新・うっかり女エミヤさんの聖杯戦争(完)   作:EKAWARI

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 ばんははろ、EKAWARIです。
 今回はアニメZEROの5話に当たるだろう話まで話進めました。
 因みに第四次聖杯戦争編は(いくつか前後編に分かれている話もあるので実質16~18話ぐらいありますけど)全部で10話完結スタイルです。



05.うっかりスキル連発 後編

 

 

 side.エミヤ

 

 

 その気配には随分前から気付いていた。

 夕暮れの冬木市で、私はアイリスフィールの願いを叶えるため、霊体化もせず、実体を保ったまま市井を廻っていた。

 聖杯戦争で実体化したまま街をうろつくなど、見つけてくださいと言っているようなものだ。聖杯戦争が既に始まっている以上、昼間だからといって気を抜いていいわけがない。案の定、敵サーヴァントの気配に接触するはめになった。だが、相手は仕掛けてくることもなく、ただ強く気配を発して誘いをかけるばかり。

 私が今切嗣(マスター)に与えられている命はアイリの傍にいて、その身を守るということだけだ。

 だから、敢えて私はその気配を無視して、なんでもないかのように振る舞うことにした。

 大体、聖杯戦争はまだ始まったばかりなのだ。こんな序盤にわざわざ手の内を明かす程私とて馬鹿ではないし、私の売りは戦略の幅の広さと手数の多さだけだ。わざわざ誘いに乗って利点を放棄することもない。

 それに、これほどあからさまな挑発をするサーヴァントだ。他の者にも同じ事を繰り返すことだろう。ここまで正々堂々と気配を晒しているとなると、クラスはセイバーか、ランサーか。どちらにせよ、それも含めて見極めてからでも遅くはない。故に此処は敢えて誘いに乗らず、他のものとの戦いを見聞し、どういう手合いなのか解析したほうがいい。そう判断した。

 そもそも負ける気はないとはいえ、私はあまり接近戦に長けてはいないのだ。勝てないならば、勝てる状況を作ってから戦うべきだろう。

 痺れを切らしたのか、その気配の持ち主はやがて私からは遠ざかった。そして、私の目からは見えるけれど、普通の英霊さえ確認が難しいほどそれが遠ざかった時点で、アイリにはサーヴァントがいたことを告げた。

 ここで、彼女との街の探索は終わりを告げ、私は普通の人間どころか並みの英霊にすら視認の難しいkm範囲で離れた建造物の上で、その件の私を挑発していたサーヴァントの動向を見張った。

 人気の無い倉庫街で、実体化をして誘いをかけるその男。

 あれほどあからさまな挑発をしていた男だ。気付いているのが私だけなはずがなく、他にも見物人がいると推測した。やがて赤いドレスの真っ赤な剣をもった少女がやってきて、戦いをはじめる。

 間違いなく男はランサーで、少女はセイバーだろう。クラスは確認した。決着がつくには時間がかかりそうだ。おそらく他の観客はあの二人の戦いに見入っていることだろう。その隙に、他の集まった同類の確認するために、私だったら潜むだろうポイントを重点的に考え、周囲を探り、そしてその最中に思わぬ人の姿も見つけて、ぎょっとした。

 橋の上には大男の姿をしたサーヴァントと小柄な、おそらくそのマスターであろう魔術師がいたが、それは別に驚くべきところではない。

 驚いたのは別の観客だ。そしてそれは千里眼のスキルを持つ私だからこそ見えたのだろう。

 岩壁間際にあるコンテナの山の隙間から暗視スコープを取り付けた狙撃銃を手に潜んでいる人間、見たのは一瞬だが間違いが無い。あれは衛宮切嗣(マスター)だ。

 やはり、切嗣は自分の手で敵を獲ろうと潜んでいた。それを否定はしない。それに驚きもしない。

 だが、その目と鼻の先……少なくとも自分にとってはそうだ、デリッククレーンの上、そこに漆黒のローブに髑髏の仮面を身につけたサーヴァント……まず、間違いないだろう、アサシンが霊体化もせずに、倉庫街の成り行きを見張っていた。

 アイリごしに聞いた情報によると、アサシンは確かセイバーに倒されていたはずだ。話を聞いて、あまりにあっさりと倒されたので不審には思ってはいたが、もしや今代のアサシンは複数いるということなのか? それとも死を偽装する幻影の類のスキルを持ち合わせているアサシンなのだろうか。どちらかなど現段階では断言しようがないが、今はそこは問題ではないだろう。

 対決しているサーヴァント二騎がデリッククレーンの上から対決を見守っているアサシンに気付いた様子は無い。当たり前だ。アサシンには気配遮断のスキルがある。それを発動しているとなると、戦闘時以外にアサシンの気配を掴むことは同じサーヴァントをしても困難なのだ。

 私がアサシンを見つけることが出来たのは、アサシン自身が実体化していたことと、襲撃ポイントを私が目視で探していたこと、それにプラスして単純に私の目の良さが功を奏した結果に過ぎない。

 ここに集まった人間や英霊で、アサシンの存在に気付いているものなど、私と、アサシンを放ったものと、あとはアサシンのいる位置を見張れる切嗣くらいのものだろう。

 ……これはまずいのではないか?

 切嗣(じいさん)がアサシンに見つかるへまを犯すとは思えない。思えないが、万が一ということもあるし、昔から私は運には恵まれていなかった。最低の顛末を予測してしまうのは当然の習い性ともいえる。

 衛宮切嗣は魔術師殺しの異名で呼ばれる暗殺者ではあるが、あくまでも人間であり、この聖杯戦争に参加するマスターである。

 当然、暗殺者の英霊であるアサシンに敵うとは思えないし、暗殺者としてアサシンのほうが格上でもそれは当然の結末といえる。今は切嗣がアサシンに見つかっている様子はないようだが、それでも見つかったときは……そう思考すると同時にアイリに一言アサシンの存在と、その近くに切嗣がいることを告げ、許可を掠め取るなり行動し始めていた。

 アサシンは、セイバーに倒された。情報上そういうことになっているが、他にもアサシンがいた。それを他のサーヴァント達にもバラす。バラすことによってこの場からアサシンを撤退させ、切嗣から危険を遠ざける。

 綱渡りの作戦だっていうことは自分自身承知している。アイリとて危険に晒すだろう。だが、幸か不幸か、あの二人の対決を邪魔しようとしているのはどうやら、私だけではなかったらしい。橋の上からあの大男のサーヴァントが動き出そうとしている。なら、やるタイミングは今だ。

 黒い洋弓を手に取る。投影した矢は何の神秘も纏っていないただの矢。威嚇射撃ならこれで上々。八連の矢を番え、あとはただ想像(イメージ)通りに放てばいい。

 槍兵と剣使いの気が高まる、その注目がかかるだろう最良のタイミングを狙って私はそれを放った。

「「!?」」

 八連の矢は私の想像通りに二人の足元に突き刺さり、その進軍を止める。

 さて、では行くとしようか。

「アイリ、君はここでまっていたまえ」

 そう言って彼女を置いたまま二人に私の姿が見えるまで近づこうと考えたのだが、その考えは置いていこうとしたその人自身に止められた。

「あら、駄目よ。だってアサシンがいるんでしょ? なら貴女の傍が一番安全だわ」

 そう言われると確かに、危険度としてはここに置いていったところで変わりが無いのか。先ほどの街の件で彼女が私のマスターと誤認されている可能性もあるし、それに彼女の傍にいろというマスターの命令もある。迷っている時間もない。時間を置けば不信を募らせる結果になるだろうことは、想像するまでもない。

 仕方ない。内心葛藤しつつも、私は頷いて彼女を姫抱きに抱え、セイバーやランサーにもなんとか見える距離まで跳躍した。

「そこまでにしたほうがいい。これ以上手の内を明かしたくなければ双方得物をおさめろ」

 そう言いながら、アイリスフィールを地面におろし、そして正面からランサーの姿を真っ直ぐに見た。それがどれくらい私にはまずいことなのか、そのときは勿論知る由もなかった。

 直後に、硬直。

 

(なんだ、これは)

 そこにいたのは、見たこともないような美男子だった。きりっとした中に艶然さが見え隠れするとろけるような美貌の。

(なんだ、これは)

 顔が熱かった。かぁっと、自分の頬が火照るのがわかる。おそらく見るからに今の自分の顔色は真っ赤なのだろう。そんな自身の反応に強く動揺する。一体これはどういうことだ。

(いやいや、なんでさ? 確かに今のこの身は女だし、相手は絶世の美丈夫といって差し支えない人間かもしれないが、心まで女になった覚えは無い! なのに何故先ほどから心臓がバクバク鳴るのだ? ときめいているというのか? 男相手に? このオレが!? いやいやいや、それはおかしいだろう。だから、何故顔が熱くなるのだ! 静まれ、心臓)

「貴様……」

 そんな動揺を抱えているオレを前に、涼しげな目元を引き締めて、男が言葉を発する。その美声にうっとりとしそうになる。まるで甘い魔力を取り込んだかのように、言葉が全身に染み渡る。とろける。ドキドキと心臓が高鳴る。目の前の優男、その一動、一動に目が離せない自分を自覚してしまう。

 既に誰かに対する恋情など抱くにはこの身は磨耗し過ぎていて、乾き消え去ってしまっていた筈だ。それも男を相手にそんなものを覚える筈がなかったというのに、これではまるで、まるでどこかの生娘のようではないか。

 一体これはなんだというのだ。

「アーチャーか。何ゆえ我らの戦いに介入した? ……おい、聞いているのか?」

 男が声を発するたびに、甘い魔力を取り込んだかのような陶酔感は益々酷くなっていく。

 ……あれ? 何故こんなに頭がボォっとするのだろうか? そうなけなしの思考で考えていたそのときだった。

「アーチャー! 落ち着いて、魅了(チャーム)の魔術よ! 気を強くもって」

「……は!? オレは今何を」

 そのアイリスフィールの言葉で正気を取り戻した。

 同時に冷静な思考も戻ってくる。元より魅了(チャーム)は、それほど高位の魔術ではないのだ。術の正体さえわかれば、私でも防ぐのはそれほど難しく無い。

 しかしそうか、魅了の魔術か。考えてみれば、男としてこの世に生を受け、その生涯を終えた私が、男に魅了の魔術をかけられる状況を想定しているはずがなく、見事にかかってしまったらしい。

 急いで武装概念の赤源礼装を身に纏う。これで私の対魔力は大分上がったはずだ。もう先ほどまであったドキドキとときめくような感情はない。

 ついでに、ランサーに見惚れてしまった理由が、女になった体に引きずられて男を好むようになったとかではなかったことに、少しだけ安心する。だが……。

(ク……いくら魅了の魔術にかけられたとはいえ、男にときめくとは!)

 いや、寧ろ不意打ちとはいえ、そんな魔術にかかってしまう自分の対魔力の低さに涙が出そうだ。

 男に魅了されるなど、一生物の不覚だろう。それにしても私だって低めだとはいえ、対魔力は備わっているというのに、なんでここまで見事にかかって……いや、その前に、いくら焦っていたとはいえ、なんで私は武装もせずに敵の前に姿を晒すなんて初歩的なミスを……あれ……? これってもしかして……。

 ふと、嫌な予感がした。この体になってから追加された呪いのスキルが頭をよぎる。

 ランクAだというそれ。これが本当に遠坂の呪いであるならば、肝心な時に発動するのが当然で、それを思えば今のタイミングで発動するのは当たり前とでもいうべきことで……つまり。

(これがうっかりスキルか!?)

 気付くと同時にガクリと肩を落とす。

(……凛、君を恨むぞ)

 思わず元主の少女を相手に内心で愚痴り、自分の傷ついた男心を慰めた。

 

「それで、アーチャー? 先ほどは正気でなかったようだからな。もう一度尋ねよう。何ゆえ、我らの戦いに介入した? 納得のいく説明がないというのなら、貴様から屠らせてもらうことにするが?」

「私としても本当は君たちの戦いに介入する気などなかったのだがね。だが……まあ」

 刹那の早業で私は再び弓を創り出し、まっすぐにアサシンにむけた。仮面越しに視線が交わる。霊体化して逃げられるより早く、我が矢は敵を射抜いていた。

「敗退したはずの亡霊(アサシン)に漁夫の利を与えることは私としても気に食わなかったものでね」

 想像通りアサシンの存在については気付いていなかったらしい。私の矢がアサシンを貫いたことによって、その事実に気付いたようだ。

「アサシン……だと?」

 少々の驚きに軽く目を見開くランサーの相貌に、こくりと頷いて私は返事とかえす。

「あのような亡霊まがいの連中に君たちの貴重な情報を明け渡すこともあるまい?」

 にやりと皮肉気に笑って見せると、この美貌の槍兵も納得がいったらしい、すっと槍を下げ話を聞く姿勢となる。

「その様子では君も知っている情報だろうが、アサシンは先日セイバーによって倒されたはずなのだがな、いまだ現世に未練があったらしい。いや、これはどういうことだと思う? どうやら私たちは揃って誰かの掌の上で踊らされていたらしい。君は何か知っているのではないかね? セイバー………………………………………ん?」

 そこまで言って、初めて面とむかって今回召喚されたセイバーだろう少女を見て、私は思わずびしりと固まった。

「え?」

 顔立ちは、アルトリア(セイバー)によく似ている。その髪型も青いリボンか赤いリボンかの違いだけで同じだが、世の中には同じ顔の人間が三人はいるという話だから、そこはまあ、さしたる問題ではないだろう。

 そもそも髪の色はともかく、目の色は微妙に違うし、この少女が使う赤く禍々しい剣は、アルトリア(セイバー)のもつ聖剣エクスカリバーとは似ても似つかない。その時点で全くの別人だろうと遠目でもわかっていたし、そこはまあいい。だが、なんだ、この格好。

 セイバーは優美でレースがふんだんに使われた、ひらひらとした赤いドレスを纏っている。その前方スカート部分が透けていた。ええと、これはシースルーってやつか? そう、透けている。半透明のスカート。足の形がくっきりと見えて、そして……ごしごしと目を擦る。見間違いではない。あー、なんだ、一言有体にいうなら、その赤いドレスを身に着けた、剣の英霊である彼女は、パンツが丸見えだった。

 え? なんでさ?

「……な、な、な、な、君はなんて格好をしているんだ!?」

「おい、アーチャー?」

「君は自分がどれほどはしたない格好をしているのかわかっているのか!? ドレスで戦うなとは言わんが、パンツくらい隠すべきだろう! いや、それより何故その格好で出歩けるのだね? 君に羞恥心というものはないのか!? 仮にも君は女性だろう、身だしなみをもってだな」

怒濤の言葉を続ける私に向かい、必死の美しい声が私の服の裾を掴むと同時にかけられる。

「アーチャー、落ち着いて! 今はそんなこと言ってるときじゃないから!」

「……は!?」

 またもアイリの言葉で正気に戻る。確かに今はアサシンのことを話にきていたんだ。少なくとも、敵サーヴァントの服装に云々言いにきたわけではない。

 そもそも敵がどんな格好をしていようと私には関係ないはずだ。少なくとも切嗣に召喚される前の私ならばそんなことを戦闘中にわざわざ指摘したりはしなかった。

 またか、またうっかりか!? どれだけ私の邪魔をすれば気が済むんだ、このスキルは!

 見れば、セイバーとして今回の聖杯戦争に呼ばれた少女は肩を震わせ、俯いていた。

「く……くく」

「お……おい、セイバー?」

 セイバーは奥歯で噛み締めるように笑っていた。魅了の魔術なんてふざけたものを私にかけてくれた槍兵は案外真面目な性格をしていたらしい、生真面目な声で動揺したように笑うセイバーに声をかける。

「そ、そなた、そんなイイ体をしておいて……、余にはしたないと申すか。なんともまあ、見た目にそぐわぬ初心さよな。くくっ」

 ……は?

 ……今、この女は何を言った?

「アーチャーであったか? いや、先ほどの槍兵を前にしたそなたの態度、男慣れしておらん様子がまるで生娘のようでなんとも愛らしかったぞ。いや、もしかして本当に処女か? そなたの時代の男共は人を見る目がなかったと見える。これほどの逸材を放っておくとはの」

 いや、まあ女になったのは、こっちに召喚されてからだし、この姿になってから情事とは無縁なのだから、それは処女なんだろうなとは思うが……初心? 生娘? いや、本気で何を言ってる、この女。

「……君は何を言っているのかね? どうにも、私にはよくわからなかったのだが」

 セイバーは、にやりと美しい顔に、かの英雄王がよく浮かべていた傲慢染みた表情を浮かべて、私を見上げた。

「良い。良い。許す。寧ろ余はそなたが気に入った」

 そう告げる緑の瞳には情欲の色が滲んでいて……あれ、もしやこの女……。

 嫌な予感を覚えながら、それでもそろりと私はそれを訊ねた。出来ればあっていませんようにと祈りながら。

「あー……その、なんだ、君は同性愛者ということでいいのか?」

「余は美しいものが好きだ。美少年も美少女もどちらも余の愛でるところよ」

 言い切る姿には事実だけを告げているといわんばかりで、なんの気負いもなかった。……予感は的中したらしい。そんな風に遠い眼になるオレに対して、セイバーは相変わらずの好色そうな色を宿した眼で、にやりと笑いながらそれを言う。

「で、アーチャーよ。余としてはそなたをいずれ手にかけるのは忍びない。故に選択権をやろうぞ。そなた、余のものになれ! そうすれば合い争わずにもすむ。名案であろう?」

 ……名案? どこが? いや、それよりこれはもしかしてとは思うが口説かれていたりするのか? こんな時に、こんな傲慢な言い草で? お前はどこの暴君だ。ああ、もしかしてアルトリア(セイバー)、君があの金ピカ慢心王に言い寄られた時の気持ちとはこんな感じだったんだろうか。

 そんな風に現実逃避しつつも、ちらりと一瞬周囲を見回す。

 ランサーは槍を中途半端に上下させながら、何か言おうとして葛藤しているような顔をしている。先ほどの、私に魅了の魔術をかけたことは水に流しても良いから、この場をなんとかしてくれないだろうか。

 ……いや、無理か。

 アイリスフィールは呆れ、苦みばしった顔で目をぱちくりさせている。うん、その反応は正しいだろうよ。いや、全く。これが他人事だったらいいのに。

 目の前の少女を見る。自信満々に反論を許さぬとばかりに私を見上げている少女。その表情(かお)は、清廉潔白にして、殉教者のようでさえあったかの騎士王とは似ても似つかないだろう。寧ろ真逆といっていい。アルトリア(セイバー)、この少女が君に一瞬でも似ていると思ったオレを許して欲しい。

 さて、現実逃避もここまでにして、わかりきった返事をかえそう。

「断る」

 ガーン、そんな擬音が聞こえてきそうな形相で、セイバーだろう赤の少女は私を見上げた。断られるとは欠片も思っていなかったらしいその顔。それに私こそ吃驚だ。

「何故だ!? 余がたっぷり可愛がってやろうというのに。それともそこなランサーのほうが良いと申すか!? いや、確かにランサーも美しい! しかしそれも戦場の華として愛でるべき美しさでな」

「ええい! 少しは落ち着かんか、たわけ! そもそも私はアサシンの件でここにきたのであってだな」

「ふむ、余は哀しいが仕方が無い。そなたが余のものにならぬというのなら、力づくでいうことを聞かせるまでよ。何、暴れるじゃじゃ馬を飼いならすというのはそれなりに慣れておる」

「話を聞け!」

 あ、ランサーが同情の目で見てる。く、そんな顔で見るな。というか、そんな顔で見るくらいならセイバーを止めてくれ。あと、アイリ、君は危険だから離れていろ。何故私の外套を掴む!?

「ふふ、此度のしおきは少々キツイかもしれぬが、まあ、それもそなたを想うが故よ。あとで存分に労わってやるゆえ、安心するが良い」

 いいながら、セイバーは赤く特徴的な剣を私に向けて構える。

 く、投影開始(トレース・オン)。仕方ない、ここは一戦交えるか。そう覚悟を決めて白と黒の双剣を両手に構えたそのときだった。

 響く轟音、雷鳴の響き。ああ、やっと来たのか、あの時動き出そうとしていた巨漢のサーヴァントが。おそらく、今までタイミングを見計らっていたのだろう。その男は、古風な二頭立ての空飛ぶ戦車に乗ってやってきた。

「……戦車(チャリオット)……?」

 アイリスフィールが唖然とそれを口にする。

「……ッ」

 ランサーは緊迫の面持ちで頭上を見上げ、セイバーはいかにも面白いものを見たという顔をしてそれを見上げている。セイバーの意識が自分から離れた隙に、私はアイリを連れてセイバーから距離を離す。

 それにしても雷鳴を纏った戦車を駆る英霊とは、此度の聖杯戦争も中々一筋縄ではいかん連中が揃っているらしい。これだけのものを使えるということは雷神所縁の英霊か。第五次聖杯戦争でも神性適正をもつものは珍しくなかった。その類といったところか。

 その戦車の主たる巨漢の男は、御者台の上に立ち上がり、赤いマントを靡かせながら威風堂々たる姿を晒した。

「双方、武器を収めよ。王の御前である!」

 それこそ声や姿に負けぬ、その身にふさわしい大音量である。炯々たるその眼光といい気迫といい、並みの人間だったら気圧されんばかりの迫力がある。これは大物そうだ。そう思った次の瞬間には、その男は、聖杯戦争ならば秘めるべき筈の真名を名乗っていた。

「我が名は征服王イスカンダル。此度の聖杯戦争においてはライダーのクラスを得て現界した」

 その男の言葉に呆気にとられる。推測通り相手が大物だったことも理由の1つではあるが……それにしてもイスカンダルだと? つまりはアレクサンドロス大王がその正体というのか。世界史に残る有名人ではないか。

 いや、それよりもこの男、自ら真名をバラすとは、大胆不敵というべきか、自信家というべきか。見れば全員が呆気にとられている現状、ライダーの隣にいた小柄な魔術師が慌てて叫び、自分のサーヴァントのマントに掴みかかって怒鳴りつけている。

「何を……考えてやがりますかこの馬ッ鹿はあああ!?」

 直後、ライダーによってデコピンを食らったそのマスターらしき男は、声にならぬ悲鳴を上げて沈んだ。なんというか、その姿は酷く哀れだ。いや、心底同情する。

 そしてそんな自分のマスターを気にするでもなく、イスカンダルを名乗った男は豪快に笑いながら、王の威厳を纏って言葉を下した。

「セイバー、ランサー、どちらも見事な腕であった。そしてそれを止め、余を含め、誰も気付いておらなんだアサシンの存在に気付き、それを撃ち落したアーチャーの腕も弓の英霊の名に恥じぬ豪傑っぷり。いや、全く、聖杯戦争とは大したものよ!」

「手傷を負わせただけだ」

 苦笑しながらそう洩らすと、耳ざとく聞いていたらしい。ライダーは目を細めながら、軽快に笑いつつ言う。

「そう、謙遜することもあるまい。あれほど正確無比な腕をもっていながら、姿を見せた上でアサシンのことを言及したのは、お主もセイバーとランサーの戦いに感銘を受けていたからであろう?」

 まさか、かの征服王に褒められる日がくるとはな。

 いや、これは本当に賛辞か? 私が姿を見せたのは別に二人の戦いに感動したから、なんて理由ではないのだが、誤解するならしてもらっているほうが都合がいいので黙っておく。

 ライダーは、ごほんと一つ咳払いをすると、声高に本題だろう言葉に入る。

「うぬらとは聖杯を求めて相争う巡りあわせだが……矛を交えるより先に、まずは問うておくことがある。うぬら各々が聖杯に何を期するのかは知らぬ。だが今一度考えてみよ。その願望、天地を食らう大望に比してもなお、まだ重いものであるのかどうか」

「それで、そなたは結局何がいいたいのだ?」

 セイバーがなにやら面白いものを見るような、相手を秤にかけているような顔をしてそう聞くと、それを全く気にしていないのか、この巨漢のサーヴァントは「うむ、噛み砕いて言うとだな、ひとつ我が軍門に降り、聖杯を余に譲る気はないか? さすれば余は貴様らを朋友(とも)として遇し、世界を征する快悦を共に分かち合う所存でおる」なんてとんでもないことを言い出した。

 いやいや、全く。これまで色んな王に会ってはきたが、ここまで自由な王というのは流石に初めてだな。

 その豪快な気性といい、嫌いではない、が、言ってることは言語道断だ。

「先に名乗った心意気には、まぁ感服せんではないが……その提案は承諾しかねる。俺が聖杯を捧げるのは、今生にて誓いを交わした新たなる君主ただ一人だけ。断じて貴様ではないぞ、ライダー」

 苦笑交じりに、瞳だけは鋭くライダーを見据えて、そんな言葉を吐くランサー。感服せんでもない……か。さては、今代のランサーは、真名を名乗ってしまいたいとでも思っているというところか。

 だろうな。このランサーは騎士でありたいという想いが強いタイプだろう。騎士は自分の名をかけての誇りある戦いが好きだからな。

 魅了の魔術なんてふざけたものを使われた立場としてはそういうタイプだと考えもしなかったが、このランサーの槍を解析した結果、槍の正体は「破魔の紅薔薇(ゲイ・ジヤルク)」と「必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)」だとわかった。自然、この男の正体も判明する。

 クー・フーリン(ランサー)と同じくケルト神話に名を連ねる英雄、ディルムッド・オディナだ。悲恋の伝承をもつこの英霊の左目の黒子は、異性を虜にする力をもっていたという。魅了の魔術の正体はそれだろう。

 どうやらこの男自体は真面目なタイプのようだし、魅了の力を使われたのは癪でしょうがないが、本人にどうしようも出来ない力だというのなら仕方ない。馬に噛まれたと思って忘却しようじゃないか。ああ、そうとも、私の名誉のためにも。

「戯れ事が過ぎたな征服王。騎士として許し難い侮辱だ」

 じろりとランサーに睨まれ、小さくうなりながらいかつい拳でごりごりと自分のこめかみをかいているライダー。その姿は威風堂々としているのに愛嬌がある、なんとも形容しがたい存在感を持った男だった。

 人に愛される人間とはこういう男のことを言うのだろう。

「……待遇は応相談だが?」

「くどい!」

 ランサーはどうにもならないと思ったのか、ライダーは私とセイバーに矛先を代えるようにくるりと視線を回し、向き合う。

「先ほどから黙ったままだが、おぬしら二人はどうだ?」

「……かの高名な征服王に私のような人間にまで声をかけられるとは光栄の至りだが……そうだな。君の冗談はあまり面白いとは思えん。気をつけたほうが良い」

「アーチャーの言うとおりよ」

 意外にも赤のドレスの少女が私の言葉にのってきた。

「この余に向かって軍門に降れ……とな? つまらぬ冗談を口にするものよ。呆れて開いた口が塞がらぬわ。そもそも、王、王と汝は図が高い!」

 ぴりぴりと空気が震える。どうやら、ライダーの言葉は彼女の逆鱗に触れていたらしい。

「そなたが王というのなら、余は皇帝よ! 控えおれ、下郎!」

 皇帝……? 今、皇帝と言ったのか、セイバーは。解析開始(トレース・オン)。思わぬところで手に入った敵サーヴァントの情報を参考に、例の赤く禍々しい剣を解析する。見たことの無い剣だ。銘は「原初の火(アエストゥス・エストゥス)」? 名前から判断するならローマ系のような気がするが、皇帝なんて立場にいた人間にそんな剣の伝承がある人物なんていただろうか? そう私が思考する間にも2人の会話は続く。

「こりゃ驚いた。皇帝とな?」

「そう、余こそ王の中の王よ」

 ふんと鼻をならして少女はそう告げる。どうやらイスカンダルの驚いた顔を見て大分気分が晴れたらしい。セイバーはやや満足げな笑みを浮かべて胸を張っていた。

「こりゃー交渉決裂かぁ。勿体ないなぁ。残念だなぁ」

 そんなことをぼやく征服王に、恨みに満ちた視線と声が隣から上がった。

「ら、い、だぁぁぁ……」

 発生源は彼のマスターの少年だ。

「ど~すんだよぉ。征服とか何とか言いながら、けっきょく総スカンじゃないかよぉ……オマエ本気であいつらを手下に出来ると思ってたのか?」

「いや、まぁ、“ものは試し”と言うではないか」

「“ものは試し”で真名をバラしたンかい!?」

 ……ああ、仲睦まじい主従なんだな。こんなことをいうのもなんだが、これが平素なら非常に和んだのだが。しかし、今は聖杯戦争の真っ只中、彼らのやりとりは非常識なまでに、場からは浮いている。

 そのとき、二つの気配に私は目を見開いた。

『そうか、よりによって貴様か』

 憎悪の念をむき出しにしたその声は、魔術で隠蔽されているのかどこから発生しているのかわからない上に、性別すら不明だ。そんな声があたりに響いて、皆の意識がそちらに集中する。そんな中、私は確かにそれとは別の視線を感じ取った。それは、この声の主ではなく……。

 謎の声の主がライダーのマスターを責め、ライダーが反論をする……どうやら、ライダーのマスターである少年が謎の声の持ち主の聖遺物を盗んだ犯人で、謎の声の主の弟子であるらしい。ライダーが謎の声の主に反論などをしていたりする中、私は先ほど感じた視線の主を目視で探して、そして。

「セイバー」

 無意識に彼女を庇うように私が前に出ていた。

 

 

 

 side.間桐雁夜

 

 

 一年間ずっとこの時をまっていた。どんな痛みも苦しみも、己の身を食われる恐怖さえも、遠坂時臣への憎しみ、それだけを糧に耐えてきた。

 たとえ余命1ヶ月を宣告された身であろうと目的さえ果たせるならば構うものか。

 あの、赤いドレスをきたサーヴァント。あれだ。あれが遠坂時臣のサーヴァントだ。時臣より先に八つ裂きにしてしまえばいい。

「はは、はははは」

 笑いがこみ上げる。皮膚が引きつりながらも、あれが引き裂かれる瞬間を想像しただけで開放されたように気持ちがいい。昏い感情が俺に力を与えるかのように沸き上がる。それに身を任せ、この体の代償に手に入れた「力」に命じる。

「殺せ……」

 自分は出遅れた。けれど、あれはまだ残っている。それに心から感謝をする。

 使いこなすには難しくても我がサーヴァントは絶大な力を保持している。あのような幼い少女の英霊などひとたまりもないことだろう。

 サーヴァントもなしではあの遠坂時臣とて、ひとたまりもあるまい。だから、今あのサーヴァントを俺は葬るのだ。そして、いずれは遠坂時臣をもこの手で……。

 桜ちゃんをあんな目に合わせ、凛ちゃんに寂しい思いをさせて、葵さんを悲しませたあの男に今こそ復讐を! この世で一番憎い男をこの手で引き裂いてやるのだ。

「殺すんだバーサーカー! あのセイバーを殺し潰せッ!」

 

 

 

 side.エミヤ

 

 

 吹き荒れた魔力の奔流、それはやがて形を作り、実体と化して我らの前へと現れた。

 それはなんとも形容し難い異形だった。

 長身で、骨格がしっかりしたそれはどうやら男であるらしかったが、余すところなく闇のような黒い靄と鎧に包まれているため、実像がどうにもはっきりしない。その禍々しくもおどろおどろしい幽鬼を思わせるそれは、とてもマトモな英霊とは思えなかった。その有様。まるで英雄と言うより怨霊のようだ。

 それがヘルメットの隙間から覗く爛々と燃える目でセイバーを視ている。

「……なぁ征服王。アイツには誘いをかけんのか?」

 口調だけは軽やかに緑の槍兵が豪胆な古代の大王を揶揄する。その瞳はかけらの油断もない。

「誘おうにもなぁ。ありゃあ、のっけから交渉の余地なさそうだわなぁ」

 黒い騎士から放たれるのは純然たる殺気のみだ。おそらく、あれはバーサーカーなのだろう。解せないのはあれには私の解析の魔術が全く通らないことだが、ライダーのマスターであるウェイバー・ベルベットによると、正規のマスターにもステータスが視えないという話だから、おそらく、私の解析が効かないのも、あのバーサーカーが所持するスキルか宝具がそういう能力なのだろう。

「――、――――!」

 バーサーカーは最初からセイバーしか見ていないかのように、まっすぐ迷うことなく剣の英霊の少女に襲い掛かる。

「ぬぉ」

 少女は冷や汗をかきつつも、手にもった赤い大剣で黒騎士の攻撃を受け止める。

 黒騎士のもつ武器は……黒い鉄パイプ……だと? しかし、驚く暇があるのなら、行動をおこすべきだ。私はすぐさまアイリを抱えて後方に移動する。

 あれはあまりに異常だ。どういう能力をもっているか確認くらいはしておきたい。まあ、目的上セイバーを手助けするような形になるだろうが、この際は仕方ないだろう。あれの能力確認が先だ。

 それにアイリを連れているこの状況で、誰かが聖杯に取り込まれる状況はあまり歓迎できたものではない。なにせ、一人を取り込むことで彼女の人間としての機能がどこまで失われるのか私にはわからないのだから。私にとってこの場での優先事項は、マスターの命でもあるアイリの守護だ。

 思考と並行し矢を五連放つ。バーサーカーは狂化しているとは思えない精練された動きで私の矢を破った。それについても考える。あれはバーサーカーで呼び出されてはいるけれど、相当な使い手なのではないか? それでも現時点では正体が誰なのか候補すら選別出来やしない。

 まだだ。まだ情報は足りない。今度は先ほどのなんの神秘もこめてない矢ではなく、少しは神秘の篭った剣を矢に変えて番え、打ち込む。

「おぬし、中々お人よしじゃの」

 そんなライダーの声が聞こえた気がするが、気のせいということにした。

 バーサーカーは、飛んで来る私が放った矢をその手に掴んだ。見る間に驚きの現象。私の放った矢が、彼が手にもっている鉄パイプのように黒く変色して、それでもってその武装を手にセイバーへと迫っている。

 これはまさか、手にとったものを自分の武器に出来る宝具ということなのか?

 そうなれば中々に厄介だ。神秘を具現化する私の投影魔術も逆効果になりかねない。

 

『アーチャー』

 そんな時に届いた声にはっとした。頭の中で郷愁を感じざるを得ない人の、緊迫した声が響く。今日、こちらから呼びかけても返事もしなかった男の声だ。

『アーチャー、聞こえるか』

『マスター。ああ、聞こえている』

『命令だ。撤退しろ』

 その命を不思議には思わない。確かに今のタイミングは退くには調度いいだろう。

 結局アサシンの件があやふやなのは残念だが、何、この人がその存在を忘れたわけでもあるまい。

『了解した』

 念話を終えると、アイリスフィールを抱えたままセイバーとバーサーカーの戦いの続きも視ずにそのまま立ち去った。

 あとの顛末はしらないが、完全に離れる前に途中でセイバーの気配が不自然に途切れたことを思えば、おそらくは令呪でマスターに引き戻されたのだろう。とはいえ、希望的観測は危険なものなのだが。

 全く、まだ一日目だというのにキャスター以外全て揃うとはな。バトルロイヤル戦が基本となる戦いだろうに、おかしな聖杯戦争もあったものだ。

 思わぬ展開に苦笑がこみ上げる。

 情報は色々と集まった。あとで切嗣(マスター)と今後の対策を話し合わねば。

 私は切嗣が私をどう思って、また、どう対応するのかもしらず、そんなことを考えていた。

 

 

 

 side.キャスター

 

 

 私はうっとり水晶玉を眺める。そこに映るのは一人の少女の姿だ。

「叶った」

 金色の少女。あの日失われ、求め続けていた彼女と、ずっと、ずっと、また会う日を夢見ていた。

「全て、叶った。まさか……或いは、とは思っていたが……聖杯は、まさしく本当に万能であった……」

「叶ったっ……ってぇ? ええと?」

 私のマスターの龍之介には、何に私がそんなに感動しているのかわからないらしい。なんて勿体ないのだろうと思った。だから、私は喜びもそのままにこの興奮を伝える。

「聖杯は私を選んだのですよ!」

 私が彼女のことを説明すると、龍之介も我がことの様に喜び賛同してくれる。それが私にはとても嬉しい。

 ああ、私は本当に良いマスターを引き当てた。

 あとは、彼女がここにいればいい。それだけで全ては満ちるのだから。

「嗚呼、“乙女”よ、我が聖処女よ……すぐにもお迎えに馳参じまするぞ。どうか、しばらくお待ちを……」

 金の髪の気高き乙女。ああ、ジャンヌ。私の聖処女よ。今、貴女のジル・ド・レェが迎えに行きます。

 

 贄を。もっと贄を。

 宴はまだ始まったばかり。

 

 

 

 NEXT?

 

 

 

 




 当作をご覧頂き有難う御座います。
 感想のほうで「赤セイバーを見てもジルはジャンヌと間違えない事は公式で明言されてます」との指摘を受けていますが、この話を書いていた2011年6月頃にはまだその設定はこの世に存在していませんでしたので、本作ではこのような展開になっておりますが、都合の良いことに(?)型月世界には平行世界という概念が存在しておりますので、何故ジルが赤セイバーをジャンヌと間違えたかにつきましては、「原作のジルよりもこの世界で召喚されたジルの精神錯乱スキルのほうがレベルが上だった」という方向で宜しくお願いします。

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