……それにしても、復活? から説明会って……orz
「失礼。では、さらばだ」
「……ッ」
巻き角を生やした、あめ色の髪の怯えるサキュバスに目を向けず、結界を張った辺り一帯を離れた。
「――難航。如何したものか」
「……民話の中に出て来た鏡でも探すか?」
「ガイア。俺は焼けた鉄の靴を履く足など持っていない。それに、あれは問い掛けに応える代物だ。決して、内面と対話する為の道具ではない」
「では、どうする? マスターの体の持ち主の弟子たちもそう遠くには居ない筈だ。対策も大分練られてきている。特に――あのヒータと言ったか。あの少女の成長速度は抜きんでているぞ」
「……」
「ヒータだけでは無い。エリアやダルク、いや、全員そうだ」
マジックアイテム、並びにそれに連なる代物の捜索は予想以上に難航していた。
いや。難航している、なんて話ではすまない。二十年だ。
二十年ヨーロッパ各地を巡って、無駄足を踏んでいる。
聖杯、ダーレンスレイヴ、そして今回の泉……。
結果として得た物は確かにある。枯れた湖の中心にて見つけた、錆び塗れなのに尋常ではない存在感と圧力を放つ剣。
ダーレンスレイヴを製作した小人の子孫(自称)から渡された、嘘か本当か、主神を呑込んだ狼の折れた牙から作り上げた、若干太刀のようにも見える装飾の多い片刃の大剣。それと、普通の土に植えても芽を出さないと語って、要らないからこれも貰ってくれと言われ半ば押し付けられる形で手に入れた、林檎の種のような、金色のもの。
今回の泉に関しては、此処で自殺し力を得た霊が人を取り殺す――という噂話を耳にした手負いのサキュバスが身を休める為に使っていただけであり(まあ、その分口止め費用としてイイ夢を見せていたようだが)、ぶっちゃけると何の収穫も無かった。
いや、ラグナロクで全部ほろんだって話と、サキュバスは現実だと不細工であるということが嘘だと分かったから、ある意味収穫だろうか? ……ではないよなあ……。仲良くなれたわけでもないし。小人のオッサンの方は結構気に入ってくれたみたいだけど。
見捨てるのもあれだったから、つい手心を加えた俺は悪くない。
んで、現在進行形で六人弟子から追われている現状よ。
二十年間に百回以上は襲撃されている。その間に、僅かにでも着実に実力というか、対策をして俺を倒しにかかっている。
ああ、これを機に説明をしておこう。
まず、霊使いについて。霊を操っているのではなく、その属性に適した精霊を使役している、というのが正解だ。その精霊を使役するにも相応の試練をクリアする必要があり、なんだか本当に面目ない気持ちになる。
いや、幻影王もこの展開を狙っていたのだろうか。だとすると、対話が成功した際に「死んでくれ」位は言われるかもしれない。騙して悪いが、みたいな。
……話が逸れた。ようは、スタンド+スタンド使いも強化されたような面倒な連中というのが、俺の中での率直な言い分だ。
ダルクは六人弟子のリーダー格。俺の幻術を防ぐ役割を担う、出来れば一番に意識を奪いたいやつ。どっちかって言うと中近距離型だけど、それにしたって俺に対して幻対決を挑もうとするくらいには、やはり幻影王の弟子であったんだと実感させてくる。ただ、未だに疑問なのは『記憶にあるダルク』は隻腕では無かった。今は隻腕……。まさか、ね。
それを使役するネオスフィアが妨害、反撃をするのだから、極めて性質が悪い。
ライナは全員の中で中後衛に優れ、簡単な負傷なら即座に癒してしまうダルクと同じく真っ先に倒したい存在。後記するアウスと違い、身体強化による全体の強化など、地味にイラつかせることをしてくる。
本人はいたっていい子の何だけどさー。いや、本当に。何だかんだ俺にも気遣っている甘い部分はあるが、それもある意味彼女の優しさなのだろう。
但し裁きの龍、てめーは駄目だ。効果ってか、能力は一度も使っていない辺り恐らく
この時点でげんなり出来る人は出来るだろう。安心しろ、あと四人も大問題だから。
えげつないというか、本気で俺の体を粉砕玉砕しに来てるのがひしひしと伝わるから。
アウスはライナと同じく中後衛から壁を作り此方の動きを妨害したり、簡単な盾役となっている。ライナに次いで、優しい子なのだろう。決心をした目には、何時も若干涙が浮かんでいる。
使役するのは古代の機械巨人。あれを使役するアウスは、如何にも俺の魔法の影響を受けていないらしい。言い方を変えれば、ライナの影響も受けられない相手であると言える。
下手に近寄ればガイアとて危ない。しかし近寄らなければダルクもライナも潰せないので、どうにかしたい相手。
ウィンは後衛から攻撃するアタッカーだ。防御もライナやアウス頼りというわけでは無く、風で攻撃の威力を軽減するとか、それ位の防御も行っている。それでいて高火力で攻撃が見えない、十分距離を取られるというのはやりづらくて仕方が無い。
使役するのはドラゴエクィテス。あの効果ダメージ反射効果がこっちだと『害を為す呪いの類を元凶に返す』とかいう俺にとっては厄介極まりないものに差し替わっている。どうヤバいかって、ダルクを倒したとしても俺からすれば第二の壁として立ちはだかるのだから、ねえ。
エリアは中近距離でのオールラウンダーなのだろうか。ガイアが言うに最も相手に回した時嫌な相手だと言っている。水というのは量が増えればそれだけで武器となるからだそうだ。前々回はズパズパ斬っていた水の盾を、前回では剣を途中で止めてみせるくらい、向こうの技量が上がっている。その為ガイアに持たせているのは何時もの剣ではなく小人から受け取った剣だ。
そんでもって使役しているのはトリシューラ。あの効果が『指定した場所から数キロ単位で絶対零度の空間にする』とかいう未来の脇巫女の能力でも使わない限り回避出来なさそうなえげつないものになっているドラゴンである。一体、どんな試練を受けて来たんだ、あの馬鹿は……。全く。
ヒータは近距離からフルアタックをしかけてくる切り込み隊長的な存在だ。
火ってのは知っての通り攻撃的だし、おまけに火傷というのは治りが中々遅い。おまけに武器は駄目にされる。ガイアからすれば堪った物では無い特性のオンパレードだ。その為、毎回エリア、ウィンに次いで真っ先に潰し行くのだが、会う度会う度最も成長速度が著しいと感じさせる相手だ。あと本人の口の荒さが怖い。女の子なのにあれは怖い。
使役するのはトライデント。うん、説明不要。不要ってか、あの連射馬鹿火力で地形変えたりとかざらだから。3000のボーダーラインは伊達じゃないらしい。ガイアが言うには一番相手にしやすいが、油断してはいけない相手だそうだ。
……だー。もう、どうすんだよこれ。
こっちは周囲の被害とかある程度気にしながらドンパチやってるけど、あっちは完全に無視。幻で嵌めようにも、防御役やら気にせずやってくるし。
……戦う前に幻影王と話すのが、一番手っ取り早いんだけどなあ……。向こうは聞く耳持たないってか、俺の失言が原因で殺す気満々だし。
ヨーロッパから逃げたら、ヨーロッパ以外でも被害拡大しそうだしなあ。
死ぬのは絶対いやだけど。絶対嫌だけど……第一、俺が死んだらその後六人弟子はどうなる。それが怖いんだ。目的を失って自暴自棄になった彼らを見るのというのは、俺は嫌だ。
いや、見るってか、連想しただけで、だ。自分も傷つくのは嫌だけど、周りが傷付くのも嫌な愚か者だからねー。
何かしら、いっそ、名も無くファラオが封印されていた千年パズル的なアイテムの中に、幻影王の精神を入れられれば早いんだけどなあ。
……? 試練……ファラオ……財宝……千年アイテムを作り上げた技術――
「迷惑。被害……否。断行。断腸。ガイア、行くぞ」
「何処へ?」
「古の地へ。古き王たちの眠る、砂の地へ」
……もう、半分位自棄だけど。
原作遊戯王では、あれだけのトンデモない代物を作り上げた古代エジプトだ。
それに準ずるものも、有ってもいい筈だ。
切実にそう願って、この場を後にした。
ヨーロッパ編はいった区切って、エジプト編を挟んでヨーロッパ編へ再び以降する(はず)。
さてさて、最近新しい召喚についていけなくなってきた……潮時、か?
いや続けますけどね? 俺的にはシンクロ出る前が何だかんだ言っても楽しかったなあって思ったりしてしまうときがあるんです、はい。
それでは、おやすみなさい
次回はスタイリッシュ回を予定。