Ar iontaoibh muid go dtí an todhchaí 作:指向性
初めて見た村の印象はとても表現し難いものであった。特に栄えているといった雰囲気があるというわけでもなく、廃れているというわけではない。強いてあげられる例があるのであれば、山の中にある小さな村の方が想像しやすいと思う。
「………間違っても俺は農村なんかに来た覚えんかはないんだけどな。」
地図を取り出して来た道の経路を確認して見ては、自分には何も落ち度がない事を再確認する。この近くに武器を取り扱っている村もないのを考えれば、此処以外に行けないと妥協する事にした。
道を進んで行けば5つ、6つの建物に近付いて何処に武器が売っているのかと思い、手頃の建物には食糧や建築などに使うようなものがあるばかりで武器がない。村人に聞いてみると
『あんなのにかかわるな』『すまないが関わりたくないのでな…』『あんな奴がこの村に…』
全く答える気がないかのような反応ばかりであった。もしかしたら嫌われているのかもしれないな、可哀想な鍛冶屋だぜ、うんうん。道端で遊んでいた子供達に聞いてみると
『彼処には化け物が住んでるんだー』『あの森に入っちゃダメって言われてるのっ』『危ないからお兄さんも行っちゃだめだよー』
うん、子供に聞くと子供特有の言葉で返してくるから読み解くのが面倒くさい。あー…簡単に考えると森の中…そしてその奥の中に武器屋はあるみたいだな。子供達に適当にお菓子でもあげておさらばした。割と子供は苦手だよ、俺。
森の中に入ってから出来うる限り普通の道を通ろうとしたのだが、いかんせん場所が場所なだけに獣道しかなかったのでそこを通る事にした。そして、何分か歩き続けていると何処からか男の怒鳴り声らしきものが聞こえてきた。
「あー…これは面倒な事になりそうだ…」
そう愚痴を零す様に呟いては姿勢を変えて、全速力で走り切る様な形でその声が聞こえてきた方に走り出した。そして、森を抜けた所には一個の鍛冶場があった。其処は何処か、この場所には不釣り合いだと言えるほど無骨な建物だった。
「何故、俺達に刀を売れないっ!」
先ほどの怒鳴り声の主と思わしき男がその鍛冶場の前に立つ、武器職人と思わしき人物に文句を言っていた。…その程度でキレるなよ。牛乳飲んでろ、ボケナス。
「……理由ですか……?理由があるとすれば貴方達の事を何一つ知らないと言った点が挙げられます。」
「この姿を見ても俺達の実力が分からないのか?俺達は武において最強とも名高い焔心なんだぜ?」
「…話が通じていませんね。これだから下郎は……。申し訳ありません。僕の言葉足らずでしたね。僕が申し上げたい事は、貴方達の武力の有る無しではなく貴方達の心の中身が分からないと申しているんです。例えば貴方達が極悪人だったとしたらその刀は悪党に使われた刀という印を押されてしまいますからね。」
「あっ?何を言いたいのかよく分からねえな?」
「単純明快に答えて差し上げましょう。作る気などない、と受け取って貰って構いません。……そうそう、其処にいる人には少しばかりは可能性がありますが。」
いつ話が終わるのかなと傍観していた俺をいきなり指差して言ったその言葉に驚きながらも、これはとても不味い事態になりそうだなと知覚した。でも、それが分かったところでどうしようもないのだが。
「へー、という事はあの糞ガキを殺してしまえば俺達に可能性があるって事と一緒だよなっ」
自分が予想していた通りの血の気の多い連中だった。人の話くらい聞ける連中だったら楽だったのに。襲いかかる三人の兵に対して俺は相対した。
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