「俺と同じ男か!良かった。正直、このクラスに男は俺だけかと思って心細かったんだ」
「あー、まあ、ニュースで大々的に男が二人ってやってたけど、クラスが一緒になるとは限らないからねえ」
「だろ?」
自己紹介が終わって、フリーな時間。
あいうえお順で並べているはずなのに、何故か知らないけど隣同士の席に座っている僕たち男組み。
おかしいじゃないか。
なんで『お』の人と『と』の人が隣になるんだ。
僕の前の席の人は『川本 美穂』さんで、『か』の人だぞ。
いや、まあ学校の配慮なんだろうけど。
「『織斑 一夏』。一夏でいいぜ」
「『刀形 件角』。件角でいいぜ」
「俺と同じ声になった?!」
僕の特技はものまね。
この程度はちょろいちょろい。
「そういえばお前、ものまねが得意なんだってな。誰とかできるんだ?」
「じゃあ、お昼の有名司会者のものまねをしている時の、カー○北川」
「ものまねのものまね?!」
「今日来てくれたのは、今話題沸騰中のこの方!世界初の男性IS操縦者、『織斑 一夏』君でーす」
「どうもはじめまs、って何やらせるんだよ?!」
「ノッてくれてありがとう」
このネタは相手がノッてくれないと、盛大にスベるリスキーなネタなんだ。
一夏がノッてくれたおかげで、周りの女子には大うけだ。
さて、次は………、よし。
「一夏、好きだ。愛している。弟としてじゃない。一人の男として、お前を愛しているんだ」
「千冬姉?!」
「「「「「「「「キャーーーッッ!!」」」」」」」」
響く女子たちの黄色い歓声。
さっき声を聞いたばかりだが、一文以上の言葉が聞ければ真似できる。
おお、一夏の顔が真っ赤だ。
「件×一ね!」
「違うわよ!一×件よ!」
「ホモキターーーーーーッッ!!!」
「夏よ!私を待っていろ!!」
「今の私(のペン速)は音を超える!!!」
………なぜだろう?
うけたはずなのに、やるネタを間違えた気がするのは。
「ちょっとよろしくて?」
そんな混沌とした環境に落とされる、一杯の冷や水。
金髪縦ロールの、いかにもお嬢様然とした女が、僕たちに声をかけてきた。
「ん?なんだ?」
「なんなんだよーん?」
普通に聞く一夏と、おどけた調子で聞く僕。
実に性格が出ている。
「まあ、なんて返事ですの。わたくしに声を掛けられるだけでも光栄ですのよ。それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」
実際のところ、一夏はともかく僕の態度はそう言われてもしょうがないと思う。
一般的に。
常識的に。
「悪いな。俺、君が誰か知らないし」
「わたくしを知らない?貴方はどうなんですの!?」
「アハハ!もちろん知っているよ」
「そうでしょうとも!」
満足げに胸を張る彼女。
確か彼女は、
「名前は『セシリア・オルコット』。歳は僕らと同じで16歳の女性。身長は156cmで、体重は…女性のを言うべきではないね。イギリスの代表候補生で『IS』適正、及びBT兵器適正はともにA。イギリスの名門貴族のお嬢様で、過去に両親を列車の事故で亡くし、勉強を重ねて周囲の大人達から両親の遺産を守ってきた努力家。その育ちのためかプライドが高く、上品な口調と物腰から大人びて見えるが、根拠の無い自信家ぶりを見せたり、何事にもポーズから入る節があったり、無理な背伸びをするなど年相応に子供っぽい面もある。それと、本人に自覚はないが料理の腕は壊滅的だね。見た目だけを頼りに味見もしないから、作る料理は見た目だけは完璧だけど味の方は………察して欲しいね」
「「「「「「「「……………………」」」」」」」」
おや?
場が白けたぞ?
「す、すすすすすすっっ」
すを連呼するセシリア。
どうしたんだ?
いや、分かっているけど。
分かってやったけど。
「ストーカーですの?!貴方は?!」
「いや、とりあえず国家代表と代表候補生について調べておこうと思って調べたら、普通にイギリス政府のIS公式サイトに転がっていた情報なんだけど」
「なんですって?!」
なんかこう、アイドルをアピールする感じで書かれていた。
「なあ、ちょっといいか?」
「どうしたんだい?」
あまりの事実に慄くセシリアを横に、一夏が話しかけてくる。
どうしたんだろう?
「国家代表とか、代表候補生って何だ?」
クラスの殆どがずっこけた。
今のはちょっと、ジェラシィを感じる。
あんまりといえばあんまりな、代表候補生の扱い。