キノンの没作品シリーズ   作:いつのせキノン

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「反逆の悪夢」
IS二次ドシリアスモノ。人が無残に死ぬ。
ISが支配する世界を覆す為に戦争をする人々の話。根本的にはISじゃない4脚阿修羅のACモドキが動いているのを書きたかっただけっていう
(ツイッター解説より)


反逆の悪夢
1


 死屍累々。屍の積み上がる焼け野原の中心で、その機械は無機質に吠えた。

 

『笑止。ISもこの程度か』

 

 その図体は10mを超える巨体だ。全身がくまなく機械という装甲に覆われ、分厚く太い腕の先には左手に七連装ガトリングガン、右手には巨体の3分の2はありそうなレーザーライフルが腕と一体になって装着されており銃口に沿って耐熱加工の施された鋭角のブレードもあった。

 背には固定されたメインブースターが2つ、更に全身各部にも細かいブースターが目立つ。

 上半身を支えるのは四足の脚、それはまるで蜘蛛のような生物を思わせる。ゴツゴツと無骨なフォルムのソレは後ろ足にパイルを装着しており、地面にそれを打ち込んでいた。

 

 

 

 ――――ISを串刺しにしたまま。

 

 

 

【――――ザザッ――ガ――――uリゲーto、――いの――――ka――?】

 

『ミッションを終了。コアを回収後に帰投する』

 

【ピ――――をおmadiiiiii――ぅ――――】

 

 反動を抑える為に打ち込んでいたパイルが引き抜かれ、ボタボタと血肉の塊が滴り落ちた。

 

 

 

 この戦争は、反逆の、ほんの序章に過ぎない。

 

 ISを、王座から引き下ろすための、その序曲だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでナンデなんでなんでナンデなんでなんでナンデなんでなんでナンデなんでなんでナンデなんでナンデなんでナンデなんでナンデなんでナンデなんでナンデなんでナンデなんでナンデナンデなんでナンデなんでナンデなんでナンデなんでだよォォォォォォォッッッッ!!!!!!!!!!!!」

 

 モニターを食い入るように覗いていた篠ノ之束は狂ったように……いや、発狂して叫びだした。髪がぐちゃぐちゃになるのも気にせず頭を掻き乱し、喉が潰れるんじゃないかという奇声を上げる。時に散らかったガラクタを蹴飛ばし、踏み潰し、壁に投げつけ、破壊する。

 

「ISが、私の子が一番だッ、ISが世界一、宇宙一、それに勝るものなんて有り得ない……!! 有り得ないありえないアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイィィィ……!!」

 

 ガヅンッ、と自らの額を壁にぶつける。刹那に壁には細かいヒビと陥没が現れ、同時に真っ赤な血が付着した。

 フーッ、フーッ、と怒り狂った束が徐々に息を落ち着ける。もう一度、壁に頭突きをかます。今度は水気の混じった鈍い音がした。

 

「失礼します、束さ、ま――――、」

 

 大きな音を聞きつけたクロエ=クロニクルが部屋に足早に入ってきて、絶句する。壁際で束が額から血を流して佇んでいるのだ、そりゃあ驚くに決まっている。

 

「な、何をなさっているのですかッ!?」

 

 血相を変えてクロエは駆け出し、ポケットからハンカチを出して束に駆け寄った。

 

「すぐに手当を――――ヒッ……!?」

 

 額にハンカチを当てようと顔を覗き込んだところで、クロエは恐怖に顔を歪ませ地面にへたり込んだ。カタカタを噛み合わせが合わずに震えて足からも力が抜けた。

 

「ン? アァ、くーちゃン? どウしたのサ、そンなに怯エちャッテ……?」

「ぁ、あっ……!?」

 

 声が出ず嫌だ嫌だと必死に首を横に振り力が抜けそうな体を必死に後ろへ後ろへと追いやる。

 

「大丈夫だヨ、ほラ、束さンはイつも通りでショ?」

 

 束が笑みを作った。それはそれは、大層歪んだ悪夢のような笑みを。いつもクロエが自身へ向けてくれる優しいそれではなく、狂気に満ちた悪魔の笑みを。流れ滴る赤黒い血、抉れた額、充血して真っ赤になった目、口角を歪ませる口元。そこにいるのは、篠ノ之束(あくま)だった。

 トン、とクロエの背中に何かがぶつかる。壁だ。気付けば後退りをするだけで反対側の壁まで来ていた。即ち、クロエにとってそれは絶望を意味する。

 

「腰、抜けちャッたンだよネ? イつもみたイに束さンが治してアげル」

「っ、たっ、ひけっ、やだ、だ、だれ、……あ、あァァ、ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!!?????」

 

 フラフラとゾンビのような不安定な歩調の束がヘタリ込んでいたクロエに視線を合わせてくる。恐ろしい顔が目の前に迫り、ついにクロエの精神が壊れた。絶叫を上げたクロエは必死に床を這って体を引きずり扉へ逃げた。

 もう自分ですら何を叫んでいるかわからないほど混乱していた。涙で顔を濡らし、鼻水も、口から溢れた唾すらも気にする余裕などなく。

 

「そッかァ、くーちャン痛くて立てなイのかァ。ウンウン、わかッたヨ、束さンがきちンと治してアげるかラ」

 

 必死に離れようとするクロエの肩を、束が力強く掴んだ。

 

 

 

 

 

 薄暗いその研究施設に、1人の絶叫が響き渡った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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