白いカラスの最強日記   作:棚上げ侍

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ようやくこっちを投稿出来ました!
文字数は以前と比べ半分以下ですが(本当に若干)内容が濃くなっているので、御諒承。
ではどうぞ。



はじめの出会い

 

 

何もすることがないということは、退屈に直結するもので、大体の人は床か布団かベッドかでごろごろしているものである。

あるいはゲーム、あるいはマンガ、あるいはテレビ、あるいは勉学、あるいは軽運動。その退屈しのぎの方法は、時と場所や個人個人で異なるだろう。

さて、今自室に居るこの白神鳥という男の場合、いつもの習慣で朝の五時に起きてしまい、暇を持て余していた。普通ならば二度寝するものがほとんどであろうが、この男は目がなぜかぱっちりと覚めてしまい、寝付ける気が全くしなかった。

 

「………しゃーねーか」

 

なので、周辺の地理の勉強のためにも、早朝ランニングをすることにした。といっても、みなが想像するランニングというランニングではなかった。

簡潔に言ってしまうと、とてつもないほど速いのだ。

屈伸などの軽い準備運動をした後、家の前から急発進するように走り出した。本人にとっては軽いランニング感覚なのだが、速さはなんと時速20キロ以上出ている。朝のジョギングをしている成人男性や、ウォーキングをしている老夫婦をあっという間に追い抜き(ちなみに追い抜かれた人達は、茫然とした顔になっていた)汗もかかずに平然とした顔をして、走っていくカラス。

どんどん家周辺の地理を学習していき、その範囲を広げていった。そして六時半を過ぎるころには、川神周辺の地理はほぼ覚えてしまった。

 

「(返ったらノートに地図でも書いて、復習でもすっかな)」

 

と、普通の人なら考え付かないようなことを思いながら、大きな橋の近くに来たカラスは、一人の少女を見かけた。赤めの髪に体操服(よく見るとブルマ)、そして最も大きな特徴は、手にしている少女には似合わない薙刀を持ち、一所懸命に薙刀の素振りをしているところだった。

 

「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」

 

どうやら、いわゆる鍛錬をしているようだ。その姿に若干の興味がわいたカラスは、

 

「おーい、何やってんだ?」

 

初対面にもかかわらず、思い切りため口でその少女に話しかけた。

 

「え? 薙刀の鍛錬をしてるのよ!」

 

初対面にもかかわらず、タメ口に動揺もせず、その少女は返事を返した。

 

「ふーん。なあ、ちょっとだけその薙刀貸してくんね?俺も昔やってた時期があってな、少し振りたくなった」

「へ~そう。いいわよ、ちょっとだけなら」

 

そう言うと少女は、持っていた薙刀をカラスに手渡した。受け取ったカラスは、まるでなんで〇鑑定団のように薙刀を見定めした。当然刃は潰されていたが、模造刀にしてはなかなかのできだなと、一人で感心した。

それが終わると、片手で持って重さを確認した。ちょうどいい重さで、初めて持ってハズなのによく手に馴染んだ。

これは本当にいい薙刀だな。とまた一人で感心した。薙刀というものは長くて大きい分重いため、例えば刀剣や杖などと比べると比較的に扱いにくい。そのはずだが、使いやすいと触れてすぐにわかるほどの完成度。自然と心が躍る。

 

「ヒュッ!」

 

さっそく薙刀を振り回す。

振り回すと言っても、素人が振り回すようなやみくもにブンブンとやっているわけではない。

振りは出来るだけコンパクトに。

遠心力を飼いならす様に滑らかに。

攻撃動作は、もし相手が居たのならば、斬るのではなく切り裂くように。

攻撃のアクションの後は、すぐに薙刀を死角や隙に移動させて防御。

そして何より、見た者のその目が一瞬にして奪われるように美しく。

自分が出来る範囲で全力のことをしたカラスは、汗ひとつかいていないもののその顔には、やり切った感がきっちりと浮かんでいた。腕は落ちていない、ということを確認できたカラスはハッと我に返り、自分は何をしたのかと少しだけ悔やみの表情を顔に出した。武術はとっくにやめたはずなのに、鍛錬道具も一式すべて捨ててしまったのに、自分の意志で武を志すのを放棄したのに、まだ自分の体には武のなごりが残っているのか。そう思えた。

と、軽くカラスが物思いにふけっていると、自分の横から自分に向けられた声が聞こえた。

 

「あなたすごい! どうしてそんなに素早く薙刀を振れるの?! ね、ねえちょっとだけ教えて?」

「あ? あ、お、おお………」

 

こんな反応されたのは本当に久しぶりだった。

前の学校では、こんなのを披露するものなら嫉妬の視線の雨あられだったのに、こっちではこうも違うのか、流石一応武の総本山と名乗っているだけある。と笑いたくなる。しかし。最初だけいい目で見られる、というパターンも無かったわけではなく、カラス自身驚きはしたもののまったく心は開かなかった。

カラスはまず薙刀を少女に返した。

 

「まず握り方だ」

「握り方? こうじゃなくて?」

 

少女が薙刀を握って構える。基本的な中段(バランスの取れた構え。初心者はまずこの構えを最初に倣う)だ。が、カラスに言わせてみればまだまだと言えてしまう。

 

「構え方じゃなくて握り方だ。構えは十分合格点を出せるけど、握り方がまだだな。ちょっと俺と向かい合ってみろ」

「?、わかったわ」

 

そう言われて少女は、カラスに相対するように構えた。なぜ急にこんなことをしたのかはわからなかったが、油断せずにきちんとした構えをとった。少なくとも少女自身はそのつもりだった。

少女が構えてから1秒後。

 

少女は素手で構えており、カラスは薙刀を構えていた。

 

「…………あ……………れえっと……………っっっっっっっっ!?」

 

少女は驚きのあまり何が起こったかわからなかったどころか、自分が今何をしているのかさえも一瞬わからなくなってしまった。その後今の現状を認識した瞬間も、驚きの顔を隠す事すら忘れた。それほど驚愕したのだ。

 

「現代実戦武術式、対武器及び凶器用奥義技『無刀取り』。の、ちょこっとだけ応用したversionだ。不意打ちとはいえ、武器使いが一瞬で武器を取られちゃ、話になんねえことはちゃんと分かるよな」

 

一部分を流暢な発音でしゃべり、質問をするカラスに、少女は驚きの余韻が残りすぎているようで、すぐに返事を返すことが出来ない。

 

「あ……と、え……………っと……………う、うん」

「構え方の前に、握り方を覚えること。あと万が一武器を取られた後用に、武器を取り返す技ってのも考えてみるといいぞ」

 

そう言ったカラスは、自分の手にある薙刀を少女に返した。

 

「あとは頑張れよ」

 

ランニングに戻るカラスを、少女はありがとうともさようならともいえず、ただ開いた口をどうにかふさぐ努力だけを、棒立ちのまましていた。

 

「………ちと、やっちまったかなあ……」

 

そんな気配を背後に感じながら、自分の家に帰ることを自分の中で決定した。

と思ったら、コンビニを発見したようで、中に入っていった。カラスは最近はほとんど引っ越しの準備と手伝いで、週刊誌であるジャソプやサソデー、マガジソなどを読めていなかったので、ここで一気に読んでしまおうと思ったのだ。(前回記述したが、カラスの顔はそんじゃそこらの不良より怖い。目つきも鋭く、その気になれば睨みひとつで人を退けられる。よって、コンビニや古本屋で立ち読みをしていても店員たちは怖がってほぼ注意しない。この顔の数少ない利点だ)

そんなこんなで八時前。臭いは残るものの、汗はいつの間にか乾いてしまい、見た目だけでは運動後にはまったく見えなくなっていた。

涼みながら帰ろうと歩いていたら、先程の大きな橋を中心に高校生の人だかりを見つけた。

 

「(…………………何なんだあれ……)」

 

興味を持ってしまい、なぜ人だかりが出来ているか知りたいという欲求にかられたカラスは、その人だかりにへと進んでいった。

そこにあったのは、

長い黒髪の美少女と、それを取り囲む不良。普通ならば美少女はおびえて震え、不良共が余裕綽々としている場面のはずだ。マンガならばここで主人公が美少女を救出し、何やら魔法やら魔力が使えるやら溢れるやらして、地下帝国とか宇宙海賊とか超人類とか火星ゴキブリとかと戦っていく感じになるような場面だ。

だが、二つほど気になることがある。

一つ目は、、美少女の周りにボコボコになっている不良たちが寝転んでいるのか。

二つ目は、その美少女自身に、カラス自身見覚えがあることだ。

二つ目はすぐに分かった。その美少女は、昔テレビで見た自分とほぼ同じぐらいの年の、川神院で武術をしていた女の子だった。同時に思い出した名前が、自然と口から言葉になってこぼれる。

 

「…………《武神》………………川神…………………百代……………」

 

その場でその光景を見ていた。

その光景とは、武神が不良たちを嬉々とした顔で、蹴って殴って投げ飛ばして吹き飛ばして潰して極めて絞めて叩いて突いてちぎっては投げちぎっては投げ、不良たちを恐怖に落としていく、いうなれば圧倒的殲滅だ。

この光景を見たカラスは、一つ目だった疑問がはれ、それと同時に別の激しい疑問に襲われた。

なぜ武神は、ちゃんとした手加減をしていないか。ということだ。

 

「(何やってんだよあの武神は。こんなもの、殺さないだけのただの殺戮ショーじゃねえか。もっと丁寧にぶっ倒す方法ぐらい、アイツの実力なら簡単だろうし、方法もいくらでもあるだろ。しかもその殺戮ショーを周りの奴らに見せびらかす様に戦ってやがる。まさに公開処刑じゃねえか。多分不良たちが武神の実力を、理解も調査もせずに突っ込んだんだろうが、まさかお仕置きを言い訳になぶってるわけねえよな。)」

 

なぶっていた。完全になぶっていた。

嬉々としたその表情には、見方によれば加減という言葉を知らない無垢な幼児にも見えるが、カラスにとっては傷だらけのボロボロな兎をゆっくりと嬲り殺していく、余裕綽々な獅子にしか見えなかった。

しかし、それにも十分驚いたが、逆に愕然としたこともあった。

周りの生徒たちの表情だ。

 

「(それに何なんだこの生徒たちの顔は!こんなの朝っぱらからみて、なんでこんなに喜ぶことが出来んだよ。それにこいつら、あの表情をしてやがる。それも俺が見る限り全員だ! いったいどんな教育と環境で育てられてきたんだよ!)」

 

カラスの脳内では、数年前の『あの』光景が、再生されていた。

 

「うわああああぁぁぁぁぁ!!!!! たたたたたた助けてくれ~~~~」

 

そんななか、不良たちのグループは完全に一人を残して気絶し、その残った一人も圧倒的戦力ととてつもない恐怖で、腰が完全にダメになっていた。立ち上がることなど、ほぼ無理だ。その不良の目の前には、大きく拳を振りかぶった武神。とどめの準備をしているようだ。

 

「こんな美少女に、何十人もむさくるしい男をつれてケンカ売りに来たんだ。お仕置きぐらい必要だな」

「ゆゆゆ、ゆ許してくれ、頼むから許してk…………」

「ダメだ♪とどめだ♪」

 

拳が振り下ろされる。一人の不良には、視覚認識もできないような速度で。

 

「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………? あ、あれ?」

 

しかし、その拳がとどめの一撃になることはなかった。

拳は不良にあたる前に、突然横から現れた掌によって受け流され、腰が抜けて動けなくなっていた不良自身は、数瞬前までいた位置から一メートルずれた場所に居た。その不良の襟をつかんでいるのは、金髪で目つきの鋭い少年。カラスだ。

武神は一瞬で思った。

『こいつ、面白い』と。

 

「なんだお前は」

「…………………………………」

 

返事は『にらみつける』攻撃だった。

 

 

 

 

 




感想マジでください
シータも言いましたよ。
『感想がなければ、人は生きられないのよ!』
って。
すいません調子乗りました。m(_ _)m
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