仕掛けてきたから仕方なくですよ。映姫様のとこまで連れてきて何かされたら困りますから」
何やら話を聞くとさっきまで一緒にいた女が小町という名で新しく来た方が映姫という名なのか。
それよりも不自然だ。腕を切られたというのに血が流れてない。
これを見るとやはり俺はもう死んでいて此処は死後の世界だという事が分かる。
そして、いきなり腕が光り始めると...
「....腕が治ってる?」
「ああ、治りましたか。それでは此処で済ませてしまいましょう。小町、この人にこれを付けてあげてください」
小町が何かを言うと急に体が動かなくなる。
「おい!何をする気だ!体が動かねえぞ!」
「大丈夫さ。あんたはもう人間じゃ無いから死にはしないよ」
そう言うと小町は俺に腕輪をかけた。
すると、体が動くようになる
「何だこれは?」
「これからあなたはこの幻想郷で暮らして貰います。それは、もしもあなたが人を殺そうとしたり、殺意を抱いたときにあなたの体を動かなくさせるものです」
「へぇ、なら今此処で試してやるよ」
映姫に殺意を込めながら走ると突然体が動かなくなる。
「....マジかよ、本当に動かなくなるのか」
「それでは、この幻想郷であなたの罪を償ってきてください」
目の前が霞み始める
「待てよ!まだ聞きたい事が....」
目の前が真っ暗になった
「映姫様、彼の名前もあたしは聞いて無いんですけど」
「ああ、そういえば私達も自己紹介するのを忘れてましたね。彼の名前はジン、罪状は....殺人」
「何人殺ったんですか?一人や二人じゃ無いですよね?」
「はい、約二百人は殺したと書いてあります」
「二百人....」
「普通に償う事はもう不可能なのでこちらに送って来たんでしょうね」
「一体何でそんなに....」
「....最愛の人が人に殺された。恨んだ対象は外の世界の人間全員だったそうです」
という訳で第一話終了です。
これが処女作となりますがなるべくサボらず週一のペースで投稿はしていきたいと思っています。(内容はサボるかも)
もしも、読んで頂いた方の感想や評価などがあればこの駄文も少しはマシになるかもしれませんので感想や評価など待っています。