そしてお気に入り数が200件超えててさらに吹いた。
最後に評価が下がってて俺のテンションも下がった。
とまぁ、最後のは冗談として、お気に入り200件ありがとうごさいます。
プロットもなしの暴発作品ですが、これからも読んでくれると嬉しいです。
それでは、今回も楽しんでいただけたら幸いです。
―――ミッドチルダ臨海第8空港―――
現場にいなくとも目に収めることができるほどの炎、天にまで上るのではないかというほどの煙。
普段は多くの旅行客や社会人によって賑わっているはずのその場所は、今ではかつての姿はなくまるで地獄のようだった。炎の勢いは凄まじく、既に空港すべてが火に飲み込まれてしまっている。外でさえそれなのだ、もはや中の様子など語るまでもないだろう。
「……つーかなんで私がここに来てんの?」
「ん~? その防護服の耐久テストついででしょ?」
しかし、そのもはや火の海と化してしまっている空港内部を悠然と歩いている二つの人影が存在した。
ジェイル・スカリエッティが製作したナンバーズの№13レディと№6セインである。
「あー、暑い暑い暑い。もはや熱いといっても良いと思う」
「そうだね。防護服を着た戦闘機人である私でさえ暑いと思うもん」
全身を覆うようなフード付きのコートの胸元を引っ張りながら愚痴るレディと、両腕をだらーんと垂らしながらゾンビのように歩くセイン。
何故二人がこんな場所にいるのか? それは実に簡単だった。
―――ロストロギア『レリック』―――
これが今回の二人の目的である。スカリエッティも最初は護送中と聞いて放っておいと良いと言っていたのだが、事故で空港が混乱中と聞いた途端「取ってきてくれ」とかほざき始めたのだ。いわゆる火事場泥棒である。当初メンバーは『ディープダイバー』で直接侵入することができるセインとセインでも簡単に持ち運びができる小柄なチンクだったのだが、スカリエッティが作成したレディの防護服の耐熱性を調査したいとのことだったのでメンバー変更がなされレディとセインというメンバーになったのだ。
バリアジャケットを構成できないレディとしては、防護服ができたことは嬉しいが今回に限っては余計なことだったかもしれない。暑いのだ。もちろん、活動できない程でないが、真夏の太陽のしたを歩いているというか、サウナの中にいるような気分というか、そんなとてつもなく動きたくなくなる状況である。まあ、こんな災害の中それだけで済んでいるのだから、この防護服の性能は抜群と言えるのだが……。
「自動調整機能とか付けられねぇのかよ……」
「あー、確かに私も欲しい」
それでも暑いものは暑いのだ。さっさとセインだけ突撃させてレリック回収と行きたいところだが、他にどんなものが保管されているか分かったものではないのだ。セインを向かわせて爆発とかなったら笑い話にもならない。四番目の姉は爆笑するかもしれないが……。そんなわけで無効化能力を持つレディは、二人では長時間の無機物潜行が行えないセインと必死に保管庫まで、このアッツい中を歩いているのだ。
「もうセインだけ行ってこいよ」
「イヤだよ。それで暴発したらどうするのさ?」
「いや、どうせ私は無事だろうし」
レディの魔法無効化能力。それはロストロギアの力さえも無効化できる。当然、全てのロストロギアで試したわけではないし、相手の魔力が強すぎた場合などは無効化しきれないから絶対安心とは言えないが、全ての意識を無効化能力に当てれば恐らく防げるだろう。
「私が無事じゃないから、それ」
「潜ればいいじゃねぇか」
「あ……」
セインは自分のISのことをすっかり忘れていた。
確かにそうだ。暴走が始まったら、そのへんの壁にでも潜ればいいのだ。保管庫の壁は中身のロストロギアが暴走してもある程度は大丈夫なようになっているだろうし、自分はその隙に逃げ出してしまえばいいのだ。なんでこんな簡単なことが思いつかなかったのだろう、とセインは少し恥ずかしくなった。多分暑さのせいだろうと、自分の中で自己弁護しておくことにした。
「ていうか気付いてたんなら早く言ってよ!」
「私も今思いついたんだよ……」
視線を逸らしながら、ぶっきらぼうにそう告げるレディ。どうやらレディもセインとどっこいどっこいだったようだ。
そしてそんな話をしているうちに、どうやら目的の場所に着いたようだった。
―――厳重封印物保管庫―――
ここに二人の探しているレリックがあるはずだ。
「おら、さっさと終わらせてこんな暑い場所からおさらばしようぜ」
「うん。IS発動【ディープダイバー】」
セインは伸ばされたレディの腕を掴み目の前の保管庫の壁に潜行していく。いくら厳重な壁に覆われていようともセインの能力の前では、中が見えないマジックミラーと同じようなものだった。一応、確認のために指先に付けられた固有武装「ペリスコープ・アイ」で中の様子を確認する。そして中の安全を確認すると二人は保管庫の中に潜入するのだった。
「相変わらず変な感じがするな」
「あたしにとっては慣れ親しんだ感覚なんだけどね」
ディープダイバーで潜行する感覚は言いようのない感じがするのだ。無理やり言葉にするなら柔らかい水の中を泳いでる感じだろうか。
「んで? どこにあんの?」
「知らないけど……」
送られてきたデータには保管庫までのデータしか記載されていなかった。つまりは保管庫のどこにレリックがあるのかは分かっていないのだ。
見渡すとロストロギアが納められているであろう多数の箱。これを一つずつ見ていくのかと思うとウンザリする。しかも見た限りだと鍵のかかっているものが殆どである(当然な気もするが……)。そういったものはセインに任せるしかないだろう。こうなると全部持っていってスカリエッティに丸投げしたくなるが流石に持ちきれない。
「……仕方ないか……セインはそっちから、私はこっちからだ」
「りょーかーい……」
かなり気の抜けた返事が返ってくる。どうやらセインもこの量を見てかなり面倒くさくなったようだ。
しかし、いつまでもそんなことは言ってられない。先程までの空港内の様子ならしばらくは大丈夫だろうが、いつ火が消し止められて管理局員が突入してこないとも限らない。そもロストロギアは今ではこうして無事だが、そのうち暴発するかもしれない。
頭の中では『帰りたい』『面倒くさい』『あとでスカリエッティ殴る』などとグチグチ愚痴をこぼしながらも、手は高速で作業を行っている。魔法的に封印されているものはレディが封印を解除し、物理的に封印されているものはセインがISによって直接中身を覗く。こうして見るとなかなか良いコンビかもしれない。
しかし、探し始めて五分、あることにセインが気づいた。
「レリックって専用っぽい入れ物に入ってなかったっけ?」
「………………あ……」
今度はレディが声を上げる番だった。確かに思い出してみれば、レリックは何故かトランクケースみたいなものに入っていたような気がする。そしてそれを念頭に置いて周囲を見渡すと、すぐに見つかるトランクケース。まさかね~と思いながら開けてみると、そこにあったのは赤い結晶。それはレリック。
「「……」」
二人とも自分の阿呆加減に何も言えなかった。詳しい情報がないはずである、目印とも言える入れ物に入っているのだから、情報など殆どいらないだろう。
「……行くか」
「……そだね」
二人はなんとなく哀愁を漂わせながら保管庫を後にしたのだった。
■
「……」
「……」
レディもセインも何も言わずに出口に向けて歩を進めている。ディープダイバーで直接脱出しても良いが、レリックにどんな影響があるか予想がつかないので、大丈夫だとは思うものの一応徒歩である。炎は収まるどころか、ますます強まるばかりで、このままでは建物の崩壊すら起こり得るだろう。今も実際に所々で天井の崩落などが起こっている。
「やっぱり結構、人残ってるね」
「ああ」
調べてみるとそれなりに生体反応を発見することができる。自分たちが起こしたことではないとはいえ、火事場泥棒などをしていると無意味に罪悪感を感じてしまう。これから向かう予定である脱出ルートの付近にも、三つほどの生体反応が確認できる。レディはため息をついてからセインに向かって口を開く。
「セイン、先に戻ってろ」
「……助けるの?」
「……ああ」
別に助ける必要なんて無いだろうが、ここで助けないと後で夢見が悪くなりそうだしクイントもうるさそうだ。言わなければいいだけなのだが……。
「私も手伝おうか?」
「管理局に顔を見られてもいいならな」
そう言いながら懐から変装用の白い仮面を取り出すレディ。黒で描かれている哂った口がなんとも不気味である。
「んじゃ頑張ってね!」
即決で脱出することに決めたセインだった。セインはレディのように変装装備を持ってきていない。故に管理局に顔を覚えられるわけにはいかないのだ。今回は救助活動ということで管理局に見つかっても問題はないだろうが、レディ達は広域指名手配犯ジェイル・スカリエッティの部下である。無駄に管理局との接触を行うべきではないだろう。何よりも最高評議会に下手に情報が回ったら大問題である。
レディは脱出ルートに向かって歩いていくセインを見送り、フードを被って一番近くに存在する生体反応に向かうのだった。
■
と言ってもレディにできることはそう多くない。というか殆どない。何故か? レディは魔法が使えないからだ。つまり救助者を助けるためにバリアを張ることもできないのだ。だからレディは直接、要救助者を外に転移させることにした。
最初の救助は大変だった。レディを見た要救助者が暴れたのだ。今思えばそれも仕方ないことだと言える。白い口元が笑っている仮面を被り、フード付きのコートで全身を隠した人影、これを怪しいと言わないのなら、何が怪しいというのだろう。素直に従わなくて当然である。レディ自身もそんな格好した奴が助けに来たら、ぶん殴って縛って蹴ってから財布を盗んでその場に放置する自信がある。しかし、自分がそれをされるのは話が全く別である。ただでさえ特にする必要がない奉仕活動とも呼べる行為なのだ、レディは抵抗し始めた要救助者を容赦なく最低出力の魔力弾にて気絶させ、腹いせにパンツ以外を脱がして、そのまま外に転送した(服は燃やした。財布はもらった)。彼の命は救われたのかもしれないが、社会的には死んだかもしれない。
(全裸にしなかったことに感謝して欲しいところだ……)
二つ目の生体反応はとても楽だった。要救助者が気絶していたからだ。なのでレディは要救助者を発見後、特に何もせずに外まで転移させた。
そして現在、最後の生体反応場所……なのだが……
「…………父さん……ギン姉ぇ……」
そこには見覚えのある青髪の少女がいた。助けに来て本当に良かった。あのままシカトして後で死亡ニュースでも流れたら、次の日にはレディの撲殺死体が新聞の一ページを飾っていたかもしれない。もちろん相手は格闘系人妻である。
しかし、さすがは戦闘機人というか、未だに活動できるようだ。フラフラではあるが自分の足で立って歩いている。残念ながら向かっている方向は全く出口では無かったが。
「あー……」
どうするべきだろうか? このままスバルの目の前に出て行っても、仮面とフードによって全く姿形は見えないし仮面によって声色も変えてあるので、恐らくレディの正体はバレないだろう。しかし、万が一ということもある。仮面自体は変えてあるが、仮面を着けたフードの人物というのは以前の『第162観測指定世界』での事件で管理局に確認されている。しかも今では指名手配さえされているのだ。もしもスバルに正体がバレた場合、間違いなく管理局にも伝わるだろう。そしてレディの捕獲に乗り出すだろう。最悪の場合、基地に引き篭ればいいのだが、自由に動きたいレディとしてはその案は受け入れられない。よって少しでもバレる可能性があるのなら、スバルの前に身を表すという選択は取りたくない。しかし、そうなると魔法が全く使えないレディに出来ることは全くない。
(仕方ないかな……)
なので最後の選択肢、最初の要救助者と同じく気絶させてから転移させるという選択を取ることにした。
―――否、取ろうとした。
事態は悪化する。
何かに引火したのだろう。突如、爆発が起きスバルはその爆風に巻き込まれてしまった。幸いだったのは、直接爆発に巻き込まれたわけでは無かった事と吹き飛ばされた先に炎が広がっていなかったことだろう。しかし、爆風が肉体的にも精神的にも疲れきった体へのトドメになってしまったのか、スバルは立ち上がることもせずに泣きじゃくり始めてしまった。
最悪の事態にならなかった事にほっとしたレディだったが、そんな気持ちを裏切るように事態は悪化の一途をたどった。
今度は空港内に飾ってある巨大な天使像がスバルに向かって倒れ始めたのだ。
(なんつータイミングだよ?)
全く嫌になる。少しでも早く、もしくは遅く倒れればいいのに、よりによってスバルが下に飛ばされたと同時に倒れたのだ。お前は本当に天使か、とツッコミたくなる。羽の色間違ってない? と。
こんなフザケた思考をしながらもレディの思考は冷静に解決に向けての道筋を考えていた。そして出た結論は単純明快、『ぶち壊せばいい』だった。瓦礫が降り注ぐだろうが、腐っても戦闘機人だから問題ないだろうし、何よりもプチっと潰されるよりはマシだろう。
「天使を象ったものが人を押しつぶすとか……ないわ~」
無機物に言ってもしょうがないのだが、言わざるを得なかった言葉とともにレディは大量の魔力弾を天使像に打ち込むのだった。
■
スバル・ナカジマは疲れきっていた。肉体的にはもちろん、精神的にも。意識は朦朧とし、ブツブツと口の中で家族の名前をつぶやく事しかできない。しかし、それはある意味では幸運だったのかもしれない。現実に押しつぶされ泣きじゃくることもないし、周囲の地獄とも言える環境、肉体的そして精神的な苦痛を認識することもなかったのだから。しかし、その幸運も途切れてしまった。爆風によって吹き飛ばされた痛みによってスバルは意識をはっきりとさせてしまったのだ。そして襲いかかっていくる苦痛、その身は炎に炙られ、頼りになる家族もいない。スバルにできることはもはや助けを求めることしかなかった。
「……誰か……助けて…………」
しかし、その祈りは裏切られることになる。人助けの象徴、天使像によって。
この時スバルの視界には自分に向かって倒れてくる天使像が非常にゆっくりに写っていた。交通事故などで車に轢かれる寸前などに感じるアレである。生命の危機にアドレナリンだかなんだかが大量分泌されるやつである。それによりスバルの感覚は強化されていた。だからかもしれない、こんな台詞が聞こえてきたのは。
「天使を象ったものが人を押しつぶすとか……ないわ~」
そしてその瞬間、スバル目掛けて倒れてきた天使像は大量の魔力弾によって粉砕されたのだった。
粉々になった天使像の破片がコツンコツンと体に降りかかるが全く気にならない。それよりもスバルは声の主の方が気になっていた。自分に倒れてきた像を壊して自分を助けてくれたのはおそらく声を発した人だろう。
しかし、周囲をいくら見渡しても声の主どころか人影すらも発見することは出来なかったのだった。
そしてスバルはこの後、白い魔導師に救われることとなる。そして、その魔導師に憧れを抱き管理局に入ることを決意することになるのだった。
■
「寒い」
「ヤバイ、寒い」
レディとセインは極寒の土地を歩いていた。床はもちろんのこと、柱や天井さえも凍りついている。数分前の状況とは全く逆である。先ほどの光景を地獄というのなら、今は
「迎えになんて来なければ良かった……」
先に空港を脱出したセインはレリックのみを転送し、待っていても来ないレディの迎えに来たのだ。しかし、それは間違いだった。近くにレディがいて無効化してくれたから良かったものの、少しでもレディとの合流が遅れていたら十中八九氷漬けになっていたことだろう。
「流石は歩くロストロギア……といったところか」
「あれを将来相手にするとか考えたくないんだけど……」
燃え盛る空港を一瞬で逆世界に変えてしまうほどの魔法を放った少女、八神はやて。闇の書を破壊し、最後の闇の書の主となった少女である。先ほどの一撃はその二つ名に相応しいものだった。スカリエッティの計画通りに事を進めると間違いなく敵対する相手である。あの膨大な魔力が込められた魔法が自分に向かって放たれるなど想像するだけで体が震える。
「防護服越しでも冷気が届いてるんですけど……」
図らずとも防護服の耐寒性までテストできていたようだ。これがなかったら今頃吐く息さえも凍りついていたかもしれない。
凄まじい魔力である。だが、中に残っている者にとっては迷惑極まりない一撃だった。せめて火を消すだけで止めて欲しい。八神はやては精密な制御が苦手という話だし、管理局に見つからないように偽装しているレディ達が悪いから仕方ないのだが。
「帰ったら、もっと高性能な防護服作らせよ……」
「私も……」
ウーノやドゥーエにでも聞かれたら折檻されそうな言葉だが、これが今現在の二人の本音だった。
「そういえば救助活動どうだったの?」
寒さから気を逸らすためか、セインがレディに問いかける。
「んー、最初のやつ以外は大丈夫なんじゃねぇの? 特に最後のやつは管理局員が助けに来たし」
スバルに倒れていった天使像を破壊したレディは魔導師の気配を察知して、すぐにその場を離脱した。あの場には、もう危険な物はなかったし遠めに見たため確実ではないが、現れた魔導師は高町なのはである確率が高い。ならば、あのバカ魔力な少女のことだ、壁をぶち抜いてでも救出したことだろう。
「ふ~ん。まぁ、良かったね」
「まぁな、スバルいたし」
「……それってタイプゼロ・セカンド?」
「ああ」
「…………クイントさんの娘の?」
「ああ」
「…………」
レディの肯定に思わず沈黙してしまうセイン。
クイントの娘への溺愛ぶりは既に知っているし、クイントの強さもクイントとの模擬戦で知っている。セインがクイントを『さん』付けで呼んでいるのも、模擬戦で完膚無きまでにボコボコにされた後遺症みたいなものである。セインはさりげに、クイントにあそこまで毎回やられているノーヴェのことを、ある意味で尊敬していた。
そして今回、そんなクイントの最愛の娘が生きていることが奇跡のような事故に巻き込まれたのだ。自分たちが起こしたわけでもないのに背筋がゾッとする。
「……助けられたん………だよね……?」
「ああ」
その言葉にセインは思わずホッとした。そして救出に向かったレディに全力で感謝した。
死んじゃいましたーとかなっていたら、次の瞬間には八つ当たりで自分が死んでいた可能性が非常に高い。
「言わなきゃいいんだよ」
「そうだね……」
しかし彼女たちは知らなかった。セインが見聞きしたものが、今現在基地で生放送されていることを。そしてそこにはクイント・ナカジマもいることを。
その日、スカリエッティ基地では二人の少女の悲鳴が響き渡ったという……。
今回は初めて予約投稿というものを使いました。
自分も十一時ぐらいに確認する予定ですが、マジで作者の不安が有頂天。
あれ? 有頂天ってこれで使い方あってたっけ?