裏・ディケイド   作:三澤未命

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第28話『吹けよ嵐! 呼べよ嵐! 嵐よ叫べ!!』

○アバン・オープニング

N「これまでの仮面ライダーディケイドは……」

 街中で戦うロボットたち。

グランゼル「行くぜ兄貴!」

スカイゼル「おう! グランゼル!」

士「……キョーダインの世界か」

 稲川家の庭先で話すユウスケたち。

スカイゼル「花摘みの歌の謎を解けるのは、親父の親友である海東博士ただ一人と言われています」

ユウスケ「海東……博士?」

 応接間で座り込む夏海。

夏海「この曲、よく知ってるはずなのに、思い出せない……」

栄次郎「この世界は危険じゃ」

 

○森の中

 並び歩く士、ユウスケ、夏海。

 士は、白を基調とした忍者服のような装い。

夏海「士君、今回は忍者ですか?」

士「うむ。何だか分からんが、今回も完璧に着こなしているな」

ユウスケ「(士を見て、そして周囲を見渡して)……このシチュエーション、前にどっかで……?」

 と、突如目の前の地表が割れ、巨大なクモの怪物が現れた!

ユウスケ「うわっ!! な、何だ!?」

 巨大グモ、口から太い糸を吐き、瞬時に夏海を捕えて頭上に掲げる。

夏海「キャーーーーーッ!!」

ユウスケ「夏海ちゃん!!」

士「行くぞユウスケ!!」

 士とユウスケ、素早く変身して巨大グモに突進する。

クウガ「ウリャーーーッ!」

 クウガ、渾身のキックで巨大グモをグラつかせる。

 ディケイド、ディケイドライバーをソード化させ、夏海を捕える糸をぶった切る。

 宙に舞う夏海。

 クウガ、夏海を地上でキャッチし、その場に寝かせる。

ディケイド「ムン!」

 ディケイド、巨大グモの本体に斬りかかるが、全く手応えがない。

ディケイド「何!?」

 クウガ、ペガサスフォームにチェンジして、落ちていた木の枝をボウガンに変化させる。

クウガ「これでも食らえ!」

 巨大グモの顔面目がけてボウガンを撃つクウガ。

 しかし命中するも、傷一つ付かない巨大グモ。

クウガ「ええっ!?」

ディケイド「何てヤツだ」

 そこへ、一つの影が上空から舞い降りてくる。

 赤い忍者服に身を包んだヒトオニ討伐師・ハヤテだ。

ハヤテ「俺に任せろ」

 巨大グモの前に立ちはだかるハヤテ。

ディケイド「何だ、お前?」

 ハヤテ、右手をサッと振り、背中の刀のツバを鳴らす仕草。

ハヤテ「吹けよ嵐! 嵐! あ~らし!!」

 刀がピカッと光り、ハヤテの身体が羽根吹雪に包まれる!

 目を見張るディケイドとクウガ。

 次の瞬間、鳥人忍者・嵐がその姿を現した!

ディケイド「変身忍者嵐の世界……か?」

 

○オープニング

 

○森の中

 サブタイトル『第二十八話 吹けよ嵐! 呼べよ嵐! 嵐よ叫べ!!』

嵐「トゥリャーーーーッ!」

 嵐、ヒトオニ斬り専用の刀・ムラサメで巨大グモに斬りかかる!

 ひと太刀、ふた太刀、徐々にダメージを与える嵐。

 そして大きくジャンプし、ムラサメを巨大グモの脳天めがけて突き刺す!

 巨大グモの全身がブルブルと震え出し、ついには四散!!

 爆風が消え、嵐がハヤテの姿に戻ると、士とユウスケも人間体へ。

ハヤテ「ケガはありませんでしたか?」

ユウスケ「……そうだ! 夏海ちゃん!!」

 ユウスケ、倒れたままの夏海のところへ走り寄る。

士「大丈夫だ。……それよりお前は?」

ハヤテ「私は、ヒトオニ討伐師のハヤテ。数百年に一度発生する大気現象・ブリガトーンの影響で活発化しているヒトオニ……、ああ、つまり妖怪のようなモノを退治しています」

士「ヒトオニ……」

ハヤテ「しかし、あなた方も妙な風体で戦っていましたが?」

士「妖怪退治というわけじゃないが、俺たちも似たようなもんだな」

 そこへ、一人の少年が走ってくる。

少年「ハヤテさん!」

ハヤテ「(振り返り)トウジ! どうだ、ツチグモの気配は?」

トウジと呼ばれた少年「大丈夫。今のが最後みたいだったよ」

ハヤテ「そうか、良かった。……あ、こいつは弟子のトウジです。トウジ、この方たちも一種の討伐師のようだ」

トウジ「よろしくお願いします!」

士「お、おう……。(妖怪に師匠と弟子、この情景はかつてどこかで……。そうか! 響鬼の世界にごく近いパラレルワールドというわけか)」

 

○光写真館・夏海の部屋

 夏海をベッドに寝かせるユウスケ。

夏海「ごめん……、ユウスケ」

ユウスケ「大した怪我じゃなくて良かったよ。でも、最近疲れてるみたいだったから、少しゆっくりするんだよ?」

夏海「ありがとう。……士君は?」

ユウスケ「ああ、下でハヤテさんたちと話してる。……どうやらここは、響鬼の世界にごく近い嵐の世界って感じだね」

夏海「……嵐」

 

○同・撮影室

 向かい合ってソファーに座る士とハヤテ、トウジ。

士「……大体分かった。つまり、ブリガトーンに包まれた場所では、そのヒトオニって妖怪が生まれやすくなるわけだな?」

ハヤテ「そうです。調査の結果、来年の新月の頃、ブリガトーンが最高潮に達するため、そこを目がけてヒトオニが増えてきているというわけです」

トウジ「噂では、西洋からも既にヒトオニが侵入しているとか」

ハヤテ「西洋のヒトオニはまた性質が違うので、俺のムラサメでもキツいかもしれません……」

士「……厄介なこったな」

 と、トウジの腰に付いていた電波受信機のようなものがピカピカッと光る。

トウジ「……あ!」

ハヤテ「また出たか!」

トウジ「(受信機を見て)この近くの山ですよ!」

ハヤテ「よし、行くぞ!!」

 ハヤテ、立ち上がって外へと向かう。

 トウジも足早に後を追う。

士「……仕方ない」

 士もまた、ゆっくりと二人の後を追って部屋を出る。

 

○山中

 暴れ回る狼男のような西洋ヒトオニたち。

 数組のハイキング客が次々と襲われていく。

 駆けつけたハヤテ、トウジ、そして士とユウスケ。

ハヤテ「むう! 西洋ヒトオニか!?」

士「勝てるのか?」

ハヤテ「分かりません。しかし、黙って見ているわけには……。吹けよ嵐! 嵐! あ~らし!!」

 ハヤテ、右手で空を切り、背中の刀のツバを鳴らす。

 バッと羽根吹雪が舞い上がり、嵐登場!

嵐「トリャッ!!」

 西洋ヒトオニに向かっていく嵐。

ユウスケ「俺たちも援護しよう」

士「うむ」

 士とユウスケも変身し、西洋ヒトオニと対峙する。

 ディケイドとクウガ、それぞれの剣で斬りかかるも、やはり手応えがない。

クウガ「チクショー、やっぱりダメか」

ディケイド「ヒトオニは専用の剣でしか倒せないってことか、チッ!」

 しかし、嵐のムラサメもまた西洋ヒトオニに致命傷を与えられないでいた。

嵐「くそう……、やはり波長が合わないのか!?」

 苦戦する三人。

 と、そこへ天空から手裏剣が振り、西洋ヒトオニたちに命中していく。

 砂のように崩れ落ちていく西洋ヒトオニ。

嵐「こ、これは……!?」

 空を見上げる嵐。

 そこには、また別の変身忍者の姿があった!

別の変身忍者「トゥーーーッ!」

 嵐たちの前に降り立ったもう一人の変身忍者。

 その姿は、熊と鳥が合体したかのような造形だ。

別の変身忍者「私は月の輪。ヨーロッパから、西洋ヒトオニを追ってやって来た」

嵐「ヨーロッパから! では、西洋ヒトオニを倒す術も心得ていると!?」

月の輪「さよう。……嵐、君のムラサメも、調律すれば通用するはずだ!」

 と、残る数体の西洋ヒトオニが襲いかかってきた!

月の輪「嵐! このサヤに合うよう調律するのだ!!」

 月の輪、背中の剣を抜き、そのサヤを嵐に向かって投げる。

 そして、自らは西洋ヒトオニに斬りかかっていく。

 嵐、サヤを受け取り、ムラサメを刺そうとするが反発して入らない。

嵐「ムゥ……」

 嵐、その場に胡坐をかき、サヤに収まり切らないムラサメに神経を集中させて目を瞑る。

月の輪「……君たち! 嵐の援護を!!」

 月の輪、西洋ヒトオニを斬りながら、ディケイドとクウガに向かって叫ぶ。

クウガ「よし!」

ディケイド「倒せないと分かっていて戦うってのは、酷だな」

 ディケイドとクウガ、嵐を守るように西洋ヒトオニに斬りかかっていく。

 その間、嵐は神経を研ぎ澄まし、ムラサメに気を注入させていく。

 それをジッと見つめるトウジ。

 やがて、ムラサメが青白く光り始め、その閃光が嵐と一体化する!

 目を開き、光るムラサメをガチッとサヤに収める嵐!

 ムラサメの調律が完了した!!

 再び立ち上がり、ムラサメを抜いて西洋ヒトオニに斬りかかっていく嵐!

嵐「トゥリャーーーーッ!!」

 ひと太刀、ふた太刀、次々と次々と西洋ヒトオニを斬り倒していく嵐と月の輪。

 ついに全ての西洋ヒトオニを殲滅!

クウガ「やったね!」

 と、次の瞬間!

 眼前に牛の頭を持つ人型東洋ヒトオニが現れ、サッと両手を広げると、四散していた西洋ヒトオニの死骸を吸収し始めた!

月の輪「いかん! ……あいつは!!」

 再び身構える月の輪と嵐。

 しかし、合体して生まれた四足歩行の牛型ヒトオニは、猛然と嵐と月の輪を蹴散らし、トウジに飛び付いた!

嵐「……ト、トウジ!!」

 あっという間にトウジを丸呑みしてしまった牛型ヒトオニ。

 そして、そのまま辺りの木々をなぎ倒しながら走り去っていった。

嵐「トウジ!! トウジーーーーッ!!」

 

○ハヤテがアジトとしている洞窟

 焚き火を囲んで座るハヤテ、士、ユウスケ、そして人間体となった月の輪・ザント。

ザント「あれは、伝説のヒトオニ・ギュウキだ」

ユウスケ「ギュウキ……。(やっぱり、響鬼の世界と同じだ)」

ザント「うむ。古来より、東洋と西洋のヒトオニが融合した際、ある条件下でのみ生まれると言われている。その力は強大で、尚且つ寄生ヒトオニであるため、倒した討伐師に寄生を繰り返し、永遠に生き長らえるのだ」

ハヤテ「トウジは、無事なんでしょうか!?」

ザント「恐らくまだ大丈夫だろう。吸収された人間がギュウキと一体化するまで数日を要すると言われている。だが、ギュウキを斬った瞬間、その斬った討伐師にギュウキは寄生する。奴を倒す術は……」

ハヤテ「(ザントの口を手で制し)ザントさん、その先は……」

 ハヤテ、立ち上がって身支度を整える。

士「……行くのか」

ハヤテ「トウジを救うのは俺しかいない。そして、ギュウキを消し去るのもまた……」

 決心を固めたハヤテの目、そして、その覚悟を見てとるザント。

 士とユウスケは、これまでの旅で初めて自分たちの無力さを実感していた……。

 

○光写真館・夏海の部屋

 ベッドで眠る夏海。

-----夢の中-----

 幼い夏海(五歳くらいか?)がこたつに身体を埋め、その机上の丸い球体を見ながら『花摘みの歌』を口ずさむ。

夏海「カキにカボチャはカンナかな♪ マンゴ・マツタケ・マンダリン♪」

 と、みるみる内にその球体が大きくなっていき、パンと破裂すると、そこは荒れ地へと変貌した。

 そして、宙に浮く現在の姿の夏海。

 その真下では、ディケイドが他のライダーたちを次々と倒している。

夏海「や、やめてーーーーっ!!」

------夢、終わり-----

 ガバッと上半身を起こす夏海。

夏海「またあの夢。でも、その前に出てきたアレは……、私?」

 

○同・廊下

 夏海の部屋の外、そのドアにもたれて立っていた栄次郎が呟く。

栄次郎「夏海の記憶が戻りつつある。……急がねば!」

 栄次郎、神妙な面持ちでその場から離れて、階段を下りていく。

 

○山中

 木という木をなぎ倒しながら走り回るギュウキ。

 その顔面には、苦悶の表情のトウジが見え隠れする。

 そこへ現れるハヤテ、ザント、士、ユウスケの四人。

ザント「もう民家は近い。これ以上ヤツを暴れさせるわけにはいかんな」

ハヤテ「ここで止めます。……吹けよ嵐! 嵐! あ~らし!!」

 ハヤテ、ムラサメのツバを鳴らして嵐に変化!

 同時にザントも月の輪に変化し、二人でギュウキへと立ち向かう。

ユウスケ「士! 俺たちも援護を……」

士「ああ。大して役には立たんがな」

 士とユウスケも変身し、二人の援護に回る。

 順々にギュウキに斬りかかる嵐と月の輪、そしてディケイドとクウガ。

 徐々に勢いを失くしていくギュウキ、ついには足腰立たなくなり、下半身をガクッと落とす。

月の輪「今だ!」

 嵐、ムラサメを高く構え、ギュウキの脳天から真っ直ぐ下へと斬り裂く!!

 雄叫びとともにギュウキの身体が砂のように砕け散り、中からトウジの姿が!

嵐「トウジ!!」

 が、その瞬間、ギュウキの魂が嵐へと寄生し、みるみる嵐の姿がギュウキの如く変化していく!

 思わず前へ出んとするディケイドとクウガ。

 しかし、月の輪がそれを制止する。

ハヤテギュウキ「ウギャーーーーーオ!!」

 ギュウキと化したハヤテが吠える。

 だが、その造形はかろうじて二足歩行の人型を維持し、顔面にはハヤテの苦悶する表情が残る。

トウジ「……ハ、ハヤテさん!!」

 倒れ込んでいたトウジが、ギュウキの中のハヤテに気付いて叫ぶ。

ハヤテギュウキ「……ト、トウジ……。俺を……、俺を斬れ!!」

トウジ「な、何ですって!?」

ハヤテギュウキ「ムラサメを拾え! 俺を継ぐのはお前、次の嵐はお前なのだ!! ……このギュウキという奴は、倒しても討伐師に寄生することで永遠に生き長らえる。消滅させるには、俺自身が奴を斬るしかない! ……そして、お前が俺の介錯をするのだ!! ……ググッ!」

 苦しむギュウキの中のハヤテ。

トウジ「そんな、そんな事……。ハヤテさんを殺すなんて、出来るわけありません!!」

 泣き崩れるトウジ。

クウガ「無茶だ! 弟子が師匠に止めを刺すだなんて……」

 憤るクウガ。

 ディケイドもまた、無言で拳を握り締める。

ハヤテギュウキ「……早くしろトウジ! ギュウキを倒すチャンスは、俺がまだ身体をコントロール出来る今しか!! ……拾え! ムラサメを、拾うのだ!!」

トウジ「(泣きながらも、徐々に鬼神のような表情となり)うう……、ググ……、ハヤテさん……、ハヤテさん!!」

 トウジ、意を決してムラサメを拾い、カチンとそのツバを鳴らす!

 羽根吹雪がトウジの身体を包み込み、トウジが嵐に変化!!

ハヤテギュウキ「……ザントさん!!」

 ギュウキの中のハヤテが叫ぶやいなや、月の輪が自らの剣をハヤテギュウキに投げ渡す。

 月の輪の剣をキャッチするハヤテギュウキ。

 そして、刃先を自らの腹に向けて構える!

ハヤテギュウキ「……ウ、ウオオオオオッ!!」

 ハヤテギュウキ、自らの腹に剣を突き刺す!!

トウジ嵐「ウリャーーーーッ!!」

 そして、嵐へと変化したトウジがムラサメでハヤテギュウキを斬り裂く!!

 眩い光とともに、ギュウキの身体が四散する!!

 そして、ギュウキの魂は浄化されて消え去り、後には傷付いたハヤテの姿が残った……。

 スッと人間体に戻るトウジ。

トウジ「ハヤテさん!!」

 そして、倒れたままのハヤテに駆け寄るトウジ。

 ザント、士、ユウスケもそれぞれ変身を解いて駆け寄る。

トウジ「ハヤテさん! ハヤテさん!!」

 泣きながらハヤテに呼び掛けるトウジ。

 しかし、ハヤテはもう動かない。

ザント「……ハヤテは、自らの寿命を理解していた。だからこそ、お前に一人立ちのチャンスを与えたのだろう」

トウジ「(涙を拭き)……分かっていました。ここ数ヶ月、ハヤテさんは自分の命がもう長くないことを僕に諭していました。……師匠からの最後の教え、確かに授かりましたよ……」

 トウジ、ハヤテの両手を胸の前で組ませると、戦士の顔つきで立ち上がる。

ザント「これからだぞ、トウジ!」

トウジ「はい!!」

 快活に返事をするトウジ。

 そして、傍らで横たわるハヤテの表情は、まるで優しく微笑んでいるかのようだった……。

 二人の雄姿を背に、士とユウスケは目を合わせて頷き合うと、無言でその場を去っていった。

 と、士とユウスケがいなくなったことにトウジが気付く。

トウジ「……あれ? あの人たちは……。ザントさん、あの人たち、何者だったんでしょう?」

ザント「通りすがりの戦士……ってところかな。しかと覚えておこう」

 

○光写真館・撮影室

 士とユウスケが入ってくる。

ユウスケ「ただいま~」

夏海「あ、ユウスケ! 士君! おかえりなさい!」

 夏海がエプロン姿でリビングから顔を出す。

ユウスケ「夏海ちゃん、もう大丈夫なのかい?」

夏海「はい。心配かけてすみませんでした。おかげでゆっくり休めましたし。……さ、晩ゴハンの支度しますね!」

 夏海、再びリビングの方へ。

 士とユウスケはソファーに座り込む。

 士、響鬼と嵐のカードを机上に置くと、間もなくその二枚のカードはスゥーッと消えていった。

士「ヒトオニは専用の剣でしか倒せない。これは、魔化魍が音撃でしか倒せないのと同じだったってことか……」

 士、残り一枚ずつとなった二つのカードデッキを取り出す。

士「あとはクウガのカードと、この裏世界の残り一枚だ」

ユウスケ「いよいよ、俺の真実が……」

 ユウスケ、真剣な表情で士のカードデッキを見つめる。

士「……行くか」

ユウスケ「……うん」

 士、立ち上がって背景ロールのロープに手を掛ける。

 と、夏海がバタバタと駆け寄り、

夏海「待って! 何だか嫌な予感が……」

 不安げな表情の夏海。

 一瞬沈黙する三人。

 リビングでは、栄次郎が横目でその光景を見遣る。

士「……とにかく行こう」

 士、ロープを引っ張って背景ロールを変えると、そこにはギターを背負った青年のシルエットが……。

 

○第二十八話・完

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