13番目のナンバーズ   作:御免寝

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学校が始まりました。
これはその前に書き上げたもので、前回書いたとおりこれから投稿ペースが落ちます。待っていただけると嬉しいです。

今回はサブタイトルでわかるとおり、彼女が出ます。

今回も楽しんでいただけると幸いです。


12 ウェンディ

「はいダメ~。最初からやり直し~。つーかこの距離で外すんじゃねぇよ」

「え~。レディは厳しいっスよ。9割当たってるじゃないスか~」

 

スカリエッティのラボの訓練施設。

そこには金髪の少女と、赤い髪を後頭部でまとめた少年的な容姿を持つ少女がいた。

一人はナンバーズの№13レディ。

もう一人は№Ⅺウェンディである。

 

№Ⅺウェンディ-2ヶ月前に稼働した新しいナンバーズ。IS【エリアルレイヴ】を駆使し、固有武装【ライディングボード】を、盾のように使ったり、浮遊させて高速飛行移動を行う乗機としたり、砲撃をしかけたりできる。戦闘タイプはレディと同じ前衛での射撃である。

稼動テストや調整も無事終了し、現在は戦闘タイプが似ているレディと特訓中である。

 

「はぁ?この距離で全弾当てられないとか、お前の存在価値ねぇよ?」

 

現在、レディとウェンディは空中に表示される仮想敵を狙撃する訓練を行っている。

ウェンディの場合、標的が動かなければ百発百中なのだが、標的が複雑な動きをしだすと途端に当たらなくなる。

 

「お前もディエチと同じだな。実戦じゃ敵が止まってるなんてありえねぇからな?あといくら標的がプログラムとはいえ、動きの予兆はある。それを読み取って先読みして射撃しろ。何のためのハイスペックの体だ?」

「それが難しいんスよ。レディはどうやってるんスか?」

「私?勘」

「……」

 

レディの予想外すぎる言葉に思わず呆然とするウェンディ。

 

「あと、お前は標準が遅ぇ。そんなんじゃ動きが速い奴だと先読みしても当たんねぇぞ。もっと早くしろ」

「無理っス。もういいっス。私はタクシーになるっス」

 

そう言いながらウェンディはライディングボードに跨った。

それを見ながらレディは口を開いた。それを見てため息をつくレディ。

 

「仕方ねーな。そんなに射撃練習が嫌なら、トーレとか私との実戦訓練に行くか」

「あー!!レディと射撃の特訓がしたくなったっス!!」

 

即答するウェンディ。トーレの恐ろしさは稼働3ヶ月でも、既にウェンディの脳裏に刻み込まれていた。

 

模擬戦開始とともに吹き飛ばされ、訓練スペースの壁の一部になった記憶。

射撃を全弾避け、顔にうっすらと笑顔を浮かべたトーレが向かってくる記憶。

左右上下、自分を囲むように展開されたスフィアが一斉に向かってくる記憶。

どんな射撃をしても、必ずその一歩先を行った技術を見せてくるレディに馬鹿にされた記憶。

 

いままでに経験したことが走馬灯のように蘇ってきて、ウェンディは自分の体を抱きしめた。

 

「だが、断る」

 

しかし、そんなウェンディを見て、レディはさらに実戦訓練がしたくなった。

 

「お、鬼!い、嫌っス!!レディとトーレ姉と実戦なんて絶対嫌っス~!!!特にトーレ姉とはやりたくないっス!あの人は絶対Sッッス!笑みを浮かべながら殴って来るんスもん!!」

 

「あ……」

 

ここでレディは気付いた。ある存在に。おそらくウェンディと実戦訓練をするために訓練状況を聞きに来たのだろう。

 

「いや、それは言いすぎだろ。トーレだって私たちのことを思って、あえて心を鬼にして厳しい訓練をさせているんだ」

「何言ってるんスか、レディ!?トーレ姉の弁護をするなんて!!殴られすぎて頭が逝かれちまったんスか!?」

 

レディは自分の保身に走っていた。そしてウェンディは順調に地獄への一本道を爆走していた。

 

「あれは心を鬼にしてるんじゃなくて元々鬼なんス。もしくは戦闘狂っスね。戦いたくて戦いたくて仕方ないんスよ!そんなに戦いたいんなら管理局に突撃でも仕掛けろって感じっスよね!アハハハハ!!」

 

 

「フハハハハハ」

 

 

「…ははは…マジっスか、レディ?嘘っスよね?」

 

後ろから聞こえる薄気味悪い笑いを聞いて、ウェンディも流石に後ろの存在に気付いたのだろう。レディに問いかける。

 

「おう、トーレ。ウェンディの射撃訓練は終了したぜ」

 

しかし、レディの口から告げられた名前は、ウェンディが今一番聞きたくない名前だった。

 

「うむ」

 

トーレは返事をしながら、レディから送られたウェンディの訓練結果に目を通す。そして最後にウェンディに目をやった。

 

「ウェンディ」

「は、はい!なんでございましょうか、トーレお姉さま!?」

 

名前を飛ばれたウェンディは、直立不動のまま大量の冷や汗を流している。喋り方も『~っス』という癖が治り敬語になっている。

 

「疲れはないか?稼働に問題はないか?何か気になることあったか?」

「へ?あ…だ、大丈夫っスけど……」

 

トーレの意外な質問に困惑するウェンディ。しかし、ウェンディはこの質問の意味をトーレの次のセリフで完全に理解した。

 

「よし。では足腰が立たなくなるまで戦闘訓練をしてやる。来い。どうやら私は戦闘狂で戦いたくて戦いたくて仕方がないらしい。そして私は今ウェンディとどうしようもなく戦いたいのだ」

 

そう言ってトーレはウェンディの襟首を掴み、戦闘スペースへ移動を始めた。

 

「待ってくださいっス、トーレ!!話を聞いてくださいっス!!」

「なんだ?言ってみろ」

「…えと…その……冗談だったんス……」

「……ちょうど基礎フレームに影響が出るとどうなるか気になっていたんだ。ウェンディで試すとしよう」

「ギャアアァァァアアアっス!!レディ、助けてくださいッス!!!」

 

下手な言い訳は、火に油を注ぐだけなので気を付けましょう。非は素直に認めることが大切です。

 

レディは心の中で合唱した。

 

 

そしてラボにはウェンディの断末魔の叫びが響き渡った。

 

 

 

■■■

 

 

 

「……」

「……っ…」

 

そこには二つの物体があった。

片方は完全に沈黙しているが、もう片方はピクピク痙攣している

 

「なんだこりゃ?これがなんだか知ってるか、セイン?」

 

レディはその物体を指差して、セインに聞いた。

 

「ううん、知らない。なんだろうねコレ」

 

そう言いながらセインは転がっている物体をつま先でつついた。

 

「……っ!!」

 

そうすると、先程までピクピク痙攣していた物体が突然動き出し、セインの足を殴りつけた。

 

「おっと、危ない」

 

避けるセイン。しかし、動き出した物体は、今度はレディに向かっていった。

 

「お?おお?何だ、お前、っと!?ノーヴェじゃん!」

「嘘つけ!!最初から気付いてたくせに!!」

 

ピクピク痙攣していた物体。それはノーヴェだった。

 

「いやいや分かんねぇって。お前うつ伏せで痙攣してた上に、体土まみれじゃん。どったの?」

「―――っ!……なんでもねぇよ!!」

 

レディが聞くと、ノーヴェは動きを止め苛立ったように叫んだ。

レディはそれで悟った。

 

「あぁ。またクイントに負けたんだ?」

 

稼働テストが終わった日から続いているノーヴェVSクイント・ナカジマ。

ノーヴェの連敗記録はとどまることを知らず、伸び続けている。しかし、技術は順調に伸びており、「いや~、しんどくなってきたわ~。そろそろ無傷じゃ勝てなさそう」とはクイント・ナカジマの弁である。

しかし、調子付かせないために、その言葉を聞かされていないノーヴェはクイントに負けるたびに、不機嫌MAXである。

今回もそれのようだ。

 

「うるせぇ!!てめぇには関係ねぇだろ!!」

「『戦闘機人とただの人間の違いを思い知らせてやるぜ!!』」

「て…てめぇ……!」

 

レディに微妙に似ているモノマネをされて、レディに飛びかかるノーヴェ。

 

「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ♪」

「テメェェェェェェ!!」

 

 

 

■■■

 

 

 

レディがノーヴェをからかっている一方で……

 

「この物体生きてるかな?」

「……」

 

セインは残ったもう片方の物体を眺めていた。

 

「ちょいちょい」

「……」

 

指先でつついても反応が無かった。

 

「返事がない。ただのアホの子のようだ」

「…誰がアホの子ッスか……?」

 

その言葉は聞き逃せないと反応してしまった物体。

 

「おー。ウェンディじゃん。全く気づかなかったよ」

「嘘つくんじゃないっス……」

 

それはウェンディだった。

しかし、体を守っている戦闘服はボロボロで、ウェンディ自身もかなり参っているようである。精神的に。

先程から言葉に全く力がない。

 

「ボロボロだけど、どうしたの?」

「そうっス!聞いてくださいっス!!…ってイタタタタタタ!?!?」

 

ウェンディはセインにこうなった経緯を説明しようとセインに詰め寄ろうとしたが、痛みのあまりに再び地に沈んだ。

 

「そのままでいいから」

「わかったっス。実はトーレ姉と実戦k「分かったから、もう言わなくていいよ」…………そうっスか…。そうっスよね、分かるっスよね」

 

セインは『トーレ』と『実戦』という言葉を聞いて、何があったかを即座に理解した。

 

「まぁ、厳しいもんねトーレ姉。私も出来るだけ戦いたくないし……」

 

 

「そうか」

 

 

そこに当のご本人の声が響いた。

 

「…ウェンディ……」

 

トーレの声を聞いた瞬間、セインはウェンディに助けを求めた。

しかし、ウェンディはもうどうしようもない、とでも言うように首を振っていた。

 

「その弛んだ心を叩き直してやる。来い!」

 

「ディープダイb「【ライドインパルス!!】」…にああああぁぁっぁっぁああ!?!?」

 

セインはトーレに捕まりそうになった瞬間、ディープダイバーを発動しようとしたが、その前にライドインパルスを発動したトーレに殴り飛ばされた。

 

 

ウェンディはそれを見て、1時間前の地獄の実戦を思い出してしまい、涙を流しながら震えていた。

 

 

 

■■■

 

 

 

「……」

 

その様子を眺めている女性がいた。ナンバーズの№Ⅰウーノである。

ノーヴェをからかっているレディとレディを追い回しているノーヴェ。そしてピンポン玉のように殴り飛ばされているセインと殴り飛ばしているトーレ。何故か泣きながら震えているウェンディ。

ウーノはそれらを眺めながら一言呟いた。

 

 

 

 

 

 

「……馬鹿ばっかり」

 

 

 




ウェンディ!!いいよねウェンディ!!!

今までのナンバーズは書きにくい。
やっぱりウェンディとノーヴェがいないとね!!

他のナンバーズはどうしようか悩んでいます。
これ以上は作者の腕的に限界な気がするのです。出来るだけ出したいですけど
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