いや、ここどこだよ。
そう思った俺は悪くない。
さっきまで、大学に行くバスに乗っていたはずだ。目の前が真っ暗になったと思ったら倒れてた。起きると周りは木、木、木……市内を走っていたからこれは有り得ん。起き上がってみるとなんか目線がちっちゃい……ん?
「し、身長縮んでる!?」
叫んだ瞬間、驚いたらしく近くの木から鳥が飛び出して行った……待て、鳥には詳しくないが、何か見覚えが……と思ってると近くの草むらから何か出てきた。それを見て俺はまた叫んだ。
だってよ、ビッパだったんだぜ? ポケモンの。そりゃ驚くわ。
あの後、落ち着いた俺は近くを見渡し、リュックが落ちているのに気付いた。中を開けてみると……うわ、広い。どんだけ入るのか分からないくらい広い。探ってみるとボールやらバトル用のアイテムやら石やら……メガストーン以外の普通に手に入りそうなアイテムが大体揃っていた。それとマルチナビとトレーナーカードもあった。
……名前が「サイ」、か……本名は黒木(クロギ) 祭(マツリ)なんだが、初めてポケモンやった時、サイってあだ名付けられてたからそう付けて、そのまま昨日までやってたオメガルビーまで全作サイって付けてんだけど……名前そのままかよ。
と、リュックをからってみると下にボールが4つ。中身は見えないがおそらく俺のポケモンだろう……と思った時、何かが聞こえた。
誰かの声みたいだが……分からない。周りを見渡してもそれらしき影は見えない。
『……、よ……主よ!!』
未だに声はどこから来てるか分からんが、シュヨって言ったのはわかった……シュヨ? 主よ?
「おい誰だ!?」
『目の前、だ……』
目の前……目の前にはボールが4つ。つまりこれから声が聞こえるって事だが……
『主よ、私は主が持っているボールの中だ……出してくれないか?』
「お、おう」
アニメでやってたみたいにボールのボタンを押すと大きくなる。
投げると光が溢れ、現れたのは緑の頭と腕に白い胴体の……
「……エルレイド、か?」
『そうです、主よ』
俺がバトルで一番使っていたポケモン、エルレイドだった。
『主よ、他のみんなも出してくれないか?』
「お、おう……」
パニックのまま3つのボールを投げると……やっぱりバトルで使ってたポケモン、エアームドにライボルト、ラティオス……ラティオス!?
「待ったぁぁぁぁなんで伝説ポケモンも居るのがはっ」
『サイ、落ち着け』
叫んだ俺はラティオスに吹っ飛ばされた……
『……と、言う事なのだが……』
エルレイド達からされた説明では、みんなは俺のゲームでの手持ちであり、この世界で生きていたという記憶と混ざっていること、突然の衝撃で気を失っていたこと、ここがハクタイの森らしいということ位しか分からなかった。俺と会話できてる件については自分たちでも分かってないらしい。
「……って、ラティオス、お前妹は?」
『……分からん。こっちでは何者かに襲われた瞬間に衝撃が来たようだからな……無事でいるといいが……』
「じゃあ何とかしてホウエン行かないと……」
『だが主よ、その年齢ではダメだと思う……この世界では高校生以上でないと旅に出れないようだ』
「嘘だろ……」
……とりあえず、森から出てからそこら辺を考えよう。
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……なんか、割愛された気がする。
私の名前はアスカ、本名は白飛(シラトビ) 飛鳥(アスカ)。現在トウカの森を彷徨っている見た目は小学生、中身は大学生のゲーマー。
乗っていたバスが突然揺れて、気がつくと小学生の体でここでぶっ倒れていた。オタクの友人がよく転生だとか召喚だとか話してたけど、普通だと神様に会うらしいから違うと思いたい。
近所にはポケモンの主人公が持ってそうなバッグとボールが4つ。1個投げてみたらサーナイトが出てきた……しかもポケモンYで使ってた子らしい。他の3体も私のポケモンらしいんだけど……んでサーナイトに色々説明してもらった所である。
そして歩いていると……男の子が走ってくる。その後ろからはたくさんの悪そうな人達が……待って、もしかしてあの子追われてるの!?
「何が起きてるのよぉぉぉ!!」
とりあえず近くにあった石を男の子を掴もうとしてた奴にぶん投げ、転ばせる。そいつに全員足を引っ掛けてるのを見ながら男の子を連れてとにかく走った。道の無いところを走ったせいで余計迷った気もするけど仕方がない。
「……大丈夫?」
「う、うん……」
見た感じ息切れしている以外には目立った外傷は無い……けどどうして追われていたのかしら?
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今、俺は心霊スポットの目の前に居ます。
ええ、あの有名なハクタイ洋館です。ゲームだったらこの横に出口があるんだが現実はそうも行かないらしい。
『主……ここに入るのか?』
「そうだな……確かに幽霊は居たはずだが、もう夕方だ。野宿は少し嫌だな」
一応言っておくが、エアームドの《そらをとぶ》を使わなかった理由はバッジが無い為である。どうもバッジは免許みたいなものでもあるらしく、幾つ持ってるかで使える秘伝技が変わってくるとか。余談だが、バッジはある地方で特定数ゲットしていれば他の地方でも秘伝技が使えるらしい。合計バッジ数でジムリーダーも手持ちを変えてくるらしいが、8個以上になったら同じなんだとか。まだ俺には関係無いけどな……
とか考えてると洋館のドアの前にいた。ノックしてから入ってみると……あれ、埃が全く積もっていない。だけどポケモンの姿は見えるし……あのオレンジの体はロトムか?
「そこのロトム、ここ誰が住んでるか教えてくれないか?」
「び!?」
……あーエルレイド達以外の言葉は聞こえないのな。通訳してもらったら「白い服着た奴らが食堂に出入りしてる、幽霊じゃないのに追っかけても姿を消して、そして突然出てくる」と教えてくれてたらしい……なんだそれ。
食堂に行ってみると……突然のかなしばり。目の前で爺さんが横にスーって動いて、ある場所で止まってテーブルの下を指さすとそのまま消えていった……
「……ぎ、ぎゃああああああああ出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
『主よ落ち着け!! ここは手を飲み込んでから人の字を書いてだな……』
『エルレイド、逆だ。お前も落ち着け』
……あの後、一緒についてきたロトムに軽く電気ショック流されるまで足がガタガタだった。そのためゲームにあった展開と同じなこと、ゲームとは違う動きをしたことに気付くのが遅れた。
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あの後男の子……ミズキ君に話を聞いたんだけど、ただ森でキノココと遊んでたら襲われたらしい。その時はキノココがほうし撒き散らして逃がしてくれたらしいけど、結局見つかって逃げてた所で私と会ったらしい。あいつらに何かやった訳じゃないらしいから悪者はあいつら、か。
と、道を探しているとキノココが現れた。ただ様子がおかしい……フラフラしている上に傷が多い。バッグからキズぐすりを出してぶっかけるとみるみる元気になったけど……
「あ、アスカさん、このキノココぼくを助けてくれたポケモンです……あっちにカナズミ側の出口があるそうです」
「なるほど……」
あっちに行って誰かに助けを呼べば何とかなるかな……
「って待った。まさかと思うけど……君、ポケモンの言葉がわかるの?」
「えっ……あっ……」
……もしかして、襲われた原因、それじゃないの?
後編へと続きます。