キノンの没作品シリーズ   作:いつのせキノン

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極限状態の命がけな戦闘をさせたかったのと、ハイペリオンを読み進めていた時期だったのでそれに感化された。


叛逆魔導兵器
叛逆魔導兵器


「足りない、ですか……?」

 

 訝しげになのはは首を傾げ、疑念の視線を目の前の男に向けた。

 

「その通り。高町なのは、君には最高の傑作を与えた。君のためだけのオンリーワンにしてナンバーワン。適合率も最高値に達した。しかし、まだ足りない。今のままでは、今の君のままでは彼女が報われない」

 

 男が感情の読めない冷たい視線と指で差したのは、なのはの右腕にマウントする機械。白を基調に青と黄色のラインが入ったデザインのデバイス。なのはの腕を覆うように取り付けられたソレは魔導兵器となり、圧倒的暴力にて敵を凪ぎ払う。

 

「君が今彼女をどれだけ扱えているか知っているか? それは数値にして7%だ。彼女はあと93%の余力を内に眠らせている。一重にそれが表に出せないのは君の力不足だからだ、わかるかね?」

「っ……、はい……」

 

 男の神経を逆撫でするような物言いに一瞬感情が沸点に近付きかけたが、現に今そのような状況であると認めざるを得ず、なのはは固く唇を引き結んだ。

 なのはの持つレイジングハートとはまた別の新たなるデバイス、名をI-00(アイ・ゼロゼロ)。高町なのはを魔導兵器そのものへ昇華させる、蛮賊(アレスター)を蹂躙すべく造られた兵器。

 

「しかし現実を言えば君は最も早く人間の限界へ達した。()執務官(フェイト・T・ハラオウン)歩くロストロギア(八神はやて)は君と同時期に彼女らを与えていながら未だに1%の力すら引き出せていない。その点は評価すべきところだろうと私は考えている。が、誉めようとは微塵も思わん」

 

 男は興味無さげに首を数回横に振った後、また向き直った。

 

「重要な話をしよう」

 

 ふと男が声音を変えて視線を全く別納方向へ向けた。同時に2つの空中ディスプレイが音も無く起動する。片方は男の前に、もう片方はなのはの前に展開されていた。

 

「君は現段階における限界値、即ちステップ1を終了した。ステップ2は外部より特殊なプロセスを行い、彼女の性能を引き出す。6項7行目を読んでみたまえ」

「…………アドレナリン分泌量の、増加……、」

「その通り。では君にこれを渡そう」

 

 男が研究品で散乱した部屋の端から持ってきた物は黒のチョーカーだ。見る限り何かギミックのような物は見当たらない。

 

「彼女は使用者の精神力によって大きくその性能を左右する。そして、君に与えた彼女は精神の昂りこそがエネルギー源。また、君にはその昂りが全く見られない」

 

 着けてみろ、と言われて少し狼狽しながらも首にはめる。今までにない違和感で少々息苦しく感じた。

 

「アドレナリンの効果は知っているか?」

「……詳しくは説明できないです」

「それもそうだろう。アドレナリンは、簡単に言ってしまえば人間のストレス反応を過敏にさせるものと思えば良い。要はアドレナリンで感情を昂らせて彼女の力を引き出すということだ。ここまでは理解しているな?」

「じゃあ、このチョーカーはアドレナリンと関係が……?」

「そのチョーカーにはアドレナリン分泌を若干だが促す効果がある。設定次第でレベルは変えられるが現在は最低値だ。そうでもしなければ君が死ぬ」

 

 死ぬ。その言葉になのはが思わずグッと息を飲み込んだ。

 

「ストレス反応とは血圧の上昇だ。心臓をより強く動かす、言い換えれば負荷をかけてやることで自身を緊張させる手段となる。下手に量を増やせば心臓が耐えられなくなるのは当たり前だろう。安心しろ、勝手にレベルを上げるようなことはしない。様子を見て逐一君には声をかける。アドレナリンに耐性をつけることだ」

「ちょ、っと、待って下さいっ、私はやるなんて一言も……!!」

「では蛮賊(アレスター)に蹂躙されて死ぬか? 奴らは今の君よりずっと力を有していてずっと残虐だ。友人の目の前で死にたくなるまで犯されるか? 痛みを感じなくなるまで地獄のような拷問を受けるか? それとも奴らの奴隷になるのがお好みか? 奴らに生温さを求めるようなことはするな。奴らは滅ぼさねばならない真性のゴミだ。情などない。ただ自らの欲望にのみ従う畜生共だ。奴らに殺されたくなくば力をつけろ、彼女を使いこなしてみろ、そして奴らを殺せ、蛮賊(アレスター)を殺せ、塵も残さず殺せ。さもなくば死ぬのは君だ、高町なのは」

 

 男の指先が鋭くなのはの鼻先に突き付けられる。男が言うこととはつまり、自らの体を削らねば死ぬということ。蛮賊(アレスター)に殺されるよりもひたすらに力を欲することこそが義務であると言う。

 

「よもやまだ話し合いができる相手だとは思っていまい。見ただろう、ミッドチルダでの悲劇を。奴は33人もの罪なき人を殺し、自らが命を絶たれるまでなお殺しを続けようとした。強盗、強姦、虐殺

、奴がしたことを君が忘れるはずもない」

「それは……、っ……!!」

 

 その後の言葉が出てこなかった。男の言うことは正しい。ミッドチルダの悲劇は今も鮮明に覚えてる。風前の灯火と化した状態の中でも、奴は狂った笑みを浮かべて次の獲物を狙っていた。最期の最期まで破壊を楽しんでいた。その事をなのはは覚えている。

 

「時間は限られている。加えて奴らがいつ来るかもわからん、早い内に慣れておくようにしておけ。それと、私の方でアリーナは特別に貸しきってある、好きに使え。今なら他の隊長2人もいるだろう。私はしばらく戦闘機人の方に取り掛かる。用があるならば直接本部の研究棟まで来い、私は連絡機器に触っていられるほど暇ではない」

 

 そう言って男は散乱した部屋を出て消えた。残されたなのは静かに、そしてしばし悔しさに唇を噛み締めてから1人乱暴な足取りで部屋を飛び出した。




誰か再編して書いてくれって感じだ
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