side 要
「お、おい!康太!雄二!大丈夫か?」
俺は急いで康太と雄二の介抱に向かった。二人の体は痙攣していた。かなり不味くないか?
「明久、秀吉、何が起こったんだ?」
「え、えっと………。姫路さんのお弁当の中身をつまんだら、一瞬にして倒れた。」
なるほどなるほど。全ての元凶は姫路さんの弁当だったか………。
「なぁ、姫路さんよ。君さ、弁当になんか入れたか?」
「はい!酸味が欲しかったので、塩酸を少し。」
「え、でも塩酸って気体が水にとけたものだから、火を通せばとんでいくんじゃない?」
「んーと、あ、最後に中和しようと思って水酸化ナトリウムを振りかけました。」
「「「それだ!絶対それだ!」」」
水酸化ナトリウム。空気中の水蒸気にも反応し、高い熱を出す。皮膚につくだけで汗と反応し、皮膚を溶かす。もちろん、口にいれていいものではない。
「明久!愛子!とりあえず二人の介抱をして!優子と秀吉は効果ないと思うけど、殺菌作用のある緑茶を帰るだけ買ってきて!」
「「「「わかった(のじゃ)!」」」」
「あ、姫路さんは弁当、いや、料理を作るの禁止!」
「ええっ!?何でですかぁ?(泣)」
「料理に平然と毒物を入れる人に作らせられるか!」
因みにこのあと、無事に雄二と康太は復活しました。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あのあと、明久は昼を買うお金がなかったため、いつも通り水だけですごし、他の5人は購買でパンをかって食うことになった。ん?姫路さんの弁当?俺たちが来る前に明久が雄二に無理矢理食わせたんだと。鬼畜だな。
「んで、次はどこを攻めに行くんだ?」
「まあ、待て。Aクラスの二人がいる今話すのは不味いだろう。あとで話す。」
「おっと、そうだったな。まわりに気を付けなければ。」
「そうだよ。もっと注意してよね。」
明久が俺にたいして言ってくるが、
「「「「明久、お前だけには言われたくない。」」」」
お、みんなもそう思ったようだな。注意してきた本人は「うぐっ」とか言いながら胸を押さえている。
「明久君、大丈夫でしょうか?」
「言葉が自分に帰ってきただけだ。気にすることはな「要君、はい!あーん」いって、愛子!お前は周りの目を気にしろ!」
「ん?周りの目?」
愛子が周りを見渡すと、そこには、
「………………殺したいほど妬ましい。」
「本当にそうだよね。異端審問に架けなきゃ。」
羨望と嫉妬、怨みのこもった声を上げるバカが二人いた。まあ、普通に過ごしている男子学生にとってはうらやましいだろうな。かく言う俺も結構嬉しい。だがな、
「康太はともかく、明久、お前は姫路さんに弁当を作って貰ったじゃないか。」
「ほえ?あれって姫路さんが皆に作ってきたものじゃないの?」
「おい、明久。昨日の会話を思い出せ。」
「うーん………」
「要君。はい、あーん。」
「だから愛子。止めろって。ったく、そういうのは好きな人にやるもんだぞ。」
「ボクは要君のことが好きだよ。」
「そ、そうですか………。」
その好きがloveかlike かは分からないが、女子に好きと言われるのは嬉しい。
「とにかく。はい、あーん。」
「仕方ないな………。あーん。」
のってみたが、かなり恥ずかしい………。
「むーっ」
ふと横を見ると、優子がふくれていた。
「どうしたんだ?そんなにふくれて。」
「な、何でもないわよ!」
「ボクが要君にあーんをしているのがうらやましかったんでしょ。」
「愛子、何をいっているんだ?そんなことはないと思うんだが………。でも、愛子があーんをしたタイミングでふくれていたし………。」ブツブツ
「違うわよ!」
「優子、もうちょっと自分の気持ちに素直になったら?」
「うっ」
そんな感じでお昼は過ぎていった………。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
お昼ご飯を食べたあと、Aクラスの二人を帰して次にどこに宣戦布告するかを話していた。
「んで、次はどこを攻めるんだ?」
「次はBクラスを攻める。」
「ねえ、僕たちの目標ってAクラスだよね。何で直接Aクラスを狙わないの?」
「はっきり言うが、俺たちの戦力ではAクラスには絶対勝てない。」
「じゃあ、Aクラスは狙わないんだね。」
「いいや、Aクラスを攻める。」
「おい、雄二、さっきといっていることが逆だぞ。」
「だからこその策略だ。とにかく、次はBクラスを攻める。というわけで、明久。宣戦布告に行ってこい。」
「ええー!嫌だよ。それに、前回僕がいったんだから、次は要か雄二が行ってきてよ。」
「ならじゃんけんで決めるか。」
「オーケー。なら僕はグーを出すよ。」
「なら俺はお前がグーを出さなきゃブチコロス。」
「俺は明久がグーを出さなきゃその首を撥ね飛ばす。」ジャキッ
俺たちは心理戦を仕掛ける。まあ、俺と雄二のは脅しだがな。
「「じゃんけん、ポン!!」」
「うわああぁぁぁぁ!」
パー←俺、雄二
グー←明久
案の定、明久は慌ててグーを出した。
「フッ、お前の敗けだな。逝ってこい。」
「漢字が違うんだけど。まあ、今回は大丈夫だよね。」
「あぁ、大丈夫だ。俺がいつお前を騙した?」
「前のししょムグッ!」
ゆ、雄二の奴、何しやがる!
「お前は黙っていろ」ヒソヒソ
「わぁったよ」ヒソヒソ
「それにだ、明久。Bクラスには美少年好きが多いらしいぞ。」
「うん!わかった!行ってくるよ!僕は360度どこから見ても美少年だしね。」
「な、なんだ、とぉ!?明久が間違えない何て、明日は槍が降るのか?」
「いや、隕石が降るんじゃないか?」
「………………明日は地球滅亡の日」
「まだやりたいことがあったのにのう………。」
「皆!とっても失礼だよ!とにかく行ってくるよ。」
そういって明久は出かけた………。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
数分後、明久はボロボロになって帰ってきた。
「言い訳を聞こうか。」
「予想通りだ。」
「くきぃー!殺す!殺しkill!!」
「落ち着け」ドゴッ
雄二は暴走した明久を鳩尾を殴って沈めた。それにしても、きれいに決まったな。
「さて、そこで寝ている明久はおいといて、Bクラス戦の用意をしなくてはな。」
「明久はほっとくのか。いいのか?結構きれいに決まってたぞ。」
「そのうち起き上がるだろう。ほっとけ。」
「そうだな。」
そう会話を切ると、俺たちは次のテストの用意をした。
因みに私の友達には理科学部に所属していて、塩酸を飲んだことのある人がいます。