あと書き終わって気付いた。
クイントカッコよくね?
あれ、主人公誰だっけ?
そこには三人のナンバーズがいた。
「レディ、お前は相変わらずだな。少しぐらいは緊張したりしないのか」
チンクはナイフの手入れをしながら、いつも通りにやにやした笑いを顔に浮かべているレディに話しかけた。
「あ?なんで私が緊張しなきゃなんねぇんだよ」
「まぁ、お前が緊張している様子など想像もできんがな」
トーレはレディが緊張している様子を想像しようとしたが、全く想像することができなかった。
「チンクこそ大丈夫かよ。ナイフ持ってるか?コートは持ってきたか?トイレ行ったか?気分は大丈夫か?」
「子供扱いするなっ!!私は姉だぞ!」
「あ~ワリワリ、ちびっこいからついついな」
「レディも小さいだろ!?」
「私は日々成長してるからいいんです~。あれチンクちゃんは?なんか半年前から変わってない気がするんですけど」
「ぬぅ~!」
レディがチンクをからかっていると目の前にモニタが現れた。
『楽しんでるとこ悪いんですけど~、そろそろお客様がご来店しますよ~』
モニタに映っているのはクアットロだった。
「分かった。チンク、レディ配置に付け。クアットロも援護頼んだぞ」
「了解」
「りょーかい」
『了解しましたわ~』
モニタが消え、トーレ、チンク、レディは配置についた。
「そういやクイントもいるんだよな~」
「何か言ったか?」
「いや、なにも?」
レディはいつも浮かべている笑みを消し、そう呟いた。
■■■
『一応、もう一回作戦のおさらいをするわよ~。まず、部隊が中心部に着いたらガジェットに襲わせるから、混乱に乗じて隊長達を集中して狙ってちょうだい。ここで一人でも仕留められれば嬉しいけど、逃したとしてもどうとでもなるから無理はしなくていいわ~。そのあとは各自指示に従ってちょうだい。
おっと、そろそろ来るから準備して~』
その言葉に頷き三人は準備を整えた。
そしてついにゼスト隊が周囲を警戒しながら中心部に入ってきた。
■■■
それが現れたのはゼスト隊が中心部のポットに近づいた時だった。突然現れ、ゼスト隊を取り囲んだのだ。
「なんだこれは?」
それは蜘蛛のような形をした機械兵器だった。そしてその機械兵器はゼスト隊に向かって襲いかかった。
そして次の瞬間、ゼストはありえない光景を見た。
―――隊員が放った魔法が消えたのだ。
「魔法が効かない!?」
それを見た隊員が驚愕の声を上げた。そしてそれは他の隊員にも波紋のように伝わっていき部隊は混乱状態に陥った。
そしてその瞬間を見計らったかのように機械兵器の影から高速で人影が襲いかかってきた。
「メガーヌッ!後ろだ!!」
ゼストの声に反応してメガーヌはプロテクションを展開しようとしたが間に合わず、エネルギーを纏っている爪のようなブレードで切り裂かれる、と思った瞬間、クイントが人影に殴りかかった。
人影にその一撃は避けられてしまったが、メガーヌはおかげで命拾いしたのだ。
しかし、それで安心することは出来なかった。人影がそのまま部隊内に突入したのだ。
「なんだ、こいつはぁぁぁァぁああ!?!?」
魔法を無効化する機械兵器のせいで混乱していた隊員たちは、なすすべもなく次また次と命を落としていった。
「クッ!!」
クイントが人影に向かって突撃しようとした次の瞬間、天井部から雨のような魔力弾が降ってきた。
咄嗟にプロテクションを張るが、なんとプロテクションは魔力弾が触れた瞬間、消えてしまった。その事実に驚きながらもクイントは転がりながら魔力弾を避けていく。しかし避けきれなかったのか体のあちこちから血を流していた。
「バリアジャケットも貫通するなんて」
魔力弾はプロテクションだけでなくバリアジャケットも無効化していた。
「総員!!退避だっ!!!」
ゼストがそう叫んだ瞬間、大量のナイフが飛んできた。ゼストはそのナイフをプロテクションで防ぐが次の瞬間、ナイフが爆発を起こした。
■■■
「た~まや~、ってか?」
レディはそう言いつつ眼前を見下ろしている。
「おっ、そんなに甘くはなかったか…」
爆煙が晴れるとそこには息絶えた隊員がいるだけで隊長達の姿は見えなかった。
(クアットロ、指示を頼む)
念話でそう伝えるとモニタが目の前に現れた。モニタにはプラントの地図が載っていて、ある一室の部分が赤く点滅していた。
『レディちゃんはここに向かってちょうだい。おそらくクイント・ナカジマと数名の隊員が現れるわ』
「ゼストとメガーヌは?」
『チンクちゃんとトーレ姉さまが向かっているわ』
「りょ~かい」
返事をしてレディは指示された場所に向かって移動を開始した。
■■■
ゼスト隊は機械兵器の魔法の無効化には限界があることに気がつき、機械兵器を破壊しながらプラントから脱出しようとしていた。
しかし隊長達もプラントの中心部で受けたダメージが大きいのか肩で息をしていた。そこに止めを刺すかのようにゼスト隊を挟むように機械兵器が現れた。
「前は俺がやる、後ろはクイントだ。メガーヌは中心で補助を頼む」
「「了解」」
ゼストが指示したように部隊の後方の機会に向かって突撃していくクイントと、部隊に補助魔法をかけ始めたメガーヌ。
しかしその瞬間、ゼストとクイント達を分断するように隔壁が降り始めた。
「「隊長!!」」
クイントとメガーヌは急いで念話をしようとするが妨害されているのか一向に伝わらない。
「どうする、クイント?」
メガーヌはモニターに地図を出しながら、機械兵器を破壊してきたクイントに聞いた。
「別の経路で脱出するしかないでしょう。メガーヌ、新しい逃走経路を転送して」
「分かっtッっ!!」
突然、中心部で見た人影が現れメガーヌに斬りかかってきた。
「いったいどこから!?」
「クイント!これからは別々に逃げるわよ」
「クッ……、それしかないわね…、メガーヌ!絶対に死ぬんじゃないわよ!!死んだらぶん殴るわよ!!」
「そっちもね!!」
メガーヌとクイントは、それぞれ近くにいた隊員を率いてバラバラに逃走を開始した。
こうしてゼスト隊は散り散りになっていった。
■■■
レディは天井付近でクイント達が来るのを待ち構えていた。
そしてクイント達が部屋に入って来たのを確認したレディは中心部で放った以上の魔力弾を放った。それに気づいたクイントは隊員たちに向け叫んだ。
「総員、回避!!」
防御を突き破ってくる魔力弾を思い出し、クイントは回避を選択した。
しかし、迫り来るは天井が落ちてきているのではないかと錯覚するほどの魔力弾。一人また一人と避けきれなくなり魔力弾の嵐に飲み込まれていく。
そして嵐が過ぎ去ったときに立っていたのはクイント一人だけだった。
そしてクイントの耳にどこかで聞いたセリフが入ってきた。
「大丈夫かよ、いつの間にかお仲間さんがいなくなってますよ、姉御~」
クイントは耳を疑った、信じられないと。
それはそうである。この声は、そしてこのセリフは数ヶ月前に出会ったまだ幼いと言えるような少女が言ったものだからだ。だからクイントは否定した、このような場所にあの少女がいるわけがないと。
クイントはあの少女ではないことを確かめるために声がする方へ顔を向けた。しかし、見えた現実は残酷だった。目に映るのは腰まで伸びている金髪に、黒い瞳を持った幼い少女だった。数ヶ月前に追いかけっこをし最後には名前を聞くことができた少女レディだった。何故か執事服を着ていたが。
「…どうして?」
「なにがだ?ここにいる理由か?皆殺しにした理由か?執事服を着てる理由か?ん~、ほかに何かあったかな~」
「全部よっ!!なんで貴女みたいな子供がここに居るのか!?なんで貴女みたいな子供がこんなことをしているのか!?」
「全部と言いつつ執事服の話はスルーか、まぁいいけど。じゃあ、一気に全部分かりやすく説明してやるよ。理由は私がこのプラントと関係があって、あんたらが上から圧力を掛けられたにも関わらず未だに戦闘機人について調べてるから上がぷっつんしちまったのさ」
「―――まさか、上層部がこのプラントを?」
「さぁな、自分で考えな」
レディははっきりと断言はしないが、ここまで言ったら全部言ったのと同じようなものだろう。
クイントは疑問に思ったことを訪ねた。
「貴女は何故こんなことを教えてくれるの?」
「少し言ってみたかったセリフがあってな。あんたは悪役が自分の悪事を暴露する時がどんな時か知ってるか?」
「?」
クイントは考えるように首をかしげた。
「分かんねぇか?なら、教えてやるよ。それはな、
―――自分の勝利を確信してる時だっ!!」
―――ズガガガガガガガガ!!!!
レディは叫ぶと再び嵐のような銃撃を放った。
「クッ、そのセリフ、普通は、っ悪役がいう、ことじゃっ、ないかしら!?」
喋りながら、必死に回避するクイント。しかし、先程までは隊員たちに向けられていた魔力弾までもがクイント一人に向けられている。今までも避け切ることは出来なかったのだ。さらに増えたのなら避けられるはずもない。クイントは段々と銃撃の嵐に飲み込まれていった。
「ははははははは!いいじゃん別に~、今は悪役なんだしよ~」
しかし、レディは油断なく魔力弾を打ち続けていく。
あの魔力弾は防御できない。防御しても防御を無効化してしまう。ならばとクイントは覚悟を決めた。ただし死ぬ覚悟ではない。愛する夫がいる、二人の娘がいる、そしてメガーヌとも生きると約束した。死ぬわけには行かなかった。
―――絶対に生きると覚悟を決めたのである。
「はぁっ!!」
クイントは拳と足に魔力を集めレディに向かって突撃した。防御を捨てたのだ。
「はあぁぁァぁあぁぁあああァああ!!!」
避けられるものは避け、致命傷になりそうなものは拳で足で弾いていく。それ以外は被弾しつつも無視して突撃していく。
拳に、足に魔力弾が触れるたびに強化が解けそうになるが、防御に使う分の魔力を注ぎ弾じいていく。しかしそれでも届かない。近づくということは魔力弾が自分に到達するのが早まるということだ。クイントは一定距離から近づけなくなった。
「がぁァァぁぁアあぁああ嗚呼ア!!!」
ならばとクイントはさらに防御を捨てた。
両手があれば弾ける、両足があれば前に進める、心臓があれば動ける、頭があれば考えられる、それ以外はいらない、とでも言うように防御を捨て加速してレディに向かい突撃していった。
それを見てレディは普段浮かべている人を小馬鹿にするような笑みではなく、競い合ってるような、負けてたまるかというような純粋な笑みを浮かべ足を止め魔力弾を放ち始めた。
「ああっぁああぁああああ!!」
あと三歩―――顔の右半面に直撃した。気絶もしていないし、目はもう片方ある。問題なし。
「ギっ、あアあぁぁぁああ嗚呼あア!!!」
あと二歩―――左足に当たった。動かない、多分折れた。ウイングロードを一瞬で展開し、片足で前に進んだ。問題なし。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」
あと一歩―――左腕に当たった。でもあと一歩、いままでご苦労様。問題なし。
「―――――――――っっっ!!!」
あと0歩―――クイントはついにレディからゼロ距離を勝ち取った。レディの笑いつつも、どこか清々しさに満ちた顔がよく見える。もはや声も出ず、片目も見えず、片足、片腕と動かなくなった。しかしそんなの関係ない、あとは全力でぶん殴るだけなのだ。クイントはカートリッジを全弾ロードし、体中に湧き起こる魔力を右拳に集め、レディに叩きつけた。
―――そしてクイントがその場に崩れ落ちるように倒れた。レディは静かにそれを見ていた。
「遊びはお前の勝ちだ。でも勝負に勝ったのは私だ」
クイントはその言葉を聞き、意識を闇に落とした。
意識が落ちる瞬間に脳裏に浮かんだのは愛する夫と娘たちの姿だった。
■■■
レディはクイントに殴られたお腹を押さえながら、最後の瞬間を思い出していた。
レディはクイントが最後の一撃を放つ瞬間に、魔法無効化能力を発動したのだ。それによってカートリッジによって増幅した体中の魔力がクイントから消え、最後の一撃はただ鍛えられた女性程度の一撃になってしまっていた。
「クイント・ナカジマの捕獲に成功した」
レディはクアットロに通信を繋げた。
『捕獲?殺さなかったんですか~』
「捕獲できるならしたほうがいいだろ。つーかこいつ知り合いだから殺したくねーし」
『まぁ、いいですけど~。必要なことはしているようですし~』
「トーレとチンクは?」
『チンクちゃんがケガをしたけど二人とも倒したわ~。残りの隊員も殺したし、これで任務終了ね~』
「じゃあ、終わりか?」
『一旦ここに集まってくれるかしら~。全員まとめて転送するから~』
「りょ~かい」
レディはクイントを引きずりながら歩いて行った。
こうしてゼスト隊は壊滅した。
クイントマジ主人公
というかクイント生存させちゃった。
マジこれからどうしよう?
ちなみにレディの言っている遊びとはわざわざ足を止めて銃を撃ったことです。