寺子屋に着くとそこは小さな屋敷であった。
周りの家と同じように古い造りの建物ではあるが、しっかりと建てられていて外の世界の家と同じくらい丈夫だろう。
中に入ってみると、何処も畳が敷いてある。教室には黒板とチョークが備わっていた。
「今日は休みの日で生徒は誰も居ないぞ」
どうやら、慧音には俺が生徒を探しているように見えたようだ。
「いや、意外と普通の教室なんだなと思っただけだ」
「外の世界ではどんなものを使っているんだ?」
「電子黒板といってチョークを使わないものとかがあるが基本的に黒板だな」
やはり、ここの住民は外の世界の事は知っているが見た事はない。この世界から外に出る方法は無いのか。
「ところで、君はどんな教科が得意だ?ここでは算学と漢字しか教えてなくてな。どんな教科でも良いよ」
自分の得意な教科か....
「音楽かな....音楽はあいつを鎮めるからな」
「あいつ?外の世界の知り合いか?」
おっと、口に出てしまったか。
「いや、気にしないでくれ。で、音楽の授業は出来そうか?」
「うーん、音楽といえば楽器が欲しいからなぁ。楽器が届くまで算学を教えてもらえないだろうか?」
「雇ってもらうのはこっちの方だ。別に問題は無い」
そう言うと早速授業の打ち合わせをするために職員室らしき所へ行く事にした。
ジンが村に行ってから約一時間。しっかりとやっているだろうか?なんとも言えない心配が込み上げてくる霊夢。
「はー....良し!香霖堂に行こうかしら」
こういう時は香霖堂で本を読むのが一番良い。あそこには外からきた本が置いてあるから読んでいて飽きない。
そう思い、さっさと飛んで香霖堂に向かう。
今日は晴天で雲の一つもない春。誰とも出会うことなく簡単に香霖堂に着いた。
「霖之助さん、本を読みに来たわ」
そう言うと、「いらっしゃい」という声が奥から聞こえてきた。
珍しい....あの霖之助さんが人が来た時に出迎えもせずただ返事だけとは
そう思い、霖之助さんの元に行ってみると一冊の日記に夢中になっていた。
「それはどうしたの?」
「ああ、これはいつものように歩いていたら空から落ちてきたんだ。相当な式が込められていて開いて読めないんだ」
「そうすると外の本じゃないわよね」
「いや、材質からすると外の本だ。だから可笑しいと思って調べているところだ」
あれ?紫は外の世界では私達が使っているような式なんて無いって言ってたような....
それにしても不思議な本だ、表紙を見ると日記のようにも見える。
興味ありげに本を見つめていると
「持ってくかい?」
「えっ!良いの!?」
「ああ、僕じゃこの式は解けないからね。君なら溶けるんじゃないか?」
うーん、解けるかどうかは分からないが貰っておきたい
「じゃあ、貰っていくわね」
「まいどー」
そう言ってさっさと香霖堂を出て、神社に向かった