舞台を見る観客席に座っている気分でお読みください!
もし貴方が偶然にも、作者と自分しか知らない傑作の名画を観たら、どうしますか?
他の人に教え、感動を共有する?
それとも、自分だけが知っている、自分だけの名画にする?
彼女は、前者の人間であった。
ある日突然、自分の元に届いた分厚い封筒。
その中に収められていた、何百枚もの用紙。
それは正しく彼女にとって、『芸術』だった。
彼女は歓喜した
自らの理想とするものが、夢の完成形がそこには記されていたから。
この素晴らしい芸術を、他者の目にも触れさせるべきだと彼女は考えた。
なぜなら、それは世界に認められるべきものだったから。
それは、認められないわけがないものだったから。
そんな彼女の意思を見透かすかのように、最後の一枚に走り書きされていた一文が、彼女の考えに拍車をかけた。
『これをどうするのかは君に任せる。ただ、世間に公表する際には、君が生み出したことにして欲しい。私はシャイなんだ』
彼女は書かれた通りに、自分の名義でそれを世界に公表した。
彼女は世界の賛辞を予想し、まるで未来予知の様に、彼女の脳裏にその光景は描かれた。
だが、世界はそうではなかった。
それを絵空事だと言った。
そんなことはありえないと言った。
不可能だと蔑んだ。
所詮は女子供の絵空事だと蔑んだ。
宇宙圏での活動が可能なパワードスーツなど、存在できないと。
彼女は嘆いた。
何故この素晴らしさが分からない。
何故この芸術を理解できないのか、と。
ここで人間はまた、二通りの行動をとる。
一つは所詮世の凡俗には理解できなかったと、諦め自分の懐にその芸術をしまいこむ。
もう一つは、その芸術を他者が理解できるように噛み砕き、その素晴らしさを説明する。
彼女は後者の人間だった。
理解できないなら、できるようにしてしまう。
彼女はまず、どうすれば凡俗たちに理解できるのかを考えた。
凡俗たちに訴えかけるには、センセーショナルな派手さが必要になる。
なおかつ、より鮮烈に凡俗たちの記憶に、意識に残るように。
数分後には、彼女の脳内には完全なプランが出来上がっていた。
その日世界は、正確に言うと日本は絶望に包まれた。
世界中の軍用コンピューターがハッキングされ、二千発を越えるミサイルが日本目掛けて打ち出されたから。
人々は逃げ惑い、絶望した。
その白い、『英雄』が来るまでは。
その『英雄』は空を駆け、瞬く間にミサイルを全て切り伏せ、撃墜した。
かくして日本は救われ、後に『白騎士事件』と呼ばれるこの一件は、それを成しえた『英雄』と、その武装の名とともにあっという間に世界へと広がった。
『英雄』の名は『織斑 千冬』。
後に『ブリュンヒルデ』と呼ばれ、全世界から称えられる女性。
武装の名は『インフィニット・ストラトス』。
後に『IS』と略称され、戦闘用パワードスーツとして全世界から求められる、本来ならば大気圏外活動のための『芸術』だったもの。
「あはははは!!これで世界もあれの素晴らしさを理解してくれるはず!!」
全てを成した彼女は笑う。
狂ったように。
当然のように。
そして世界は『IS』を受け入れ、利用し始める。
製作者である『篠ノ之 束』しか造れないコア、総数467をもとに『IS』は続々と製作され、軍事転用された。
『IS』操縦者を育成するための機関、『IS学園』も設立され、世界は変革されていった。
女尊男卑へと。
『IS』にはある欠陥が存在した。
女性にしか扱えないという欠陥が。
『IS』は現行の全ての兵器を上回る。
それゆえに、『IS』に搭乗できるというアドバンテージを握った女性優位の社会へと変革されたのだ。
なぜ『IS』が女性にしか扱えないのかは、製作者である『篠ノ之 束』にも分からない。
それが分かるのは、『創造者』だけ。
そして『IS』が台頭して数年後。
二人の
片方は『ブリュンヒルデ』の弟、『織斑 一夏』。
もう片方は----------、
「『
まるでそこにいるのが
これから始まる『刀形 件角』の物語。
お楽しみください!