IS学園生徒会。
生徒会長、更識楯無。
会計、布仏虚。
書記、布仏本音。
以上。
「俺はこれを生徒会と呼んで良いのかという疑問がまず出てくるんだが」
「そこは気にしない方向で大丈夫」
更識楯無、もとい刀奈に生徒会に誘われた俺、紅宮彩翔は現在生徒会室にお邪魔している。
生徒会室内にいるのは俺を外して三人。生徒会長、会計は言わずもがな、新たに書記の一年生がいた。
「布仏本音って言います~。よろしくお願いします~」
彼女の名は布仏本音。会計布仏虚の実妹である。物凄く抜けているというか、天然というか。彼女が見た目通り以上にのんびりゆったりしているのは言うまでもないのかもしれない。
今日、俺がここに来たのは刀奈にあの時の返事をする為である。
――――生徒会に、入らない?
「で、彩翔クン。私は君を生徒会副会長に任命します」
「………………………………、」
何か言ってやりたかった俺だが、“強制”と書かれた扇子を開き真剣な目の刀奈を見ていると何も言えなくなったのでまだ温かい番茶を一口啜った。
「……楯無。お前は俺を、何の為に生徒会に引き入れる?」
「猫の手も借りたい。彩翔クン、わかるわよね」
「………………………………、」
そう言われるとお人好しな俺は断れないということを、刀奈、お前は知ってる訳だ。
「…………いや、何も言うまい。生徒会長から言われちゃやるしかないな」
「流石は彩翔クン、話を判ってくれて会長は嬉しいのです」
“
「会計さんに書記さんさ。職権濫用してるけど何か意見はないのか?」
「就任おめでとうございます、副会長」
「わ~、ふくかいちょ~よろしくお願いしま~す」
布仏姉妹はわざとやってるのか。それとも素なのか。いや、多分後者だ、この二人は。
「……わかった。よろしく頼む」
前途多難。今ならこの言葉を使っても良いと、俺は思う。
「因みに、返事はどうなってたの?」
「情けないことに、全てはお前に一存しようかと最終的には考えていた。どちらに転んでもメリットデメリットの天秤は傾かなかったからな。入って仕事をしても良いとは付け足そうとは思ってた」
メリットデメリットの天秤。自分に対する利益と損害を計るソレだ。何故か刀奈はその言葉に若干眉根を寄せた。
「不満な返事だったか?」
「当たり前よ。彩翔クンらしくないもの……メリットだってちゃんとあるし、」
「ボソボソ言ってたって聞こえないんだが」
「聞こえなくていいの!!」
なんだそりゃ。
「……まぁいい。しかし生徒会に入るには普通承認が必要なんじゃないのか?」
「別にー? そんなの会長が許可しちゃいますしぃ」
いいのかそんな職権濫用で。本来なら世間的に色々と不味いだろうに。
「結局、ここに来ても生徒会か。つくづく悪運が良いみたいだ、泣けてくる」
「…………………………………………、」
「……だから何でそんなにむくれてるんだ」
刀奈はしかし答えないでそっぽを向いた。
結局のところ、終日まで刀奈は口を聞こうとはしなかった。話し掛けて欲しそうにこちらをチラチラと見てはいたが。
その日の夜のこと。自室で音楽を聞き流しながらISに関する分厚い電話帳のような教科書を読んでいると扉がノックされた。
返事をすると入ってきたのは布仏虚さんだった。手にはファイルと腕章が1つ。大方生徒会関係か。
「紅宮さんは勤勉な方ですね。お邪魔してしまい申し訳ありません」
「いや、特にそんなことは。それで、ご用は?」
「予想はつくかと思いますが、生徒会関係のことです。こちらが資料と、学園内にいる間は着用義務のつく腕章になります」
手渡されたあまり使われていない、しかし古めかしいファイルと新品の腕章。使い込まれた感じがしないというのは使用人があまりいなかったのか。
「副会長自体稀な役職みたいなんです。今まで副会長を務めた方はいらっしゃらなかったようで 」
「ということは俺が初めての?」
「はい、学園初であり男性初の副会長ですね」
ニッコリと微笑む布仏さん。そんな表情されても喜べない。
「基本的には会長の補佐になりますからそんなに難しくはないと思います。資料の方も軽く目を通す程度で良いかと。忙しい時期にご迷惑をおかけします」
「いやいや、まぁこういった仕事は慣れてるもんで」
「ふふっ、そうでしたね、生徒会関係なら紅宮さんはエキスパートでした」
オリ主×楯無・刀奈の砂糖吐くくらい甘々な奴書きたかったんだと思うけど、そのシーンまで持っていく前に力尽きたんだ……。