真紅き眼と書いて「あかきめ」と読むのがデフォルトです!!   作:大小判

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前作の「もうドジリス(の同類)とは呼ばせない」は進む原作の設定上無理が生じたのでこっちに変更しました。応援してくださった皆様には心よりお詫び申し上げます。

ここ最近はデュエルカーニバルでずっと練習をしてきました。まだまだ至らぬところも多いですが、できれば暖かくこの作品を見守ってくだされば幸いです。


ち、違う!!別にシリアス寄りの話にしたいわけじゃない!!だから《御飯ですよ》をかけて食べないでくれぇえ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間社会を回すカードゲーム、デュエルモンスターズ。子供から年寄りまで誰もがデュエリストだ。当然ながら、当時小学生だった俺もデュエルをしていた。でもその戦績は酷いもので連戦連敗。小学5年の時には1年生に負けて記念すべき0勝100敗、自信も何もあったもんじゃねぇ。

 

『お前弱っちいからお前とデュエルしてもつまんねぇ』

 

そう言われた時はさすがにショックだった。でもそれ以上に悔しかったことがある。

 

『大体何でそんな使い難くて弱い、観賞用のカードなんか使ってんの?』

 

レベル7、攻撃力2400、通常モンスター。それが俺のエースカード。リリースが2体必要な割には攻撃力が低く、何の効果も持っていない。ただ極めて珍しいカードであるという事だけが取り柄だ。

同じコストを払うならもっといいカードがごまんとある。現に俺の周りの奴らは強いカードをたくさん持っていた。それでもこのカードをデッキに入れていたのは、俺がこのカードの事が大好きだったからに他ならない。

 

だからこそ悔しくもあった。このカードと共に戦って負けるという事が。このカードを悪く言われたことが。

 

100敗目のデュエルの後、何時も行っているカードショップには何となく行く気がしなくて、俺は他のカードショップを探していた。とは言っても、近所のカードショップには全部行っている。なら普段は行かないような場所を当ても無く歩き続けていた。

 

そこで見つけた、街の路地裏にある木造の時代遅れ感が溢れるカードショップ。ところどころ錆びた大きな看板には掠れかけた文字でこう書かれていた。

 

『カード屋まつした』

 

前時代の駄菓子屋みたいな名前と店だった。ガラス張りの引き扉から覗く店内は豆電球だけが光っていて絶妙な薄暗さを醸し出していた。扉に手を掛けたのはただの気紛れだ。重い上に開ける時にガラガラと五月蠅い扉を開き、店内に入る。

周囲一面はカード棚とカードファイル、1袋5枚入り250円のパックだけという実に簡素な店内、地元の大きなデュエル大会である《舞網チャンピオンシップ》のポスターだけが壁を彩っていた。

 

『お客さん?』

 

棚に置かれたカードを眺めていると、店の奥から当時の俺と同じ年くらいの女の子が出てきた。目を奪われるほどに特徴的な少女だった。肌は雪のように白く、薄暗い店内でも分かる輝く銀髪。

 

―――暗い色の和服に身を包んだ真紅(あか)い眼の少女。俺のエースと同じ色の瞳。

 

『君がこの店の人?』

『手伝い……みたいなものかな?』

 

家の手伝い。そんな言葉が脳裏に浮かぶ。目の前の少女もそうだったのだろう。当時の俺はそう判断した。自分で言っておいて疑問形、コテンと首を傾げる少女は雪原の白いウサギを連想させる。

 

『あ、あのっ!僕、青山翔梧っていうんだ。君の名前は?』

 

興味が惹かれた。彼女の全てに。これまでの生活の全てが一変する予感がした。彼女は思ったよりも素直に答えた。

 

『……ユキ』

 

それが0勝100敗のデュエリスト青山翔梧とカード屋手伝いのユキの出会い。そして、俺と真紅き眼の竜の戦いの始まりでもあった。

 

 

 

   -----------------------

 

 

 

質量を持つソリッド・ビジョンシステムが実現により生まれた新たなる決闘―――アクションデュエル。それを開発したデュエル業界最大手レオ・コーポレーション、その本社を擁する舞網市。多くのデュエリスト養成施設が乱列するこの街に置いて最も大きなデュエル塾はレオ・コーポレーションの傘下にあるレオ・デュエルスクール、通称LDS。

 

「それでは、始めるとしよう」

 

その実験用のデュエルフィールドで、レオ・コーポレーションの若き社長である赤馬零児と対峙する。相手は史上最年少プロデュエリスト、百年に一度の天才、こいつの強さは俺が一番よく分かっている。とは言ったものの―――

 

「今度こそ大丈夫なんだろうな……?もう20時間は付き合ってるぞ……?」

「すまないが新たなる召喚方法であるペンデュラムを試すデュエリストは君にしか勤まらないのでね、翔梧」

 

……正直、眠いです。朝の4時に電話で起こされたと思ったらそのままLDSに直行、色々付き合わされている内に日を跨いでしまった。なぜこんな事になったのか、事は数日前に舞網スタジアムで行われたあるエキシビジョンマッチに遡る。

 

デュエルモンスターズには大きく分けて5つの召喚方法がある。まずはレベル4以下のモンスターをノーコストで召喚する通常召喚。

 

レベル5から6、または7以上のモンスターをフィールドのモンスター1体ないし2体をリリースすることで召喚するアドバンス召喚。

 

《儀式》という特殊なカードを発動し、リリースしたモンスターの合計以下のレベルのモンスターを召喚する儀式召喚。

 

《融合》という特殊なカードを使ってモンスター同士を融合し、エクストラデッキからモンスターを召喚する融合召喚。

 

フィールドのモンスターのレベルを足して、その合計のレベルを持つモンスターをエクストラデッキから召喚するシンクロ召喚。

 

フィールドのモンスターのレベルを合わせることで、そのレベルと同じランクを持つモンスターをエクストラデッキから召喚するエクシーズ召喚。

 

だがこれらの召喚方に次ぐ第7の召喚方法が舞網スタジアムで感知された。

それがペンデュラム召喚。ペンデュラムモンスターと呼ばれる、スケールを持つモンスター2体を設置して、スケールの数字の間のレベルを持つモンスターを一度の召喚で大量に召喚することが出来る未知の召喚法。

 

先に言っておけば、この召喚法はレオ・コーポレーションを含め、デュエル企業が開発したものでは決してない。事の始まりはアクションデュエルチャンピオンであるストロング石島選手と元チャンピオンの息子である榊遊矢の因縁のデュエルで挑戦者である榊遊矢が使用。世間で注目を集めたこのデュエルの最中、突然現れたのだ。デュエル直前のデッキ内容の確認でも不審な点は見当たらなかったらしい。まるでデュエルの最中にカードが書き換わったかのように。

 

一体どこから現れたのか、その詳細はいまだ不明。分からない事はとりあえず放置したレオ・コーポレーションは検知した召喚反応からペンデュラムカードの再現に手を掛けた。掛けたのだが―――

 

「だからってバイトの高校生を20時間も缶詰にするか普通?」

 

ペンデュラムカードがちゃんとソリッドビジョンとして反映されるか、システムに異常をきたさないか、ちゃんと既存のルールに成立するか、商品として扱えるかどうか。今回俺が付き合わされている理由としては、実際にデュエルした時にエラーを起こさないとかその他諸々だ。で、これまでの結果はエラーに次ぐエラー、微調整に次ぐ微調整、召喚エネルギーの不安定に次ぐ不安定。その度にデュエルコートに立たされる。

ホント、なぁにこれぇ?

 

『給金を貰っている身分で文句を言うな。早くデュエルコートに立て、社長がお待ちだ』

「そう言って全然成功しないじゃん、ペンデュラム!!幾ら開発に時間と労力が要るって言っても、一度に働かすには限度があるだろ!?」

 

そんな野次を飛ばしてきたのは零児の側近であるグラサンスーツが特徴の中島さん。クッソ、労働基準法違反だろこれ……!いつか絶対に訴えてやる……!

 

「次で終わりにしよう。尤も、君はデュエルになれば眠気など吹き飛ぶだろうが」

「その奇妙な信頼が痛いんだけど……」

 

零児といい中島さんといい、デュエルを見てる開発スタッフ連中といい、何でこいつらこんなに涼しい顔をしてるんだろう?正社員クラスともなると根本的な体力が違うのかな?

 

「これで本当に終わりにしてくれよ?もう眠いし、明日も学校なんだからよ」

「無論だ。早速始めるとしよう」

 

「「デュエル!!」」

 

 

青山翔梧 LP:4000

赤馬零児 LP:4000

 

 

互いのデュエルディスクが反応し合い、先攻と後攻がランダムで決定される。先攻は――――――零児だ

 

「では私が先行を貰う。私は永続魔法、《地獄門の契約書》を発動する。このカードは自分のスタンバイフェイズ毎に1000ポイントのダメージを受ける代わりに、1ターンに1度《DD》と名のつくモンスターを手札に加える。私は《DDケルベロス》を手札に加える」

 

実質手札を減らさずにモンスターを手札に加えるカード。他にも似たような効果のカードはあるけど、永続魔法というのは中々に手強い。尤も、そのコストも高いけど。

 

「更に永続魔法、《魔神王の契約書》を発動。このカードも自分のスタンバイフェイズ毎に私自身が1000ポイントのダメージを受ける代わりに、1ターンに1度だけ悪魔族融合モンスターを融合召喚できる」

 

あ、これヤバいフラグだ。

 

「私は手札の《DDケルベロス》と《DDリリス》を融合。牙剥く地獄の番犬よ、闇より誘う妖婦よ!冥府に渦巻く光の中で新たな王を生み出さん!融合召喚!!出でよ、神の威光を伝えし王!《DDD神託王ダルク》!!」

 

《DDD神託王ダルク》

星7/攻撃力2800

 

女性型の悪魔族融合モンスターを前に、冷や汗がドッと出た。俺の苦手なモンスターその1だ。コイツの厭らしさはよく知っている。その効果はこのモンスターをコントロールするプレイヤーは自分への効果ダメージをライフ回復にするというものだ。

《神託王ダルク》が零児のフィールドに存在する限り、先に発動した《契約書》のカードはメリットだらけのぶっ壊れカードに早変わりする。

そして現状、次のドローにもよるけど俺に《ダルク》をフィールドから退場させる手立てはない。や、ややややややばいって!!

 

「私はこれでターンエンド。さぁ、君のターンだ」

 

赤馬零児 手札:2枚

 

「俺のターン、ドロー!俺は――――」

 

と、勢いよく切り出したのは良いけど、派手にモンスターを召喚できる手札でもなければ現状を打破する手札じゃなかった。でも決して悪い手札じゃない。言ってしまえば普通。なんとかなりそうだ。

 

「俺はモンスターをセット!カードを3枚伏せてターンエンドだ!」

 

青山翔梧 手札:2枚

 

『悪くは無いが地味な切り出しだな』

『手札が良くなかったのか?』

 

放って置いて欲しい。い、いいだろ別に!!モンスターのセットだって立派な戦略なんだから!でもこれで次の零児のスタンバイフェイズ、《ダルク》の効果で2000ポイントのライフ増加を許してしまった。

 

「私のターン、ドロー!このスタンバイフェイズ、私は2枚の《契約書》の効果により合計2000ポイントのダメージを受けるが、《神託王ダルク》の効果によりそのダメージは、ライフの回復となる!《ライフ・イレイション》!!」

 

赤馬零児 LP:6000

 

2枚の《契約書》から発生した毒々しい霧の様なものが《ダルク》の手に集約し、ライフを回復させる光へと変えられていく。破壊じゃ生温い、除外でもしなければ相当厄介な事になる。早く何とかしなきゃ……!

 

「君が仕掛けてこないというのなら、こちらから行かせてもらう。私は《地獄門の契約書》の効果により、チューナーモンスター、《DDナイト・ハウリング》を手札に加えて召喚する!」

 

《DDナイト・ハウリング》

星3/攻撃力300

 

「ここでチューナーだと!?」

 

チューナーモンスター。それはレベルを足す事でエクストラデッキからモンスターを特殊召喚するシンクロ召喚に必要不可欠なモンスター群。これは偉いことになるぞ……!

 

「このモンスターの召喚に成功した時、墓地の《DD》と名のつくモンスターを攻撃力と守備力を0にして特殊召喚する!甦れ、《DDリリス》!!」

 

《DDリリス》

星4/攻撃力0

 

「レベル7のシンクロモンスターか……!」

「その通り。私はレベル4の《DDリリス》にレベル3の《DDナイト・ハウリング》をチューニング!闇を切り裂く咆哮よ。疾風の速さを得て新たな王の産声となれ!シンクロ召喚!生誕せよ!レベル7!《DDD疾風王アレクサンダー》!」

 

《DDD疾風王アレクサンダー》

星7/攻撃力2500

 

「この位ならまだ―――」

「更に私は魔法カード、《死者蘇生》を発動!」

「ゑ!?」

「この効果により、私は墓地からモンスター1体を特殊召喚する!《DDケルべロス》を特殊召喚!!」

 

《DDケルベロス》

星4/攻撃力1800

 

「この瞬間、《疾風王アレクサンダー》の効果発動!《DD》モンスターが特殊召喚された時、墓地からレベル4以下の《DD》モンスターを特殊召喚する!再び蘇れ、《DDリリス》!!」

 

《DDリリス》

星4/攻撃力100

 

「零児のデッキでも発生する労働基準法違反!?」

「違反などでは決して無い。《DDリリス》の効果発動!このモンスターが特殊召喚された時、墓地から《DD》モンスターを手札に加える。私は《DDナイト・ハウリング》を手札に」

 

これで零児のフィールドに同じレベルのモンスターが2組ずつ………まさか。

 

「私はレベル4の《DDリリス》と《DDケルベロス》でオーバーレイ!!」

「ひょぉ!?」

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!この世の全てを統べるため、今 世界の頂に降臨せよ!ランク4!《DDD怒濤王シーザー》!」

 

《DDD怒濤王シーザー》

ランク4/攻撃力2400

 

「あんびりーばぼー!?」

 

何という事でしょう。相手のフィールドに強そうなモンスターが3体も並んでいるではありませんか。今回の赤馬零児君は絶好調だな、畜生!!

 

「バトルだ。私は《怒涛王シーザー》で裏守備モンスターを攻撃!」

「ぐぅっ!?」

 

巨大な鉄塊で叩き潰される俺の裏守備モンスター。でも戦闘破壊で本当に良かった!

 

「戦闘破壊された《仮面竜》の効果発動!デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族を特殊召喚する!もう1枚の《仮面竜》を守備表示で特殊召喚!」

 

《仮面竜》

レベル3/守備力1100

 

「続け、《疾風王アレクサンダー》!!《仮面竜》を攻撃!!」

「ぐっ!もう1体の《仮面竜》をデッキから特殊召喚!」

 

《仮面竜》

レベル3/守備力1100

 

「やはりこの程度では仕留め切れないか……行け、《ダルク》!《仮面竜》に攻撃!《オラクルチャージ》!!」

 

ブスリ、という音を立てて剣先が突き刺さり、そのまま爆散した。やってくれる、まさかドラゴン族伝統の《仮面竜》ガードを魔法や罠を使わずに一度のバトルフェイズで突破するとは。

 

「なら俺は、《ミンゲイドラゴン》を特殊召喚!!」

 

《ミンゲイドラゴン》

星2/守備力200

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

赤馬零児 手札:2枚

 

でもこれで何とか現状の突破……とはいかずとも不利な状況から脱却は出来そうだ。

 

「俺のターン!!俺は《ミンゲイドラゴン》の効果発動!このカードはドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する時、1体で2体分として扱える!」

「やはりな……そのドラゴンのダブルコスト能力を使ったアドバンス召喚か」

「そうだ。俺は《ミンゲイドラゴン》1体をリリースしてアドバンス召喚!現れろ暴威の化身、《タイラント・ドラゴン》!!」

 

《タイラント・ドラゴン》

星8/攻撃力2900

 

巨大な翼を羽ばたかせ、フィールドに君臨した暴君の名を冠する巨竜。今この瞬間、フィールドのパワーバランスはこちらが上回った。が、問題はどいつを破壊するかだ。《タイラント・ドラゴン》はモンスターを戦闘で破壊した時、もう一体モンスターが居れば続けて攻撃する効果がある。となると優先されるのは《神託王ダルク》だけど……。

 

「《怒涛王シーザー》……こいつはどうするか」

 

俺と零児は幾度となくデュエルしてるけど、お互いに全てのカードを把握している訳じゃない。むしろ知らないカードの方が多くて、《ダルク》や《アレクサンダー》の事は知っていても、《シーザー》は初見のモンスターだ。しかも厄介な効果を持つことの多いエクシーズモンスター。だが現状、《アレクサンダー》はなんとかなりそうだ。ここは《シーザー》を潰す!

 

「行くぞ、バトルだ!!《タイラント・ドラゴン》で《神託王ダルク》を攻撃!!《ドラゴン・フレイム・ブラスト》ォ!!」

「この瞬間、永続罠《戦乙女の契約書》を発動。自分のスタンバイフェイズ毎に1000ポイントのダメージを受ける代わりに、相手ターンの間、私のフィールドの悪魔族モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする」

 

《DDD神託王ダルク》

星7/攻撃力3800

 

「返り撃ちにしろ《ダルク》!!」

「そうはさせるか!!カウンター罠、《魔宮の賄賂》を発動!!魔法・罠カードの発動を無効にして破壊し、相手はカードを1枚ドローする!!」

 

《DDD神託王ダルク》

星7/攻撃力2800

 

赤馬零児 手札:3枚

 

「このまま戦闘で破壊させてもらうぞ!!」

「ぬぅっ!?」

 

赤馬零児 LP:5900

 

「更に《タイラント・ドラゴン》のモンスター効果発動!このモンスターの攻撃後に相手フィールドにモンスターが存在する時、もう一度だけモンスターを攻撃することが出来る!砕け散れ、《怒涛王シーザー》!!」

「ぐっ!?」

 

赤馬零児 LP:5400

 

「よし、これで奴のモンスター2体を潰してやったぜ」

「それはどうかな?」

「ひょ?」

 

攻撃による煙が晴れた時、零児のフィールドには――――モンスターが3体?あっるぇ―――?

 

「攻撃の瞬間、私は《怒涛王シーザー》の効果を発動させてもらったのだよ。《怒涛王シーザー》はオーバーレイユニットを一つ使う事により、このターンに破壊されたモンスターをバトルフェイズ終了と共に墓地から可能な限り特殊召喚できる」

「自身も対象に含めた蘇生効果!?」

「ただし、次のスタンバイフェイズに私はこの効果で蘇生したモンスター1体につき、1000ポイントのダメージを受けるがね」

「いや、それ《ダルク》が居る限りメリットだから」

「更にこのモンスターがフィールドから墓地へ送られた時、《契約書》と名のつくカード1枚を手札に加える。私は《契約書》を手札に」

「わーお!?」

 

もうやだ!だから《ダルク》と《契約書》のコンボは嫌なんだ!!俺は基本的にライフを削る戦法しかできないのに!!《シーザー》が入ってからその凶悪さに拍車がかかったんじゃない!?

 

「うぐぐ……俺はこれでターンエンドだ」

 

青山翔梧 手札:2枚

 

「私のターン、ドロー!!このスタンバイフェイズ、《ダルク》と《契約書》、そして《シーザー》の効果により私はライフを5000回復する!!」

 

赤馬零児 LP:10400

 

え、えらいこっちゃー。どんどんライフアドバンテージが増えていく。

 

「ふむ、この布陣では不完全か……私は手札から魔法カード、《闇の誘惑》を発動!手札の闇属性モンスター、《DDナイト・ハウリング》をゲームから除外し、カードを2枚ドローする!さらに《地獄門の契約書》の効果により、デッキから《DD》モンスターを手札に加える!私が加えるのは、《DD魔導賢者ガリレイ》!!」

「そ、そのモンスターは!?」

 

この20時間散々付き合ってきたから分かる。あれこそのこのデュエルの要たるカード、ペンデュラムモンスター!

 

「お前、今度こそ大丈夫なんだろーな?」

「完成度としては7割といったところだがね。ではいくぞ、私はスケール1の《DD魔導賢者ガリレイ》とスケール10の《DD魔導賢者ケプラー》で、ペンデュラムスケールをセッティング!!これでレベル2から9のモンスターが同時に召喚可能!」

 

天に浮かぶ2体の悪魔。それぞれ1と10の数字が記された2本の光柱。今のところエラーはなさそうだけど、問題はモンスターの召喚だ。もうそれだけで連続15回くらい失敗している。というか、失敗しかしていない。大体がセッティングの際にエラーが出るから。

 

「我が魂を揺らす大いなる力よ。この身に宿りて、闇を引き裂く力となれ!ペンデュラム召喚―――――出現せよ、私のモンスター達よ!!」

 

2本の光の柱の間に浮かぶ渦から、それは現れた。

 

「総ての王を統べる2体の超越神、《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》!!」

 

《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》

星8/攻撃力3000

 

振り子を模したかのような姿を持つ、攻撃力3000の大型モンスターが2体……!エラーは大丈夫か!?

 

『召喚エネルギー、出力、共に安定!』

『社長!目標ラインをクリアしました!』

「よっし!!」

「……ふぅ」

 

芳しい結果を得て、思わずガッツポーズをとる。零児も小さく安堵の息を吐いていた。よかった、よかった、本当に良かった。

 

「それじゃあ成功したっぽいし、俺はここらで帰――――」

「ではこのままデュエルを続行する」

「ちっくしょぉぉぉおおおおおおおおお!!!」

 

現在時刻、午前0時32分。俺の蒸し暑い夜はまだ続くらしい。

 

「バトルだ!!《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》で《タイラント・ドラゴン》を攻撃!」

「ぐああぁっ!?」

 

青山翔梧 LP:3900

 

ていうか、この状況かなりやばい!零児のフィールドには上級レベルの攻撃力を持つモンスターがギッシリ並んでやがる!総攻撃を食らえば、完全なオーバーキルだ!

 

「もう一体の《ヘル・アーマゲドン》でダイレクトアタック!」

「させるかよ……!罠発動、《ピンポイント・ガード》!相手モンスターの攻撃宣言時、俺の墓地からレベル4以下のモンスターを特殊召喚する!戻って来い、《ミンゲイドラゴン》!!」

 

《ミンゲイドラゴン》

星2/守備力200

 

「更にこの効果で特殊召喚されたモンスターは、このターン戦闘及び効果では破壊されない!」

「防いだか……流石だな。私はカードを1枚セットしてターンエンド」

 

赤馬零児 手札:1枚

 

さて……状況は結構絶望的といってもいい。俺のフィールドには、《ミンゲイドラゴン》が1体だけ。零児のフィールドには攻撃力2400以上のモンスターが5体。現状、手札に逆転の手はない。つまりこのドローが勝敗をかけたディスティニードローとなる。

 

……不思議なことに、「テストだから別に負けてもいいんじゃない?」なんて妥協はなかった。倒れる時は前のめりというか、俺はまだ《お前》を輝かせていない。いまだデッキに眠る相棒を予感がした。

 

「そうだよな……《お前》がデッキに入っている。だから俺はもう……ただの一度の敗走もしちゃいけないんだった」

 

どんなデュエルでも、絶体絶命の瞬間に蘇る記憶がある。俺にとって一番大切な、今はもう失ってしまったもの。

 

「《あの娘》を取り戻す(・・・・)その時まで、俺はもう倒れはしない!俺のターン……ドロォーッ!!」

 

渾身のドロー。かくして俺のデッキは……それに応えた。

 

「来たぞ……零児」

「何?」

「俺は魔法カード、《紅玉の宝札》を発動!手札からレベル7の《レッドアイズ》を墓地へ送ることで、カードを2枚ドローする!俺が墓地へ送るのは、《真紅眼の黒竜》!!」

「そのカードはっ!?」

「《紅玉の宝札》の更なる効果発動!デッキから、《レッドアイズ》モンスター1体を墓地へ送る!」

 

条件はすべて整った。さぁ――――――お楽しみは、これからだ!!

 

「俺もこの魔法カードを使わせてもらうぞ。《死者蘇生》発動!墓地のモンスター1体を特殊召喚する!」

「墓地のモンスター……来るか。君のエースモンスターが」

 

今思えば、俺の戦いはこのカードと共に始まった。《あの娘》と出会う以前から、負ける時も勝つ時も、俺とこいつはずっと一緒だった。だからこそ、胸を張って言おう。こいつこそが最強のカードだと。

 

「今こそ現れろ、可能性を司る竜!その真紅(あか)き眼に未来を託せ!《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》!!!」

 

《真紅眼の黒竜》

星7/攻撃力2400

 

真紅(あか)く滾る眼で眼下の悪魔たちを見下ろす黒い竜。確かに、単騎で異次元の魔王達を倒す力はないだろう。だがこのドラゴンの真価は、他のカードとの連携にこそある。

 

「永続罠、《真紅眼の鎧旋》発動!!自分フィールドに《レッドアイズ》モンスターが存在する時、1ターンに1度墓地の通常モンスターを特殊召喚できる!来い、真紅き凶雷振るいし魔皇!《真紅眼の凶雷皇-エビル・デーモン》!!」

 

《真紅眼の凶雷皇-エビル・デーモン》

星6/攻撃力2500

 

墓地から蘇る真紅き眼の悪魔。この布陣こそ、形勢を逆転させる今の俺にできる全力。

 

「だが《アレクサンダー》にすら攻撃力で劣り、その上レベルが違う通常モンスターが2体並んだところで、私の布陣を打ち砕くことはできない」

「それはどうかな?」

「なんだと?」

「《エビル・デーモン》は通常モンスターであって、通常モンスターじゃない。そう言えば分かるだろ?」

「まさか……デュアルモンスターか!?」

 

デュアルモンスター。そう呼ばれるカード群が存在する。それらの共通点として、基本的には効果モンスターだが、ただ召喚しただけでは効果を発動できない。再度召喚という、通常召喚権を酷使することで初めて効果を得る扱いづらいモンスターだ。

ハイスピードでモンスターを回していくのが主流の今のデュエルでは忘れられつつあるが、そのモンスター効果は強力の一言。

 

「《エビル・デーモン》を対象に再度召喚!!そしてモンスター効果発動、このカードの攻撃力以下の守備力を持つ、相手フィールドのモンスターをすべて破壊する!!」

「何!?」

「お前のフィールドに、《エビル・デーモン》の攻撃力を上回る守備力を持つモンスターはいない!全てを砕け、《ライトニング・バースト》!!」

「ぬぅおおっ!?」

 

零児のフィールドに雨あられと降り注ぐ真紅い万雷は無慈悲に悪魔たちを蹂躙する。これで零児のフィールドはがら空き!

 

「君とは幾度となくデュエルをしてきたが……なるほど、これが君の隠し玉の一つか……!」

「今だ《真紅眼の黒竜》!!その真紅き眼で、捉えた全てを―――」

 

ビィ――――――!!ビィ――――――!!

 

『社長、エラーが発生しました!!』

『デュエルを中断します!!』

「なんだとぅっ!!?」

 

喧しいエラー音と共に消える俺の麗しきモンスター達。後もうちょっとで奴のライフを4900抉って形勢逆転だったのに!!ていうか、途中で遮られた決め台詞と零児に向けられた人差し指はどこに向ければいいんだろう?

 

「今日はご苦労だった。明日もよろしく頼む」

「ゑ!?何その言い方!?今日はただでさえ休日出勤だったのに、明日は明日で学校帰りに付き合わされるの!?ていうか、勤務表じゃ明日もバイトは休みだったんだけど!?」

「実は先日、重役会議で人員削減の提案が上がったのだが――――」

「こ、このブラック企業おおおおおおおおおお!!!」

「勤務時間は17時から1時までだ。よろしく頼む」

「ぐっはぁぁっ!!?」

 

あ、あり得ないんだぜ……!少なくとも、1日勤務4~5時間の高校生のバイトにやらせる激務じゃない……!いやまぁ、ここまでペンデュラムカードの完成を急ぐ理由はわかってるんだけどな?

 

「あのハゲオヤジ……赤馬零王を、ひいては融合次元のアカデミアを倒すための力足りうるかの検証。なるほど、確かに俺たちにとってはかなり重要だわな」

「その通りだ。来たるべき戦いの時は近い。故に我々は性急の戦力を整える必要がある」

 

我らが怨敵、妖怪血管ハゲオヤジ。零児の父親。そして、俺と《あの娘》から大切な日常を奪った男。

 

「他次元と比べ、私達が住むこのスタンダード次元のカードのエネルギーは微々たるもの。ペンデュラムカードの完成には、榊遊矢が放った召喚エネルギーと同等以上のエネルギーを放つ君の《レッドアイズ》が必要不可欠」

「ペンデュラムカードは現状唯一量産の目途が立つ、他次元のカードにも見劣りしないエネルギーを持つカードだもんな。ま、この激務も目的の為と思えば安いか……ちゃっちゃとあのハゲぶっ飛ばして、取り返すもん全部取り返して、あとは楽しいデュエル人生と洒落込みたいもんだな」

 

俺たちの安息は未だ遠い。長く厳しい戦いは、すぐそこまで差し迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




先に宣言させていただきますと、この作品は《サイクロン》、《ミラーフォース》、
《落とし穴》といった召喚に反応して相手モンスターのみを破壊するカード、《ブラックホール》、《大嵐》、《次元幽閉》、《強制脱出装置》などといった単体で強力なガチカードをオリ主は決して使用しません。相手は使ってきます。結構普通に。

作中に登場した少女については皆様の想像にお任せします。こちらからは物語で登場するまで口外しませんのであしからず。

この小説を全世界のレッドアイズファンの皆様に読んでいただければ幸いです。
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