続きの内容が思いつかなかったので、なんとなく上げてしまいました。
「…………」
クイント・ナカジマは落ち込んでいた。
「あー……大丈夫だって…………多分」
珍しくレディが真面目に慰めているが、それでもクイントは反応すらしない。
「………………」
落ち込んでいるというよりも、放心しているというべきうだろうか。
あまりの暗い雰囲気に、レディも閉口する。
なぜクイントがここまで落ち込んでいるのか。それは1時間前に入ったスカリエッティからの通信が原因だった。
その通信内容は
『先ほどドゥーエから連絡が入ったのだがね、どうやらタイプゼロ・ファーストが時空管理局に入ったそうだ』
とのこと。
つまりは、クイントの娘であるギンガ・ナカジマが管理局に入ったということだ。時空犯罪者と繋がっている今の腐りきった管理局にである。
これを聞いた途端、クイントはその場で崩れ落ちてしまった。今はベッドの上で膝を抱えているが、これでも良くなったほうである。一時は頬を張っても反応すらしなかった。
スカリエッティ、マジ空気読め。ホントに余計なことしかしない奴である。
膝を抱えて早一時間。鬱陶しいことこの上ないが、クイントが落ち込んでいる原因の一端を担っている以上、レディも強く出ることができない。だからこそ、普段からやり慣れていない(というより初めての)慰めるという行為を行っているのだ。
「…………なわけ…………ないじゃない……」
動きもしないクイントに、どうしたもんかとレディが悩んでいると、クイントが一時間ぶりに口を開いた。よく聞き取れなかったのでレディが顔を近づけると、膝に押し当てていた顔を勢いよくあげ、感情のままに叫んだ。
「大丈夫なわけ、ないじゃない!!」
あまりの大声に顔を歪めながら耳を抑えるレディを、クイントはベッドに押し倒す。
「ギンガが、あの娘が管理局に入った理由なんて分かりきってるじゃない!! 私のことを調べるためよ!」
恐らく、いや絶対にクイントの言っていることは正解だろう。銀河の管理局入りの理由は、スカリエッティの資料には『家族を守るため』『父親の手助けをするため』と書かれていたが、それだけでなく、クイントのことについて調査するという理由も含まれているだろう。
「つまり……近い将来、必ずあなたたちと戦うということよ!!」
それは確実だろう。
クイント・ナカジマについて調査していけば、確実にクイントの最後に事件に辿り着き、戦闘機人について調べ始めるだろう。そうなれば当然、戦闘機人実験の第一人者であるジェイル・スカリエッティを調査し始める。そして最終的には、レディ達、スカリエッティ陣営にぶつかるだろう。そうなれば、はっきり言ってギンガはタダじゃすまない。最悪、スカリエッティのおもちゃにされる可能性もある。
「絶対に怪我じゃすまない! ギンガが死んじゃうかもしれない!!」
両の眼に涙を浮かべながら、感情のままに叫び続けるクイントを、レディは黙って見つめ続ける。
「…………それが分かっているのに…………それでも……貴女の心配をしてしまう私がいるの……」
堪えきれなくなった涙が君との頬を伝い、押し倒されているレディに零れていく。
(……やっぱ、振り切れてなかったか……)
クイントの涙を優しく親指で拭いながら、レディは前にもこんなことがあったのを思い出していた。自分の部隊を全滅させ、社会的に自分を殺したレディたちを恨みきれないとこぼしたクイントの姿が脳裏に浮かび上がる。
クイント・ナカジマは優しすぎる。
自分の遺伝子を、自分の知らぬ所で利用され、その結果として生み出されたギンガとスバル。そんな2人でも家族として受け入れる心の広さ。自分を殺しかけたレディ達でさえも憎みきれない心の深さ。
馬鹿だとも思う。全てをレディ達のせいにすれば楽になれるというのに、クイントはそれをしない。できない。優しすぎる心が、その選択を阻害する。
「……ねぇ……私…………どうしたらいいの……?」
そのどこか救いを求めるような問いにレディは答えられなかった。
管理局に入る前ならば以前と同じように慰めれば良かったが、今回はそれができない。
結局、クイントが眠りに着くまで、レディは何も言うことができなかった。
次の日には、クイントの様子は普段どうりに戻っていた。その無理矢理に振舞っている様子が痛々しい。
「……」
それを見て、レディは胸も奥が軋んだ気がしたが、それを無視した。
なんとなくシリアル風味?でした