ポケットモンスター・THE LEGEND 作:疾風のメガピジョット
本当は2クール分にしたかったんですけどね(笑)
俺が控室に戻って来ると、リーフが待ち構えていた。
リーフ「グリーン君凄いよ!最年長の四天王倒すなんて!」
グリーン「四天王を倒したのはあのバカップルだって同じだけどな」
リーフ「そんなこと言ったら私だけ四天王倒してないじゃん……」
リーフの表情が暗くなる。
グリーン「……悪かったよ。でも俺が言いたいのは四天王1人倒したからって安心出来ないってことだ。俺の次の相手はほぼ間違いなくあの人だろうしな。」
俺はモニターを鋭く指差す。そこにはドラゴンタイプのポケモン・カイリューが一方的にジムリーダー・キョウのクロバットに攻撃を仕掛けている映像が映っていた。
リーフ「ワタル……?」
グリーン「ああ、四天王最強の男だとよ。同時にカントー最強とも言えるけどな。」
リーフ「カントー最強!?」
リーフはなんだよそれと言わんばかりの驚き用だったが、すぐに切り替わった。
リーフ「グリーン君なら、絶対勝てるよっ!」
正直、あいつより先にカントー最強のトレーナーと闘わなきゃならないと思うと不安で仕方なかった。でも、そんな不安さえも、目の前にいる純粋な瞳を持つ少女には敵わない。
グリーン「分かってるさ。……ここを通り抜けねぇと、あいつと決着がつけらんねぇしよ。」
リーフ「……カスミが勝つかも知れないよ?」
グリーン「……」
俺は急にカスミに対して謝りたくなった。
実況『さあ、いよいよ準決勝!第1試合は圧倒的なパワーと熱気、そして根性でここまで上り詰めてきた最年少出場者の1人、レッド選手!そしてなんと十数年ぶりのジムリーダーの準決勝進出を決めたハナダのお転婆人魚、カスミ選手!』
会場は今まで以上の熱気で溢れていた。フィールドがまたしても砂の上だからなのか、自分まで暑くなってくる。
レッド「俺はあの時みたいな挑戦者じゃない、1人のトレーナーとしてバトルするからな!」
カスミ「はいはい、じゃああたしもジムリーダーなんて肩書きはアンタには必要無いかしらね。」
審判「それでは、試合開始!」
レッド「最初はこいつだ!行くぜ、カビゴン!」
カスミ「お願い、ヤドラン!」
レッド「カビゴン、腹太鼓!」
カビゴンは腹太鼓をした直後、持っていたオボンの実を食べる。
カスミ「いきなり腹太鼓?随分思いきったことするのね!ヤドラン、熱湯!」
ヤドランの熱湯が直撃するが、厚い脂肪で熱に耐性があるおかげか、火傷を負うことは無かった。
レッド「いいぞ、そのまま本体に雷パンチ!」
ヤドランは慌てて殻で防御しようとしたが、カビゴンはそれを見越して回り込み本体を殴った。
審判「ヤドラン戦闘不能、カビゴンの勝ち!」
カスミ「ヤドランお疲れ様。カビゴン対策にこの子を連れてきて正解ね。お願い、ニョロボン!」
レッド「まあ、カビゴン対策はしてるよな……でも関係ねぇ、カビゴン、雷パンチ!」
カスミ「ニョロボン、身代わり!続けて気合いパンチ!」
ニョロボンの行動は素早かった。
身代わりを作った直後から気合いパンチの溜めを始めていた。カビゴンの雷パンチを凌いだ直後、近づいていたカビゴンに向かって一気に飛び出した。
レッド「カビゴンを誘き寄せたり、気合いパンチの溜めが短くなってるのはすげぇよ。」
俺はカスミの戦術に感心する。
レッド「でも、そういうコンビネーションを教えたのは俺だってこと、忘れてねぇか?」
ニョロボンは確かに気合いパンチをカビゴンにヒットさせた。だがニョロボンはカビゴンと共に地面に突っ伏した。お腹にある模様には力強く殴られた痕があり、痺れていた。
レッド「カビゴンだって学んでるってことだよ。」
カスミ「なによそれ……強すぎるじゃない……」
レッド「何言ってんだ、まだまだこっからだぜカスミ!行くぜ、ストライク!」
カスミ「分かってるわよ……あたしだって学んでるんだからね!お願い、マリルリ!」
さて、マリルリか……ストライクで攻めるのは厳しいな。
レッド「ストライク、とんぼ返り!」
ストライクは凄まじい速さで攻撃し、ボールに引っ込んだ。
実況『おっと!?ストライク、自らボールに戻ったぁ!?』
どうやらとんぼ返りのこともあまり知られていないらしい。
それで結局代わりに出したのは、
レッド「出番だ、ピカチュウ!」
ピカチュウ「ピッカァ!」
こいつの相変わらずの張り切り具合に俺は安心した。隠し持っている電気玉も一段と輝きを増している。
カスミ「来たわねピカチュウ!……マリルリ、アクアジェット!」
レッド「10万ボルト!」
マリルリはアクアジェットでピカチュウに突っ込んだが、同時に10万ボルトを食らったせいで充分なダメージを与えられずに、その場に倒れ込んだ。
審判「マリルリ戦闘不能、ピカチュウの勝ち!」
カスミ「やっぱピカチュウは飛び抜けて強いわね。ならこれでどう?お願い、ヌオー!」
レッド「ここで地面タイプを連れてきたか……」
カスミ「とーぜんピカチュウ対策はしてるもんねっ!」
カスミは勝ち誇ったように言う。
カスミ「ヌオー、地震よ!」
レッド「不味い、思いっきり跳べピカチュウ!」
ピカチュウは咄嗟に助走を付けてすぐに跳んだ。
レッド「素早くイメージしろ、悪巧み!」
ここでピカチュウが何をイメージするかはこのバトルの展開に殆ど影響を及ぼさない。寧ろ悪巧みをするのは俺の方だ。
カスミ「バカね、ピカチュウは丸裸よ!ヌオー、滝登り!」
ピカチュウが落下し始めたところでヌオーが動き出す。それと同時にピカチュウが次の指示を寄越せと言わんばかりにこちらを睨む。
レッド「よし!ピカチュウ、地面に向かって電磁波!」
カスミ「今更抵抗出来ないでしょ?ヌオー、突っ込んで!」
カスミもヌオーもデカイ獲物を捕らえたような目付きで、ピカチュウに攻撃を当てることに夢中だ。
ズシャッ!
その音はヌオーがピカチュウに攻撃した音ではなかった。
ヌオー「ッ!?」
カスミ「え!?……嘘……!?」
逆にヌオーの身体がひっくり返って下に落ちてくる。
よく見るとヌオーの首筋と腹に浅く斬られたような傷痕が付いていた。
レッド「電気タイプのポケモンは素早い奴が多く、硬い奴が少ない。だから回りにあるものを自在に使わないと自分を守れねぇんだ。こういった砂鉄みたいにな。」
実況『なんとレッド選手のピカチュウ、フィールドの砂鉄を巻き上げて先を尖らせ、ヌオーを斬っていた!土壇場でピカチュウの武器を自力で作り上げたァ!』
カスミ「そんな……」
レッド「攻撃は最大の防御っつーよな?俺にピッタリだ。」
カスミ「なら、あたしだってまだまだ攻めて……」
レッド「ピカチュウ対策の対策としてはさっきのは本命じゃねぇ。ピカチュウ、草結び!」
カスミ「なっ!」
起き上がろうとするヌオーに蔓を引っかけ、ヌオーを転倒させた。
審判「ぬ、ヌオー戦闘不能、ピカチュウの勝ち!」
レッド「上出来だなピカチュウ!」
ピカチュウ「チャァー♪」
カスミ「でももうピカチュウは大分疲れてるはず……お願い、キングドラ!」
レッド「意外とヌオーよりきついかも知れねぇな……」
カスミ「キングドラ、雨乞い!」
レッド「やべぇ……ピカチュウ、電磁波だ!」
特性すいすいを持つキングドラは雨状態だと素早さが大きく上がる(ちょうど2倍という概念は無いので)ため、その素早さを封じなくてはならない。
カスミ「遅い!キングドラ避けて!」
流石は水タイプのエキスパートといったところか、雨を降らせるまでの時間が異様に短い。なので素早さに自信を持つピカチュウにさえ、キングドラを目で追うのは難しくなってしまった。
カスミ「今よ、ハイドロポンプ!」
レッド「ピカチュウ、ハイドロポンプが来た方に10万ボルト!」
しかしピカチュウは咄嗟には対応出来ず、ハイドロポンプの水圧でフェンスまで吹っ飛ばされた。
審判「ピカチュウ戦闘不能、キングドラの勝ち!」
実況『カスミ選手とキングドラが一気に流れを変えたァ!』
レッド「ピカチュウすまん、戻れ。」
カスミ「さあ、まだまだこっからだからね!」
レッド「あいつを止められんのはお前だけだ。頼む、フリーザー!」
実況『出ました、レッド選手が誇る伝説のポケモン、フリーザーです!』
雨のせいで、今はいつもより輝いてはいなかったけど。
カスミ「伝説のポケモンと言えど、キングドラのこのスピードについて来れる?キングドラ、ハイドロポンプ!」
キングドラはさっきと同様、スピードでこちらを惑わしつつ雨で強化されたハイドロポンプを容赦なくぶっ放してきている。
レッド「確かにキングドラの攻撃は見切れねぇな。」
直後、俺は鋭くカスミの方を見ながら言った。
レッド「でもスピードを見切る必要はねぇ。フリーザー、フィールド全体に暴風を起こせ!」
一応、カスミが雨乞いを使った直後から観客席は安全策として強化ガラスで覆われていたことを確認してから指示した。一方でカスミは選手入場口まで避難するつもりは無いらしく、その場で踏ん張っているので、少し申し訳なくなってくる。
そして当のキングドラはスピードを出し過ぎていた最中に暴風に襲われ、コントロールを失って空中を漂っていた。
カスミ「うっ……暴風で無理矢理キングドラの動きを封じるなんて……もう何でもありじゃない……!いくらアンタが前世の知識と記憶を持ってるからってっ!ってか、攻められてたのって、本当はあたしの方なんじゃ……?」
レッド「さっきも言ったろ、俺にとっちゃ、攻撃は最大の防御なんだ。攻められる前に攻めるか、攻められたら倍で攻め返す!フリーザー、フリーズドライ!」
フリーザーはキングドラを一瞬で氷付けにした。キングドラが地面に落ちる頃には風が止んでいた。
実況『なんとフリーザー、キングドラを根こそぎ吹き飛ばしコントロールを失わせた上で確実な対処をとりました!』
カスミ「……キングドラごめん、戻って。」
レッド「悪ィなカスミ、少し手荒くなっちまったよ。」
しかしカスミは特に落ち込んだ様子は無く、
カスミ「アンタは寧ろこういう戦い方がお似合いよ、謝るなんてレッドらしくない。ほら、あたしにはまだ1匹残ってるんだからさっさと準備しなさい!お願い、マイステディ!」
スターミー「ヘアッ!」
レッド「へっ、そうだよな。だったら遠慮なく行かせてもらうぜ!フリーザー、もう一度暴風!」
カスミ「スターミー、サイコキネシス!」
フリーザーは再び暴風を作り出したが、サイコキネシスによって阻害され中途半端なダメージを与えるのに留まった。
レッド「ならこいつでどうだ?フリーズドライ!」
スターミーはフリーザーの放った氷に捕らわれ、もがき苦しむ。
レッド「これで決めろフリーザー、絶対零度!」
自分に付いた氷を破壊している最中であったスターミーは本来命中不安定であるはずの絶対零度が当たってしまい、再び氷付けとなった。
審判「スターミー戦闘不能、フリーザーの勝ち!よって勝者、マサラタウンのレッド選手!」
実況『四天王を撃破したカスミ選手もフリーザーの圧倒的な力には及ばず!しかしそれでも健闘したカスミ選手にどうか拍手を!』
カスミ「……完敗よレッド。」
レッド「そりゃどーも。漸く念願が叶ってスゲー嬉しいわ!」
俺は喜びに満ちた目でカスミを見た。
カスミ「なら、あたしの分まで頑張りなさいよね!次の決勝で負けたら絶対に許さないからっ!」
レッド「任しとけ!相手がグリーンだろうがワタルさんだろうが、俺は絶対に勝って来る!」
アナウンス『只今よりフィールドの整備時間になります。整備が終わり次第、準決勝第2試合・グリーン選手対ワタル選手の試合を開始致しますので暫くお待ちください。』
グリーン「レッドの奴ちゃんと勝ってくれたか。まあ、そうでもないと張り合いが無いもんな!」
カスミが勝ってたらどうしようかと思った、とは言わなかった。
グリーン「さて、次は俺の番か。準決勝で4匹残して調子に乗ってんのを見るとイラつくけどよ、まずはテメェを潰すのはこの俺だってことを存分に見せてやんねぇとなぁ!」
ツンツン頭の少年はフィールドに向かって静かに歩き出した。
ストライクが空気みたいになってるのはスルーしてくださると幸いです(この世界ではとんぼ返りがマイナー技だということを描写する必要があったので)。
それにしてもレッドさん強すぎて中々ピンチの状態に追い込めないなと書いてて思いました(笑)