久しぶりに帰ってきた童実野町。あまり眺める時間もなく、荷物の整理だったりいろいろと大変だったけど、なんとか日曜日くらいはゆっくりすることができた。
今日は、その不安が目の前に並んだ月曜日。幸いにも自己紹介で噛んだり、隣が怖そうな人ではなかった。それ以前に、隣は空席だった。
授業は無意識に、というか意識などなく通過した中休み。俺の前には素敵なお友達。6年ぶりの再会になる。
「えっと……久しぶり、
とりあえず距離感というものを思い出して頂きたい。
「おかえりがっぴー!」
がっぴー。変なあだ名は相変わらずか。
「君はてっきりアカデミアかと思ってたぜ」
彼は
「それは僕の台詞なんだよねぇ。まあいいけど、がっぴー、デュエルしようよ! 再会デュエル!」
「……俺、デュエルはもうしてないんだ」
「え? ……でもデッキは残ってるよね?」
まあ、デッキは残ってる。昔と違って持ち歩いてはないけど。多分、部屋の引き出しの中だ。それか本棚の箱。
「がっぴーはデッキを手放せる人間じゃないもん」
「……今の俺じゃ、勝負にならないよ。遊樹は強い」
それに、少なくとも、昔のあのデッキじゃ絶対に勝てない。あのデッキは借り物で、誰かが言うように俺の魂や心が宿ってるわけじゃない。勝機があるとしたら、向こうでつくったデッキだけど。実戦経験がほぼないあのデッキじゃ、強力なデュエリスト相手に通用するかはわからない。相手も成長しているはずだ。
「だから楽しいデュエルはできないんじゃ」
「よし、わかった! また放課後くるから、デュエルね!」
遊樹はなにやら楽しそうに教室に帰っていった。人の話をきいてくれ、頼むから。
『実は楽しみなんじゃないか?』
窓際から声がきこえた。姿はないけど、あれはカードの精霊。かなり前から、声だけは聞くことができるようになったんだ。
「まさか。久々に会う友人に困惑してるだけだよ」
友人の変わらない姿を思い出し、少し笑ってしまう。
遊樹はいつだってあんなだ。突っ走って、人にぶつかって、巻き込んだり巻き込まれたり。本当、なにやってんだあいつ。よく怪我しないな。
『巻き込まれればいいじゃないか。昔からの馴染みだろう』
「既に巻き込まれてる身としては、これ以上巻かれようがないぜ」
出会ったときから、逃れようもない。ため息と一緒に、授業の始まりのチャイムが鳴った。