13番目のナンバーズ   作:御免寝

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この話書いてて、ふと思った。

8年前だからルーテシア2歳じゃね?

そう思いつつもまぁ、いいや。みたいな軽いノリで出しちゃいました



ゴメンナサイ


05 お前敗者、私勝者

レディはポットの中のクイント・ナカジマを眺めていた。

クイントは今、ポットの中で治療を受けているのだ。ゼスト隊が壊滅したあの日から二週間、クイントはまだ一度も目を覚ましていない。レディに受けたダメージは全快しているのだが。他にもゼスト・グランガイツは死亡して人造魔導師として蘇生中であり、メガーヌ・アルビーノは仮死状態でありポットで眠り続けている。

 

「レディ、何してるの?」

 

クイントのポットから視線を外し、そのまま立ち去ろうとするとルーテシアが話しかけてきた。

 

ルーテシア・アルビーノ-現在仮死状態であるメガーヌ・アルビーノの娘である。メガーヌは人造魔導師の素体として優れており、その娘である同様の素質を持つルーテシアは、評議会の根回しによりスカリエッティによる「処置」を受けている。スカリエッティ曰くゼストと同じ「レリックウェポンの実験体」である。現在は母親を復活させるために必要な『刻印ナンバーXIのレリック』の捜索を続けている。

 

「おっ?お姫様じゃん、何してんの?」

「母さんの様子を見に来ただけ。それより最初の質問…」

「あぁ、こいつがなかなか眼ぇ覚まさねぇからよ」

 

こんこん、レディはそう言いながらクイントが眠っているポットを叩いていた。

 

「じゃぁ、私はもう行くから。またそこで寝んなよ」

 

ルーテシアはやはり寂しいのか、メガーヌが眠り続けているポットから離れずにそのまま寝てしまうことがあった。

 

「そしたら、レディが運んで」

 

レディはその言葉にお断りだ、とでも言うように手を振りながら実験室から出て行こうとした。

 

「あ……」

 

ルーテシアが突然、何かに気付いたかのような声をあげた。

 

「どうした?」

「目、覚ました」

 

その言葉を聞いてレディがポットの中を覗くと確かにクイントは目を開けていた。当の本人は状況を把握できないのか周りを見回していた。

 

「はははは!すげぇきょろきょろしてるぞ、馬鹿みてぇ!」

「…」

 

レディはそれを見て指をさしながら爆笑していた。ルーテシアは、無表情でポットの中を眺めていた。クイントはその様子を見て状況を把握したのか、ただムカついただけなのか分からないがポットを思い切り殴った。

 

「―――――っッッ!?!?」

 

当然、ポットが魔力で強化されていないような一撃で割れるわけがなく、クイントは殴った手を反対の手で押さえながらのたうち回っていた。

 

「ぎゃはははははははは!!」

「……」

 

その様子を見てレディは腹を抱えて転げまわっていた。ルーテシアは変わらず無表情な瞳でクイントを見ていたが、なんとなくその瞳にはあきれるような雰囲気が漂っていた。

 

 

■■■

 

 

クイントは現在スカリエッティの研究室にいた。

目覚めたクイントはポットから出され、服を着せられ、ここに連れてこられたのだ。ここに来るまでにレディに対して様々なことを聞いたが、のらりくらりとかわされ続けて結局何も聞けなかった。

 

「さて、聞きたいことはあるかい?」

「なんで私は生きてるの?」

 

話し合いの場が整うとクイントはまず一番気になっていたことを聞いた。生かしておいても特にメリットもないだろうし正直殺されると思っていた。しかしクイントは生かされた。クイントが疑問に思ってもおかしくないだろう。

 

「いや、特に理由はないよ。君は人造魔導師としての適性は低いしね。強いて言うならレディが生かしたからかな」

 

レディは自分に視線が集中するのを感じたのか口を開いた。

 

「いや、私も特に理由はねぇよ。知り合いだから殺したくねー、つーのは確かにあったけど生きてたから捕まえたってだけだ」

「私はそんな理由で生かされたのね…」

 

生きていることはうれしいのだけれど理由が酷過ぎて素直に喜べなかった。

クイントは気を取り直して次の質問をした。

 

「他のゼスト隊のみんなはどうしたの?」

「ゼスト・グランガイツは死んだが人造魔導師として蘇生中だ。メガーヌ・アルビーノも死んでいるが、こっちは適合するレリックが無ぇから見つかるまでポットの中で放置プレイ中だ。他の隊員たちは一人残らず三途の川でも渡ってんだろ」

「……そう」

 

クイントは少しも後悔している様子が見えないことに怒りがこみ上げてくるが、今出来ることは状況を整理することだけだと自分を強引に納得させ、次の質問をした。

 

「私が目覚めたときに居た少女は?」

「お察しの通り、メガーヌ・アルビーノの娘、ルーテシア・アルビーノだ」

「どうして、こんな所に」

「あいつも人造魔導師として優れてたからな、実験体として使ったのさ」

「貴女はっ!!」

「キレんならこいつにキレろよ。主犯はこいつだし」

 

レディはそう言って興味深そうに二人を見ているスカリエッティを指差した。当の本人は反省するの様子も見せず、いつも通り笑みを浮かべていた。

 

「これから私をどうするつもり?」

 

クイントは最後の質問をスカリエッティにした。

 

「ふむ、君が選べる選択肢は3つある。1つ、今ここで死ぬか。2つ、我々に協力するか。3つ、助けが来るまで我々と行動を共にするか。悪いけど家族の元に帰すわけにはいかないよ。もっとも君は既に死亡者扱いだけどね」

 

ゼスト隊は全員が死亡者扱いされていた。ゼスト・グランガイツ、クイント・ナカジマ、メガーヌ・アルビーノの三名は死体は見つかっていないものの発見された血痕からして死亡しているだろうと判断されていた。

予想はしていたのだろう、クイントは動揺した様子はなく、ただ俯いただけだった。

 

「どうするかね?ちなみに逃げ出すことは不可能だ。転送ポートは登録した者にしか使えないし、登録には私の許可が必要だ。その上、君のリンカ―コアは封印してある」

 

リンカ―コアの封印については、かなり前から気付いていた。ポットから出されたときに逃げようとしたが魔力が生み出せなかったのだ。

 

「今、ゼスト隊長は…?」

「しばらくすれば目を覚ますだろう。しばらくは動くこともできないだろうが。出来るようになるだろう」

「ゼスト隊長と相談したいんだけど」

「いいだろう。騎士ゼストが動けるようになるまではレディの部屋で生活したまえ。レディ、君が拾ってきたんだから自分で面倒見なさい」

 

レディは考える様子を見せたが、すぐににやりと笑みを浮かべて口を開いた。

 

「別にいいぜ。どうなるかは知らねぇけどな」

「私は犬か猫かなにかなの?」

 

クイントの呟きは誰にも聞かれずに、消えていった。

 

 

■■■

 

 

「うわ、何この部屋?悪趣味~」

 

クイントは部屋に入った瞬間に言い放った。

レディの部屋は、全体的に薄暗くバーのような雰囲気の部屋だった。部屋の中央にはガラス張りのテーブルが置いてあり、それを囲むようにソファーが置かれていた。そして壁には遊び用なのかダーツが全て刺さったままのダーツ盤がかけられており、部屋中にはクラブミュージックが流されていた。

 

「はぁ、おばさんには分かんねぇか、このセンス」

 

レディは心底あきれたと言わんばかりに首を振っていた。

 

「なんか言った?」

「怒るってことは自覚してんのか?」

 

うっ、と息を詰まらせるクイント。

 

「ナ、ナンノコトカシラ」

 

クイントは誤魔化しに入っていたが、全く誤魔化せていなかった。

 

「ちなみに私はベッドで寝るから。お前ソファーね」

「一緒に寝ればいいじゃない。あなた小さいし余裕で寝れるでしょ」

「なに、誘ってんの?」

 

そう言ってクイントに流し目を向けるレディ。

 

「はぁ!?」

「まぁ、お前敗者で私勝者だし?お前の身も心も私のものみたいなもんなんだけどよ。まさか自分から差し出してくれるとはびっくりだぜ」

「な、なな、何言ってるのよ!?あなた本当に子供!?言ってることがおっさんなんだけど!!」

「見りゃ分かんだろうが」

「分かんないから聞いてんのよ!自分の言動を振り返れ!」

「?」

「あぁ、もう!!大体私たち同性なんだけど!?」

「私は同性だろうと喰っちまう女なんだぜ」

「……ソファーで寝させていただきます」

 

後日クイントは語った。あれはマジな眼だったと。

 

 

■■■

 

 

「頼みがあるんだけど」

 

レディがバリアジャケットのデザインを変えるためにファッション雑誌を眺めていると、クイントがそう切り出してきた。

 

「頼みぃ?別にいいけど、その前に飲み物」

 

そう言いつつも全く動こうとしないレディを見てクイントは口を開いた。

 

「私に出せと?自分の部屋でしょ、自分で出しなさいよ」

「それが人に頼み事する時の態度か?あん?」

 

クイントはこめかみをピクピク痙攣させながらも飲み物を持ってきた。

 

「あなた、碌な大人にならないわよ」

「こんな所に居るんだ、そんなん当然だろ」

「自覚してるなら何とかしなさいよ」

「あ~も~、うっせぇな!ネチネチネチネチ、お前は近所のおばさんか!?」

「誰がおばさんか!?私はあなたのためを思って言ってるのよ!」

「アーアーアー、聞こえませーん」

 

レディは耳を塞ぎながら、アーアー言い続けていた。それを見てクイントは諦めた。

 

「は~、もういいわ」

「んで、頼みって何よ?私の下着ならやらねぇぞ?」

「いらないわよ!ギンガとスバルの写真が定期的に欲しいの。どのくらい成長しているかとか、元気でやってるかとかが知りたいの」

「写真だけでいいのか?下着も持ってきてやろうか?」

「だからいらないわよ!なんで下着に執着してるの!?」

「冗談だよ、じょーだん。これだからおばさんは。冗談が通じねぇ」

「―――っ!」

 

クイントはキレそうになる自分を必死に押さえつけていた。

 

「それで、行ってきてくれるの?」

「ん~、まぁいいぜ。バイクで走るついでに撮ってきてやるよ」

「余計なものは盗ってこないでね」

「おいおい、信用しろよ」

「信用してほしいなら行動で表すのね」

「それなら簡単だぜ。何故なら私は言葉でなく行動で表す無言実行の女だからな」

「もうそれでいいわ…」

 

クイントは今日だけで何回目か分からないほどついたため息を再びついた。

 

 

 




アーーーーーッ!!


というわけでスバルとギンガ写真会のフラグが立ちました。
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