三解の顔無し   作:逸環

5 / 8
今回はセシリア視点です。


最古の四人。

「「「「「「「「キャアアアァァァァァァァァッッッ!!!!!???」」」」」」」」

 

 

轟く大人数の悲鳴。

その原因は分かっています。

わたくしに撃ち抜かれてバラバラになった、『刀形 件角』だったもの。

しかし、

 

 

「どこに?!どこにいますの?!」

 

 

観衆の目が集まるそれには目を向けず、私は周囲をハイパーセンサーをもフル活用して探知している。

なぜか。

 

 

あんな機械(・・・・・)ごときで騙すなんて!」

 

 

わたくしの『ブルー・ティアーズ』のビームで撃ちぬかれた時に見えた断面。

今でこそ赤い液体で覆われ見えなくなっていますが、あれは間違いなく機械のもの。

つまり彼はあれを囮にしてから、そのステルス性の高さとやらで身を隠して攻撃してくる作戦のはず。

全ては、わたくしに致命的な隙が生まれるその瞬間のために。

 

見る、観る、診る、看る、視る、見る、観る、診る、看る。

ただひたすらに感覚を研ぎ澄まして、見る。

先ほど言っていた言葉が正しく、ハイパーセンサーに映らないのならば見て感じるしかない。

 

そうして、全方位を見ていると、

 

 

「?!」

 

 

突然感じた、強烈な違和感。

今のは…どちらから?

違和感の出所を確かめるため、再び全方位を見る。

今度は、ある特定のところを重点的に。

そして、

 

 

「ッッ!?まさか!?」

 

 

今、確かにそうだった。

間違いはないですわ。

だけど…、嘘でしょう?

 

 

「何で貴方が」

 

 

でも、確かに見えた。

 

 

観客席(・・・)にいるんですの?『刀形 件角』さん!!」

 

「「「「「「「「えっ?!」」」」」」」」

 

「あちゃー、バレちゃったかぁ」

 

 

わたくしが指差した人を、全員が見る。

しかし、誰もそれが彼であるとは分からない。

なぜなら、わたくしが指差しているのは一人の女生徒(・・・)だから。

だけども、私は確かに見た。

 

周囲が騒然とする中一人だけ、舌を出して笑っている(・・・・・・・・・・)のを!

 

 

「ま、バレてくれなきゃ困ったんだけどねぇ」

 

「ッ!?」

 

 

女生徒が自分の顎を掴んで引っ張りますが、それがありえないほど伸びている。

そしてその手が離されると、パチンッ、という音と共に顎が戻り、気が付けばいつもの彼の顔になっていました。

 

 

「どうだい?ビックリしただろう?」

 

「…ビックリなんてものではありませんでしたわ」

 

 

まさか観客の生徒の中に、決闘の当事者が変装をして紛れ込んでいるだなんて。

 

 

「そんなところにいるだなんて、怖気付きましたの?」

 

「いやいや、そんなまさかだよ。『セシリア・オルコット』さん」

 

 

そう言いながら立ち上がり、そのままこちら(・・・)に歩いてくる彼。

ですが、観客席とこちら側はシールドで仕切られているため、来ることはできないはず。

 

そのはずだったのに。

 

 

「『  』」

 

「な?!」

 

 

彼が何かを呟くと観客席のヘリが突如崩れ、一瞬開いたシールドの隙間からそのまま彼はこちら側に侵入、いや、入場してくる。

当たり前のように、自然落下からの軟着地で。

 

いったい、どういうことですの?!

まさか先程までのは全て嘘で、これが彼のISの本当の能力だとでも?!

 

 

「その顔は僕のISの能力が、『今の』だと思っている顔だね?」

 

 

ニヤニヤと、底意地の悪い笑みを浮かべる彼。

その口ぶりは、違うとでも?

 

 

「『今の』は僕自身の技術さ。ISのサポートはあるけどもね。それから謝っておくよ。僕のISの名前が『フェイスレス』なのは本当のことだけど、それ以外は全部出鱈目。僕の『フェイスレス』本当の能力は君の『ブルー・ティアーズ』と同様にビットの操作。ただし」

 

 

彼のISが展開される。

全身を黒に覆われ、まるでマントがはためくかの様な形状をした、複数式のブースター。

そして、その周囲に更に展開される、

 

 

「僕のビットは、少々特殊だけどね」

 

「人型のビットですって?!」

 

 

四機の人型の(・・・)ビット。

それぞれ長い帽子をかぶった鼻の高い老人、マスクにターバンの女性、ギターのような楽器を持った青年、シルクハットをかぶりマスクをした小太りの中年、といった風貌ですわ。

しかし、人型のビットなんてものがあるのですか?!

 

 

「こいつらは『最古の四人(レ・キャトル・ピオネール)』。僕の『フェイスレス』の、一番最初の武装さ。お前たち、自己紹介だ!」

 

 

彼の声で、それぞれが動き出す。

 

 

「『アルレッキーノ』という。楽士だ」

 

 

青年が楽器を奏で、

 

 

「ワシは『パンタローネ』だ」

 

 

老人がアリーナの床をどうやってかくり貫き大玉にして玉乗りをし、

 

 

(オレ)は『ドットーレ』」

 

 

男性はどこからか出したたくさんのボールでジャグリングを始め、

 

 

「『コロンビーヌ』よー」

 

 

女性は本を読み始める。

 

 

「………あら?」

 

 

本を…読み始めた?

 

 

「ちょ?!コロンビーヌ?!何で本を読み始めてるの?!打ち合わせだと僕が拡張領域から出したロープで綱渡りの予定だったでしょ?!」

 

「あら?そうだったかしら?」

 

「そうだよ?!」

 

「「「「「「「「あはははははははははははっっっ!!!!!」」」」」」」」

 

 

コロンビーヌさんと彼のやり取りで観客席が沸く。

その様子にどこか満足げな表情をすると彼は、

 

 

「さて、と。コントはここまでにして、そろそろ始めようか」

 

「貴方が始めたことでしょう?!」

 

 

そんなことをのたまってくれましたわ。

 

ですが、そんなことは、もう関係ない。

これからはただ、彼らを撃ち抜けばいいだけの話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めて、わたくしと『ブルー・ティアーズ』の奏でる円舞曲で踊りなさい!」

 

「さあ!『真夜中のサーカス(ル・シルク・ドゥ・ミニュイ)』の開演だ!!」

 

 

 

 

 




………セシリア視点だと、地の文が難しい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。