リリカル・W・ボーイ   作:アドゥラ

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話が進まない。
一応、牛歩的には進んでいるのでしょうか?

デジアド買ったんで更新は遅くなる、とは限らない。ゆっくりと遊ぶ人ですから。

ユーノ君と組んでいる時のレイハさんは秘書チックなイメージです。


さてと、そろそろ脱ぎ女の出番も近づいてまいりました。
いまだ出ませんが。



ブックマーク・W・テラー

 研究所跡地。

 アクアとユーノが降り立ち、ネブラの胸部分からアクアが飛び出る。その様子をユーノは驚きつつも、分析をしながら見ていた。

 

「細胞組織が一瞬で壊れている……いや、使い捨ての殻、脱皮みたいなものか」

「へぇ、見ただけで分かるんだ。まあ、とにかく入ってくれ」

 

 アクアに案内され、室内に入る。ユーノは適当なところに腰かけ、話を始めようと思い口を開こうとするも、アクアの様子がおかしいことに気がつく。

 

「すまん、会話は続けられるけど、体が限界みたいだ……」

「限界って……」

 

 困惑するユーノの目の前で、アクアは繭のような状態に変化していく。体を球状に覆い、その中でアクアは座るような体勢になった。

 

(会話は心の中に直接話しかけるようにする。君は口に出しながらでも大丈夫だから)

「念話とは違う……これは一体?」

(リミピッドチャンネル……簡単に言えば、周囲の意識の波を使って直接頭に話しかけているってところかな。使い方は他にも色々あるけどね)

 

 そうは言ったが、アクアには通常時には念話程度の使い方が限界である。変身している状態でないと運用は難しいのだ。

 

「たしかに、念話もにたような仕組みだけど……」

(そっちは人工的な波長を使った通話だろ。こっちのは自然界の波長を利用していると捉えてくれればいい。詳しい仕組みは俺も知らないし)

「答えられないなら仕方が無いか……興味深い話だけどね。

 それで、君は一体何者なんだい?」

(名前ならアクア・プロト。歳は9歳ぐらいかな? この研究所で生まれた生物兵器ってところ)

 

 生物兵器。ユーノは自分の世界の負の遺産、戦闘機人を思い出す。文献でしか見た事が無いが、生体融合した機械兵器というのがあったはずだ。

 

(もっとも、体の大部分は人間とさほど変わらない。内臓の形状が少し異なったりするぐらいだよ。遺伝子的にも変わらないけど、ちょっと手を加えられていてね。特殊な薬を用いてあんな変身が何種類かできるんだ)

「でも、それって……君はクローン体ってこと?」

(まあそうだろうね。一応、この世界にはそういったクローン技術が発展しているんだ。もちろん、一般の人は知らないよ)

 

 ということは魔法に頼らず、科学的な方式だけで……ユーノはそこまで考えるが、この少年には魔力があったはず。そこまで思い至り、彼が管理世界のテロリストの関係者ではないかと思った。

 テロリストが、管理外世界でクローン研究をしていた。そう思ったのである。

 

(いっておくけど、リミピッドチャンネルは思念を捉えられるから熟練した人がいるのなら、相手の心を読めるよ。俺は疑心とかがわかるくらいだけど)

「!? ……僕の心を読めたり出来るってことは億の考えていることは?」

(流石にそこまでは無理だよ。なんか、テレパス系の能力は使いづらくて。

 何を疑っているのか分からないけど、君たちの世界のことは良く知らないからね。こっちも知りたいことがあるんだ)

 

 アクアは問いかける。先日落ちてきた魔力のことを。

 

「…………あれは、僕が発掘したロストロギア、ジュエルシード」

 

 ユーノは語りだす。先日発掘し、輸送していた古代遺失物。テロリストに襲われこの世界に落ちた21個の宝石。

 自分もそのときに落ちてきて、今まで回収していたことを。

 

「結局、見つかったのはさっきを含めて3つだけどね」

(なんかキナ臭い……というか、そもそも魔力ってどういうものなんだ?)

「知らないの?」

(いや、培養液から出された後はどっかに転移させられたし、ここに戻ったらこの有様)

 

 ユーノは辺りを見回す。あちこちボロボロだし、魔力を用いた戦闘痕が残されている。

 

(なんか、研究員達が管理局がどうたらこうたら言っていたけど……)

「ちょっとまって、管理局の人がここに来て、で、君を作ったっていう人を捕まえたんだよね?」

(いや……なんか、遺言みたいな感じでお別れを言われた。一応、あの人らも悪い感じの人じゃなかったんだけどな……俺のことは実の子のように扱っていたし、ここに戻った後も日記とか見てそう思ったし)

「…………これは管理局の戦闘でつく痕じゃない」

(え? それって、どういう?)

「僕達の世界での魔法は、非殺傷っていって、相手の体にダメージを与えない攻撃が出来るんだ。なのに、この戦闘の痕……まるで口封じだ」

 

 違和感は多かった。この戦闘痕、一見して魔力ダメージのみを装っているが、痕の周りが不自然に綺麗だ。

 ある程度はすす汚れるのに……

 仮に、非殺傷ではない魔法でこの痕がついたのだとしたら……

 

「レイジングハート、解析できる?」

《すでに。結果は黒です》

「……」

(えっと、どういうこと?)

「……、この魔力痕に血が含まれている。痕は偽装のために残しておいたんだろうけど、逆に不自然すぎるんだ」

 

 管理局とは普通、そんな戦闘を行わないらしい。

 

(じゃ、じゃあ……ここで一体何が?)

「なんだ? この違和感は……この街に足を踏み入れたときからなんとなくだけどあったんだ……なんで今、この街は魔力が多いんだ?」

 

 少し調べたが、ユーノはこの世界と魔力結合の相性が悪い。

 そのはずだが……今現在問題なく動けている。

 

 ◇◇◇

 

 とにかく、腹ごしらえしたほうがいいだろうということで、ユーノは食事を始める。アクアも少し動けるようになたので、プレトに食べ物を持ってきてもらい食べていた。

 

「あ、あーあー。声は問題なく出るな。で、これがそのジュエルシードってやつか」

「シリアル16……何処で見つけたの!?」

「何日か前に子猫に取り付いたのを引っぺがした。自分でも良く覚えていないけど、けっこうヤバソウな感じだったから封印したんだ。そういえば、山田君が……あれ? 山本君だっけ? まあとにかく、銀髪の男の子が変なことブツブツ言いながら近づいていたんで止めようとしたんだけど、そこにトラ猫がきて……餌だか何かと勘違いしたんだか」

 

 で、虎になったとさ。そこまで説明してユーノは何かを考え始めた。

 

「ジュエルシードは使用者の願望をかなえる力があるんだ」

「願望ねぇ……あのトラ猫は強くなりたいとでも願ったのか?」

「いや、どっちかっていうと、狩りの本能に身を任せていたからそれが歪んだ形ででたんじゃないかな」

「願望をかなえるのに歪んだ形でかなえてどうするんだよ」

 

 ツッコミはもっともだ。このロストロギアは分からないことが多い。

 古代の文明の遺産。作られたものなら、作られた意味があるはずだ。

 

「こんな危険なモノを……何の目的も無く作るとは思えない」

「21個揃うと本当に願いをかなえるとか?」

「いや、それにしてはおかしいんだ。たしかに複数集まるとより強力になるんだけど……」

 

 厄介ごとが始まるとか何の冗談何だか……アクアはそろそろゲンナリしてきた。『不死者』について調べないといけないし、どうしたものかと思ったが……

 

「あ、なあ一つ教えてもらいたいことがあるんだが……礼にならないと思うけどこれも返すし」

「え、あ……ちょ、ジュエルシードをそんな簡単に渡してもいいの!?」

「いや、必要ないし」

「……はぁ、そういう性格なんだね。まあいいよ。何を知りたいの?」

「えっと、ユーノだったっけ? お前って、『不死者』ってやつをしっているか?」

 

 その話はユーノも良く知っている。『ミッシングリンク』の一人。詳しいことは管理局員でも、一部の上層部しか知らない。

 世に出回っている話はデマが多いが、共通して言えるのはベルカ時代から今まで生きている正真正銘の化け物。

 

「古代ベルカ……そういう時代が僕達の世界にあってね、その時代から生きているんだ。どうやって生きているかは知らないけど」

「それなら、仮説程度だけど知っているよ。俺の知り合い曰く……人の命を吸うんだと」

 

 あるいは吸血鬼、人の命を喰らい、自らの命を永らえる化け物。

 

「俺を作った研究者達って、全員がソイツにやられてね、命は助かったけど子供を作る機能を奪われたらしい。『不死者』は段階的に命を吸う。そのぐらいしか知らないけど」

 

 まずは生気をある程度喰らう。その次に、命を生み出す力を喰らい、命を繋ぐ意思を喰らい、最後には命そのものを喰らう。

 

「研究員のレポートだとそんな感じかな」

「……君はなんでそんなことを聞くの?」

「まあ、俺の生みの親達最後の願いだし、俺自身許せないんだよ……命を自分の都合で弄ぶやつが。それも、自分のためだけに。自分が生きながらえるために。

 命ってのは受け継がれるもの。俺はそう思うから」

 

 そう言った彼の顔を見て、ユーノは思い出す。

 姉の行動を。

 

「そっか……」

 

 自分もそうだ。答えは単純だ。彼が『不死者』に対して抱いた感情と、自分があの男に対して抱いた感情は似ているんだ。

 

「っていうか、異世界か……うーん、どうやって行けばいいのやら」

「管理局と連絡が取れればいいんだけどね」

「むしろ時間がかからないか?」

「いや、お役所仕事だけども……でも、ある程度信用できる人じゃないとその目的は達成できないね」

「あー……なんかキナ臭いしなその組織」

 

 全部が全部でないけども。今回のテロで、ユーノの中にも新たな疑問が湧いた。

 そして、彼の生まれ……この機材、管理局に気がつかれずにどうやって管理外世界にもちだしたんだ?

 

「……少しばかり、恐怖を感じるよ」

 

 この街で何が起ころうとしているんだ? いや、姉の能力を考えると……

 

「あの人は、知っていたのかな」

 

 

 この街で何が起こるのか。『ミッシングリンク』と戦うことになる。そう予言していた姉だが……

 なにも、一人だけとは限らない。

 自分と同じく、『ミッシングリンク』を探す少年。

 ジュエルシードを狙ったテロ。

 集中してこの街の付近に落下したこと。

 そして、この世界では異常な魔力。

 

 戦うときは近いのかも知れない。

 




今回の用語
『魔法』
管理世界では、基本的にミッドチルダ式の魔法を意味する。
空気中の魔力素を自分のリンカーコアに取り込み、自身の魔力として扱い、それを術式にて形を決め使用することで効果を表す。

案外、謎な部分も多い器官であるリンカーコアを用いているので、詳しいメカニズムは不明な部分もある。

近接戦闘や特殊な能力が多い古代ベルカ式や、ミッドチルダ式をもとにベルカ式を再現した近代ベルカ式などもある。

これらはデバイスと呼ばれる機械的な道具で使用されるが、一部の者は単体での行使が可能。

なお、悪魔などの存在もおり、本当の意味でオカルトな魔法を使うものもいるが、きわめて少ない。

ルーン魔術なども存在し、共通して言えるのは、魔力という力に何かしらの意味や方向性をもたせることで具現化しているところである。
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