東方幻眼魔~あるモンスターになって東方に~   作:眼鏡花

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はい、こんばんは。眼花です。今年最後の更新となります。
吸血鬼の方が、なかなかいい形に纏めきれず、おまけに鏡がリアルで忙しいので、年内の投稿は難しいと考えて、プロット自体は出来上がってたこちらを仕上げて上げました。
ほぼ説明会です。おまけに短いです。…改めて鏡の存在を実感した今日この頃。



いざ、都へ

 あの小屋を出てから三十年が経過した…キングクリムゾン言うな。

 何でわかるかって?この体に乗り移って?しまってから碌な娯楽が無くなった事と、それが出来るくらいの記憶力が手に入ったからな。

 あとは、捨虫の法の効果で寝る必要性が無くなった―――と言うか、視界を閉ざす事は出来るのに、寝ることが出来ない―――っていうのと、飲み食いする必要性が無くなった―――睡眠と同じく、飲み食いできなくなった―――事だな。それ以外の理由は特に思い至らない。

 …睡眠と食べ物―――特に甘い物―――が恋しい…。

 

 失礼。話が脱線した。

 

 小屋を出て、時には海上を、時には砂漠を漂う様に移動して、今の年代と言うか、時代を知る為に色んな場所を見て回った。最初の内は視界が片目の状態だったから距離感が掴めずに苦労したよ。

 で、そうして土地を回って行く内に、魔導書とか、魔法に関わる物品―――所謂マジックアイテムが沢山手に入った。

 

 この世界に来る前は自他共に認める蒐集家だったこともあって、こういう、珍しい物というか、そういう物に目が無い訳で。

 多分、魔導書は数えきれるだけで二百冊と少しくらい、その他のマジックアイテムは百品くらい手元に集まっている。どこにしまっているのかと言うと、魔法を使って作った異空間の中に、だ。

 

 あ、魔法に関しては得意な魔法が幻と儀式関連であって、それ以外の魔法がからっきしという訳じゃ無い。

 

 でも、結局未だに年代は分からずじまいだ。いや、ピラミッドが在ったから紀元前三千年よりは前辺りだろう。特に歴史とかに詳しい訳でも無いので、有名所は知ってはいるけど、何時頃か?と尋ねられれば大雑把にしか答えられない。

 

 あと、やっぱりこんな外見のせいか、攻撃された。

 ある時は人に。ある時は動物に。ある時は妖怪に。

 そのお蔭かどうかはさて置き、幻影の魔法を利用して戦う事に慣れてきた。例えば、炎幻影を使って攻撃すると、あまりにリアルすぎる炎に、実際に焼かれていると脳が錯覚を起こし、痛みを感じる。岩の幻影に潰されている様な状態になっていると、本当に体が潰れたように動けない。一回自ら経験しているから、アレは本当に怖い…。

 とは言え、魔法はあくまでも補助の役割が強い。俺の強みは四つの能力だ。

 

『吸収と解放を行う程度の能力』

 

『吸収したものの力を再現する程度の能力』

 

『攻撃した相手に同じ傷を与える程度の能力』

 

『吸収したものに傷を押し付ける程度の能力』

 

 これら四つはある意味、サクリファイスの象徴とでも言えると思う。

 『吸収と開放を行う程度の能力』で対象を一つ自らに取り込んで、その取り込んだ相手の力を『吸収したものの力を再現する程度の能力』で再現し、その能力を発動している時限定で発動する『攻撃した相手に同じ傷を与える程度の能力』と、『吸収したものに傷を押し付ける程度の能力』。尤も、最後の能力を使うと勝手に吸収したものが解放されてしまうけど。

 

 ……正直、使ってみて『サクリファイス』の能力を改めて外道だと思った。

 

 

 

 

 

「……どうしたもんか…」

 

 海上を移動しながら、威圧的とまで感じる様な声に、ノイズとエコーが掛かりまくった様な声で愚痴る。

 しかも、最近面倒な事が判明したのだ。愚痴りたくもなる。

 その面倒な事というのが―――

 

「名前が思い出せない…」

 

 ―――これだ。別に無くても生きてはいける。けど、儀式魔法を使うとなるとそう言ってもいられないのだ。

 

 儀式魔法と俺の事について簡単に説明しておこうと思う。要は、発動するのに結構時間食ったり、それ相応の対価が必要になる代わりに、効果は絶大という魔法の総称だ。中には発動するのに半日を要し、対価として発動者の五感を代償に、大体半径五十メートルに亘って炎の海にする物もあった。それでも軽い方だ、対価の中には人の命何百人分使って発動する物もある。

 そして、俺は儀式魔法の発動時間の方はどうにもならないけど、対価を全て魔力だけで儀式魔法を行える。そう意味では、この体の名前を知る身としては道理に適っているというか、何と言うか…。

 

 話を戻そう。

 儀式魔法の中に、召喚というカテゴリーがある。面倒な説明は省くと、対価を払って使役する存在を召喚し、主従関係を結ぶ、といった物だ。

 その際に、一番重要なのは『主従の間で名を教え合う』事だ。これが出来なければ、主従関係を結ぶ事も出来ない。

 かと言って、自分で新しい名前つけるのも何か癪で、保留状態だ。

 

「まあ、目下の問題はもっと別の事か」

 

 魔法を使って、自分の姿が別の物―――例えば、人の姿とか―――に見える様に幻影の魔法を使っては見たけど、あれは絶対に自分に掛けるような難易度の魔法じゃないと思う。何せ、確固とした姿のイメージを常に頭に入れておかないと、姿がぶれて、最終的によく分からない黒い靄の様に見えてしまうのだ。声に関する魔法も同じ理由でこんなラスボス仕様に―――それでも、一応会話は成り立つレベルではあるので使ってはいる―――なってしまった訳で。

 召喚儀式を使おうと思った理由でもあるのだけど、コミュニケーションを―――誰かとちゃんと話したりとか―――取りたかったのだ。そりゃ、中身は五十代に足突っ込んでるさ?それでも、この三十年、俺は一度とて誰かと話していない。

 

 まあ、言うなれば蒐集癖とか、自分の没頭事が存在するとしても…寂しいんだよ。切実に。

 

「…止そう、考えるだけで凹む…ん?」

 

 永遠と続くかと思われた海原の先に、壁の様な岩が見えた。崖だ。恐らく、もう少し飛んでいれば辿り着けるだろう。

 思考を切り替えて、魔法を使って透明になる。こうすれば仮に人が居ても見つかる事は無い。

 

 

 

 海を飛んでいた時よりも高度を上げ、崖の上を移動する。

 

 崖から離れ、日が沈み掛けている時間帯。此処が何処なのかと少しでも情報を集める為に速めに飛んで暫く。整備されて無いよりはマシ程度の獣道の様な道に出た。そこを歩く―――着流しを羽織った二人の男―――内一人は傘を被っている―――の声が聞こえて来て、俺はその会話を聞いて居た。

 

 

 

「なあお前さん。輝夜姫って、知ってるか?」

 

「おお、知ってるとも。この先の都に居る、この世で一番美しいと評判の姫様だと聞くが、あっしらの様な下の者には関係の無い話だ」

 

「ちっ、つれねえなあ。それとも何だ?お前さん、まだ死んだ―――」

 

「―――その首、刎ねられたく無ければ口を開くな」

 

 

 

 以降、黙って歩いて行った男二人組…何か、空気が一気に重くなった気がするけど、気にしたら負けだ。

 にしても、時代と世界が違うとはいえど、ああいう服装をするのは日本とかそれくらいだろう。そして、輝夜姫と呼ばれていたお姫様。

 

 漸く、大まかな年代を知ることが出来た。大体、俺の居た年代から千三百年ほど前―――日本における、奈良時代くらいだろう。

 

 にしても…輝夜姫、か。

ほぼ間違いなく、蓬莱山輝夜の事だとは思う。

けれど、実の所自分がこの世界を東方だと判断した要因は能力だけだ。まだ東方のキャラクターに在った訳では無い。

 

(確認も兼ねて、行ってみるか…見つかんなければたぶん大丈夫だろうし)

 

 俺は、黙りこくったまま歩き続けている二人を追いかけ、追いついた所で高度を上げ、薄暗い中でもはっきりと分かるくらいの大きい町を見つけた。あれが都なのだろうと思考を打ち切って、着く頃には月が昇ってるだろうけど、たぶん大丈夫だろ。と、軽く考えたまま都に向かった。

 

 ―――この思考が、フラグであった事を悟ったのは、本人と話をする事となってからだった。

 

 




誤字脱字・ここはこうした方が良いと意見がありましたら、是非ともよろしくお願いいたします。



…召喚の儀式…何出そうかなぁ…(チラッ
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