いやー……三度寝ってするもんじゃないですねー……(投稿時刻三時半)。
予約投稿を初めて使ってみる事にします……うまくいくかな。
紫と別れて早くも一年。気が付けば、色々と起こっていた。
日本からとうとう離れようとした矢先、出先をくじくように漂流していたアルビノの犬か狼かは分からなかったけど、ともかく助けて野に逃がしたり。
今度は宛ても無く海上を浮遊していたら何か死にかけた子鯨(俺の知っている限りの大きさで、という注釈が付く。目測で五メートルくらいだった)が居て、同情やら大して持ち合せていない博愛精神を刺激され治療してやり、その際に懐かれたらしく――俺のことを警戒しないこういう生き物は一緒に居て癒される。紫も何だかんだビビっている節があったからなおさらだ――離れさせる為に魔法を使って姿を消して逃げたり。
セイレーン(ラミアの鳥バージョンとでも思ってほしい。何時か読んだ魔導書の中にかかれていたことだけども、ハーピーとの差異は腕が人間の物であるかどうかの違いだそうだ)の歌を聞いても何ともなかったことに加えて、この外見ゆえにわんわん泣かれたのでいそいそと退散したりしていた。
もう少し、聞いていたかったというのが本音ではあるけれども、仕方が無い……。
ああ、それと割と重大な事実が分かった。……気が付かない俺も俺だったんだけどさあ……。
一つは、晴明。アイツ、やっぱり狐だった。最近思い出したのだけど、本来なら竹取物語の難問を押し付けられたのはアイツでは無く、確か祖父か曾祖父だった気がする。あれ、でもあいつが出てたっけな……どうだったっけ?
周りを化かしてたんだろうか。それとも、俺の知っている世界とは根底的にこの世界がずれているのか。それは知りようもない。別に、困らないから問題ないんだけどさ。
今度会う機会があればそれとなく聞いてみようと思う。
それに比べて、こっちは如何にも問題の内容がでかい。
俺の今の体は『痛みを感じられない』らしい。
気が付いたのは、あの白い犬(仮)の一件だ。その時、衰弱していて、助けたものの、目を覚まさなかったんだ。なので、予定を変更して焚火をしつつ雑木林の一角に陣取っていた。
で、目を覚ましたらさましたで警戒されるわ、咆えられるわ、噛まれるわ――そう、この時だ。籠手のような腕から明らかに人間の物とは思えない濁った黒に近い緑色の血が流れ出して、でも痛みは感じなかった。
まあ、よくよく考えなおしてみるとそうだったんだよね。かつての戦闘でもそう。依姫との戦いのときもそう。紫を逃がす為の虐殺の時もそう。
熱さを感じても、それだけだった。衝撃を感じても、それだけだった。
今まで痛いと思っていたことは、大体がこの体の元の持ち主である『幻影の魔法王』と中身である俺の過去の経験からなる反射的なものだったらしい。
現に、検証の為にガイアが左腕に剣を突き立てているが、違和感だけで痛みを感じられない。
……割と、洒落にならないなあ……。
ああ、その犬に関してはナウシカさまさまということで。うん、怖くない相手だと証明させるのが一番だもんねー。
……愉快なこと考えて一周回って寒くなっちまったよ、畜生。
「ガイア。もう良い」
「……マスターの命令とはいえ、此度の無礼、私の首で――」
「……阿呆。命じたのは俺だ。何故無礼になる」
割と慣れてきた治療用の魔法で左腕を治しつつ、割と本気で頭を悩ませていた。
痛みが無いというのを、メリットととらえる人間は少なくないだろう。だけど、絶対にそれは間違いだ。腹に包丁が刺さっていることに気が付かない。腕が折れていることに気が付けない。こんなふうに説明すれば分かりやすいだろうか。
一年前の出来事を思い出し、思い立ったら何とやらということで、ガイアに斬りつけさせたけど――うん、暗殺者とか本気で警戒しなきゃいけなくなった。仮にガイアが気付かなかった場合、背後からやられていた、なんて状況になってしまえばもうどうしようもなくなってしまう。
だから、今後今みたいにこういった雑木林に居るのを自粛するか、終始姿を消しておく他ない。
まあ、どっかで戦闘やってて流れ弾がー……っていう笑えない展開もあるにはあるけどさ。
……護衛でも増やそうかな。召喚して。『
さて、今俺たちが何処にいるのかと言えば、魔女狩りが最も盛んなヨーロッパである。
そして、俺たちは絶賛逃亡中だ。教会もそうだが、個人的にはある程度予想していたとはいえ、この世に居ないだろうと思っていた人物らだ。
……いや、その、ね。正直ものすごく心苦しいのが現状ですはい。
「迷惑千万。面倒だ」
「マスター。それに関しては諦めろ。……来たようだが」
「肯定。……はあ」
なんでかって?
「見つけたぞ、悪魔! 師匠の体だけでも、返してもらうぞ!」
「――ならば貴様の体を貰おうか」
「ダルク、先走っちゃ駄目だからね!?」
ちょっと俺の知ってる台詞に近い感じだったのでついノリで言ってしまいましたけど、いやほんとどうしようか。
いやー、……うん。ちょっと本気で『
この体の持ち主の、お弟子さんらしいです。それも、百年以上前から探し続けてたらしい。
そして『ダルク』という名前から、分かる人には分かったのかもしれない。
……目の前に居る二人組は、霊使いの二人だ。『闇霊使いダルク』と『光霊使いライナ』……。『過去』の記憶にもあった人物らだ。
で、他にも他の霊使いたちも弟子だったようだ。他の四人も全力でヨーロッパ全土を探し回っていた模様。……よく処刑されなかったなとは言わない。
……本気でヤになるなー。なんていうか、こういう自分が知らない所で他人に迷惑かけるって。
でもまあ、便宜上幻影王と呼ばせてもらうけど、この人の心情も分からなくはない。
『弟子にちゃんと教えられることが無くなったからこの体を犠牲にしてでも弟子たちに学ばせてやりたい』という本気で弟子思いの人だったらしい。
紫と六人弟子を重ねて見ている俺がいるのは、気のせいではないだろう。
「笑止。既に手遅れだ」
でもまあ、まだ死にたくないのと戦ったら個人的に後味が悪すぎるので速攻で幻術に嵌めた。戦わないのかって? 後味が悪いのもそうだけど、初めて会ったとき出会いがしらに(俺のせいでもあるけど)ダークネス・ネオスフィアと裁きの龍を呼んだ二人組相手にどう戦えってんだ。
どうにも、霊使いは召喚術も扱いこなせるようだ。あれか、魂の属性がそうだからーとか、そんな感じか? ……そんな感じなんだろうなあ……。
念の為補足すると、幻術と幻影は違う。幻術は俺のクロユリ的なのが近いけど、要は使われると動けないのが幻術、周りをそういうふうに見せるのが幻影だ。幻覚はそういう風に錯覚させるので、ちょっと違う。
まあ、基本的に『幻』魔法は俺の得意領分なんですけどねー。……俺のとは言い難いけどさ。
幻術の内容?
いや、まあ、そのNT――……俺って最低だよねってことにしておいてください。
空ろな目でつったっている二人をそっと運んで、教会の人か賞金稼ぎに見つからないように内側が何の変哲もないように認識させる認識阻害の結界系のマジックアイテムを設置しておく。
……一時間もすれば解ける筈だけど、精神的に復活するのは時間がかかりそうな気がする。
――反吐が出るよなあ……。泣きたい気分だ
「ガイア。探すぞ」
「――なにをだ?」
「この体の持ち主と、対話する方法を」
策は幾つかある。
ドッペルゲンガー。とは言っても、これは論点からずれてしまう。おまけに、ドッペルゲンガーは話さない。終始無言なのだ。望んでも口を割ろうとはしないだろうし、たぶん出て来るのはこの姿な気がする。
マジックアイテム。鏡系の代物の中には自分の無意識とか、そういう面に触れる代物が多い気がする。それ故の判断。
最後は、正直あまり頼りたくない。俺自身どうなるか分かった物では無いからだ。何より――彼女の姉に内心を読まれるのが怖い。
別に思考を読まれるのはいい。問題は、未来の知っていることを客観的に彼女が知ってしまう事だ。そうなると、未来にどんな影響が出るかもわからない。
俺が一番怖いのは、先の読めないことがらだ。
だから――心を閉ざした覚妖怪の所には、行こうとは思えない。
それに、彼女の境遇的にも、自ら会いに行くというのは気が引けた。
妖怪というには、あまりに――他人想い過ぎる。
個人的には思っている。
「マスターが望むのであれば、共に何処までも」
「感謝」
んじゃあ、少しだけ頑張りますか、ね。
さて、ちょっと面倒な事態を終えたので投稿に走りました。
さあ紳士の諸君に問題だ。いまこの中にフラグとか伏線とか、そういうのひっくるめていくつあったでしょうか?