東方幻眼魔~あるモンスターになって東方に~   作:眼鏡花

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 変態を書きたい。エロスな方向じゃない変態な奴らを書きたい……でもどういう風に書けばいいのやら……
 どうでもいいけど、しゃっくりをひゃっくりと入力してしまう癖を直したい。……ひゃっくりって方言らしいからなあ……。


理想への一歩

「火よ」

 

 ボウッ、と音を立てて掌と呼んで良いのかわからない掌の上に人の頭一つ分の大きさの火を灯す。

 その火をガイアが集めてきた折れた木の枝や落ち葉、枯草に降ろすと、簡単に燃え移った。

 木の枝はまだ緑の葉が付いているから、燃えるには時間がかかるかもしれない。もう月が出る程くらい夜だったとしてもガイアが守ってくれている。俺にはそもそも、寒さも何も無い。……けど、それでも――

 

「……苦労を掛けた。……ガイア、休んでおけ」

「いえ、問題は「頼む。無いかもしれないが、万が一の事があっては遅い」……了解」

 

 そう言葉を吐いて、ガイアに霊体化を促した。

 ……なーに戯けた事言ってんだか。本当なら、ガイアが居てくれれば万が一もクソもないだろうってのに。

 慣れない実体をもった魔法と治療用の魔法を、魔導書を読みながらようやく発動して、焚火のそばに熊の毛皮に包んだ少女を横たえた。熊はこの洞窟に住み着いていた熊を殺して使わせてもらった。 肉はガイアが解体した。ホントに、何で骨ごとズバズバ斬れるんだろうか……。

 解体した肉の中で、股肉は枝に刺して焼いている最中だ。それ以外の肉は収納している。

 腐っては勿体無いし、ガイアはそもそも遠慮してか食おうとしない。何かの役に立つと思って取って置く事にした。

 それに、熊にも悪いからなぁ……。ホント、慣れたもんだ。生きてるものが死ぬ瞬間を見届ける行為に。

 本当なら、慣れない方が幸せなんだろうけども悲しい事に慣れなきゃ生きていける訳ないんだ。この時代だから。

 少女に何か着せてやれそうなものでも無いかと探してみたが、あったのは布自体が結界になるトンデモ仕様な紫の布。三十年の放浪中に集めた(マジックアイテム)の一つだ。

 マジックアイテムと言えば、何時だかたぶん中国を横断した時、子連れの赤い髪の青年を助け(その後は当時の日常通りだ。逃げられたよ……ハハッ)、気が付けば左腕に巻き付いていた神々しい力を感じる白い糸状の何か。

 それから、魔法陣などを描くための、かの主神の槍と同じくルーンが刻まれたハリネズミの針。

 ……これはアレか。針の逆側に穴開けて糸と布を駆使して少女用の服でも作れってか。まあ、頑張ってみるか。爪で少し削っただけで簡単に穴も開いたし。

 

 着ていた服はガイアが持ってきた長い木の枝を二本使って火の近くに干している。紫色の着流しのようにも、ドレスのようにも見える変わった服は少女の漏らしたもので汚れていた為、川で洗った。その際に気が付いたが、とてもぼろぼろだった。

 少女もその際川で洗ったのだが、起きる様子は無かった事から余程こたえたんだろう。

 

 当然だ。考えた馬鹿が言って良い事じゃあないけど、あんなのこんな碌に生きていない――妖怪であったとしても――少女にあんなえげつない行いをする幻を見せてしまった。

 

 最低だ。最悪だ。

 

 これが――例えば俺を殺しに来た賞金稼ぎや、貴族からの暗殺者とかであったらどれだけ気が楽だったか。罪悪感を感じても、割り切れたんだ。

 でも、この少女は俺にとって敵では無い。無関係、一般人(とは言い難いかもしれないけども)、そんな人物である事には変わりない。

 

「……」

「――……申し訳ない、マスター。一つだけ言いたい事がある」

「……何だ」

 

 実体化したガイアの目が何時の間にか治っていた兜越しに、まるで睨むように俺を見ていた。

 

「……マスター。貴方は確かに此度の一件は成功し、失敗をした。

我が従うべきマスターは魔法使いだ。世界を引っ掻き回すトリックスターだ。同時に誰かの敵であり、味方でもある。

 ――もっと高慢でいい。もっと不遜を貫いてくれていい! もっと、自由でいい!! その為に私が居るのだ。過去(後ろ)にばかり意識を縛られる必要なんて、何処にも無いだろう!」

 

 ……ガイアなりの激励だろうか?

 ――ありがとう。とは、ちゃんと言えない。ヘコヘコ頭を下げているだけじゃあ、何時見切られるか分からない。

 

「何故見切る必要がある?」

「……待て。今口に出していたか?」

「否。マスターの考えは私に流れてくる」

 

 ……まてまてまてまてまてまてまてマテマテマテマテマテマァアアテェエエ!?

 え、じゃあなに? 今まで(例えば依姫との一戦)考えていた事とかも、全部筒抜けだったって――って、じゃあ何だ!? あの時の『感謝します』ってそういう意味で言ってたのかオイ!?

 

「ああ。戦いが終わり次第話そうとしていたのだが、晴明殿に『そういうのは黙っていた方が後々面白いですからの』と」

「……あの狐、次にあった時は青いツナギの悪夢を叩き込んでやる」

「クッ、調子を取り戻して頂けたようで何より。では、私はこれで――」

 

 言うだけ言うと、ガイアはまた霊体化してしまった。

 ……アイツ、絶対外見だけじゃなくて中身もイケメンタイプだよ。それもブサメンが嫉妬しない完ぺきなタイプの。

ハーレム行けちまうんじゃないかってくらいのイケメンだよ。イメケンじゃなくてイケメンだよ。あ、イメケンもしかしたら使えるかも。

 ……最後にネタを挟んだのはご愛嬌として。

 

「……落ち着いた」

 

 ――と思いたい。とりあえず晴明ブッコロス計画は放置しておくとして。

 でもまあ、ガイアの言う通りだ。ウッジウジしても過去は取り戻せない。先を見据えよう。

 そんな事を考えた矢先、肉を見るといい具合に焼けていた。肉汁がぽたぽたと滴っている。

 ああ、美味そうだ。服を縫いながら肉汁溢れる肉を見て、思う……食えないのが悔し過ぎる……! その内、方法を探してみるか……。

 

「――ぅ……ゲホッ! ゴホッ! ……ひっ!? 嫌……いや――あれ?」

 

 少女の咽た声の後、続いて僅かな悲鳴。最後に疑問の言葉を口にする忙しない少女に眼を向ける。

 上半身は体を包ませていた熊の毛皮から解放され、生まれたままの姿になっている。紳士諸君が見れば可能な限り近づいて、変た……『紳士の誓い』を死守する者達が仰山居る事だろう。

 とはいっても、幼女というよりは少女で、背もこの顔つきを見るに十二、三だろうからもう少し伸びしろはあるんだろうけど。

 少なくとも、俺は紳士の一人には入らない。だって、欲湧かないし。体洗う時に普通に触ってるし。……あれ、じゃあガイアも同じか? いやでもアイツ騎士道精神みたいなの持ってるみたいだし。

 ……あれれのれぇー?

 まあ、いいや。

 

「……起きたか」

「――ひっ……」

 

 ……うん。なれてる方のリアクションをありがとう。俺の認識をそのまま上書きしてくれ。

 とりあえず、縫い掛けの服をしまった。

 

「……食うか? きっと美味い」

「……ひっぐ……ぇ? ぅ……ひぐ……違うの?」

「……違う?」

「私を、傷つけようとしてるんじゃ、ないの……?」

 

 ……あー、成程ねー。『サクリファイス』の外見って『マキュラ』とビックリするくらい類似点あるからねー。

 ――――……、現実逃避は此処までにしよう。括ったさ。

 

「その事に関して、言っておかなければならない事がある。だが、その前に食え。火傷しないようにな」

「……あ、……」

 

 今度は左手で肉を刺した枝ごと差し出しつつ言ってみた所、恐る恐るといった具合に手に取った。

 そしてまた、恐る恐るといった風に食べ始める。

 一度食べ出したら、もう止まらなかったらしい。いや、見た目からして痩せこけていた。腹が減ってたんだろうなあ。はふはふ、と何ともまあ羨ましくなるほどの食べっぷりで肉を消費していく。

 もう少し時間がかかるだろうと思って放置しておく事にして、再び服を縫い進める事にした。

 ……そうだ。金髪だし、ドレスなんか似合いそうだ。こういうのは、あまり飾りっ気のない方が着る人が引き立てられると聞いた事がある。

 

 

 十分くらい経った頃だろう。ふと思ったんだけどさ……今さらだけどなにこの餌付け。それもこの外見だからシュール通り越していっそスタイリッシュだと思えてきた。

 

「ごちそうさまでした……」

 

 少女が思い出したように俺を見て、そういう風に言ったのを見て、作り掛けのドレスを収納して、頭を下げた。

 

「……此度の一件、謝罪する」

「……え……え?」

 

 脚は無いけど、上半身だけ使って土下座をする。

 熊の毛皮に包まった半裸の少女に土下座するサクリファイス……シュールだなー。

 

 

 ――流石に、気を引き締めよう。ガイアは自分勝手で良いと言ってくれた。でも、通す時は通さなければいけないと思う。

 それが、こんな変わってしまった俺に残っている元々の俺らしさだと信じて。

 

「ど、どうゆうこと? 話が見えないのだけど……」

「……先程、貴女が体験したあの光景……原因は俺だ」

「っ」

 

 顔を歪める少女。その顔を見て、胸が苦しくなる。痛い。自業自得だ。そんな顔をしないで。ごめんなさい。

 受け入れろ。

 

「あの花は、俺が幻覚の起点だ。あれに触れた者に仕込んでいた幻覚を見せつける――体感速度を何倍にも引き上げた上でな」

「……どうして……そんな事を」

「事故だった……と言っても、非は此方にある」

 

 というか、今にして思うと対象をあらかじめ定めておけばこんな事には為らなかったんだ。そもそも、奥の手とかほざいて調整も碌にしてなかったのも原因だ。

 

「望みがあるならば望め。願いがあるならば願え。欲しい物が有れば言え……一方的な言い分だ。だが、そちらの要望一つで手打ちにしてはもらえないだろうか」

 

 空気が重い。何度も味わっている筈の、無い筈の胃痛がこれまで以上に強まった気がした。まあ、こっちに非があるのに手打ちにする話を持ちかけてるのがそもそもおかしいんだろうけど。

 

 

 

 目を覚ました時、あの光景が一瞬蘇った。それがまやかしだと分かると――青い怪物が何かを縫っていた。

 一見して、おかしい光景だ。常軌を逸し過ぎて逆に怖気立つ。これもまやかしかと思ったが、違う。

 その怖気も別の事で吹き飛んだ。縫い物の材料の中に、あからさまな程の存在感を放つ物があった。糸だ。――いや、龍の髭だ。それもきっとただの龍の髭では無い。感じた事が無い程の荒々しくて、静かな風に感じる矛盾した霊力と神力に心を奪われていた。『龍神』。そんな表現がしっくりくる。

 同時に思う。龍の髭を持つという事は、眼前の青い存在はそれだけ高い実力を持つ、という事だろう。見知らぬ力も感じる。

 まあ、熊の肉をくれた。あのまやかしの原因も話してくれた。格上の筈なのに、頭を下げた。

 

 ……興味が湧いたと言えば強ち違っていない。此処で縁を切ってしまうのは、勿体無いかもしれない。怖いけど。そりゃあ、妖怪に憑りつかれた仏象よりも奇天烈な外見をしているし、怖い。不気味だ。泣いたし。

 けど、生まれてこの方知りたい欲求――好奇心に逆らった事はないし、何より理想の為に役立つかもしれない。

 

「顔を、あげて下さい……ひぐっ……」

 

 しゃっくりが出てしまうけど、仕方が無い。

 それだけの経験をしたと受け取ろう。本当なら、此処で殺されても――私が弱いから何も言えない。弱肉強食。それが世の理だ。なのに、相手は手打ちにしてくれと言う。繰り返すようだが、己よりも弱い筈の私に対して、頭を下げている。その上で、何かを要求しろと言っているのだ。強者の戯れか、お人好しなのかは分からない。

 でもだ。此処で機会を逃せば次は無いだろう。それに、理想を叶えるにはまず人脈が足りなかった。

 だから、言った。巨大な一つ目を頭にする、不気味な青に。

 

「――――私の名は、っく、八雲紫(やくもゆかり)。名も知らぬ青きものよ。私に願いを乞えというのならば、ならば――私の理想に手を貸してください……っ」

「……そんな事で良いのか?」

「……え?」

 

 

 思えば、このお互い締まらないやり取りが、始まりだったのかもしれない。

 妖怪の賢者と呼ばれるようになると同時――胡散臭いと呼ばれるようになってしまった原因であったのかもしれない。

 けど、その事実を悟るのはとても先の話だ。

 




 どうでもいいけど、実は幻想郷入りするかどうかはまだ決まってないのよねえ……。
 何でだろう。今回自分で書いててサクリファイスにくすりと笑ってしまうとは思わなかった。

 まあ、百目タイタンの首だけ様を出すのは自分の中では確定的ですけど、問題はそのあとだ。

 融合……どうしましょ(チラッ

 では皆さーん。お怪我には御気を付けてー
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