Fate/Radiant of X   作:ヨーヨー

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そろそろ平成ジェネレーションズでキャスト解禁とかないかな~と心躍らせながら完成した73話でございます!


第73話

「慎二君…桜ちゃん…」

 

 

傷だらけである自分の姿を見て駆け寄る義弟と義妹の名を弱々しく口にする間桐光太郎。2人の命を握っていると脅迫したボスガンから受けた攻撃が後になって響いた訳でも、無事である事に緊張の糸が切れた訳でもなかった。

 

慎二と桜が生きて、自分の前に立ってくれている事に光太郎は胸を撫でおろすべきなのだろう。

 

しかし、相反して光太郎の表情は暗いものだ。彼の様子に慎二と桜は怪訝な顔を浮かべるが、次に聞こえた光太郎の言葉で、理解してしまった。彼の抱いた思いを。

 

 

 

 

「なって…しまったんだね…」

 

 

 

「っ…」

 

 

 

「…………………」

 

 

 

ぼそりと光太郎の口から漏れた一言に、全てが込められていた。

 

 

義兄の顔を見て察した桜は息を飲み、慎二は無言で目を逸らす。

 

 

 

離れた場所から不穏な空気を醸し出す間桐兄妹を見る仮面ライダー武神鎧武…赤上武は自分を見て警戒する怪魔獣人ガイナニンポーなど視界に入れず、数日前の出来事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

「俺は反対だ」

 

 

短く言い切った間桐光太郎の目は、いつになく鋭いものとなっていた。敵であるクライシスの怪人が現れたとしても同じ目つきにはならないだろう。

 

彼を知る人間ならば到底信じられないであろう怒気を込めた視線を受けながらも、赤上武は深く息を吐いた。

 

彼の性格…いや、彼の辿った道を考えればまず頷くとは思えない話を武は提案したのだから。

 

 

(光太郎殿なら、当然の反応だろう)

 

 

武が光太郎に示したのは、異界の協力者 葛葉紘汰から受け取った2つの道具…ガイアメモリとウィザードリング。

 

 

そのどちらも、ただの人間を戦士へと変える力を持つ。戦士の名は、異世界でもこう呼ばれてしまうのだ。

 

 

『仮面ライダー』と。

 

 

 

武は2つの道具を慎二と桜に託し、両名にこれから先現れるであろう怪人達と互角以上の戦いができるようにと光太郎に話したのだが先の発言通り、光太郎は良い顔をせず…逆に反対の意を表した。

 

 

 

 

「武君の言う通り、その道具があれば慎二君と桜ちゃんは強くなれる。けど、それは人間の範疇を完全に超えるものだ。俺は…賛成できない」

 

 

 

 

光太郎の懸念は武も理解できる。大きすぎる力は人間を必要以上に危険な存在へと昇らせてしまうのだ。現に武も変身時に使用するロックシードの力に溺れたことで悪鬼羅刹と成り果て、取り返すのつかない悲劇を生み出してしまった過去がある。

 

送り主が信頼たる人物からであっても、突然手に入ってしまった力に魅入いられてしまう可能性も決してゼロではない。

 

そして、大きな力はより大きな力を呼ぶ。

 

これまでの戦いで慎二と桜は敵の雑兵ごときであれば難なく倒す程の実力を身に付けてきたが怪人となればその場を離れ、光太郎のサポートに回っていた。しかし、互角以上に戦う力を手に入れた時、あの2人は確実に戦うだろう。

 

心許した友や、憧れた人。大切な人々を護る為に。

 

 

だからこそ、光太郎は受け入れられない。

 

 

仮面ライダーの戦いは常に死と隣り合わせであり、この先クライシス帝国との闘いは激しさを増す一方のはずだ。

 

 

怪魔界へと桜を救出に向かった時も、光太郎の新たな力が覚醒しなければ敵に捕らわれた桜どころか、同じく助けに向かった慎二ですら死んでいたのかもしれない。地球に残った武も、敵の戦法を利用した協力者の救援が無ければ全滅していたはずだ。

 

 

辛勝とはまさにこの事。敵は必ず自分達を研究し、上回る手段で打って来るだろう。

 

 

例え力を手にいれたとしても、この先に現れる敵に太刀打ちできなかったら…

 

 

 

 

光太郎の脳裏に、偽物とは言え桜が星騎士の1人に惨殺された光景が蘇る。

 

 

桜のクローンが胸を貫かれ、心臓を握りつぶされた挙句に無残に命を散らした後継を。血の池に沈んだ亡骸を、狂ったように笑い眺める敵の姿を。

 

 

(…っ)

 

 

あんなことを、決して繰り返してはいけない。起こしてはいけない。

 

 

慎二と桜には、これまで通りの生活を。そして戦うとしても『人間』のままでいて欲しい。

 

 

あの名を名乗った瞬間から、2人は戦い続ける覚悟を背負わなければならない。光太郎のように肉体そのものを作り変えられるのではなく、外的要因によるものでも力と姿は、紛れもなく『異端』となってしまう。

 

 

そうなって欲しくないと願い、拳を強く握る光太郎。だが、どこかでそれとは違う考えを巡らせていた所を、武が指摘してしまった。

 

 

 

「…光太郎殿の考えも痛い程分かる。しかし、だからこそあの2人は力を持つべきではないだろうか?」

 

 

「それは…!」

 

 

光太郎が言った真逆の意見を出す武の意見に、光太郎は口を噤んでしまう。武の言い分はまさに光太郎が浮かべてしまったもう一つの結論だったのだから。義弟と義妹には戦う力を持たせたくない。しかし、力は何も戦う為だけに存在する訳ではない。

 

 

「力を制するには、同じ力しかない。それは、光太郎殿が一番分かっているはずだ」

 

「………………………………」

 

「乱暴な言い分だと、俺も分かっている。だが、今のままでは2人は自分の命すら守れないかもしれんのだ」

 

 

語気を強める武。

 

 

敵は狡猾にして残忍。ゴルゴムの時のように、光太郎の目の前で慎二や桜の命運をチラつかせるのではなく、遠く離れた場所…宇宙や異世界まで連れ去られてしまった場合には、光太郎に駆け付ける手段はない。

 

そのための抑止力であるという武の意見に、光太郎は逡巡するばかりで反対も、賛成もできない。

 

 

「…慎二殿も桜殿も、力に溺れるような弱い心を持っている訳ではない。光太郎殿を見て力を持つ者の覚悟と恐れを、誰よりも理解しているはずだ」

 

「俺を…?」

 

 

ゆっくりと頷いて見せる武は、光太郎のいない場所で慎二と桜から聞かされていた。光太郎が戦いを終えた時の疲れ切った表情や、ふとした時に吐露した後悔を。

 

 

まだ仮面ライダーと名乗り出したばかりの頃。敵対する怪人を倒す、自分の行動は本当に正しかったのか。彼等も自分同様に利用さる為に本来の姿を変えられただけではないのか。力を持たされた故に全てを失い、敵を倒す事に慣れていく自分という存在は、間違っているのではないか…?

 

 

 

光太郎が口に出さなくとも長い年月を共に過ごした慎二と桜には、彼の抱く本来持つべきではない忌むべき力への葛藤が痛いほど伝わっていた。

 

 

 

『だからって、気を使ってほしいって訳じゃない。知ってほしかっただけだ』

 

『光太郎兄さんがどんな気持ちで戦っているのかを。同じ、仮面ライダーである武さんに…』

 

 

 

 

 

人間には過ぎた力を知る慎二と桜だからこそ、協力者に提供された力を持たせるのだと、武は確信を持って光太郎へと進言したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あの後、2人には御守り代わりだと持たせ、使用方法は伝えたかった。だが、放たれた刺客を退けてここにいるという事。そして光太郎殿の言葉に反応したという事は…)

 

 

間違いなく、慎二と桜は変身したのだろう。

 

 

光太郎はメモリとリングを持たせることへ最終的には了承した。しかし、2人が自ら使い方を気づくまで決して真実を伝えないという条件を付けての事だったが、結果2人は気づいてしまう。

 

 

結局、彼等をまた大きな戦いに巻き込む事になってしまったと下を見る光太郎に続き、かける言葉を失ってしまった慎二と桜。

 

 

訪れた沈黙を破ったのは、やはり2人だった。

 

 

 

 

「光太郎…勘違いするなよ。僕たちは、自分で選んだんだ」

 

「…はい。誰かに言われた訳でもなく、私達が望んで手にしたんです」

 

「けど…」

 

 

力なく声を発する光太郎へ、慎二と桜はそれぞれ託された道具を…ガイアメモリとウィザードリングを手にした。

 

 

 

「それに、送り主にも言われたよ。力ってのは使用する奴の心で左右されるって。光太郎は僕らがそんなことでブレる腑抜けだと思ってたのか?」

 

「そんな事…!」

 

 

慎二の質問に反論しようと顔を上げる光太郎は、続けて笑顔で語る桜の言葉に目を丸くしてしまう。

 

 

「安心して下さい。力を持って、姿が変わったとしても私達は私達です。そう教えてくれたのは、光太郎兄さんですよ?」

 

「…っ」

 

 

言葉が出ない。

 

 

光太郎の危惧は今でも変わりない。戦い続ける存在『仮面ライダー』となってしまった慎二と桜は、この先否応なく戦う事になるだろう。

 

 

それでも、慎二は力に負けないと言った。桜は変わらないと言った。

 

 

 

「これは先の話…もし、僕らが光太郎が恐れたような展開に陥ったら…全力で止めてくれ」

 

「その代わり、光太郎兄さんが変な考えを持った場合、私達が絶対に止めて見せます!」

 

 

だから、心配は無用だ。

 

 

そうだ。

 

 

これまでの戦いでも、散々2人には助けられたというのに、光太郎は2人には力を扱えないと勝手に決めつけ、最悪な方向へとばかり考えいた。これでは、武の方が2人を理解していたと言えるだろう。

 

 

(全く、情けない長男だよ…俺は)

 

 

 

「なっ…!?」

 

「兄さん…?」

 

 

 

慎二と桜は不意に自分達の後頭部に手を回し、抱き寄せた光太郎の行動に驚き声を上げてしまうが静かに呟く光太郎の声を聞き、身を委ねてしまう。

 

 

 

「ごめん…ありがとう…」

 

 

 

「…暑苦しいんだよ。ったく…」

 

 

「フフ…」

 

 

 

 

抱擁され文句は言いつつも振り払わない慎二がついおかしくて笑ってしまう桜。こうして、義兄に抱かれるのはいつぶりだろうと思い出す桜の耳に、金属同士が強くぶつかり合う音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええぃ、相手は1人なのだぞ!?何をもたついている!!」

 

 

 

「全く無粋な輩共だ。兄妹が絆を深め合っているというのに…」

 

 

 

 

 

呆れたと言わんばかりに溜息を吐く武はそんな声とは裏腹に、次々と攻撃を繰り出す怪魔獣人たちの猛撃を紙一重で回避し、無防備である光太郎へと襲い掛かろうとした敵を1人で防いでいた。

 

指揮官であるボスガンがバイクから降り、光太郎の元へ2人が駆け寄って会話を始めた辺りから不意打ちをしかけるよう命令を下すが、読んでいた武に阻止され今に至っている。

 

 

二振りの刀でガイナカマキルの鎌を、ガイナギンガムの爪を、ガイナニンポーの棒を防ぎ、弾く武の戦闘を見て改めて脅威を抱くボスガンだが、反撃はできまい。このまま消耗したところで自分が止めをさせば…

 

怪魔稲妻剣を両手で構えるが、本来の標的である怨敵の声が工場内に響き渡る。

 

 

 

 

 

 

「ボスガンッ!!」

 

 

「ぬぅッ!?」

 

 

 

その一声に、名を叫ばれたボスガンや戦闘を繰り広げていた怪人達が同時に顔を向ける。武だけが振り向かず、仮面の下で静かに笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

間桐光太郎を中心に、右隣には間桐慎二・左隣には間桐桜が並び立つ。その表情に、武が見た迷い等は一つもない。

 

 

むしろ垢抜けたように晴れやかな表情だ。

 

 

 

「おい、敵に向かって笑うなよ気持ち悪い」

 

「ハハッ手厳しいな慎二君」

 

「武さん一人だけじゃ大変なんです。早く助けましょう」

 

「ああ、そうだね」

 

 

間桐家で見せる日常のやりとりを見せた3人は、異なる動作を始めた。

 

 

 

 

 

懐から取り出したガイアドライバーを腹部に当て、自動装着させた慎二はガイアメモリのスイッチを力強く押し込む。

 

 

 

 

 

《TRIGGERッ!》

 

 

 

 

メモリをドライバーへ装填し、鼓動を思わせる待機音が鳴り響きく。

 

 

 

 

≪ドライバーオン、プリィーズ!≫

 

 

 

 

 

右手の中指に指輪を装着し、腹部へ翳しメイガスドライバーを召喚。さらにバックルの左右にあるレバーをスライドさせた桜は、続いて左手の中指にフレアのリングを装着。指輪のバイザーを下ろした。

 

 

 

 

 

≪ シャバ・ドゥビ・タッチ・ヘンシーンッ!シャバ・ドゥビ・タッチ・ヘンシーンッ! ≫

 

 

 

 

 

 

「…………………」

 

 

 

目を閉じ、力を集中させた光太郎の腹部に赤い王石を宿したエナジーリアクターを中心としたベルトが出現。これまでと違うベルトの出現に驚く2人に、光太郎は悪戯を成功させた子供のような表情を浮かべる。

 

 

 

 

「どうせなら一緒に、ね?」

 

 

「ったく…」

 

 

「兄さんったら…」

 

 

 

 

これから叫ぶ言葉は、戦いに赴く自分の心と、姿を変える為のもの。

 

だというのにこの緊張感の無さは、流石と言うべきか。

 

 

苦笑を浮かべる桜と目を合わせた光太郎は共に頷き、呆れながらも待ってくれる慎二へと視線を移すと、やはり同じく頷き合う。

 

 

 

そして光太郎が左手を腰へと添え、右手を素早く左下へと空を切り、腰へと引き戻すと同時に左手を右上へと突き出す。

 

 

扇を描くように腕を伸ばしたまま右から左へと旋回。

 

 

 

 

 

その言葉は、同時に叫ばれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『変身!』

 

 

 

 

 

 

《TRIGGERッ!》

 

 

 

 

装填したドライバーの一部を押し倒し、解き放たれたエネルギーを纏った慎二は青い装甲に包まれる。

 

 

 

 

≪フレア、プリーズ!メラ…メラ…メラ・メラ・メラァ!!≫

 

 

 

 

バックルへと翳し、輝きを放つ指輪を装着した左手を点へと向ける。頭上に出現した魔法陣を通過した桜の身体を魔法石で編まれた鎧と黒いスーツを纏う。

 

 

 

 

 

ベルトから放たれた光により、光太郎の身体は一瞬バッタ男へと変貌した直後、強化皮膚リプラスフォースで覆われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんだと…」

 

 

 

ボスガンは悪夢を見ているのかと声を絞り出す。

 

 

茫然と眺めていた怪魔獣人も同様だ。

 

 

この場にいる仮面ライダーは間桐光太郎と赤上武の2人だけだったはずだ。だが、目の前に並び立つ者達…容姿はまるで異なるが、全員が仮面ライダー。

 

 

 

青の身体に赤い複眼を持つ仮面ライダートリガー。

 

 

 

黒いロングスカートを靡かせる仮面ライダーメイガス。

 

 

 

そして黒曜の戦士、仮面ライダーBLACK。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、敵さん同様してるようだが、まだ終わりじゃないよな?桜」

 

 

「はい、当然です!」

 

 

 

胸に装着されたトリガーマグナムを握る慎二に同意した桜は空間操作によりメイガスソードボウを亜空間から取り出し、アローモードへと移行。

 

合図一つすることなく、同時に光太郎の頭上を狙い撃つ。

 

当然、慎二たちに打ち抜かれた天井は爆発音とともに大穴が空き、穴からは橙色の光が降り注ぐ。

 

 

既に夕刻となってしまったが、それは紛れもなく太陽の輝き。

 

 

光を浴びた光太郎は天へと手を伸ばし、唱えた――

 

 

 

 

 

 

 

「太陽よ…俺に力をッ!!」

 

 

 

光太郎の赤い複眼の奥で光が爆発する。

 

 

 

体内に宿ったキングストーンの力と光太郎へと降り注ぐ太陽の力が融合した『ハイブリットエネルギー』により光太郎のベルトは2つの力を秘めた『サンライザー』へと変化。

 

 

 

サンライザーから放たれる2つの異なる輝きが光太郎の全身を包み、彼を『光の戦士』へと進化させた。

 

 

 

黒いボディの一部が深い緑色へと変わり、胸部には太陽の力をエネルギーへと変換する『サンバスク』が出現。よりバッタへとイメージが近づいた仮面、より強く光る真っ赤な目を思わせる複眼と一対のアンテナ。

 

 

 

再び右手を天に翳した光太郎は敵に向かい、名を轟かせた。

 

 

 

 

 

「俺は太陽の子ッ!」

 

 

「仮面ライダーBLACK!!RX!!!」

 

 

 

 

ついにその姿をRXと変えた光太郎は動揺するボスガンを指さし、これまでの策略に対する怒りを込め、言葉を発するのだった。

 

 

 

 

「ボスガンッ!貴様のような卑怯者は俺達が断じて許さん…覚悟しろッ!!」




中々同時に変身と叫ぶにはタイミングが難しいんですよね~あの3人。これに武も加えた場合はどうしよう…

それではまた次回!お気軽に感想など頂けたら幸いです!
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