暫くして、櫂トシキは目を覚ました。
「ここは、一体…」
様々な薬品が置かれている所を見ると、何処かの保健室の様に見えた。
「っ!アイチ!!」
自分の隣にあったもう一つのベッドに眠っていたのは、自身を救ってくれた先導アイチだ。
「ん…櫂君!?ここは…?」
「分からん。カード輝いたと思ったら、こんなところに…」
「櫂君も!?」
「お前も同じか」
曰く、カードキャピタルから帰る途中にカードが輝きだし、気づけばここにいた、とのこと。
「目が覚めた様だな」
突然スーツを着こなした女性が入ってきた。つり上がった目付きに日本刀を思わせる印象だ。
「私は織斑千冬。お前達は?」
「櫂トシキだ」
「先導アイチです」
取り敢えず自己紹介をする。
「では櫂、それに先導。なぜお前達はIS学園のアリーナに倒れていた?」
「IS…」
「…学園?」
聞き慣れない言葉に首をかしげる。
まさかと思い、千冬は尋ねる。
「お前達、ISを知らないのか?」
「知らないです」
「全く聞いたことがないな」
「そのISって何なんですか?」
気になる単語が聞こえた為、アイチは尋ねる。
「IS…正式名称 インフィニット・ストラトス 既存のあらゆる兵器を上回る力を持ったパワードスーツだ」
「凄いですね…」
「だが一つ欠点が存在する」
「欠点?」
「女性にしか動かせない」
「ええっ!?」
「理由はあるのか?」
女性しか動かせない理由を櫂が聞くと、
「分からん。こればかりは開発者もわかっていない…」
「へぇ~…」
「だが何故ISを知らないんだ?」
「それは…」
アイチが答えるのに戸惑っていると櫂が、
「俺たちは異世界から来たんだ」
事も無げにいい放った。
「何を馬鹿な事を」
「ならば聞くが後江町という町は知っているか?」
「いや、知らないな」
「アンタは後江町の事を知らない、そして俺たちは知っている。俺たちはISを知らない、だがアンタは知っている。つまりはそう言う事だ」
「…確かにそうかもな」
このIS学園は海に囲まれた孤島に立っている。セキュリティも万全であるため、何も持っていないこの二人に侵入することが出来るわけがない。何よりこの二人はISを知らない。
「ん?」
ここで千冬が有ることに気づく。
「櫂、先導。お前達が手につけているそれは…」
「これは、ファイトグローブ?」
「だが着けていた覚えはないぞ…」
櫂は赤い、アイチは青いグローブを着けていた。
「いや、それは…ISだ」
千冬が言ったその言葉に、二人は驚く。
「ええっ、でもISって女性しか使えないんじゃ…」
「所がそうではないんだ」
「「?」」
「つい最近なんだが、私の弟がISを動かしたんだ」
「そうなんですか!?」
「ならこれがISであるなら…」
櫂の言葉を受け継ぐ様に、
「お前達はISを動かせる、という訳だ」
千冬がそう告げる。
「櫂、先導」
「何だ?」
「はい?」
「異世界から来たのなら、お前達はこの世界に後ろ楯がない状態だ。そこでお前達の身を守るために」
「IS学園に入れ…」
「という事ですよね」
「察しが良いな」
フン、と鼻を鳴らす。
「確かに後ろ楯がない状態で動くのは危険だ」
「このIS学園に居れば、あらゆる国家はこの学園に干渉することは出来ない。外を出歩くよりは安全だ」
その千冬の提案に二人は、
「ならしばらく世話になる」
「宜しくお願いします」
乗ることにした。
「あぁ。同じ男が増えれば一夏も喜ぶだろうしな」
そう笑いながら、千冬は言った。
あれから二日後。
千冬の進言によって、二人はIS学園の保護下に置かれ、帰れる時までは生徒として迎えることを約束した。
今二人は、IS学園の制服を着て教室の前で待機している。
「では先導、櫂。我々が入れと言うまではそこで待機だ。それと此方は副担任の山田先生だ」
「山田真耶です。宜しくお願いしますね~」
おっとりした先生だなぁ、とアイチ。
この人本当に教師か?、と櫂。
そう別々の事を考える二人を後にして教室に入っていく。
「諸君、おはよう」
「今日は転入生を紹介します!なんと二人です!」
途端に教室がざわつく。
「静かに!では入ってこい」
そして二人は教室に入る。
「では自己紹介をしろ」
「櫂トシキだ。暫くの間だが宜しく」
「先導アイチです。こんな顔ですけど男です。えっと、宜しくお願いします!」
沈黙。そして、
「「「「「キャアァァァ!!」」」」」
大音量の歓声が鳴り響く。
予期せぬ歓声に二人は耳を慌てて押さえる。
「男子!それも二人よ!!」
「あの男の子可愛いーー!」
「もう一人の方は凄くクール!!」
「我が生涯に一片の悔い無し!!」
留まる事を知らない歓声は、
「静かにしろ!!」
千冬の一括で取り敢えずは静まった。
「櫂、先導。お前達の席は空いている場所だ。それと次の授業の準備をしておくように」
「凄いね櫂君。ホントに女の子しかいないんだね」
「俺達と織斑一夏がいないまでは実質女子高だからな」
櫂はカードを見ながらそう答える。
「ちょっといいか?」
とそんな二人に声を掛ける人物が。
「それってヴァンガードだよな?」
「織斑君」
「別に一夏で良いぜ。ひょっとしてアイチもやってるのか?」
「うん!」
「実は俺もヴァンガードやっててさ!良かったー」
「そうなんだ!」
同じカードファイター同士、話が盛り上がって行く。
「よかったら放課後、ファイトしようぜ?な?」
「うん、良いよ!」
「手加減はしないからな」
「当然だって!男の真剣ファイトに手加減なんて言語道断だぜ!」
「アハハ…(ナオキ君に似てるなぁ)」
「石田にそっくりだな…」
など話し合っていると、
「ちょっと宜しくて?」
「ん?」
「え?」
「…」
突然声を掛けられて反応する。(櫂は無視)
「まぁ、なんですのその返事は!?この私に話し掛けられたのですからそれ相応の態度があるのではなくて?」
そうわざとらしく、答える女子生徒は綺麗に手入れされた金髪に二つのドリルがついていた。
「えっと、君は一体?」
「おめぇ誰だ?」
「知らない!?イギリスの代表候補生にして試験官を唯一倒したこのセシリア・オルコットをしらないのですか!?」
そう言ってセシリアは一夏の机をバン、と叩く。
だが一夏は、
「たかだか代表なのに何で威張り散らしてんだよ?」
そうあっけらかんといい放った。
「なっ」
「それにこのクラスの担任は元国家代表だぞ」
そして櫂からの追撃をくらいセシリアの顔は赤くなっていく。
そして何か言おうとしたところで、チャイムがなった。
「くっ、また来ますわ!逃げない事ね!!」
「いや逃げるって何処にさ」
「この時間はクラス代表を決めたいと思う。クラス代表とは言葉の通りクラスの代表だ。決まったら一年間変えるつもりは無いのでそのつもりで。」
「織斑先生、クラス代表とは何をするのですか?」
女子生徒の一人が手を挙げて質問する。
「そうだな・・・まずは来月にあるクラス対抗戦に出てもらう。後は、集会などに参加してもらったり、教師の手伝いをしてもらったりする。要するに普段は雑用を優先的にやってもらうことになる。」
「要は学級委員みたいな感じですか?」
今度はアイチが手を挙げて質問する。
「うむ。先導の言う通り、中学などでもあった学級委員とだいたいは同じだ」
アイチの質問に千冬は肯定する。
「自薦や他薦は問わない。誰かいないか?」
そう言うと、
「はいっ!織斑君が良いと思います!」
「なら私は先導君に一票!」
「いいえ!ここは櫂君よ!」
一気に一夏、アイチ、櫂に票が入る。
「俺、そういうの苦手なんだけど…」
「推薦された者に拒否権はない。選ばれた以上は腹を括れ」
「うへぇ」
一夏は辞退しようとするが、千冬にバッサリ切り捨てられる。
「他にいないか?いなければ投票に」
「まってください!そのような選出は納得できませんわ!」
するとこの選出に異を唱える者がいた。
セシリアだ。
「実力からすればこのわたくしがなるのが必然。それを物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります! わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!大体! 文化として後進的な国で暮らさなければ行けないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で―――」
「それ以上はちょっと不味いぜ」
ヒートアップし更には一夏たちでけでなく日本そのもののし始めたセシリアを一夏が止める。
「どういう意味ですかっ!」
「え~、わかんねーのかよ。それでよく代表候補生務まるな」
「何ですって!?」
「代表候補生であるお前のその発言はイギリスから発せられてると取られるんだぞ。」
「それに文化として後進的って言ってたけど今貴女が学んでいるISを作った人は日本出身なんですよ、オルコットさん」
一夏、アイチ、櫂の三人に次々に正論を叩き付けられ、セシリアの顔は青くなっていく。
「お前の発言一つで日本とイギリスの戦争にも発展するんだぞ。もうちょっとその辺自覚しろよ、代表候補生さん」
仕舞いには一夏からの発言が彼女のプライドに火を付けたのか、
「よくもこの私をコケにしてくれましたね……決闘ですわ!」
ビシっ、と一夏達三人を指差して叫ぶ。
「何故やらなければならない」
「そんな身勝手な理由で闘いたくはないよ」
「ていうかそこまで言うなら何で自薦しなかったんだよ」
三人共、言外に闘いたくないと言うと、
「怖いんですの?あれだけ言っておきながら、やはり所詮男は男ですわね。下らない紙切れごときに現を抜かしているのですから…」
この時、セシリアは言ってはいけない事を言ってしまった。
ここにいる三人、いや全てのヴァンガードファイターを怒らせる発言をしてしまった。
「オイ、テメェ…」
「今なんて言った…?」
「今の発言はどういうことかな?」
急に声が低くなった三人にセシリアは少し驚く。
「何なんですの?たかだかカードゲームを馬鹿にされたごときで…「これは只の紙切れなんかじゃない!!」っ!?」
そう激昂するアイチ。櫂達も同じだった。
「良いぜ、オルコット。そんなに決闘してぇなら受けてたつ!」
「俺達が勝てば、さっきの発言は撤回してもらう。それで良いだろ?アイチ」
「櫂君、一夏君…。そうだね」
「ふん。ならば貴方達が負けたらあなたを私の小間使い…いえ、奴隷にしますわっ!!」
最早売り言葉に買い言葉である。
ヒートアップした場を静めるべく、千冬が提案を出す。
「お前たちで勝手に決めるな。しかし、自薦も推薦ももうないようだしな。よし、では来週の月曜日に第三アリーナで決闘を行う。構わないか」
「あぁ」
「一週間有れば充分だぜ」
「はい」
「宜しいですわ」
というわけで、クラス代表を決める決闘は来週の月曜日と言うことでこの会話はお開きになった。
To Be continued…
櫂「次回!IS×ヴァンガード!」
篠ノ之箒「一夏、剣道はどうした!?」
一夏「そんなもん辞めたよ!おめぇにポカスカ叩かれたのがトラウマになっちまったんだよ!」
アイチ「立ち上がれ、僕の分身!」
櫂「アイチは強いぜ」
一夏「勝てよ、アイチ!」
???「共に行こう、マイヴァンガード!」
IS×ヴァンガード 第三話「出陣!白き聖騎士!」