あくまで眼花一人での投稿となるので至らない点が多数あると思いますが、どうかよろしくお願いいたします。
「…………(なんでさ…)」
某正義の味方志願の口癖を、内心でぼやいてしまった俺は悪くない筈だ。
というか、そもそもだ。
俺の記憶に間違いが無ければ俺は大学のレポートを溜めていたのが原因で徹夜してレポートを終わらせたら、実はそのレポートの提出期限は次の週だという事実を知って不貞寝した筈だ…よし、可笑しい所は特に見当たらない。
で、今は何か違和感が在るなと思って目を開いたら―――何で見覚えの無い、カラフルな液体が幾つも入った瓶と、奇妙な見覚えのある壺が置いてある古い小屋の様な場所に居るんだ。机の上には火の着いた蝋燭が立ててあり、それが唯一の光源だ。
そして、誰の物だか分からない小屋の中を調べて分かった事がある。
一つ、知りもしない筈の知識を知っている事。さまざまな魔法の知識―――特に幻影や儀式的な魔法に関わるようなもの―――が頭に入っており、最初は「アレ?俺って中二病末期だっけ?」と自問自答してしまった。
二つ、目が閉じれない事。ただ、閉じれないというのは、目蓋が無いという事であって、自ら望めば視界が真っ暗闇になった。
というか視界も何か違和感が在るというか…何だろ、こう…片目でしかものを見ていない時みたいな感じの、そんな違和感。
違和感と言えば、もう一つ。何故だか足が地面に付いている感触が―――というか、足自体が在る感触が無かった。俺の体は宙にフヨフヨと留まっていたのだ。動く事も、慣れきった事の様に、当たり前の様に出来た。下半身を見てみると、独楽のような物の上に半球状の空洞が在り―――そこがまた、心臓が鼓動するかのように蠢いており、気持ちが悪かった―――、その上にこの体は乗っかり、くっ付いているようだ。
三つ、日記。ただ、可笑しいと思ったのは、俺が一切分からないのに、ずっと昔から知ってたかの様に字がスラスラと読めた事。
最後のページには『念願のマジックアイテムが手に入ったが、試しに使う相手も居ない。…どうなるかは分からないが、かつては「幻影の魔法王」と呼ばれた者として、失敗する訳にはいかない』と書かれていた…うん、思いっきり失敗した感があるな。
そして、気が付いた。…俺は、その人物の体を奪って、ここに居るのでは…。
「…………(…ごめんなさい…貴方の体、勝手ながら、使わせていただきます)」
…本心では、一度本人と体の所有権とかについて、話し合いたかったけど…残念だ。
その際に気が付いた事だが、腕が俺の物では―――とてもじゃ無いが、人間の物とは思えなかった。深い青色の、鋭い爪の様な指に玉の付いた籠手のような腕…。壺と同じく、やはり見覚えが在った。
四つ、当初から分かっていたことだが、声が出せなかった。そもそも、息をしている感じがしない。それにも拘らず、特に苦しさを感じなかった。
五つ、壁に掛けてあった鏡を見て―――自分の考えが正しかった事を確信し、姿形が変わってしまった右手で顔―――と言うよりは…目…だろうか―――を抑えてしまった。
うん、もう現実逃避というかそういう無駄な事は止めにしよう。
でもおかしいだろ。確かに、此奴のデッキは愛用してきたぞ?でもだ。なんで、なんで、不貞寝して起きたら自分の体が―――
「……(はぁ…)」
―――なんで遊戯王に儀式モンスターとして登場する、『サクリファイス』になってんのさぁ!
失礼、若干取り乱した。
いや、俺が言うのも何だけど取り乱すのを止めろというのが無茶な話だ。しかし、こんな姿になってしまったという事は、此処は遊戯王でいう所の精霊界なのだろうか?
とりあえず、深呼吸をする様なイメージをし、少しでも落ち着こうと思う。
「……(…ん?)」
深呼吸―――あくまでイメージだけど―――をしていく内に、徐々に思考がクリアになっていく事が分かる。
そんな中。頭の中に、幾つかの文字が浮かび上がってきた。
『魔法を扱う程度の能力(主に幻と儀式)』
『吸収と解放を行う程度の能力』
『吸収したものの力を再現する程度の能力』
『攻撃した相手に同じ傷を与える程度の能力』
『吸収したものに傷を押し付ける程度の能力』
………。
……。
…。
いや、いやいや、いやいやいや!!
ちょっと待て!!
この能力の数は何だ!?いや、確かに全部サクリファイスの効果を東方風に表したらこんな感じに―――
「………(…まさか…東方の世界…?)」
―――本当に…なんでさ…。
…漸く、落ち着いてきた。
けど、仮にこの世界が本当に東方だったら、俺はどうすればいいんだろうか?
もしかしたら既に原作は始まっているかもしれないし、そもそも今の年代が大よそどれくらいなのか、それすら分からない。
―――よし、決めた。今決めた。とりあえず、この小屋を出る事にしよう。そんで、いろんな場所を見て回ろう。そうすれば、年代が分かって。運が良ければ原作のキャラクターにも出会えて、一石二鳥だ。…そうと決まれば善は急げ、だな。
幸い、知識と経験、魔法の方はこの体の本来の持ち主である『幻影の魔法王』なる魔法使いのものが有るので、ここにある物品の中で必要な物を魔法でしまって―――あくまで、この体の持ち主が得意とする魔法が幻と儀式に関することであって、普通の魔法も使えないことは無かった。…心の中で鳥肌が立つほど感動した―――フヨフヨと漂うように移動する。
「……」
ドアを前にし、俺はドアから百八十度身体を回し、僅かな間だけ感謝の念をささげて、改めてドアに向き合った。
眼前にあるドアのドアノブに鋭い爪のような指を伸ばし、ゆっくりと開き―――外に出た。
今回はプロローグ的な話なので短いです。
いろいろと至らない点があるとは思いますが、どうかよろしくお願いします。