13番目のナンバーズ   作:御免寝

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研修の合間を縫ってちょこちょこと書いてみました。


うん、相変わらず話が進んでないね……


まぁ、楽しんでいただけると幸いです。


14 パーティー

「なのはちゃん、魔導師ランクS取得&フェイトちゃん、執務官合格おめでとーーーーー!!!」

「「「「「「「おめでとーーーーー!!!」」」」」」」

「……おめでとー」

「「……」」

 

ミッドチルダのとあるファミレスっぽい雰囲気のお店『Low Cost Pofermance』通称『LCP』

 名前が示す通り商品の値段と速さにとことんこだわった、小遣いの少ない若者や安月給な社会人に有名なお店である。しかも、安い=不味いというわけでもなく、むしろ美味いくらいであり、それも人気に拍車をかけている。雰囲気自体も全体的に明るく、スピーカーから流れる穏やかなBGMが店全体を穏やかにしている。店舗自体もなかなかな大きさを誇っており、近々二号店を開くのではないかと言われている。

 そして、そんなお店の一角を多数の女性が占拠していた。ご丁寧に『祝・Sランク、執務官合格』という垂れ幕まで下がっている。

 そう、本日は高町なのはのSランク合格、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンの執務官試験合格のお祝いパーティーなのだ。参加メンバーは祝われる本人であるお二人に幹事を勤めている八神はやて、そしてはやての家族であるヴォルケンリッター、親友とも言えるユーノ・スクライアである。本来ならフェイト・テスタロッサ・ハラオウンの家族であるクロノ・ハラオウンやリンディ・ハラオウン、友人であるエミリッタ・、八神はやての兄姉代わりとも言えるカリム・グラシア、ヴェロッサ・アコーズなども参加する予定だったのだが、仕事などでどうしても都合が合わず、このメンツだけで開催することになったのだ。

 

 そして本日のメインである二人は、サプライズということで突然祝われたため阿呆みたいにぽかーんと口を開けていたが、時間が経つにつれ周囲の友人たちに告げられた言葉を理解し始めたのか、口を両手で抑え目にうっすらと涙を浮かべ始める。

 

「おいおい! 泣くんじゃねぇよ、今日はせっかく用意したパーティーなんだぜ!!」

「ヴィータの言う通りや! ウチらが用意したんは泣かせるためちゃうで?」

「うむ」

「主の言うとおりだ、高町、テスタロッサ」

 

 なのはとフェイトは、友人から告げられたその言葉を聞き、顔を見合わせる。そして互いに頷きあって振り返り、満面の笑顔でこんなに嬉しいサプライズを用意してくれた掛け替えのない親友たちに告げるのだった。

 

「「ありがとう!!」」

 

 ―――、と―――

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 そんな心温まる場面を冷めた視線で見つめている少女が一人。確かに先程のやりとりは心温まるものだった。

 なのはは『お前はマゾか?』と思わず聞きたくなるようなリハビリを繰り返し退院をしてからのSランク習得。フェイトは親友の入院といった不幸な出来事を乗り越え3度目にしての執務官合格。そして友人たちのサプライズパーティー。ああ、確かに実に感動的である。これだけの要素が集まれば二人が泣いてしまうのは仕方ないだろう。そして、こんな砂糖が自然発生しそうな甘ったるい雰囲気が流れてしまうのも仕方ないだろう。普段は凛とした雰囲気を纏っているピンク色の髪をしたイケメン―シグナムも口元に微かな笑みが浮かんでいるし、寡黙な犬―ザフィーラも優しげな瞳で二人を見つめている。

 

 ―――が、それはあくまで身内であり、親友とも言える間柄だから言えることである。

 

 パーティーの内容を一時間前に聞かされ、強引にパーティーに参加させられた、殆ど接点のない知り合い程度の人物がここにいたなら?

 言うまでもない。

 気まずい雰囲気マックスである。

 そして、この場にはそんな場違い感が果てしない少女がいた。

 

 ―――レディである。

 

 やってらんねー、とでも言うようにテーブルに頬杖をつきながら、グラスのアップルジュースをストローで啜っている。

 

「な~に一人でこんな隅っこでジュース啜っとるん?」

 

 そしてそんなレディを目ざとく見つけて話しかけるはやて。

 

「いや、こんな知り合いもロクにいない状態でどう楽しめと?」

 

 パーティーに参加しているメンバーで、レディと知り合っているのはなのは、フェイト、はやて、ヴィータの四人だけである。そして総メンバーはレディを抜いて8人。つまり、半分は会ったことすらない人物である。その上、この四人とも知り合い以上の関係になったとは言いにくい。名前を言い合えば友達とか抜かしていたが、そんなことで友達になれるなら学校始めの自己紹介でみんな友達である。いじめなど起こるはずもなく担任マジ歓喜だろう。

 流石に愉快犯であるレディも、この微笑ましい雰囲気がぶち壊す気はなれない。故に端っこで寂しく飲み物を啜っているのだ。

 

「……つーか、なんで私ここにいんの?」

「私が連れてきたからや!!」

 

 ついつい分かりきった質問をしてしまったレディに、元凶であるはやては即答する。レディの現在の状態をその目で見ながらの一言。罪悪感の欠片もなかった。

 そう、レディがこの暖かな雰囲気が漂う場にいるのは、はやてが原因だった。

 

 あれは約一時間前のことだった。

 

 

 

 

 

 

 レディはミッドチルダを歩いていた。

 特に理由はない。強いて言うならクイントが写真写真うるさいからだろうか。ここ一年でレディが撮った写真の枚数はアルバム一冊分に相当するというのに、クイントの要望は止まるところを知らない。しかも、クイントは気に入った写真を壁という壁に貼り付けている。お前はどこかのストーカーか、と言いたくなる。ノーヴェが模擬戦の仕返しに写真を一枚ベリっと剥がしたら、その瞬間クイントの鉄拳によって、ぐちゃっと壁の一部になったのは、見る側としてはかなりの爆笑ものだった(見られる側としては生死の境だったらしいが)。というか、写真を撮るためにレディがナカジマ家と接触するということをクイントは分かっているのだろうか? 多分分かっていない。おかげでというか、レディとスバルの関係は本当の友人と言えるところまで縮まっている。

 とまぁ、そんなわけでレディがミッドチルダを散策している時だった。

 

「ん? お、レディやないか。何しとるん?」

 

 元凶である八神はやてに出会ったのは……。

 

「お、はやてか。なんとなくフラフラしてたところだよ。そういうお前は何してんの?」

「これからパーティーがあってな? その準備をしているとこや。というかフラフラしてるって……この前はバイクで走り回ってたし、毎日楽しく過ごせてるようで羨ましいわ~。少しは働け」

 

 レディとはやては聖王教会で初めて出会ってから、度々、街で出会っていたりする。

 

「私から言わせてもらうなら、ミッドチルダの平均就職年齢の低さは異常だと思う」

 

 レディの現在の年齢は―人口生命体なので正確には分からないが―たぶん11歳ぐらい。はやてはレディより二つ上なので、現在13歳である。世界によっては、学校に通い、恋に、運動に、勉強に、友情、そして掛け替えのない青春を送っている年齢である。

 それに比べて、ミッドチルダの平均就職年齢は異様に低い。ドゥーエのデータを見て年齢一桁の子供が就職していることを知ったときは、流石のレディも笑えなかった。

 もちろん、この就職年齢の低さにも原因は存在する。それは時空管理局である。

 時空管理局は銃器といった質量兵器を禁止し、クリーンを謳っている魔法を頂点とする魔法第一主義である。しかし、これには問題がある。それは全人類が魔法資質を持つ訳ではないということだ。高い魔法資質を持つものとなると、さらに人数は減少する。そして時空管理局は、その名前の通り数多の時空を管理している大組織である。

 故に時空管理局は常に人員不足なのだ。そして、この人員不足がミッドチルダの就職年齢低下に直結している。つまり、時空管理局としては、人員不足を解消するために、魔法資質を持つ者なら誰でもなりふり構わず入局させているのだ。。幼女だろうがショタだろうが来るもの拒まずなのだ。流石に犯罪者とかは入局させないだろうが……

 

「主はやて、お知り合いですか?」

 

 はやてに付き従うように、一歩後ろを歩いていた巨乳の女性がはやてに問いかける。

 

「そういや、二人共会うのは初めてやったっけ? ほら、あれや。一年ぐらい前に聖王教会で会ったって言ったやん」

「あぁ、あのレディとかいうバイク窃盗犯ですか」

 

 ロクな覚えられ方をされていないレディだった。本当のことだけに何も言えないわけだが……

 

「いや、本人否定してるし、証拠があるわけやないから、そう言わんといて」

 

 それだけにキッチリ弁護してくれるはやてに対して罪悪感を感じてしまう………………訳もなく、レディの思考はとある一つのことに集約されていた。

 それは―――

 

(何だありゃ? デカすぎだろ、私の乳測定器(スカウター)じゃ戦闘力を測りきれない……これはアレか? 直接触って確かめろということか? まぁ、違うとしても揉むことは既に決定しているのだがな! アレだけのサイズ、揉まない方が失礼だというものだ)

 

 ―――目の前の女性の胸にぶら下がっている、メロンでも詰まってんじゃねぇの? とでも言いたくなるような胸のことだった。

 

 しかし、ここで焦ってはダメだ。レディは今にも飛びかかりそうになる自分を必死に押さえつける。

 目の前の女性は一筋縄ではいかない。レディの勘が、超直感がそう告げている。恐らく手を伸ばした瞬間、その手を捕まれるだろう。飛びかかったとて避けられるだろう。故に今は雌伏の時、必死に溢れ出しそうな欲望を押さえ込み、一瞬の隙を逃さず獲物を捕らえるのだ。

 

「ほらシグナム、自己紹介でもしぃ」

「分かりました。はじめまして、だな。私はシグナムという。これからよろしく頼む」

 

 そう言いながら、シグナムは握手をするために右手を差し出す。

 

 ―――握手―――

 

 それは二人の人が出会った時や別れ際に、お互いの手を軽く握りあう動作で、お互いの好意を示すために行われるものであり、これを拒絶することはエチケットに反する・敵意を持つと考えられる。現在では握手はほぼ世界中で行われており、友好を強調する場合は、もう片手を添える事が多い。さらに、強調する場合の抱擁やキスなどへの一連の行為の始まりのステップとなっている。残念ながら、世の中には握手を行う際に犯罪を起こす輩もいるらしいが、そんな奴らは当然少数である。

 

 何が言いたいのかというと、握手という行為を行う際に、どんな人物でも多少なりとも警戒心が緩むということだ(逆に強まる人もいるが、そんな人はごく少数である)。そして、それはヴォルケンリッターの将・シグナムも例外ではない。勿論、何百年という長い年月を生きてきたシグナムならば、握手という行為の隙を突かれたこともあっただろう。しかし、現在は昔と違い、戦乱が起きているわけではなく、蒐集を行わなくてはならないという訳でもない。場所も多くの人が行き交うミッドチルダの街中である。そして何より、レディは主であるはやての友人である。この考えがシグナムから警戒心を奪い、油断を与えてしまった。

 しかし、シグナムとて生粋の騎士である。生まれた油断は、それなりの腕を持つ人物でも気付かないであろう小さなものだった。

 が、シグナムも隙を窺っているのは、スカリエッティ陣営の遊撃部隊長(自称)であり、直感のみでトーレによる死角からの『ライドインパルス』付きの連撃を、口笛を吹きながら避けることが出来るレディである。

 

 ―――そして、今現在レディはシグナムに生まれたその僅かな隙を直感で理解していた。

 

(―――今だっ!!)

 

 故に行動した。

 最短の距離を最速でレディの右手が奔る。

 明らかに握手をする気などサラサラ無いレディの行動に、シグナムが流石の反射神経で反応するが、その動作は遅すぎた。シグナムの反射行動が体に反映される頃には、レディの右手は、その甘美なる巨山の頂きにたどり着いているだろう。

 レディは勝利を確信する。シグナムは状況がよく分からないが、なんとなく敗北を予感する。

 何故か交通事故とかに発生するアドレナリンが大量分泌でうんたらかんたらなスローな世界に突入したシグナムは、自分の胸部に向かって伸びてくるレディの右手をただ見つめることしか出来ない。『レディが刺客だったら自分は殺されていただろうな』とか『いや、殺気で気付けていただろう』などと取り留めのない思考が浮かんでは消えていく。

 そして、遂にレディの魔の手がシグナムを襲う―――

 

 

 

 ―――寸前にそれを止める存在がいた。

 

 

「あかんなぁ……それはあかんで、レディ?」

 

 それは、シグナムの敬愛する主・八神はやてだった。

 

「…八神はやて……貴様っ……!」

 

 レディは自分の右腕を掴んでいるはやてを力の限り睨みつける。その目つきは、心臓が弱い人なら視線のみで殺せそうな程、凶悪なものだった。

 まぁ、そんな目つきになるのも仕方ないだろう。何しろ、もう少しだったのだ。あと数cm、指一本分の距離、時間にすれば一秒未満の僅かな時間さえあれば、レディはあの楽園(エデン)にたどり着いていたのだ。

 しかし、それも今や昔の話、Ifの話。楽園(エデン)は数cm先どころか数m先、しかも、その目の前には先程とは違い警戒心という高すぎる壁が立ちはだかっている。さっきみたいなチャンスは二度と巡ってこないだろう。

 故にレディは怒る。

 遠のいてしまった楽園への思いを、重いを、想いを視線に載せる。並みの物なら、その視線だけでトルネード土下座をかまして許しを請うだろう。

 しかし、相手は八神はやて。並みの者ではなかった。

 

「これは……私のものや!!」

 

 レディの視線を全くと言っていいほど意に介さず、ドヤ顔でそう告げる。

 はやての背後にいるシグナムが、はやての台詞を聞いて何とも言えない顔をしているが、レディもはやても全く気にせず言葉を交わしていく。

 

「あー……あー……あー……。それはあれだな? 私に対する挑戦だな? シグナムをNTRってことなんだろ?」

「はっ! 甘い、甘すぎるわ。シグナムは既に私の手の内や。シグナムをNTRたいんなら私の神技を超えることやな。まぁ、無理やろうけど?」

「んなこと言って、どうせ【作者規制】を【作者規制】して【作者規制】ぐらいしかしてないんだろ? 私だったらそこから【作者規制】するね」

「だから甘いと言うとるやろ。そんな段階、数年前にとっくに通り過ぎとるわ!」

「………………」

 

 あまりの規制の嵐にシグナムは引いた。

 大事なことだからもう一度言う。

 シグナムがドン引いた。

 

―――シグナム―――

 

 主である八神はやてを守護するヴォルケンリッターの烈火の将であり、はやての家族とも言える存在である。

 彼女の本質は正しく騎士であり、騎士とは主に対して絶対の忠誠を誓っているものである。そして、当然、彼女もそれに漏れない。その上、彼女は下僕である自分たちを無碍に扱うどころか、家族として暖かく接してくれるはやてに対して、より一層の忠誠を自らの剣と共に誓っている。

 はやてが命令したのなら、ガジェット数百機だろうと、時空管理局だろうと、白い悪魔五人だろうと何の戸惑いも持たずに立ち向かっていくだろう。いや、白い悪魔五人は無理かもしれない(非殺傷設定でも殺されそうである)。

 

 そんなシグナムが主に対して引いていた。

 それどころか『私、知り合いじゃありませんよ?』とでも言いたげに、レディ達から五歩ほど離れて歩いている。ここは五歩で済んでいるのが忠誠心のおかげだと思うべきだろうか。

 そんなシグナムの態度も理解できる。理解できないはずがない。

 街中という公衆の面前において繰り返される規制単語を多分に含んだ会話。そんなアホみたいな行為を繰り広げているレディとはやてに向けられる目は少なくない。むしろ多いと言えるだろう。

 レディとはやては11歳と13歳ということで、現在は幼さが目立つものの将来がかなり期待できるほど整った顔立ちをしている。そして、それはシグナムにも言えることである。イケジョとも言える顔立ちに高い背丈、そしてレディとはやてが襲いかかる程に完成され切ったグラマラスな肢体。道行く男性は勿論のこと、同性ですら頬に両手を当てて見惚れている。

 そんな三人が一緒に歩いているという事実。目立たないはずがない。熱い視線すら向けられるだろう。

 ―――が、

 そう、「が」、否定の形である。

 現在、進行形で3人に向けられている視線は、そんな視線ではなく、白けたような、痛い人を見るような、はっきり言ってトラウマになるような視線である。シグナムも離れたくなるというものだろう。しかし、騎士としての誓いが、その行動を阻む。

 シグナムが今できることは、少しでも早く2人の会話が終わるのを待つことだけだった。

 

「あー……、なんかおっぱいの騎士が泣きそうになってるんだが?」

「シグナムな。確かにあの胸は二つ名にできそうなぐらいやけど……きっとあれやろ、自分を大切に扱ってくれる私に感動してるんとちゃう?」

「なわけねぇだろ。きっと私に胸を触ってもらえなくてショックすぎたんだろ」

「そんなわけないやん」

「そっちこそないだろ」

「どちらも違います!!」

 

 全く見当違いな方向に会話を続けていくはやてとレディに対して、遂にシグナムは口を挟んだ。

 

「お二人は自分達が今どのような会話をしているか理解していますか!? それにここは街中です! 見てください、周囲から向けられる視線を!」

 

 そう言いながらシグナムがバッと周囲を見渡すと、咄嗟に目を逸らす人物がチラホラと見受けられた。

 普通の人ならば、この時点で羞恥に塗れ確実にその場をBダッシュで逃げ出すだろう。そして間違いなく数日は引き篭るだろう。しかし、シグナムの目の前にいる二人は並みの者ではなかった。

 

「気にしすぎだろ。このくらいの下ネタ、フツーフツー」

「そうやでシグナム。それに、こんな些細なこと、どうせ明日には忘れられとるやろ」

「規制が入りそうな会話は下ネタとは言いませんし、あんな濃い会話を繰り広げる人物をそう簡単に忘れられるわけないじゃないですか!!」

「シグナムは気にしぃやなぁ」

「まったくだ」

「……」

 

 全く取り合ってくれない二人に、シグナムは沈黙した。これ以上何を言っても無駄だと悟ったのだ。深~く、自分の胸の谷間よりも深~くシグナムは溜息をついた。そうすると、今まで胸の中でわだかまっていた何かが無くなり、何もかもを受け入れられる気がしてきた。

 

「なんやシグナムが悟りでも開きそうやから、話戻そか?」

「んなこと言って、どうせ【作者規制】を【作者規制】して【作者規制】ぐらいしかしてないんだろ? 私だったらそこから【作者規制】するね」

「何でそこまでしか戻さんのや。もっと戻せ」

「ログの限界だ」

「ならロードやな。ウチらが出会ったとこにオートセーブあるやろ」

「ロードが完了しました」

「よし」

 

 すぐに話が逸れる二人だった。

 しかし、今にも悟りの道に入門してしまいそうなシグナムを見て慌てて話を戻す。

 

「レディ、これから暇? 暇やったら一緒にパーティーせん?」

「パーティー? なんの?」

「なのはちゃんとフェイトちゃんの色々おめでとうパーティーや。二人共知っとるやろ?」

「いや、知ってるけど、そんなに接点ねぇよ。それにパーティーつったら知り合いばっかなんだろ? んなとこノコノコ付いてったら間違いなくボッチになる気がするんだが?」

「大丈夫や」

「そう思う根拠を示せ。できないなら私は行かない」

「だが断る。―――シグナム!」

「はっ!!」

 

 主はやての命令により、シグナムは半ばまで行っていた悟りの道から瞬時に帰還し、全力でレディを拘束する。さっきの仕返しなのか、力が入りまくっていてかなり痛い。先程まで熱望していた胸が当たっているのに全く嬉しくない。

 

「ちょ……おまっ……」

「シグナム、連れて行き」

「了解しました」

「いや、離せよ…………」

 

 こうして抵抗虚しく、レディは連れ去られてしまったのだった…………

 

 

 

 

 

 

「こんな感じやったな!」

「反省は?」

「しとらん!」

「後悔は?」

「しとらん!」

「よし喰らえ」

 

 明らかに罪悪感の欠片も感じていないはやてに対して、レディは飲みきったコップ内の氷を飛ばす。

 

「させん!!」

 

 が、それを遮るものがいた。

 ヴォルケンリッターの一人『盾の守護獣』―ザフィーラである。犬耳と尻尾を付けた筋肉隆々なマッチョメンである。Man。男である。女性ならともかく、大人の男性が犬耳付けてもキモいだけである(ザッフィーファンの皆様、ゴメンナサイ)。

 ザフィーラは、主に向かい飛んでいく氷を一つ残らず粉砕していく。

 

「―――チッ!!」

 

 思わずレディは舌打ちする。半ばノリで飛ばした氷だったが、全部防がれたとなると、それもなんとなく面白くないのだ。

 

「駄犬が……」

「犬ではない。狼だ」

「同じ犬科だろうが」

「煩い黙れ」

「なんだ気にしてんのか?」

「気になどしていない」

「じゃあいいじゃん。ザッフィー犬だザッフィー犬。携帯電話のコマーシャルにでも出てろよ。喋れるんだし、中の人必要ねぇじゃん」

「キッサマーーー!」

「「「ザフィーラうるさい!!」」」

 

 パーティの熱気に当てられたのか、それともノリなのか、堪忍袋が破裂したザフィーラがレディに飛びかかるが、その前に三重のバインドによって捕縛される。放ったのはオレンジ髪の犬耳女性(やっぱり犬耳は女性に限るよね)―アルフと中性的な金髪少年―ユーノ、そして主であるはやてである。

 両手両足を縛られてバタバタしている犬状態のザフィーラ。哀れである。

 

「……だから犬ではなく……狼、だ……」

「さんな格好になっても、そこは主張するのか……」

 

 犬でもいいじゃんとか思うが、そこは譲れないラインらしい。

 とりあえずザフィーラと、ザフィーラをもふもふしているはやてを放置して、レディは主役二人の元へ向かう。おめでとうぐらい言ってもバチは当たらないだろう。

 

「二人共オメデトさん」

「―――っ!?」

「レディちゃん!」

 

 レディが話しかけるとユーノと話していたなのはと、アルフによって肉を押し込まれてハムスターみたいになっているフェイトが向かってくる。フェイトは顔を赤くしながら両手で口元を隠し口をカラにしようとしているが、その様子がかえって凶悪なまでの可愛らしさを引き出している。アルフが子犬でも見るかのような優しい視線をフェイトに向けている。

 

「フェイトちゃん、ハムスターみたい」

「―――っ!」

 

 親友であるなのはにそう言われたフェイトが更に急いで口を動かすが、またまたその仕草がとても可愛らしい。思わずテイクアウトしたくなるレディだった。

 

「それと、そこのお二人さんはハジメマシテ。レディだ」

「あたしゃアルフだよ」

「僕はユーノ・スクライアです。はじめまして」

 

 皆に見られて、ますます顔を真っ赤にするフェイトを傍目にレディはユーノとアルフに挨拶をする。

 

「ふ~ん、あんたがレディか。フェイトから話は聞いてるよ。ナンパから助けてくれたんだって? 使い魔である私からも礼を言うよ。ありがとうね」

「別に礼を言われることじゃねぇよ。ただ空気読めてない三流ロリコンを追い払っただけだ」

「それでもさ」

「……」

 

 レディとしては写真を撮らないで済む口実ができたという、所謂自分の都合が良かったから助けただけである。正直、お礼を言われても心苦しいだけである。

 

「にしてもSランクと執務官ねぇ~?」

 

 話題を変えるようにレディがいつも通りの笑みを浮かべながら口を開く。

 

「ますます男が寄り付かなくなりそうな肩書きだな」

「うぐっ!?」

「そ、そんなことないよ!?」

 

 レディの言葉に撃墜されたなのはと、どもりながら反論するフェイト。詳しく聞くまでもなく、行動に二人の現在の異性関係が現れている。

 実際、なのはもフェイトも異性と手を繋いだことなど、両手の指で数えられる程度しかしたことがない。しかもその相手は友人であるユーノだったり、義兄であるクロノ・ハラオウンだったりと色を感じさせるものが全くない。以前の病院での会話が現実になりつつある。

 

「もっと言ってやっておくれよ。この二人、ラブレターとか告白とか結構されてるのに全部断ってるんだよ。曰く『ごめんなさい。今はそんな時間ないから』だそうで」

「へ~~」

 

 アルフの話を聞いて、レディはいつも以上にニヤニヤした笑みをなのはとフェイトに向ける。

 アルフの言う通り、実を言うと二人は異性と手を繋いだ回数と違って、告白などされた回数は両手両足の指では到底足りない程なのである。しかも全部断っているという鉄壁っぷり。そのせいで二人は管理局の一部の者に陰ながら『玉砕の双璧』と呼ばれているのだ。読んで字のごとく、数多くの告白を断り多くの男性(+一部の女性)を玉砕させてきたことから付けられた二つ名である。

 

「だからな、今管理局では二人には既に好きな人でもおるんやないかっちゅう話が出とるんや」

 

 アルフの言葉を引き継いだのは、先程までザフィーラをモフっていたはやてだった。モフリには飽きたのか、アップル100%ジュースを飲みながらレディ達に近づいてくる。ちなみにザフィーラは放置である。

 

「え!? 何ソレ、聞いてないよ!?」

「は、はやて、詳しく聞かせて!!」

 

 当事者なのに初耳だったのか、二人ははやてに詰め寄り説明を求める。そのあまりの勢いにはやてが若干辟易している。

 はやて曰く、どんなイケメンでも金持ちでも見向きもせずに告白を秒速で断り、告白拒否率100%を維持し続けている二人には既に意中の相手がいるのではないか? という話になったらしい。

 

「ちなみに、その意中の人ランキングのトップを爆走しているのがユーノ君や」

「え゛っ!?」

「そうなの!?」

 

 思いもしなかった台詞に、思わずユーノの口から濁った音が出る。ここで自分の名前が出るとは思ってなかったのだ。しかし、少し考えてみれば納得もできる。異性との仕事外での付き合いが極端に少ないなのはとフェイトがそれなりの頻度で楽しそうに話す相手、それがユーノなのである。いくら当人たちが友人だ親友だと言い張っても周囲から見てそう見えなければ全く意味がないのだ。

 

「月のない夜は気をつけたほうがいいかもしれんなぁ……」

「…………うん、そうするよ……って、まさか一時期イジメのようなイタズラが続いていたのは!?」

 

 すでに手遅れだったようだ。ユーノの脳裏を過ぎ去るのは、突如飛んでくる死にはしないであろう、しかし喰らえばただでは済まない威力に抑えられた誘導弾から始まる時には『これ命に関わるんじゃね?』とでも言いたくなるような数々のイジメ(むしろ殺人未遂)。その原因をようやく理解しユーノは真っ白く燃え尽きるのだった。

 

「ごめんねユーノ君」

「ごめんなさい」

「………いや、別にいいよ……二人のせいじゃないし……」

 

 自分たちのせいではないが、ヒドイ目にあったユーノに謝る二人。しかし、ユーノの言うとおり悪いのは直接攻撃を仕掛けてきた人物である。いつか絶対シメルと強く心に誓う。

 

「で? 二人にはいんの? 好きな奴」

 

 ユーノ? そんな知らんわ。むしろ有名税だと思えと言わんばかりに容赦なくユーノを無視して、レディは話を戻す。

 

「そや。ユーノ君のことは不憫やと思うけど、今大事なのはそっちの話やなくてこっちの話や」

 

 そして、はやてが戻された話を補強する。もはやなのはとフェイトに答える以外の逃げ道はない。

 

「で?」

「どうなんや?」

 

 あわあわとキョドっている二人に、レディとはやてが詰め寄る。いつの間にか店内は静まり返り、パーティーメンバーどころか店員すらも二人に注目している。皆が皆、彼女たちの答えを心待ちにしているのだ。

 しかし、二人としても、そんな注目されても困ってしまう。いくら聞かれてもいないものはいないのだ。気になった人すらもいやしない。そう考えると、なんとも空しい青春を送ってるなと今更思ってしまう。しかし、そんな空気を読んでいない発言をして良いものだろうか?

 

「―――ぶはっ!!」

 

 そんなことを考えて、あうあうと口を開閉していると誰かが吹き出した。

 キョトンとしながら声が聞こえた方向へ目を向けると、そこには両手を口に当て体を震わせながら必死に笑うのをこらえているレディの姿が……

 

「ちょっ!? レディ、なに吹いとるんや! 台無しやないか!!」

 

 そんなレディにはやてがツッこむ。そのツッコミを聞いてなのはとフェイトにとある考えが思い浮かぶ。そして周囲のみんなが笑いを堪えているのを見て、その考えが正しいことを理解した。

 

「み、みんなひどいよ!!」

「そ、そうだよ!!」

 

 二人の反応を見て、堪えていたみんなが笑い出す。

 ようするに、からかわれたのだ。冷静になって考えてみれば、ここに居るメンバーとは時折会っているし、会えない時でも連絡は取り合っている。そんな人たちが自分たちに好きな人がいるかどうかを知らないはずがない。

 店内にみんなの笑い声が響き渡る。からかわれてほっぺたを風船のように膨らませていた二人もつられて笑い出す。

 

 今日のこの日は、高町なのはとフェイト・テスタロッサ・ハラオウン、両名にとって記念すべき素晴らしい日になったのだった。

 

 

 

 

「あっ、ちなみに意中の人裏ランキングの単独トップはお互いになのはちゃんとフェイトちゃんやから」

「「えっ!?」」

「「「「あ~、なるほど」」」」

「「なんで納得してるの!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 レディ、トーレ、チンクそしてセインは、ウーノの呼び出しを受けスカリエッティのラボを訪れていた。

 室内には、既にスカリエッティとウーノが居り、忙しそうにモニタを操作している。

 

「ドクター、何があったのですか?」

 

 それを見てトーレが質問すると、それで初めてレディ達に気づいたのか、スカリエッティは作業を中断し四人のもとへ歩き出した。ウーノは変わらずにモニタを操作している。

 

「ふむ、来たようだね。急で済まないがレリックを発見した」

 

 それを聞いてレディのやる気が82%ぐらい下がった。元々40%ぐらいしかなかったので、マイナス値に突入である。

 レディのやる気がここまで下がった理由は、これから言われるであろう事柄の面倒臭さである。スカリエッティの話を聞いただけでは、ただレリックを回収するだけだと思うだろうが、たったそれだけの作業なら、ウーノがあそこまで忙しく動かないだろうし、戦闘担当であるトーレとチンクが呼ばれるわけがない。しかし、実際はこの二人に加え、逃走・奇襲担当であるセインまでいる始末。絶対面倒事になるのだろう。

 

「しかし、実に面倒なことに、すでに管理局の手が入っていてね。これを盗んできてほしい」

 

 その言葉を聞き、やっぱりねとレディは深くため息を吐くのだった。

 

 

 




とりあえずヴォルケンリッターと会わせてみました。

そして次はようやく原作イベント。
戦闘描写は本当に難しいです。
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