なんちゃってバイオハザード   作:かたなあさはまな

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なんちゃってバイオハザード

「ちっ、やっかいだな」

俺はそう言いながら咄嗟に回り込んだどっかの家の敷地の中から、壁伝いに道路をにらんだ。

そこには「あーあー」やら「うーうー」等と言いながら徘徊するゾンビどもがいた。

 

 

 

 

 

その日俺は、会社をさぼった。

 

 

 

朝、家を出て電車に乗り、毎朝乗り換えている駅でなんとなく反対方向で線の違う電車に乗った。

その電車は人が少なく・・・いや、間違いなくその電車に俺一人だろうと言うほど人がいなかった。

 

その電車に乗りながら、俺は誰も乗ってないことをいいことにポッケから煙草を取り出しふかし始めた。

 

 

「あ~会社、やめるか」

 

 

電車内で煙草を吸い終わったころそう決断し、出社時間になったことをスマフォで確認しつつ、スマフォの電源を切りそのまま眠りについた。

 

 

 

 

 

 

およそ10時間は眠っただろうか。

車内から見る外は日が陰りつつあり、明らかに見たこともないような景色だった。

そのまま偶々ついた無人駅で降り、適当に探した安っぽい宿に入る。

宿の店員には怪訝な目で見られたが素知らぬ顔をし、ロビーで付いていたテレビのニュースが何か騒いでいたが見る気にもなれず、ネクタイとベルトをはずしたスーツのまま、酒をしこたま飲み布団にもぐりこみ寝た。

 

 

それを次の日、後悔するとも知らずに。

 

 

俺は酒で酔いつぶれると長時間起きない体質で「あ”~ぎぼぢばる”い”」そう言いながら昨日に引き続き、日が陰り始めた窓の外を見ながらコップを片手に蛇口のコックを捻った。

 

朝と昼の食事はいらないとあらかじめ店員には言っておいたので問題ないが夜は食べるため下に降りる。

 

 

 

だが、誰もいなかった。

 

 

 

偶々席を外していると言うレベルではなく、大声を出して呼んでも誰も来ないため完全に無人だった。

舌打ちをしつつロビーのソファに座り込み、リモコンを握りテレビをつけた。

 

『バイオハザードです!!ゾンビが町中にあふれ完全に都市機能が失われており・・・』

 

映画?3流丸出しだな!

そう思いながら無言でチャンネルを変えるが

『政府が緊急会見を開きました。それによると昨日の飛行機墜落事故も一昨日から発生している謎の感染病に関連していると・・・』

『ご覧になられているように町中に一昨日から急にはやり始めた・・・』

『一昨日の飛行機事故の・・・』

『ゾンビが・・・』

『うわー!!』

 

 

 

最後に変えた番組で人が襲われている場面を見て凍り付く。

カメラを落としたのか横になってはいたが、それでも明らかにテレビで映せないレベルのグロ映像が流れていた。

 

その後せめて朝起きていたならと思いながら、テレビやスマフォで最低限の情報収集と、冷蔵庫から勝手に取り出した食料で腹ごしらえをし、鍵が閉まっているドアを開け外に出る。

過疎化の町なのか村なのかわからないが夕方なのに人の喧騒が一切なく、せめてこの地域ではどういう対策なのか程度の情報を集めようと思ったが、チャイムを鳴らそうがドアを叩こうが一切の応答がなく、冒頭の状況になる。

 

壁に隠れながらゾンビがどっかに行くのを待つ。

この町だか村だかは壊滅したのだろう。

宿屋の店員がおらず各家にも人が居ない所を見ると、どこかに一か所に固まったところを一気に全滅したのだろうとあたりをつける。

ここら辺の地理が一切わからないために公民館などを確認することは出来ないし、下手に人が集まる所に行くと逆に危ない可能性がある為更に確認は出来ないが。

近隣の家に侵入し無人と使えるものを確かめ、今いる家からリモコンで少し遠い家のテレビの音量をMAXまで上げていく。

少なくともこれで近隣の人は完全にいないことと、目下に居るゾンビ共の量からここら一帯が完全に生きている存在が居ないことを確認する。

テレビを切り隣の家から拝借した地図と双眼鏡を使い、小学校を見るが残念ながらゾンビが見えたことから行くだけ無駄だということがわかる。

我ながら図太い神経だと思いながら、音量を操作する前にバリケードと食料と退路を用意したこの家で一夜を過ごすことにした。

 

 

次の日朝からスマフォをいじる。

ネットは残念ながらつながらなかった。

混戦だろうがよく持ったほうだろう。

少なくともこれで完全に日本はマヒしたと見ていいだろう。

電気と水は通っているししばらくは問題ないが、食料が持つかどうかわからないのが心細い。

今日はゾンビ達を観察する。

まあ、観察と言っても物を投げたり包丁投げたり等で反応を見るだけだが。

結果はまあ、音と動く物につられたり痛覚がなく動きが遅い等のゾンビの定番が分かったぐらいだが。

その後、隣の家の窓を盛大に割りつつ侵入するなどの方法で移動を開始する。

音でゾンビが寄って来るが、前を横切るより遥かにましだ。

成果は昨日の時点でわかってはいたが、年寄りが多い地域なのが確認できた事とバットの回収、多少移動できた事くらいだ。

まあ、ゲームじゃあるまいし都合よく武器が落ちている訳ないわな、等と思いながら紐で輪っかを作る。

そのまま2階の窓から物を放り音を立て、ゾンビをおびき寄せたあと作った輪っかで4回目にゾンビを転がすことに成功する。

食い物を適当にあさりながらゾンビを見る。

まあ、定番だが紐を外す知能すら無いようだ。

そのまま窓から包丁を投げ、突き刺し重いものをぶち当てゾンビの頑丈さを確かめる。

この家にあった包丁を全て使ったが、問題はなさそうなのを確認する。

よくゲームでナイフで切りかかったりしているが、痛覚の無い相手に対しては多少の切り傷等無意味だし、素人の俺が槍などを作ったところで一撃で致命傷を与え無力化できなければこれまた無意味だ。

相手に傷をつけた瞬間にそのままやられるだろう。

そんなことを考えながら何件か回った結果、退路があった家でバリケードを作り、2階に布団を敷き寝る。

 

 

朝、のそりと起き上がる。

 

玄関のバリケードの確認等、侵入してくる所が無い事を確認し服を脱いで裸となり、台所を盛大に水浸にしながら湯を浴びて体と頭を洗う。

直ぐに住人は帰ってこないだろうし、逃げ場の無い風呂場にこもる何てバカなことはしない。

さっぱりし、何件か前の家の箪笥から頂戴した服に着替え昨日のゾンビを見るために移動をする。

どうやら完全に死んでいるようだった。

出血が少しな所を見ると血はすぐ乾くようだ。

「定番だな」

何度目かの感想を口にしつつ昨日、予想よりも早くに見つけた探し物があった家に移動する。

探し物とは車だ。

車自体は簡単に見つかるのだが、探していた車は普通車とは違う。

車高が高く、山道でも走れそうなオフロードのひたすら頑丈そうなでかい車だ。

まあ、物好きな年寄りが居て助かった。

普通車じゃあすぐに囲まれて動けなくなり、ゾンビを避けて通ろうにも障害物で動けなくなり、挙句の果てに盛大にぶつかった瞬間動けなくなり、車高が低いために窓を簡単に割られて終わる可能性が高すぎて乗るわけにはいかないからな。

もう少しド田舎なら問題は・・・人(だった物)を引き倒し、乗り越える可能性がある以上、次点で大型トラックでもない限り無理か。

車のキーと、詰め込むものを準備し、何件か離れた家で古いテープ式ラジカセのカセットにテレビとコードをつなげ最初は音が出ないよう録音し、衝撃で作動不良にならないようガムテープで固定し、電池を入れ再生し道路に紐で下す。

ラジカセにつられてゾンビがよそに行っているのを確認し、音を立てないよう車に荷物を移動し出発する。

エンジンをかける前に備え付けられていたカーナビで位置を確認し、でかい道路に向かう。

でかい道路は放置された車でふふさがれてる可能性も大きいが、狭い道路よりもスピードが出せる可能性も大きい。

今でも十分振り切っているし、避けてはいるが安全性は高ければ高いほどいい。

近場のそこそこだがでかい道路出る。

後は人が少ない地方へひたすら走るだけだと思いながら走っていたが、中学校の前を走るとき前のほうに手を振る中学生と思わしき男女4人組が手を振っていた。

ゾンビではなさそうだが、助ける義理も義務も無いし無視しようかとひたすら思ったが完全に前方に立っていやがるし、中央分離帯のせいで反対車線にもいけないせいで止まる羽目になる。

車の横に来たところを突っ走ってやろうかとも思ったが止まった事だし、嫌々だがの背手やることにする。

「ありがとうございます!!」

そう言いながら、乗り込む奴らを見ると涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔と少し汚れた制服で、奴らが来たであろう道からはゾンビが向かってきていた。

「とっと閉めろ!出すぞ!!」

そう言いながらアクセルを踏み込みその場を離れる。

しばらく無言で4人の鳴き声をBGMに走り、見晴らしのいい場所に来たので車を止める。

「おい、降りろ」

「えっ、でも」

「いいから、降りろや!」

怒鳴りつけて怯えるガキどもを降ろす。

流石にここまで来て「はい、さよなら~」と言うほどひどい性格はしては・・・いない。たぶん

エンジンを止めキーを抜き、前日のうちに見つけた折り畳みナイフを隠し持ち、バットを握り閉め車から降りる。

因みに運転席以外のドアは開かない。

「さて、事情を最初から話せ」

タバコに火をつけながら、のんびりと4人組の話を聞く。

まあ、これまた定番なことに学校に立てこもった所1人が感染。

そのままあっと言う間に拡大し逃げてきたと。

予想道理にもほどがあった。

「で?お前らは噛まれたとかないわけ?」

「はい、感染してません」

一人が代表して言い他の3人もうなずく。

ゾンビからの感染方法はこれまた定番なことに噛まれるか引っかかれるかだ。

そして、当然それらの傷は服の上からではわからない。

つまりは、

「それを俺はどうやって信用すればいいんだ?」

「え?」

そんなことを言われるとは思ってなかったのだろう。

ポカン

そんな言葉が似合う顔をこちらに向けていた。

「だからどうやってそれをお前たちを見ず知らずの俺が信用するんだって聞いてるんだよ?」

「そ、それは」

まあ、そんな方法は一つしかない。

「動くなよ」

バットを軽く4人に向け言う。

鍵を開けドアを開くと置いていかれるとでも思ったのだろう、「あっ!」等と言い向かって来ようとするが、

「動くなっていってるだろう!!」

怒鳴って止める。

「だ、だけど!」

「っち」

思わず舌打ちが出る。

「言う事を聞かないやつは置いていくぞ!」

「っ!」

そう言ってようやく止まる。

「連れてってやるが、俺の言う事を聞け。わかったな!」

そう言って助手席のドアを開ける。

そもそも助手席からどう車を動かすのか。

よほどテンパっていたのだろう、そして体温計を取り出す。

感染の初期状態で熱が出る、まずはそれからだ。

「体温計だ測れ」

そう言いながら一番端の奴に投げる。

いそいそと順番に熱を測っていく4人。

5分ほど経ち全員が平熱だと確認する。

「次は女は後を向いて男二人前にきて裸になれ」

「え?」

「噛まれた跡がないか見なきゃわかんねぇだろうが!」

そう言ってびくつく二人が服を脱いでいく。

ゆっくり二人を見て噛まれた跡が無い事を見る。

「服を着て次は女だ」

「えっでも」

「置いてくぞ?」

口答えしようとした二人を脅す。

殆ど涙目になる二人。

「下着まででいい。男2人後ろ向いて目閉じて耳塞いでろ」

そう言って涙目の女二人を確認していく。

まあ、ガキとは言え反応しそうになったが、今後厄介になりそうなので堪える。

気のせいか若干男よりも長めに確認し、スカートのままだと何かあった時に困るのでズボンを渡す。

「3つしかねぇのに」

お荷物より完全に負担としか言えない4人を見ていらつきと共に言葉が出る。

周りを見渡し、まだ問題が無い事を確認しつつタバコに火をつける。

「さて、一応聞くがお前らはどうするつもりなんだ?」

「え?」

何度目かわからないがまた不安そうな顔をする4人。

「俺には俺の考えがあるように、お前らはお前らで後々何か言い出されても困る。今のうちに言っとけ」

「えっと・・・」

「ここは見晴らしがいいし見る限りゾンビ共もいない、3時間やるから考えろ。なきゃ無いで今後何があろうと絶対に俺に従ってもらうぞ」

タバコを踏み消しつつトランクを開けて、菓子パンや消費期限が近いものを出していく。

「食え。当たり前だがいくら見晴らしがいいからって完全に安全じゃないんだ、ある程度は警戒しろ」

「はっはい」

適当に俺が食うものを選び、車のドア鍵を閉め屋根に上り4人も車に入れない。

何故なら完全に信用してないし、やろうと思えば車何て最低限の知識で動かせる。

車の中には俺が今もっているバットとナイフ以外にも武器はある、4人で抵抗されると厄介だからだ。

1時間は経っただろう「家に・・・」とか「お母さん・・・」とか色々話が聞こえる。

まあ、腹も膨れて落ち着き余裕が出てきたんだろう。

この状態で車を運転していて、こいつらの考えを否定し抵抗されでもしたら厄介だったな。

何て事を考えながらタバコを吸おうとしたとき、女が近づいてくる。

「何だ?」

「あの、トイレ」

「バカか?」

何も考えてないことがわかり、思わず即答する。

「トイレなんぞあるわけないだろう、第一あったとしても個室に入って外にゾンビが来たらどうするつもりだ」

今までだって俺自身、安全が不完全な場合窓からだったりビニール袋にしたりしていたのだから。

「俺から見えるところで、見晴らしがいいところでしろ。死にたいんだったら守らなくていいが」

そう言いながら屋根から降り、車の中からトイレットペーパーを出し渡す。

「うう」

「他の奴らもだ。どこかに行くときでも極力1人にならないように、周りの確認のしやすさを優先して動け」

それから、更に1時間ほど経ち4人から話しかけられる。

「決まったか?」

「はい」

「よし話せ」

そして4人順番に話していく。

「無理だな」

「そっそんな」

「無理に決まってるだろう、親とか確認何てしばらく無理だ。生きているかどうかどころか死体を確認すら困難だ諦めろ。人が多い所に行くのはつまりゾンビも多いんだ死にに行くようなもんだ、それに・・・」

一つ一つこいつらの希望を丁寧につぶしていく。

「そっそうだ、警察のところに行けば」

「無理」

「銃とか」

「素人は使えないし、使えたとしても腹や足とかじゃ意味がない、痛みを感じないんだからな。確実にゾンビの頭か心臓を打ち抜けなきゃただ音で集めるだけだ。出来るのかお前は」

「それは」

4人は完全に沈黙した。

「黙って俺についてくるなら車の運転は教えてやるから、ほとぼりが冷めたら勝手に行くんだな」

「ほとぼりって」

「ゲームじゃないんだ。1ヵ月だか2ヵ月すりゃ収まる」

「えっと」

そこから根拠を説明しだす。

人間は1週間も飲まず食わずでは生きられない、動いてればなおさらだしどんなに効率的に消費エネルギーを抑えても結局1ヵ月が限度。

ゾンビに蛇口捻って水を飲み、袋を開けて物を食う頭はない。

目の前にパンやら生肉やら放って試したしな。

更に動くものを襲う癖に何故か共食いはしない。

音に反応しているんだろう、ラジカセに寄って来ていたので確実だろう

少なくともネズミ算式以上の速さで増えた後、一気に減るはずだ。

話している最中、俺の煙草をみて「匂いとか」と言ってきたが「ゾンビは犬じゃない。匂いなんぞわかりゃしない」匂いを感じ向きを探ると言う思考すら出来るかわからないだろうしな。

因みにゾンビの対処法で一番いいのは目つぶしだ。

目さえつぶせばどこにいるかわからないからこっちに向かってこないし、夜と同じようなものだからおとなしくなるだろう。

残念ながら、夜の様子を見ただけで実験はしていないが。

なんてことを話しながら今後のことも話し出す。

このまま出来れば原発の被ばく範囲外の人の少ない所まで行き、2ヵ月立てこもる。

 

 

以上。

 

 

原発や発電システムが止まれば電気が止まるからわかるし、ほかの国にまで広がっているだろうから救助も絶望的。

ゾンビはほぼ死体だし、死んだあと完全放置だからやばい病気が発生するのは間違いないだろう。

近づかないに越したことはない。

そんなことを話しながら車で移動していく。

途中コンビニがあったので食べ物その他を補充する。

「あの、お金」

「少なくとも今は糞の役にも立たんな」

そんなことを言いながら車に詰めていく。

捜索でゾンビはいなかったし監視カメラの装置を見つけ破壊し、万札も4人に見つからないようこっそり回収する。

ほとぼりが冷めた後に必要になったらあればうれしい。

まあ、5・6百万あればいいだろう。それ以上は邪魔になる。

 

出来れば大型ダンプとか欲しいなと思いながら車で先を急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺(達)の旅はこれからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『完』

 

 

 

 

 

いや、マジで。

 




よく、ゲームや映画を見ながら言いたくなったこと言い切ったぞー!!
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