気まぐれ短編集   作:Boukun0214

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心のピース:番外

最近、私のクラスで変化が起きた。

 

正確には、特定個人とその周辺。

 

なんとなく、丸くなったというか。

 

雰囲気が、とにかく変わっている。

 

 

彼と仲が良いのは癒生くん。

私は彼と別段仲が良いというわけでもないが、クラスの皆がそう呼んでいるし、私もそう呼んでいる。

 

夏休み前、交通事故に遭ったらしいけれども、軽い骨折で済んだらしい。

 

その直後か、もう少し後くらい。

問題の"彼"に変化があったのは。

 

名前は、仁。確か、名字は東藤。

一学期から学年一位を連覇中で、うちの学校には首席で入学した超頭の良いやつ。

 

そういう人でよくあるのかどうかは知らないけど、人当たりが異様に悪くて、さらに自分からは関わろうとしないものだからクラスでは孤立していた。

 

とはいっても、陰口をこそこそ言うような人が少人数いるだけで、特に苛めなどは存在しなかったので、ほぼ全員にとって、『知り合い』程度のポジショニング。

 

そんな彼が、ある日を境に、周囲の人との会話に参加するようになったのだ。

 

他にも、自ら挨拶をするようになったり、昨日見たテレビの話などのありきたりなものに入っていったり。

初めはみんな驚いたが、すぐに彼は溶け込んでしまった。

 

 

さて。本題に入ろう。

 

これは私の完全な個人的興味なのだけれども。

 

彼に起きた変化が気になってしかたがない。

正直、私は友達がほとんどいない。通っている地域が遠いのもあり、もともと友達作りが得意なわけでもない。

なので、彼がどうやってあそこまでクラスの端から中心へと近付いたのか、非常に興味がある。

 

簡単に言えば、彼をボッチ脱却の参考にしたいのだ。

 

ひとまずは親友兼幼馴染みのユミに聞いてみることにした。

彼女は私とは違って、クラス全員お友達タイプ。

この性格に良くも悪くも何度巻き込まれたことか。

 

「そういえばさぁ。変わったよねー。東藤くん。」

「確かに。柔らかくなったよね。彼女でもできたのかな?」

 

ユミがそういったのを聞いて、なぜだか直感的に思った。

それはない。

確かに、ある程度整った顔立ちをしているが、無気力な性格で冷たいし、人当たりが悪いし、あの性格で恋人が出来るなんてありえない。

というか、信じない。

 

 

 

「まあ、なんかね、癒生くんと仲直りしたんだってさ。」

「え?」

「だから、東藤くんの話。訊いてきたのはそっちでしょ?」

「あ。うん、ありがとう。」

 

 

あー、ボーッとしてた。

なんだか。なぁ。。。

 

軽くユミにお礼をしたあと、私は東藤くんを観察することにした。

実をいうと席は隣なので、観察はしやすい。

いや、授業中に横を向かないといけないという点では、少しやりにくいものがあるのだけれども。

 

まあ、窓際の席だし。

あんまり、他の人の目には留まりにくい位置ではあるのかな?

 

そういえば、ちょっと前に本人に直接話したことがあった。

 

 

 

「東藤くんってさ、変わったね。」

「変わってる、じゃないのか?」

「あ、いや。。。なんか、明るくなったっていうか。。。」

「・・・変わらなきゃって。思った。それだけ。」

 

と、言われただけで、あんまり、肝心な原因とかはわからなかった。

でも、少しだけでも話せたから、ちょっぴり嬉しかったかもしれない。

 

 

それはともかくとして、やっぱり、幼馴染みの癒生くんに訊くのが、手っ取り早いのかな。

彼のことを見ていても、なかなか何がわかるというものでもないし。せいぜい、彼の回りに人が少し集まるようになったということだろうか。

 

少し前までは、二人きりの窓際だったのだけれども。

 

二人きりの、と言っても、私は本を読んで、彼は外を眺めて。と、まともに会話したことはほとんどない。

彼が変わったあとも、それはたいして変わらなかった。

 

なんとなく、もったいないなって思ってしまう。

 

 

そんなことを考えながら彼のことを見ていた。

ふと、彼と目が合った。

 

 

すると、彼は、なんと笑いかけてきたのだ。

 

 

 

思わず、目を逸らす。

 

どうしてか、顔がものすごく熱い。

 

 

 

くっそ・・・。

 

あんな風に、笑うんだ。彼は。

 

初めて知った。

 

 

 

 

私は、きっと、とても紅い顔をしているだろう。

 

 

彼がいつも見ていた窓の外の紅葉は、いつの間にか、紅く染まっていた。

 

もうすぐ、秋が来る。

 

 

きっと、この感情は。

 

気が付いてしまった、感情は。

 

 

 

 

あの紅葉のようには、散ってはくれないんだろう。

 

 






彼女の話は、また今度。



to be continue...
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