新・うっかり女エミヤさんの聖杯戦争(完)   作:EKAWARI

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ばんははろ、EKAWARIです。
今回の話はにじファン時代から増量、書き下ろしSS第四弾の「メイドと執事のハッピーハロウィン」になります。
因みに作中時間では遂に士郎さん高校2年生、イリヤ高校3年生、桜高校1年生というわけで、本編開始の3ヶ月前をカウントするようになりました。
つうわけで、次回から4作続く連作「それぞれの日常」格編が終わり次第第五次聖杯戦争編へ突入します。


11.メイドと執事のハッピーハロウィン

 

 

 

 side.衛宮士郎

 

 

「どうした士郎、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして」

 そういって、ニヒルな笑みを浮かべるシロねえを見ながら、俺はあんぐりと口を開けたまま言葉を失っていた。

 そんな俺を見て、この白髪褐色肌の義姉が何を思ったのかは知らないけど、1つ首を傾げると、少しだけ口元を緩めて、先ほどよりは少しだけ優しい母親じみた視線を俺に送って、労るような言葉で激励の言葉を口にする。

「まあ、なんにせよ、引き受けた以上これは仕事だ。あまり腑抜けな面を晒すなよ」

 ……そういって背を向けるシロねえは。

「言われずともわかってる」

 女の筈なのに、男の俺から見ても悔しいぐらいに様になっていて、格好良かった。

「しろやーん、えみやん、まだ~?」

「今行く」

 そうして今宵限りの雇い主の声に反応して俺はシロねえと並んで店内へと足を運んだ。

 

 

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 ……ここで、とりあえず、これまでの経緯を回想しようと思う。

 まず、始まりはうちの半姉貴分の某虎が原因だった。

 いや、正確にはこの表現は正しくないか。

 藤ねえが、高校時代の同級生だというコペンハーゲンの看板娘、蛍塚ネコさんにある頼み事をされたのが始まりだった。

「お願い、藤村、この通り!」

 そういって両手をパンと合わせながら、最上ものの大吟醸片手に頼み事に来たネコさんを藤ねえが果たして断れたのだろうか。いや、無理だな、トラだし。

 とりあえず、伝え聞きなのでもしかしたら間違っている部分もあるかもしれないが、その内容を纏めたらこうだ。

 なんでもネコさんは酒屋コペンハーゲンの一人娘で、親の仕事を手伝いがてらそのままそこに就職したらしい。

 で、そのネコさんの親父さんが店主なわけだけど、その親父さんというのが時々やらかす人だそうで、常連客との話がヒートアップしていった結果「ハロウィン限定で、メイド&執事カフェイベントを開催するぞー!」とかなんとか酒の勢いで言ったらしく、それが後に常連客の間で拡散して引き返すに引き返せない状態になったんだとか。

 因みになんでメイド&執事喫茶かといったらたまたまつけていたテレビで出てきていたかららしい。特に深い意味はないんだとか。

 ……ハロウィンで変装なら狼男とかフランケンシュタインとかのコスプレのほうが、それっぽいんじゃないのかなあと思った俺は多分悪くない。

 で、娘のネコさんとしては顔面蒼白で「どうしよう」と悩んでいる父を放っておくわけにもいかず、藤ねえを通してハロウィン限定のメイド&執事のバイトを誰か紹介してくれないかと頼んできた結果、こうして俺は執事服に身を包んでいるわけだけど……。

「おい、何を先ほどからじろじろ見ている」

 ……なんでシロねえも執事服なんだろう。いや、メイド服が嫌だからなんだろうけど。

 しかも、超似合う上に凄く様になってて俺よりもかっこいいとか詐欺だ。なんでこんなに似合っているんだ。まるで本職かのように仕草や振る舞いまで様になっているぞ。

「いや、なんでもない」

 そう答えて慌てて視線を逸らすも多分俺の目元は紅くなっている気がするし、多分視線を送るのもやめられていない。そうしてチラリ、もう一度執事姿のシロねえを見てから視線を鏡に移す。

 シロねえとはベストの色違いの揃いの執事服に身を包んだ俺の姿がそこには写っているわけだけど、なんていうか、衣装に着られている状態で知らずガックリと肩を落とす。

 間違っても様になっているとは言えなかった。

 

「士郎、お待たせー!」

 そういって元気な声を上げて今度は笑顔のイリヤが入ってきた。

 その普段見ることのない、クラシックなメイド姿にドキッとする。

 元々、お転婆なところがあってもイリヤは上品だ。

 仕草や振る舞いには匂うような品があって、まさに上流階級の躾を受けてきたことを体現するように、礼とか取らせると優雅で、粗野さは見つからない。だからこそ、足首まで覆うロングスカートタイプのクラシックなメイド姿が凄く似合ってて、強烈なまでに可愛かった。

 髪型もまた、服装に合わせたんだろう。黒いシュッシュで白銀の髪をポニーテールに結い上げ、メイドカチューシャを頭に載せた姿はしとやかさの中の活発さを伺わせて、なんていうか、良い。

 因みに今夜のバイト用である執事服とメイド服は、衣装代節約の為シロねえの手作りだ。

「ふふ、その顔、ご満悦いただけたようね?」

 そう少しだけ意地悪げな、でも優しい声で俺に尋ねるイリヤは狡い。

「最初はとんだ厄介事を大河も仕入れてきたもんだわ、と思ったけど、うんうん。士郎のその顔だけでわたし、許しちゃおうかな~」

 とかいって、上機嫌にニコニコ笑うイリヤに、そういえばと、はたと俺は気付いた。

 イリヤはどう考えても人に仕える側というより、人を使う側の人間だ。

 海外で生活していた時代は実際にお嬢様として暮らしていたとか聞いたことあるし、実際最初この話を持って来られた時は酷く不機嫌だった。それでも可愛い弟や妹を黙ってそんなわけのわからない所に放り込めるわけないでしょとの一言で、最終的に「オーダーを取るだけ」を条件に引き受けてくれたわけだけど。

 そんな風に本来お嬢様として傅かれる立場だった筈のイリヤに、メイド服……つまりは使用人服姿を「可愛い、似合っている」などと評するのはひょっとすると凄く失礼な行為なのかもしれない。

「……悪い」

 不覚にもときめいて、似合うと思ってしまったことに対し、しゅんとうなだれると、イリヤはクスクスと笑いながら「もう、士郎、何を言ってるの」そう言って、俺の頭をその華奢な白魚みたいな手で撫でた。

「士郎は悪くないんだもの、謝らなくてもいーの。悪いのは、後先考えずにこんなこと引き受けた大河のほうなんだから」

 そういって目を細めたイリヤが一瞬凶悪な表情をしていたことは、精神衛生上見なかったことにする。

 そうしていると、イリヤはクルリ、先ほどまでの凶悪な顔はなんだったんだってぐらいいつも通りの表情に戻して、扉の向こうへと声をかけた。

「桜、いつまでも恥ずかしがってないで入ってきなさーい」

 そういっておずおずと入ってきたのは、胸のリボンの色違いでイリヤと同じクラシックなメイド服に身を包んだ後輩の姿だった。

 自信なさ気に俯きがちに恥じらい交じりに入ってくる姿は初々しくて……酷く。

「あの、先輩……? その、わたし似合っていますか?」

 可愛らしかった。

「あ、うん。似合う、似合ってる」

「本当ですかっ」

 そういうと学校ではあまり明るい表情を浮かべることのない、親友の妹は、パァアと控えめながらも嬉しそうに瞳を輝かせながら喜ぶ。

 その可憐さは2年のアイドルであるあのミスパーフェクト、遠坂凛にも勝るとも劣らないと思うんだけど、こうして考えると1年の間で桜のことが騒がれていないのが不思議なくらいだ。

 そんな俺と桜のやりとりを見て、イリヤはハァとため息を1つ吐き出すと、呆れたような声でこう言う。

「桜、使用人服なんかを着て喜ぶもんじゃないわ。そういうのはもっととっておきの服を着たときにおいておきなさい。まったく、貴女も使う側の人間でしょうに」

「でも、わたし嫌じゃありません。このメイド服だって、凄く可愛いです」

 そういって桜は、スカートを抓み、ひらひらとレース部分を揺らして嬉しそうに微笑んだ。

 

「あー、こほん」

 そんなやりとりを繰り広げる俺達を見て、シロねえは咳払いを1つ。

「あと、5分ほどで時間なのだがね、準備はもういいか?」

 そうどことなく気まずげにいうシロねえを見て、ちょっとばつの悪い思いを抱えながら答えた。

「ああ、悪い。もう大丈夫だ。いけるよな、イリヤ、桜」

「ええ、大丈夫です、先輩」

「まあ、一度乗りかかった船だもの、付き合って上げるわ」

 そういって俺達は、客を迎える為、玄関入り口に向かった。

「おかえりなさいませ、お嬢様」

 

「はい、はい、注文は以上でよろしいですか?」

「かしこまりました、お嬢様」

 ……仕事は思った以上にスムーズに運んだ。

 どうやらハロウィン限定でのメイド&執事喫茶の噂は思ったより広がっていたらしく、本職は酒屋であるにもかかわらず客の殆どが商店街の奥様方だったのは意外な誤算だったかもしれない。

 とはいっても、多分本日限定で店頭販売しているシロねえのハロウィン用手作りクッキーと、シロねえの執事服姿目当てで着ている人が多数派っぽいあたり、嗚呼本当にシロねえって噂通り、商店街のアイドルもといカリスマだったんだなあと変なところで実感させられた。

 ……それにしても。

「ねえ、エミヤさん、この後お暇ですか? 良ければ後でうちでお茶しません?」

「生憎、今日は弟妹と一緒ですので」

 シレッと営業用スマイル付きで断っているとはいえ、さっきからシロねえ言い寄られすぎじゃないか?

「……なんでシロねえ、モテモテなんだ」

 それも女の人ばっかりに。

 いや、確かに今日のシロねえはいつもの3割増しぐらいかっこいいけど、なんで女にモテモテなんだよ。なあ、これおかしくない?

 そりゃもう1人の執事域である俺は衣装に着られている始末だけどさ、なんでシロねえあんな女……というかマダム連中? にモテてんだよ。

 いや、おかしくね? これおかしくね? シロねえ女だぜ? まあ、そりゃ下手な男よりはかっこいいけどさ。

 とか思っていると、ゴンと黒い盆で頭を打たれた。

「って!」

「仕事中によそ見をするとは良い度胸だな、士郎。そんな暇があるのなら、さっさと5番テーブルに注文の品を運べ。何度も言うがこれは仕事だ」

 そうシレッとした顔で吐き捨てるシロねえはどこまでも容赦がない。

 だけど、言ってることは正論だ。

「わかっているよ」

 そう答えて踵を返すと、シロねえは少しだけ満足げに口の端だけで笑うと、今度は厨房の奥に向かった。

 因みに、今夜のバイトは4時~8時までの4時間であり、今日のイベントのメイドと執事として雇われたのは、シロねえ、俺、イリヤ、桜の4人だけだけど、シロねえ自体は今日1日の契約らしく、このハロウィン限定メイド&執事喫茶の料理の殆どもシロねえが作って事前に用意したものだ。

 とはいっても、コペンハーゲンは元々酒屋が本職なのもあり、メニューは酒のつまみにも合いそうな軽食ばかりだったりするんだけど、それでも試食に参加したネコさんが感動のあまり美味しい美味しいとおかわりを食べたがったあたり、どんなクオリティのものだったかは想像に難くないと思う。

 俺としては流石シロねえというべきなのか、またかよシロねえというべきなのかはよくわからない。

 それと5時になったら「特別なお客様」が来るとかで、奥様方相手の営業は4時45分ぐらいで1度終了らしい。そのお客様が「誰」なのかはシロねえは知っているらしいけど……切嗣(じいさん)にははぐらかされたんだよなあ。イリヤや桜は知っているんだろうか?

 それにしても、シロねえ、本当に執事服がよく似合うな……。

 そうこう思って働いているうちに、奥様方の数は1人、2人と減っていった。

 そして、5時になり、入ってきたその「お客様」の姿に、あんぐりと口を開けて、つい驚いた。

「「「こんにちはー!」」」

 そうして愛くるしい高い声で舌足らずに重ねられる様々な仮装に身を包んだ子供達。わらわら、わらわらと多分20人はいるんじゃないかっていう彼らは魔女の扮装やら、吸血鬼の扮装やらに身を包んでいて、保母さんらしき女の人に連れられ現れたんだから、吃驚するなってほうが無理だろ。

「エミヤさん、今日はお招きいただきありがとうございます。子供達も先日から楽しみにしていたんですよ」

「いえ、こちらこそ」

 とか頭下げあいしているそこの大人2人! なんだよどういう関係だよ、それ。

 っていうか、シロねえ、どこまで顔が広いんだ!?

「それじゃあ、みんな、せーの」

「「「とりっく・おあ・とりーと! おかしをくれないといたずらしちゃうぞ!」」」

 その言葉を合図に、シロねえは家族でも滅多に見ない綺麗な微笑みを浮かべて、「どうぞ」と店頭販売していたクッキーとは別の、子供好みだろう様々な愛くるしい形をした手作りビスケットを一袋ずつ配っていった。それを手伝うように桜も配っている。って。

「おい、士郎。オマエも手伝わないか」

 全く、気が利かない奴だ。少しは考えろといわんばかりの口調に、少しだけ面白くない気持ちになりながらも「今行く」と告げて、俺も子供達にシロねえが予め用意していたビスケットの袋を配っていく。

「うわあ、すげえ」

「おれ、おれヒコーキのやつがいい!」

「わたしネコちゃん!」

「人数分ありますから、大丈夫ですよ。はい、大切に食べてくださいね」

 そういって微笑む桜の顔も凄く柔らかくて、ひょっとして桜って子供好きだったのかなとそう思った。

 そんな風に配っていると、奥から今夜の雇い主であるネコさんが盆にオレンジジュースを入れたコップを沢山乗せて、いつもの目を細めた笑顔のまま登場した。その後ろには同じくオレンジジュースを入れたコップの盆をもったイリヤが控えていて、どうやらシロねえの手伝いでなく、ネコさんの手伝いをしていた事が伺えた。

「はいはい、チビッコども集合~。サービスのオレンジジュースだよー」

「わぁ、ありがとうおねえちゃん!!」

 そういって嬉しそうに笑う子供達は見ているだけで微笑ましい。だけど、まさか「オーダー以外手伝わないわ」と宣言していたイリヤが手伝っているとは思わなくて、こっそり俺はイリヤに訊ねた。

「いいのか、イリヤ」

「仕方ないでしょう。弟や妹にやらせるだけ、というわけにもいかないもの」

 といいながら、複雑そうな顔で成り行きを見ているイリヤはやっぱり、別に子供が好きってわけではないらしい。それでも、手を差し伸べてくれるあたり……。

「なに?」

「いや、やっぱり俺、イリヤのそういうところ、好きだなあって思って」

「……まったく、褒めたって何もでないわよ? 士郎」

 そういって、笑うイリヤは満更そうでもなかった。

 

 シロねえは相変わらず子供達の相手をしている。桜は女の子達に引っ張りだこだ。にこにこ笑顔で嬉しそうに子供達の相手をしている桜は様になっていて、いつもよりも楽しそうで、将来保母さんにでもなればいいのになって思った。多分凄く似合うし、天職じゃないか。

 そう思っていると、俺の執事服の裾をぐいっと引っ張る気配があって、俺はそちらへと視線を落とした。

 そこにはいかにもやんちゃそうな少年が2人。

「なあ、あの白いかみのにいちゃん? ねえちゃん? 性別どっちなんだ?」

 とか訊ねてきた。

「えっと」

 白いかみのにいちゃん? ねえちゃん? それはひょっとしてシロねえの事なんだろうか?

「なあ、どっちなんだよ、にいちゃん」

「なんであのにいちゃん、胸があるんだよ」

 いや、普通胸があるってことは女だって思わないか? とは思うけど、相手は推定4歳児、そんなこっちの理屈は通じないらしく、俺は頭をポリポリ掻きながら「あー、とだな、シロねえは、あそこのお姉さんはだな、女の人だ。男じゃないぞ」とそう答えた。

 けれど、その俺の答えじゃ納得出来なかったのか子供達は「えー、おんななのにあんな格好してるのかよ、変だよー」とか言ったかと思うと。

「にいちゃんよりもかっこいいのに!」

 とか答えた。

 ……子供は正直ダナー。凹んだのはここだけの話だ。

 

 この後も、一通り唄って、食べて、子供達はシロねえや桜、俺などと遊んだ後、6時前に保母さんに連れられて「お邪魔しましたー」の言葉を合図に帰っていった。

「いやあ、子供たちは元気だねえ、えみやん」

 とかいってにこにこ笑っているネコさん。

 因みにねこさんは俺の事をえみやん、シロねえをしろやん、イリヤをイリヤちゃん、桜を桜ちゃんと呼んでいるわけだが、何故俺がえみやんかっていったら、「だって、そのままじゃしろやんと被っちゃうっしょ?」とのことらしかった。

 けれど、それにしても。

「なんで、酒屋なのに子供達を招いたりしたんです?」

 と覚えた疑問を口にすると、するとネコさんは少しだけ困ったように眉を寄せたかと思うと、「にゃっはっは」と笑って、こう答えた。

「そりゃあこれがえみやんのお姉さんへの謝礼だからさー」

 とのことだった。

 なんでもネコさん曰く、最初今回の件で迷惑かけた謝礼はバイト代込めて金一封で支払うつもりだったらしいけど、それをシロねえは断ったんだそうだ。

 その見返りとして提示したのが、すぐご近所の保育園に通う園児達へのハロウィンパーティーへの場所の提供だったらしい。故に、子供達をここに招いてもてなすこと自体がシロねえへの謝礼だったんだそうで、結局、この件についてシロねえは金を一銭も受け取らないんだそうな。

 ……なんだよ、それ。

 チラリと後片付けをするシロねえの横顔を見る。

 凛とした立ち姿に高い背丈。長い白髪。やや広めの肩幅に、褐色の肌。滅私奉公を体現したような、無骨にして愚直な……生き方。

 ああ、そうとも悔しいぐらいにシロねえはかっこいいさ。やったことだって、良い事をしたんだと思う。だけど、見返りを一切求めないそのやり口は……あまりにも寂しい。

 独りじゃないのに。

 そんな生き方は哀しい。

 でも、同時に凄く自分が情けない。要するに俺は、シロねえにまだ頼られる価値もないってことなんだから。

 嗚呼、もう本当悔しいな。出来ない事だらけだ。

 それでもきっといつか、あの背中に追いつく。追いつけると信じたいから。

「ぼうっとするな、士郎。まだ一般客相手の時間が残っているのだからな」

「わかっているよ」

 だから、今はまだ服に着られているばかりの身だけど、少しでも一歩ずつ前へ進んでいこうと思う。

 いつか胸を張って追いつける日が来るように。

「いらっしゃいませ!」

 

 

 了

 

 

 

 

 

 

 おまけ、「斜め上誤解」

 

 

 

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