武闘逆行 -インフレーション・ストラトス-
織斑一夏が生まれて今年でもう15歳。数え年なら16歳となる。
「早いもんだよなぁ」
彼が今いる場所はIS学園前。本日より晴れて高校デビューな彼だが、その心境は複雑である。
IS学園はIS操縦者を育成するための女子校である。そう、
では何故彼がここにいるのか。単純な話、彼が女性でしか動かせないISたる宇宙空間での活動を目的とした特殊な高性能パワードスーツを起動してしまったことに起因する。なお、原因は全くの不明である。
よし、と一夏は一声気合を入れ直して門を潜り学園内へ――――、
「あ、あのぅ……」
「はい?」
と、行こうとしたところで守衛から声がかかる。どこかおどおどしていて、その視線は一夏の肩越しを見たり逸らしたりと非常に
「織斑一夏さん、でいいんですよね……?」
「はい、そうですけど」
「えっとですね、そのぅ……背中の……」
「ああ、コイツですか? 問題はないですよ」
「え? ……あのぅ、問題ないって……、」
「許可も出てますし、こうして口も縛ってますし。抜刀もできないようにしてますから」
「は、……え……。いやぁ、そのぅ、しかしですねぇ……」
「っと、もう時間だ。じゃあスイマセン、俺入学式あるんで。これからよろしくお願いしますね」
それじゃあッ、と一夏は駆け出す。後ろで困惑した声が聞こえた気がしたが、気のせいということにしておこう。何もやましいことはない。それよりも、入学式に遅れる方がマズい。主に後で姉から怒られる。
本来なら重くてロクに走れないであろう身長程の大太刀を背負った一夏の足取りは軽く、迷いなく入学案内所のある方向へと向かって行くのであった。
――――受験会場を間違えて偶然ISを動かしてしまったのにも関わらず。
◆
織斑一夏、15歳。女子校に入学である。
うん、何度見ても酷い字面だ。捕まらないのが不思議でならない。
まぁともかくIS学園である。右を見ても左を見ても女子ばっか。全く男は俺1人。物悲しい気分である。
入学式中も酷く多くの視線を釘づけにしてた俺。確かに女子校に突然の男子なんだから仕方ないことだろう。珍しい人がいたら見るのは当たり前だ。
背中に多くの視線を受けつつ今現在はホームルーム。1年1組所属ということで教室に用意された席で自己紹介の順番待ちをしてるところ。
「え、と……おり、むら……くん……?」
「はい」
“あ”から名簿順に始まりあっさりと俺の番。副担任だと言う山田先生が困惑したような泣きそうな顔でいるけどどうしたんだろうか。もしかして俺の苗字読みにくい?
「織斑一夏です。織姫の“織”に斑点の“斑”で“おりむら”って読みます。特技は家事全般と剣術。趣味はトレーニングとコイツの手入れです。以後、よろしくお願いします」
完璧。噛まなかったしどもりもつまりもしなかった。掴みは第一印象完璧だなこれは。
直後、パァァンッと俺の脳天から乾いた音が……てか痛い!!
「……織斑」
「いててて……おぉ、織斑先生」
振り向いて見ればスーツに身を包んだ千冬姉こと織斑千冬先生が出席簿を持って立ってた。
「全く、
「そう言わないで下さいよー。コイツは俺の半身と言っても過言じゃないんだし」
「TPOを弁えろと言ってるんだバカ者が」
おう、相変わらず手厳しい。
織斑千冬。俺の姉であり、IS学園で教師も務める元世界チャンピオンでもある。ISの世界大会である第1回と第2回のモンド・グロッソを制覇した
で、その織斑先生は今回この1年1組の担任になったらしい。教壇に立ってきびきびとした姿勢を見るに……そうだな、教官って言葉がよく似合う。現に、現役を退いても世界最強の名を欲しいままにしている織斑先生の登場に湧き上がる生徒を一喝で静めてる。流石。
「私の仕事は貴様らを3年間で無価値から価値あるものに叩き上げることだ。妥協は許さん、逃げようたって逃がしはせん。最期の最期まできっちり
誤字じゃなさそうだ。そしてここは日本ではないらしい。おかしいな、俺さっきまで関東にいたはずなんだけど。
取り敢えず織斑先生の統率力で纏まり上がったクラス一同。これなら多分下手に暴走することなく行けることだろう。
SHRが終われば初日から授業が始まる。
普通の高校とIS学園はカリキュラムの量が違う故に初日からみっちりと授業が詰め込まれてるのだ。
織斑先生が横で見守る中、山田先生が教鞭を握って着々と授業が進む。取り敢えず内容はある程度まで予習できているのでまだまだついて行ける範囲だ。時折心配そうにこちらをちらちら確認してくる山田先生マジ天使。
「織斑君は大丈夫ですか~?」
「はい、全然問題なく」
「それは良かったですぅ」
ほわ~っとした笑顔。癒される。
でも決して俺の背中には視線を向けようとしない辺り徹底してる。何故だ。俺がコイツを持ってることそんなに可笑しいのか?
だって見てみろよ左端を。箒だって帯刀してるだろ。
彼女は篠ノ之箒。俺の幼馴染みで小学5年生の時に急遽転校してしまってそれ以来初めての顔合わせ。朝はバタバタしてて声がかけられなかったがアイコンタクトで会話は成立してる。つっても「久しぶり」って伝えたら「久しぶりだな」で終わったけど。
そうだ、箒に聞いてみよう。俺がコイツ背負ってるのって可笑しいの?
…………可笑しいことは何もないそうだ。寧ろよく似合ってるって返ってきた。嬉しい。
原作冒頭部分を考えるのが面倒だった