キノンの没作品シリーズ   作:いつのせキノン

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ツイッター解説を忘れてて発掘した奴を掲載。

兄妹愛というものをメインに据えて、くーちゃんを守るために頑張るお兄ちゃんを書きたかったんだと思う。コンセプトは不明。
あとはカッコイイナイフ戦闘書きたかった。IS相手に生身で挑んだりね(鬼畜の所業)

※【残酷描写あり】苦手な方は回れ右。


兄と妹 -タイプ0観察日記-
【閲覧注意】 兄と妹 -タイプ0観察日記- 【残酷描写あり】


 

 

 

 

 

 

 

 真後ろにあるのは、透明な円筒。中は培養液に満たされており、そこには1人の少女が膝を抱えて浮かんでいた。

 

「君が、タイプ0だね?」

「………………………………、」

「そう睨まないでよ。せっかく助けに来てあげたんだから」

 

 目の前の兎耳を睨み付け、コンバットナイフを太腿から2つ取り両手に構えた。

 

「妹を、守りたいんだよね? 君にとって妹は、とってもとっても大事な存在。わかるよ、束さんもね、大事な妹がいるんだ」

 

 ニコニコと怯えるような仕草を微塵も見せない兎耳の女性。否、彼女は恐怖を抱いていなかった。だからこそ、怯えることもなかった。

 

「ねぇ、ここから出たくない? 妹と一緒に、自由に外を出てみたくない?」

 

 その言葉に、瞳が揺らいだ。魅力的、なんてことじゃない。それは悲願だ。自由の身で、何も縛られずに生きていきたい。道具として生まれながら、それでも人間に憧れた自分が望む、妹への願いだった。

 

「助けてあげるよ。こんな暗い場所とはおさらばしよう。青空の下で、この私と、妹と、世界を見てみたくない?」

「……ッ、ぁッ……、」

「……? もしかして、喋れないの?」

「ッ」

 

 ギリッ、と口を引き結んだ。口の中に広がる血の味が、明滅する思考を落ち着ける。自分が信用できるのは、この己の血と、妹だけ。それ以外の人間は全て敵。生き物は、全て、全て、全て。

 

 ダンッ、と地を蹴って飛び出す。その加速は人を超えていた。銃を構えるよりも速く、敵の懐に飛び込んで喉を掻っ切る。

 

「おっと、」

 

 しかし刃は届かない。喉に喰い込む直前に、柄と刃が解体されて宙を舞った。それも、両手に持っていた2つのナイフが同時に。

 

「ふぃぃ、セフセフ。君スゴいねぇ。これハイパーセンサー付けてても危ないくらいだし」

 

 ヒュンヒュンと宙を回転しながら落ちてきた刃を2本とも指で掴んだ兎耳。ニッコリと笑みを浮かべ、手も伸ばせない至近距離から瞳を覗き込んできた。

 

「取り敢えず一緒に来てよ。妹の事もちゃんと治してあげるし。まずは体験しなくちゃ。君に空を見せてあげる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒュントナイフが一閃。それだけで3人の喉元から血が噴き上がる。絶命を確認するよりも速く彼は人と人の隙間を低く低くくぐり抜けてマシンガンを構えようとする人間に肉薄。グリップの尻で銃口を叩いて跳ね上げ続いて二閃、男の両腕を半ばから切り落とす。フィニッシュは喉元への突き1つ、骨ごと貫いた。

 薄暗い廊下の曲がり角の先から人影が飛び出してくる。咄嗟に、無意識に、しかし洗練された霞むような速さで腰からスペツナズ・ナイフを迷いなく掴み出し射出。ナイフが影の喉元へ到達すると同時、肉薄してグリップで叩き込み刃を叩き込み装填も終わらせる。

 敵影、0。後ろへ向けてハンドサインを送る。すると後ろからは兎耳の女と、その背に銀髪の妹を背負って出てきた。

 

「いやぁ、この戦闘経験は肝抜きモンだね。こんなに使えるのに眠らせておくなんて、ドイツもバカの集まりなのかな?」

 

 兎耳の女の言葉に、しかし言葉をかけることはない。話す必要など無いし、そもそも声が出せないのでどの道無視する他にすることはない。

 

「疲れた?」

 

 ふるふると首を横に振る。

 

「まだ殺すの?」

 

 コクリと首を縦に振る。

 

「復讐?」

 

 もう一つ、頷く。

 

「虚しくない?」

 

 その言葉には沈黙で返した。

 

「でも、殺すんだね?」

 

 縦に頷き、肯定。

 

「辛くなるかもしれない。それだけの命を背負い切れる?」

 

 否定する。首を、横に2回振った。

 

「無責任な将来だね。君は悪者になるかもしれない」

 

 それでいいと肯定する。

 

「自分には妹さえいれば、それいいんだね?」

 

 ああそうさと、今までで一番強く深く頷いた。

 

「……素晴らしい兄妹愛だね。感服だよ。是非とも助けてあげたいね」

 

 よっ、と兎耳の女が妹を担ぎ直す。まだ妹は目を覚まさない。当たり前だ、彼女はもう意識を保てない程に衰弱したまま保存され続けてきた。どの道短い寿命だろう。それでも、彼女の苦しみをわかってやれたのは自分だけだから、だからこそずっと傍にいなければならないのだ。

 

「ちょっとした質問。今まで何人殺してきたの?」

 

 問いに、彼は指を5本立てた。

 

「50人?」

 

 否定。

 

「……500人。いや、それ以上って言いたい?」

 

 肯定する。

 

「そっか。なるほど、君はもう背負えないんだね。魂が、精神がキャパシティをオーバーしたんだ」

 

 凄いねぇ、逸材だねぇ、と嗤う。

 

「良いんだよ。君には紛れもない、邪魔できない妹への愛がある。君はもう背負う必要なんて無いんだよ。君には妹を思う気持ちさえあれば、後はどうにかしてあげるから」

「?」

「君はそのままでいて良い。そういうこと」

 

 ね? と兎が嗤う。

 

「さぁ、行こう。出口はすぐそこだ」

 

 ザッザッザッ、と雑踏が遠くから聞こえてくる。最後の兵隊、殺すべき対象の最後の人間達。

 数は12人。対しこちらは3人。内、戦闘を行うのは1人。兎は手を出さないし、妹はそもそも手を出せない。

 

 だが、関係ない。兎なんて守らなくとも自分でどうにかするだろう。そうすれば自然と妹は無事になる。後は1人で蹴散らせば良い。殺してしまえばそれで良い。

 

 殺せ、殺せ、と、内側から湧き上がる激情が身体を誰よりも速く突き動かす。先頭から順番に右手で6人、左手で6人の喉元を掻っ切る。大きく血が宙を舞い、紅い噴水の出来上がりだ。

 

 

 

 ――――刹那に、パァンッ、と拳銃の音が響く。

 

 脇腹の痛みを感じて手を当てれば、ぬるりと生温かい血が溢れていた。

 視線をついと出口のところへ向けた。1人、白衣を来た若い女がいた。ガタガタと噛み合わない歯を必死に抑えようとして、その震えが全身へ伝わって両手で撃った拳銃さえも取り落とした。

 

「ぁ、ゃ、ゃ……だ、来な、ぃで、来ないで……!!」

 

 腰が抜けてその場に尻餅を着く。必死に震える手と足を動かして後ろへ遠ざかろうとする。

 一歩、また一歩と女に近付く。脇腹の痛み等気にすることではない。この程度のこと、慣れっこだ。

 

「ぁ、ひぃっ、ひ、あ、やだ、おね、がぃ、たひ、ぁあひけ、」

 

 過呼吸でひゅーひゅーと息の詰まりそうな喉を開き口を動かす。言葉にならない掠れた声が出てくるが、それは止まる理由にならない。殺さねばならない。何故なら、コイツも復讐の対象だから。

 ピチャリと踏み込むと音がした。女の下半身から漏れ出した尿が水溜まりを作っていた。怖いのだ、死ぬのが、迫られるのが、睨まれるのが、死に近付くのが。

 

 それで、何がどうなる。

 

 ナイフを振り上げ、

 

「――――――――――――――――――――――――――ッッッッ!!!!!!!!????????」

 

 左耳を切り飛ばす。声にならない悲鳴がつんざく。次は、右耳を。

 

「あああぁぁあぁぁぁぁぁぁあああぁあぁぁぁあああッッッッ!!!!????」

 

 次。左腕と右腕、両方を肩から切り落とす。

 

「いギ、あぁぁぁああギギィィィいっぃ、あアアァあぁアアあアァッッッ、がいぃギぃぃぃィィィィああああアアアアぁあァァアァァァッッッッ!!!!????」

 

 ガクガクと白目を剥き泡を吹いて痙攣する。失禁した尿と血が広がり粘り気のある水溜まりが出来上がり、女が痙攣して跳ねる度にビチャビチャと音がした。

 

 そこで終わり。放っておけば後は勝手に失血死だ。もう助かる見込みは無い。苦しんで苦しんで、死ねば良い。

 

「さぁ、皆死んだよ。一先ず復讐は一旦中断。脱出して治療を……あれれ?」

 

 兎が脇腹を見ると、既に血は止まって傷口も塞がっていた。

 

「へぇ、そんなに早く治るものなんだぁ。ナノマシンも侮れないね」

 

 僅かな情報だけで、兎はそこまで看破してみせた。そうだ、体内には血液中や神経中、リンパ腺中にも、ありとあらゆる場所にナノマシンが投与されて活性化されており、全ての情報を把握している。身体が欠損すれば驚くべき速さで治療を完了させてしまう。

 

「でも別の場所から血肉を削る訳だ。果たして君の体はどこまで人間から離れたんだろうね?」

 

 そんなこと、わからない。何度も何度も死にかけて、その度に無理矢理治して。もう純粋な身体はとうの昔に失ったに違いない。

 

「まぁいいや。何か食べないと栄養失調で死んじゃうみたいだしね、何か食べさせてあげる。さぁさぁこっちこっち」

 

 兎は妹を担ぎながら器用に手を引いて行く。少し林の開けた場所に出ると、でっかい人参があった。人が乗り込めるようにタラップと扉が付いている。

 

「妹ちゃんはここに置いとくね」

 

 それに乗り込み、兎は妹をソファに座らせた。シートベルトを付けてあげて、ずり落ちないように隣に座って抱き込んだ。

 

「……箒ちゃんは、元気かなぁ……」

 

 ふと小さく呟いた兎の言葉に、聞き耳は立てたが何かを問うようなことはしなかった。必要ないし、どうでもいい。妹さえいるならば、それでいい。

 

「さってと。じゃあここを離れようか、揺れるかもしれないけど、そん時はどうにかしてね」

 

 空中ディスプレイとキーボードに指を走らせる兎。楽しそうだとそれを眺め。視線を腕の中の妹に移した。目を覚ますことは無い。眠り姫ではあるが、彼女が居るならばそれで大丈夫。ゆっくりと、眠りにつくように目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まぁ1話だけ書いて満足したんですわ
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