リリカル・W・ボーイ   作:アドゥラ

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原作ではなのはが決意を固めたところ。

なんていうかアクア君大丈夫だろうか……回を追うごとにアホの子になっていくような…………

今回はある意味急展開。


サイコ・W・アレスター

 最初のジュエルシード、スライム状のモンスターとして現れたそれは二つ。双方共にユーノ・スクライアの手によって封印される。シリアルは13と21。

 本来であれば神社にいた子犬が使用してしまうジュエルシードはアクア・プロトの手によって封印される。少し発動が早まったそれは、子猫が飛び掛ったときに発動し、虎の化け物になる。シリアルは16

 プールに存在したジュエルシード、フェイト・テスタロッサ、彼女の使い魔アルフの両名により封印される。シリアルは17である。

 そして、夜の学校で出現したジュエルシード、シリアル20は現在指名手配中の男の手により封印されてしまう。

 

 ◇◇◇

 

 アクアが使用したのは『ポンドゥス』の力。重力や引力を操る姿で、この世界ではHGS能力者の遺伝子を組み込まれたことにより再現されている。その影響か、能力使用時に背中から黒い翼が生えているのだ。

 その力で飛び上がり、ジュエルシードの力で出現した大樹のもとへ最大速度で突っ込む。

 

「まっにあええええええええええええええ!!!」

 

 右手をかざし、大樹の周囲にいくつかの重力球を出現させる。重力球に引き寄せられ、大樹の根が地面に突き刺さろうとしていたところ、間一髪間に合い、根は上に引き寄せられていく。

 

「グッ!? ま、魔力の消耗が……」

 

 アクアは知らないことだったが、辺りにはジュエルシードの影響により魔力素が充満している。それが強力な負荷をかけており、術式を用いず、感覚のみで魔力を使うアクアの消耗を加速しているのだ。

 

「このままじゃ……」

 

 アクアもなるべくなら被害は出したくない。しかし、この状況……市街地でネブラは危険だから避けていたが、やむを得ないか、そう思っていたときだった。

 

「クワッド・チェーンバインド! 封時結界展開!」

 

 諦めかけていた、だけども救いの手はあった。

 翠に輝く鎖、その数は四つ。それが大樹に絡みつき上に持ち上げる。

 

「足りない……パワードギア!」

 

 声にあわせて空中に歯車が現れ、鎖がその歯車にはまる。

 そして、何かが突き刺さるような音から後ろから聞こえてくる。思わずアクアは後ろを振り向いた。そこには金髪の民族衣装を着た少年が立っていた。

 

「えっと、さっきの人?」

「まあ、お互いどんな事情があるか分からないけどアレを封印するつもりはあるんだね」

「まぁ……そうだけど」

 

 なにやら真剣な表情の少年を見て、何故自分がジュエルシードを封印しようとしていたのか考えてしまうアクア。

 いや、そもそも……

 

(俺って、なんであの青い宝石を集めていたんだっけ?)

 

 アクアの体にはある異変が起こっていたのだが、この世界で『ある12人』以外には気がつくこともなく、体に悪影響があるわけでもないのでアクアは考えを放棄した。

 

「で、君は何の目的で……どうかしたの?」

「いや……そもそも、なんでアレを封印していたんだっけと思って…………」

 

 ユーノはアクアの様子を見て絶句、というか呆れていた。

 そりゃあ、ロストロギアの中でも危険なジュエルシードを封印していたのに、理由もなく、しかも自分でも分からないとか……なおかつウソをついている様子もなく、心のそこから不思議そうな顔をしているのが余計に脱力させる。

 

「知らないよ!」

「うん、そりゃそうだ――でも、さっさとアレを何とかして話はそこからにしよう」

「それ……こっちのセリフだよ」

 

 とりあえず少し落ち着こう……ユーノは呟き、魔法の術式を起動し始める。レイジングハートが平行して用意しておいた術式を展開しながらの作業だが、そこは手馴れたもの。大樹を取り囲むように封印術式が起動を始める。

 

「問題は……僕じゃ火力が足りなくて封印できるまでジュエルシードの出力を減らせないってことかな」

「んじゃ、そっちは俺がやるよ」

「……」

 

 ユーノは考え込む。初対面であるし、信頼していいのかどうか判別がつかない。ジュエルシードを目的として集めているわけではないとは思うのだが、信用できる材料が足りない。

 

「急がないと、あれ第二形態とかになりそうだぞ」

「え……ウソだろ?」

 

 大樹が徐々にだが形を変え始めている。枝はのび、所々関節のようなものが出来始める。

 

「あー人目につかなければ何とかなりそうなんだが……」

「え、結界張ってあるから僕達以外はいないはずだよ」

「……そういえばさっきから人の気配がしないと思ったら…………なんか便利だな」

 

 辺りを見回し、人がいないのを確認するアクア。どうなっているのか分からないがこれは便利だと思う。そして、これが異世界の人の魔法ってやつか! と思い至る。

 

「お前って異世界人?」

「そ、そうだけど……」

「ほー初めて見た」

 

 魔力を使った痕跡があるのに、僕のことを異世界人って……

 ユーノはアクアに違和感を感じた。管理外世界で魔法を知っているからてっきり、ミッドチルダ出身かと思ったのだが、違うのだろうか。

 

「まあ、とっとと止めますか。なんか人が入っているみたいだし」

「こっから肉眼で確認したの!?」

「目はいいからね……さて、ネブラの本格使用は初めてだけど、まあ何とかなるだろ!」

 

 アクアは『ネブラの実』を取り出し、口に含む。すでにポンドゥスの姿を解除しており、続けて別の実を使うのは負担が大きくなるが、流石にあの大樹を止める手札はネブラとフォルテ、ラティオしかない。

 アクアの実は製造中のため家においてきた。フォルテは一つしかない上に負担が大きいので使えず、ラティオも負担が大きすぎる。それにプレトがいないと対処が出来ない上、相手のサイズが大きすぎる。

 というかプレト何処行った?

 

「さっきのトカゲみたいなの? それならあそこで女の子に頭を撫でられて……」

 

 …………女の子?

 思わず、アクアとユーノの心が一致した瞬間だった。

 

 ◇◇◇

 

「わぁお利口なトカゲさんなのー」

《GYUA》

 

 高町なのは、聖祥小学校3年生の茶色の髪のツインテールの少女。見た目は可愛い方だが、おなじクラスのアリサ・バニングスや月村すずかと比べると普通な方である。

 本人も、ある程度自分は普通の女の子とか思っているが、彼女の家族が普通の範疇から大きく逸脱していたり、彼女自身普通とかけ離れた部分があるのだがそれには気がついていない。

 そんな彼女だが、今現在何をしているかというと……

 

「こんなにカチコチなトカゲさん見たことないのー」

《GYAGA?!》

 

 街中で父親が監督をしているサッカーチームの選手とマネージャーがバカッポーな雰囲気だったり、その二人を遠い目で見ていたら突然光ったり、これまた突然現れた大樹やら、その大樹から細い腕のようなものが沢山出てきて、関節沢山で気持ち悪いなぁと思ったり、

 

「でもーそんなのは全部夢なのー」

《NIGETE!NIGETE!!》

 

 思わずプレトが簡単な言語を発声出来るようになるほどの見事な現実逃避であった。

 

 ◇◇◇

 

 場面は戻ってユーノとアクアはというと、

 

「と、とにかく僕はあの子が被害にあわないようにするから、大樹の方をお願い!」

「おっおう!」

 

 少しパニックだったが、一応は役割分担しての作業。お互い素性が分からないような状況だが、目の前で不測の事態が起こったからか、そんなことは頭から吹っ飛んでいた。

 

「君! 大丈夫!?」

「にゃっ!? え、やっぱり夢じゃないの!?」

 

 なんかズレた発言をしているが気にしても仕方がない。

 

『グオオオオオオ!』

 

 アクアの魔力反応を感じ、振り向くとそこにはドラゴンのような姿の生物――アクアがネブラに変身した――がいた。

 

(変身魔法? いや、それにしては出力の上がり方が……レイジングハート、一応記録をお願い)

(OK、マスター)

(え、え、ドラゴン? これは夢、夢なの?)

 

 ユーノは流石と言うべきか、アクアの変身を冷静な観点で捉え、レイジングハートを使っての解析も行う。

 なのはは……魔法に目覚めていないからか混乱していた……

 

「大丈夫……絶対に君を傷つけさせないから(ジュエルシードの件で)」

「ふ、ふにゃっ!?(ドラゴンから守ってくれると解釈)」

《マスターは時々やらかします……》

 

 

 こうして、なにかがおかしなことになっているころ、アクアは少しばかり苦戦していた。

 

(この大樹……魔力の影響なのか固有振動数が計測できないッ)

 

 頭のムチを使い振動数を計測するも、部分ごとに違う上、数秒ごとに振動数が変化するのである。これではサイコヴォイスを使うことは出来ない。

 

(どうにかして中の人だけを傷つけずに……結界ってどの範囲まで力をだしていいのか判別つかない……さっきの金髪と話せれば)

 

 そこまで考えて、なにか打開の策がマニュアルにないか記憶を探り始める。

 何か何かないか、思い出すんだ。記憶を探れ。忘れたと思っていることからも引っ張り出すんだ……

 

(りみ……リミピッドチャンネル!)

 

 記憶に出てきたのは、ほとんど忘れかけていたある能力の名前。何処で聞いたのか、それも思い出せなくなってきたが、必死に記憶を引っ張り出す。

 

(よくわからないけど……たしか、意識の波とか、場に存在する意識や事象とかを読み取る能力だっけか?)

 

 おぼろげだが思い出した。いつから知っていたのか思い出せないが、研究所でも研究していた。ベターマン・プロジェクトにおいては全個体が標準搭載するってのも見た記憶がある。

 

(まだ使ったことはないけど……)

 

 辺りに意識を集中させる。結界の中だからか、周囲の人は5人。自分を除いて金髪の少年とさっきの少女、そしてあの宝石を発動させた男女1名ずつ。

 

(そうと分かれば……聞こえるか、さっきの)

(!? これは念話……とは違うみたいだけど、君は一体?)

(話は後、この結界って物を破壊しても大丈夫か?)

(うん、外界とは切り離してあるから被害はないよ)

(なら封印には発動者の周囲だけ無傷でも出来るか?)

(場合にもよるけど、半径2メートルぐらいなら何とかいけると思う)

(なら大丈夫だ。一気に破壊するから封印よろしく!)

 

 ユーノとの接続を切り、再び発動者に意識を向ける。リミピッドチャンネル。その力で発動者たちの周囲に攻撃が当たらないように正確な位置を把握する。

 この力は以前にも無意識に使っている。ヘル・アンド・ヘヴンを使用したときに用いていた感知能力。その正体がこれである。

 

(いくぞ……サイコヴォイス!)

 

 一瞬、辺りに音が消えた。ユーノとなのはがそう思った次の瞬間だった。

 

『Vッ――――――』

 

 ネブラの必殺技、サイコヴォイス。対象の物体の振動に合わせて高周波をぶつけ、対象以外の物体は無傷で破壊する。

 その威力は対象の物体にはまさに必殺。そのため、このような相手には向かないのだが、対象にしぼらない場合は無差別に破壊する。

 そこを逆手に取り、対象の周囲を破壊能力のない波長をぶつけ、それ以外は両手の電子レンジのような高周波を出す器官により破壊する。

 

 

「すごい……いや、急いで封印しないと再生する!」

 

 その様子を見ていたユーノだったが、自分の役割を思い出し中心部へ転移する。その際、プレトも同時に運んでいた。

 

「あ、ちょ、せめて名前だけでも――」

 

 飛ぶときに、少女が何かを言っていたが、このときの彼は目の前のことで頭がいっぱいで気にかけている余裕はなかった。

 

 

「まだ余力がある、でもこれくらいなら――広がれ 戒めの鎖 捕らえて固めろ 封鎖の檻! アレスターチェーン!」

 

 ユーノの現在使用できる最大火力、チェーンバインドから派生した攻撃と捕縛を兼ね備えた魔法。そこに、すでに待機状態だった封印魔法を起動させる。

 

「封印!」

 

 周囲の魔法陣が同時起動し、ジュエルシードを封印する。

 発動者のこともあるので、フローターフィールドでしっかりと受け止める。

 

「さすがに、魔力も回復させないと……とにかく、シリアル10は回収完了。で、話は出来るんだよね」

(ああ、俺の家に来てもらおう……人目につくとまずいから乗れ)

 

 相手の本拠地、敵か味方も分からないがとにかくついていこう。

 ユーノも情報を欲していた。

 だがしかし、アクアはと言うと……

 

(眠い……)

 

 負担が大きすぎて思考能力が一時的だが落ちていた。

 

 




今回の用語解説
『パワードギア』

ユーノが自作した本小説オリジナル魔法。
ベースは設置型バインド。歯車の形をしており、チェーンバインドなどと組み合わせることで捕縛性を高めたり、そのままでも硬いので射撃魔法などと組み合わせて弾丸に使ったり、盾として使ったり、近接の魔法刃として使うなどと応用の幅が広い。

他の魔法と組み合わせることを前提として作られている。

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