やはり俺がIS学園に入学するのはまちがっている。 作:AIthe
小町との電話を終え織斑先生にケータイを返すと、“イイ”顔をされた。いい顔ではない。“イイ”顔である。大事な事なので二回言いました。
これからは妹を通して色々頼まれる未来が見える。これもシュタインズゲートの選択‥‥?
「そうだ比企谷。お前今日具合が悪いだろう?」
「‥‥!‥‥‥そうですね、とっても具合が悪いですね。」
突然、織斑先生はよくわからない事を言い出す。数秒遅れて俺も反応し、面白おかしいやりとりを続ける。
「今日は休むといい。」
「そうさせて頂きます。」
「お、そうだ。」と言い、先生はわざとらしく手を打つ。
「そういえば、今日は第四アリーナを使う予定がなかったなー。おっと、どこかに訓練機貸出承認書を落としてしまった。まあいい、仕事に戻るとするかー。」
織斑先生の出席簿から手書きの申請書が滑り落ち、そのままどこかに去っていった。俺はそれを拾い、綺麗に畳んでジャージのポケットにしまう。
織斑先生がここまでお膳立てしてくれたんだ。後は、俺がどれだけ頑張るか。それだけだ。
───2───
比企谷八幡。前任の平塚先生から聞いていた通り、厄介な生徒だ。ただ無意味に捻くれているだけなら物理的に叩き潰すのみなのだが、そうなったのにも色々理由があるらしい。私は教員として未熟なのでその辺は分からないが、こういう生徒に力で指導するのは逆効果な気がする。
「織斑先生、おはようございます。昨日の事、しっかり反省してますか?」
「おはようございます。分かってますよ、次から気をつけます。」
職員室で適当に挨拶を交わし、椅子に腰掛ける。
話を戻すと、確か比企谷は妹の事を馬鹿にされて怒ったらしい。やはり、ただの捻くれた無気力症患者ではなかったようだ。
今ペルソナ3思い出した人、放課後に先生のところに来い。これは命令だ。
と、いうわけで、私はあの比企谷とかいう捻くれ者を鍛え上げたいのだ。一夏は前向きだしそれなりに向上心もあるから問題はない。だが、あの男は注意をしても全くやらないだろう。それどころか、こちらを舌論で負かしてきそうだから困る。私はそういうのが苦手なんだ。口を使うのは別の奴がやればいい!
そして、やる気のない女生徒なら放っておいてもそれは自己責任となるだけだろう。しかし、世界に二人しかいない男性IS適性者となれば話は別だ。
いつ、どこで、どのようにその身が狙われてもおかしくないのだ。本人にそれを伝えたところで、現実味が無さ過ぎて耳を貸すとは思えない。
そこで、私はオルコットと模擬戦をやらせる事で解決する事にした。妹を馬鹿にした相手だ。さすがに比企谷も努力をするだろう。あんなにお膳立てもした事だしな。
そして、あわよくばオルコットを倒して欲しい。弟を馬鹿にした事をお姉ちゃんは根に持っているのだよ。千葉の兄弟、姉妹、姉弟、兄妹は愛し合っているのだよ!ソースは私だ。
そして、負けたとしても比企谷に悔しいと思ってもらえるだろう。妹の事を想えば、自衛できるくらいには強くなってくれるだろう。むしろこっちが本命だ。正直、私も比企谷がオルコットに勝てるとは思えない。弟云々は“体”というやつであり、一夏自身が頑張ったから私としてはすでに満足しているのだ。
「ふん‥私もまだまだだな‥‥‥」
私も色々あって教師になった。私も比企谷とは違う方向に捻くれていた時期もあったしな‥‥人の事は言えんのだ。だからこそ、比企谷には頑張ってまともな人間になって欲しい。
というより、昨日の電話。妹さんにゴリ押されてしまったと話したら山田先生に怒られた。それもみっちり。こんなに怒られたのは初めてだ。比企谷の妹怖い。やっぱり、敬語とかを使ってペラペラと喋るのは私の仕事じゃない。こういうのは次から山田先生に頼む事にしよう。
───3───
右も左も分からない俺は、取り敢えず俺は自室で勉強する事にした。期限はたったの一週間しかない。
「いつISが出来たのか」とか、「ISに関する条約」などのテストにしか出なさそうなところはすっ飛ばし、実戦に使えそうなものだけを選んで学習した。同室の子に、「だ、大丈夫?」と心配されたので、「大丈夫だ、問題ない。」と返してみた。何のネタなのか分かっただろうか?
「取り敢えず、分かった事をまとめてみるか。」
・ISが世界最強の兵器という事
・シールドエネルギーについて
・絶対防御について
・ISの基本運用方法
・上記の注意点
うわぁ、特にこれといって得られたものがねえ‥‥四時間も無駄にしたわ。基本操作とかマジ基本中の基本じゃん‥‥‥多分あれ見ないでも余裕で扱える。十字キーで移動みたいなレベルだったし。その点トッポって凄いよな、最後までチョコたっぷりだもん。
その後、デカデカと『実践編』と書かれた参考書を手にしたが、今度は逆に全然わからん。数学の微分くらいわからん。X^2(Xの二乗)を微分すると2Xになるとか意味わからん。そもそも微分ってなんだ。数学の教科書常連のたかしくん教えろ下さい。
ってか、たかしくんりんご買うときに値段忘れたりするのやめろよ。レシート破ったり、池の周りを無意味に回ったりするの生産性なさすぎだろ。お役所仕事かよ。
なんて事があって現在昼前、十一時くらいだ。食堂があるって聞いたし、生徒がいない今のうちに飯を食いに行こう。ぼっち飯最高!
話は変わるが、IS学園の制服は自分で勝手に改造してもいいらしい。それにしても、この真っ白な制服、マジで似合わない。しかもあの織斑とかいう奴の予備だよ。少し小さいんだけど‥‥‥‥
と、いう訳で寮から出てみたのだが、IS学園は無駄に広くてどこがどこだか全く分からない。ディスティニーランドかな?
なんか東京にムカっ腹が立ってきた。東京許すまじ。
というより、東京って名前のつくアニメ多すぎだろ。レイヴンズとか喰種とかアンダーグラウンドとか。全部千葉に変えて再放送しろよ。少なくとも俺に需要がある。
「織斑先生地図くれたっていいだろ‥‥‥お?」
学園内を探索していると、遊園地にあるあれがあった‥‥あれだよあれ!(*ただの案内掲示板です。)
IS学園はテーマパークだったのか(驚愕)。テーマパーク‥‥甘城ブリリアントパーク‥‥うっ、頭が‥‥‥‥‥
電子掲示板らしく、スマホ初心者のような慣れない手つきで検索してみると、該当件数一件と、案外すぐに見つかった。どうやらこの道で合っていたらしい。
数分歩くと、目的地の学舎が見えてきた。完全に俺が昨日ブチ切れた一年一組がある学舎です本当にありがとうございました。
昨日の事を思い出すだけで死にたくなる。ロープあったら首吊ってるね。
学舎内で誰かに会うと面倒だと思い、ステルスヒッキーを発動させたが杞憂だったようで、誰にも会わずに食堂まで辿り着けた。案の定食堂のおばちゃん的な人物がいたので、怪しい者じゃないですオーラを出しながら話しかけてみる。あれ?これ逆に怪しいんじゃ‥‥‥
「す、すみません。ここの学生なのですが、食堂を利用するのが初めてでして‥‥‥」
「あらまあ、二人目の男子‥‥‥噂のヒキタニ君ね。」
いつから噂になっていたんですか?あと比企谷です。葉山思い出すんでやめろくださいお願いします。
「どれが食べたいのかしら?」
「あー、じゃあラーメンで。」
「はーい。ちょっと待っててねー。」
あれ?食堂のおばちゃんが優しい‥‥目からダシがでちゃう‥‥‥
「はいお待ち、熱いからふーふーして食べなよ。」
「あ、ありがとうございます。」
なんであの人俺が猫舌だって知っているんだ。新手のスタンド使いかよ。しかもふーふーって‥‥‥
お盆に乗っかったラーメンを運び、無意識的に端の、人気のなさそうな席に座る。
「いただきます‥‥」
小声でボソボソお呟き、汁が服に飛び散らない程度の勢いですする。
味はシンプルでいい感じだ。これで千葉県の地産地消製品とかだったら三食全部ラーメンにする。身体に悪い?細けえこたぁいいんだよ!
「はふっ、はふはふっ。」
なんというか、懐かしい味だ。最近は家系ラーメンみたいな豚骨醤油系ばかり食べていたが、こういうのもアリだ。ラーメンの原点に帰れた気がする。
器を掴んで汁を飲み干す。今ならラーメンについて一時間は語れる気がする。ラーメンマジソウルフード。マッカンの次に好きだね。関係ないけど、“うまみ”って旨味だけど、甘みともかけるじゃん?つまりマッカンはうまみの塊なんだ!
あと、綾鷹式に行けば濁りはうまみじゃん?つまり、濁り=うまみ=マッカンなんだよ。つまり俺の目はマッカンで出来ているんだ(暴論)。
「ごちそうさまでした‥‥‥」
ぼっち百八のスキルの一つ、早食いを発動させ、僅か十分で完食してしまった。ぼっちって偉大だわ。
「ごちそうさまでしたー。」
「はーい。」
食器をそそくさと片付け、俺は食堂を後にした。
───4───
私が今朝少し早く起きると、同室の比企谷くんはすでに起きていました。私を全く意に介さぬ様子で、「IS基礎知識の導」と書かれた辞書並みに分厚い参考書と睨めっこしていました。
なんとなく「大丈夫?」と声をかけると、「大丈夫だ、問題ない。」と返されました。問題がないなら良かったです。
制服に着替えようと思ったのですが、比企谷くんは退いてくれそうもないので風呂場で着替えることにしました。パパッと着替えを済まし、早めに食堂に向かうことにしました。
「おはよー。」
「おはよー相川ちゃん。」
「てか昨日さ───」
途中、クラスの子と合流しました。最初はどうなるかと思いましたが、結構うまくやっていけている方だと自分でも思っています。
朝ご飯は、日本食のセットを頼みました。ここのご飯はいいものが使われていて美味しいです。時々、家のご飯が恋しくなるけど。
みんなで丸いテーブルを囲んでいると、そこにこの学園一注目を集めている人物がやってきました。
「あ、織斑君だ!」
「おはよう織斑君!」
「おはようみんな。」
織斑くん。世界初の男性IS適性者で、私達一年一組のクラス代表でもあります。入学早々にオルコットさんと模擬戦をし、後一歩というところまで追い詰めました。結局負けちゃったのですが。
その堂々とした心意気に惚れた女子も多く、多分、私もその一人なんだと思います。織斑くんはかっこいいと思っている人は多いと思います。
「織斑君かっこいいよねー!」
「うんうん、流石うちのクラス代表っていうか?」
「優しくて素敵だよね!」
「だ、だよねー。」
話は織斑君の話題となり、みんながキャッキャと騒ぎ立てる。私はこういう内輪ノリみたいなものが得意じゃないです。頑張って合わせてみるけど、しっくりきません。自分だけが、世界から取り残されている感覚がしました。
「それに対して、もう一人はヒドイよね。」
「うんうん、セシリアさんに突然キレたんでしょ?」
「ヒキタニ君だっけ?織斑君とは大違いだよねー。」
「う、うん。そうだね。」
話が織斑くんから切り替わります。ああ、またこの流れかとうんざりしながら、事実と違う事を指摘する勇気のない私は、適当な相槌を打ちます。
昨日から、この流れは鉄板となりつつあります。織斑くんの話題になると、引き合いに必ず比企谷くんが怒った話が出されます。私はその時クラスにいたので比企谷くんが怒った理由も知っていますが、噂というのは怖いもので、「二人目の男子が、話しかけたセシリアさんに突然キレた」とか、「態度を注意したセシリアさんに逆ギレした」とか、怒ったという事以外勝手に捏造されていました。しかも、それが一年のほぼ全員に広まっているのです。私は女子高出身で、こういうのにも慣れっこではありますが、未だに好きになれません。
「しかも、今度セシリアさんと模擬戦するらしいよ?」
「絶対負けるのにバカだよねー。」
「うん、だ、だよねー。」
私は今日も、誰かの意見に相槌を打つ事しかできません。
感想、評価等よろしくお願いします。