キノンの没作品シリーズ   作:いつのせキノン

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第3話

 放課後になりIS学園1年1組の教室は閑散と……なることはなく。寧ろ授業が終わったばかりのこの時間、珍獣を一目見たさに女子生徒がわらわらと教室の周りに集まっていた。……あ、珍獣って言っちゃった、ごめんなさい、男子です、珍獣じゃないです。ともかく周りには女子女子女子である。姦しいどころの話じゃなかった。

 

(視線さらされて集中できないから勉強が進まない……!!)

 

 午前中から授業内容が全く頭に入ってこなかった一夏は教科書を今一度見直して頭を抱えていた。先述通り理解できなかった自分のための復習中なのだが如何せん周りが五月蝿いというか何と言うか、とにかく集中できる環境でないことは確かだ。

 

(うぅ……そうだ、家に帰ろう。あそこならまだ安心できる……あ、でもマスコミとかいるなそう言えば……あれ、俺、詰んでね?)

 

「やっほー、織斑くん。元気ー?」

「うぇ? 鳴海、さん……?」

「どうしたのさーそんなに改まっちゃって。同い年なんだし、もっと砕けて行こうよー」

 

 バシバシと一夏の背中を叩くのは、朗らかな笑みを浮かべた鳴海玲であった。腕を振る度に頭のリボンが揺れてロングヘアが水のように流れる。これで本当に男なのかと疑いたくなるほどの容姿と顔立ちだ。相変わらず女子用制服のままだが。

 

「復習してるの? 偉いねー。私も授業内容さっぱりでさー、やっぱりいきなり連れてこられちゃ飲み込むもんも喉に詰まるよねー」

 

 わかるわかると1人腕を組んで深く頷く玲。どうやらどこまでもマイペースな人物らしい。レディースファッションを抵抗なく着こなす辺りゴーイングマイウェイなのがよくわかる。普通は女装とかノリがないと抵抗あるような気がするんじゃないか、と一夏は思った。

 

「あ、織斑くんに鳴海……さんも、良かった。まだ教室にいたんですね」

 

 不意に教室に人混みをかき分けて1人が来客。副担任の山田真耶だ。玲に対して若干詰まった呼び方をしたが、まだイマイチ彼が女子なのか男子なのか境界線ができていないようである。

 

「えっとですね、織斑くんの寮の部屋が急遽決まったので鍵を持ってきたんですよ」

「あれ、もうですか? 1週間はかかるって聞いてたんですけど」

「色々と問題もありますから。取り敢えず、入寮の方を無理矢理な形ですけど優先させてもらったんです。あ、荷物の方ですけどそれは織斑先生が用意してくれてるみたいですよ」

 

 ドサッとボストンバッグが机のすぐ横に置かれる。気付けば織斑千冬が荷物をまとめて入れた鞄を持ってきていた。

 

「そう言うことだ。着替えと携帯の充電器さえあれば大丈夫だろう」

「は、はは、どうも……、」

 

 娯楽はないんですかと言いたくなるが言葉をグッと飲み込んで我慢だ。余計なことを言うと口を縫い合わせられかねない。

 

「じゃあ織斑くんの部屋は1025室ですので」

「おぉー、それなら私と同じ部屋だねー」

「相部屋、なのか?」

「ルームメイトかぁ。これからよろしくねー織斑くんっ」

「お、おう……」

 

 一瞬、女子と同室って、と思ってそう言えば玲は(自称)男だったと思い出す。なら大丈夫なのか。色々とそうではないと本能が囁く気もするが、上が同室と判断したならそうなのだろう。嫌に緊張してしまうのは仕方ないとして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教室から寮へ移動した一夏。隣には肩を並べて歩く玲の姿があった。足を踏み出すたびに揺れるリボンについつい目を追わせつつ、気づけば指定された部屋の前にいた。




この後は一夏が寮で玲の女々しさに振り回され理性が飛びそうになる話を書きたかった。下手するとR-17.9くらいのを書くかもしれなかった。危ない危ない。
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