キノンの没作品シリーズ   作:いつのせキノン

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01.日常に戻る

 日本国家代表、平沢 汐は、見た目だけは至って普通の女子高生である。とは、周りの友人の評価である。

 第3回モンド・グロッソへの出場が決まっていながら、見た目は完全に一般的な生徒なのだ。どこに国を代表するようなオーラがあろうか。それは本人もよく自覚していることだが。

 

「おはよう、更識会長」

「あら、おはようございます、平沢さん」

 

 しかし、だがしかし。彼女は更識 楯無とすこぶる仲が悪かった。

 2年3組の教室は今日も今日とて早朝から空気が悪かった。それもこれも2人が朝っぱらから感情の読めない笑顔で火花を散らし合いながらいるからだ。

 

「先日はいい訓練ができたよ。感謝しておくね」

「それは良かった。私も協力した甲斐があったわ」

「でもちょーっと物足りなかったかも。やっぱりもっと歯応えがなくちゃ経験値積むには物足りないよねぇ」

「そっかー。じゃあ今度は今よりもっともっとハードモードにしておくから」

 

 竜虎相搏つプレッシャーの掛け合いは、今日も相打ちのまま幕を閉じることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 平沢汐と更識楯無の仲が険悪であることは今に始まった事ではなかった。

 IS学園に2人が入学してから半年。つまり、後期の始まりから、突然2人は衝突を始めていた。

 事あるごとに、と言うより、どちらかが互いの姿を視認した瞬間には大喧嘩が始まっていたりする。巻き込まれて怪我を負わされた生徒は10人を超えるほどだ。それ程に2人の仲は過激なくらい酷かった。

 2年になってからは本当に落ち着いた方だ。同じ教室になり席が隣同士になっても飛び交うのは皮肉合戦などで今のところ拳や脚が飛び交うことは無い。クラスとしてはまだ安泰である。

 

 

 

 今朝のひと波乱から数時間。昼休みとなり、教室には人が疎らとなった。楯無は生徒会室へ行って不在、汐は友人のアメリカ出身学生、アン=スカーレット=オドノヒューと弁当をつついていた。

 

「……で、今度はどっちが先だったの?」

「向こう。だから迎え撃ってやった。IS使うまでも無かった。雑魚」

 

 もぐもぐもぐもぐと休みなく箸を動かし続ける汐にアンは苦笑いを浮かべるしかなかった。

 アンは汐の唯一無二の友人と言っても過言ではない。楯無との大喧嘩もあり汐の周りからは自然と人が離れて行くのだ。当たり前のことだが。

 それでもなお汐の元に残ったのがアンだった。汐は国家代表でよく軍事訓練に参加することが多く、軍人には知り合いが多くいる。その内の1人がアンの父親で、そのため汐とアンは非常に仲が良かった。

 

「雇われって聞いて尚更失望した。その程度の奴しか呼べないのかってね」

「雇われ軍人、ねぇ……」

 

 思い当たる節があるのかないのかしばし考え込む。日本国内に破落戸(ごろつき)軍人はいないと父は言っていたのでおそらくは海外のテロリストか何かだろう。

 

「」




プロローグのセリフ部分は没になった作品のオマージュを含みます。反逆の悪夢とか、他にも
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