キノンの没作品シリーズ   作:いつのせキノン

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おはよう

 【悲報】今日は月曜日。

 

 さて、月曜日と聞くと何人の人が絶望するだろうか。平日が楽しみ? 冗談じゃない。

 

 斯く言う織斑千冬も月曜日と聞くと良い気分にはならなかった。だって仕事行かないとじゃん。休んでたいじゃん。でも教師にそんなことは許されることはなかった。

 

「さぁ起きなさい織斑千冬!! 朝だからって怠けてるようじゃ教師なんて名乗れないわよ!!」

「か、勘弁してくれ……、」

 

 何故なら、今日から同室にヘレン・オブライエンがいるから。

 

「何で朝5時……、」

「早寝早起き、それが健康への第一歩よ。まさか7時まで寝てたいなんて怠けたこと言うんじゃないでしょうね?」

「せめて6時まで寝かせてくd」

「問答無用!! 私が来たからには徹底的に私生活は見直させてもらうわよ!!」

「う、うそだどんどこどーん……、」

 

 無理矢理薄手の毛布を取り上げられる。初夏とは言えやはり朝はまだ涼しい。何故かキッチリ窓も全開になっていて冷えたそよ風が流れ込んでくる。

 

「ホント、情けないブリュンヒルデね。ほら、枕抱えてないで顔洗ってきなさい」

「朝の水はちめたくてだな」

「だから目が覚めるんでしょうが」

 

 枕まで取り上げられる始末である。あー、と名残惜しそうに手を伸ばすがヘレンのひと睨みですごすごと手を引っ込め大人しく洗面所へ。流石に冷水は嫌だったのでちょっとぬるま湯にして顔を洗った。どの道目は覚めたので問題ない。

 眠気も覚めてスッキリしたところで戻ると、そこでは既にヘレンがジャージに身を包んでタオルを用意していた。2()()()()。多分1人分は彼女自身のものだろう。

 

「あー、ヘレン。聞きたくないんだがそのもう1人分のセットは……?」

「無論アナタのに決まってるじゃない。さ、走りに行くわよ」

「朝っぱらから運動ってお前、」

「若いんだから体動かさなきゃ。衰えていく一方なんだから、少しは健康のために運動しなさい。それに当時なんか私より努力して走り込みしてたじゃない。あの時の努力はどこに行っちゃったの?」

「昔は昔、今は今だ。最盛期には戻れん」

「……そう。まぁ深くは聞かないことにするわ」

 

 追求するかと思われ、しかしあっさり引き下がったヘレンに千冬は目を丸くした。

 

「普通なら聞くところじゃないのか?」

「誰が人の心を抉る悪魔だって?」

「あ、あぁ、いや、そんなことはないのだが……、」

「当人が重そうにしてるのに無理矢理掘じ繰り返そうなんて思っちゃいないわ。話したくないなら口は割らない。話したければ好きなだけ喋れば良い。私は他人を尊重するわ」

 

 さ、用がないなら行きましょ、とヘレンが先に部屋を出る。着替え途中だった千冬は慌てて身支度を整えると直様後を追って部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランニングシューズが地面を叩く音と2人だけの息遣いが朝の遊歩道に響く。先頭を行くのはヘレン。勝手知ったると言わんばかりに速いペースで走り続けているが、疲れている様子は全くない。

 後に続く形で若干斜め後方を走る千冬は呼吸を整えながら付かず離れずの距離を走っていた。

 

「……なぁ、ヘレン」

「何、もう疲れた?」

 

 冗談めかした薄ら笑いでヘレンが並走する。

 

「今更だが、何故この話は断らなかったんだ。お前ほどならIS委員会相手でも簡単に説き伏せれただろうに」

「ああ、なんだそんなこと?」

 

 アハハハ、と高らかに笑う。真剣な話のつもりだったのにこの切り返し、千冬は思わず困惑して何も言えなくなった。

 

「簡単な話よ。断る理由がなかったから」

「もし理由があったら断っていたのか?」

「そうねぇ。断るって言ってもそれなら相当な理由が必要よね。例えば秘密作戦行動とか。何せ元帥からの辞令だったんだもの、断れる筈がないわ」

 

 肩を竦めて苦笑するヘレン。「来てほしくなかったの?」という笑いながらの問いに千冬は否定で返した。

 

「拒絶したかった訳じゃない。酔った勢いとは言え無意識でも呼んだんだ。何というかまぁ…………久々に会えて良かった」

「そ、そう……」

 

 照れたような微笑の千冬にヘレンは思わずそっぽを向いた。よくもまぁぬけぬけと恥ずかしげもなくそんな台詞をぬけぬけと言ってのけるものだ。咄嗟に顔を背けなければ赤い顔が見えてしまうではないか。

 

「? どうしたヘレン」

「ああもうっ、ホントにアンタはいっつもそうよね!!」

「っ? な、何を怒ってるんだ……?」

「知ーらないっ」

 

 プイッとまた前を向いてヘレンがペースを更に上げて遠ざかる。

 

「お、おいっ、いくら何でも速すぎやしないかっ?」

「私はいつもこれくらいなの!! 少しは負荷をかけなきゃ訓練にならないでしょっ」

 

 強がりで言ってみる。別にいつもだったらもっとペースは落としてる。今は単に何となく、自分の顔を見られたくなかったから。多分、ヘレンは今、だらしない笑顔を浮かべているに違いない。

 

 “会えて良かった”

 

 その言葉が胸にスッと染み込んでしまうくらいに、堪らなく嬉しかったら。

 

「チフユ!! 遅すぎたらジュース奢らせるからね!!」

「うっ、この前ビールを買ってあまりお金が…………えぇい、追い抜けば問題ない!!」

「やれるもんならやってみなさいな!!」

 

 世界最速を世界最強が追いかける。その光景はかつてもあった懐かしい記憶にも重なって見えた。実に5年以上も前の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




取り敢えずこんなところ。
つづきに900文字くらいのがあるけど1000文字以上ないと投稿でいないので、続きは投稿するかもしれないし、しないかもしれない。
と言っても次の話は自己紹介とか授業風景って言うありきたりなことしか書かてないからあまり面白くないかも。

話を書き始めた根本としてはちーちゃんとヘレンのブリュンヒルデコンビの絡みと、あとあとから出てくる束さんを絡めた三角関係な様相を百合百合しく書きたかっただけ。
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